2024年・第213通常国会
- 2024年3月22日
- 外交防衛委員会
祝園弾薬庫増強説明を 「拡張しない」と確認書
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
来年度予算案は、安保三文書に基づく空前の大軍拡を一層進めるものです。問題が多々ありますが、今日は弾薬庫について伺いたいと思います。
来年度は、沖縄を始め、九州、北海道、京都など計十四か所、建設費など二百二十二億円を計上しています。五十八億円だった昨年の四倍近くです。
京都府舞鶴市の海上自衛隊舞鶴基地と精華町の陸上自衛隊祝園分屯地周辺で住民の皆さんにお話を伺いました。共通して出されたのは、全体像が見えないという声であります。
防衛省に伺います。
舞鶴、祝園、それぞれ、現状で弾薬庫は幾つあり、幾つ増やす計画でしょうか。
○防衛省 大臣官房施設監(扇谷治君) お答え申し上げます。
個々の自衛隊施設に設置されております火薬庫の相当数につきましては、自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、お答えすることは差し控えます。
その上で、防衛力整備計画等に基づき、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、弾薬の生産能力の向上及び製造量に見合う火薬庫の確保を進めることとしております。
これを踏まえまして、祝園分屯地におきましては現時点で八棟の火薬庫の新設を計画しておりまして、また、舞鶴基地におきましては新たに三か所、三棟の火薬庫の新設が可能かどうか、令和六年度に調査検討を行うこととしております。
○山添拓君 現状は言えないけれども、新しく造るのは言えるということでありました。
ただ、防衛省は四年前に、必要な保安距離が確保されていない事案があったとして、弾薬庫の特別検査を行っています。その際に、全国の火薬庫は総数千四百一棟と発表しているんですね。ですから、能力は自ら明らかにしているはずだと思います。
全体像に関わって、もう一点伺います。
舞鶴は、トマホークを搭載可能にするというイージス艦二隻が配備されています。新設する弾薬庫にはトマホークを置くのでしょうか。また、祝園は海上自衛隊との共同使用を表明していますが、祝園にもトマホークを置くのでしょうか。
○防衛省 整備計画局長(青柳肇君) お答えいたします。
トマホークにつきましては、イージス艦に搭載する計画としてございます。
イージス艦に搭載しないトマホークは火薬庫に保管することとなりますが、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類につきましては、その詳細を示すことにより自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 お答えにならないわけです。
ただ、宮古島駐屯地では、当初、小銃などの保管庫と説明していたのが、実際は弾薬庫で、中距離多目的誘導弾や迫撃砲を置くものだったことが明らかになり、大臣が謝罪する事態になったことがありました。住民を欺くような大問題まで起こしてきたわけですが、今度は初めから秘匿し、住民は黙って従えということになるのでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(青柳肇君) 石垣や宮古の場合には地対艦誘導弾ないしは地対空誘導弾が保管されていると言えるのに、なぜ祝園が言えないのかという御質問かと思いますけれども、防衛省といたしましては、火薬庫に保管する弾薬の種類や数量につきまして、その詳細をお示しすることで防衛能力が明らかになるおそれがあるため、具体的にお示しすることは差し控えるとの考えに変わりはございません。
その上で、離島に所在する駐屯地であるという地理的な要因でございますとか、さらには地元自治体等との関係、ないしは所在する部隊の特性などを総合的に判断いたしまして、部隊の能力が明らかになるおそれのない範囲内で例外的にお示しすることはございます。
○山添拓君 要するに、地元との関係ということですから、地元が反対運動などが広がって声が大きいところについては説明をするけれども、静かなところは黙っていようと、こういうことかと思うんですね。
大体、建設費というのは総額幾らと見込んでいるんですか。舞鶴と祝園、それぞれ今お示しいただけますか。
○委員長(小野田紀美君) どなたがお答えになりますか。
○政府参考人(扇谷治君) 祝園につきましては、令和五年度予算では火薬庫整備の調査及び……(発言する者あり)総額ですか。総額については、今設計中でございますので分かりません。舞鶴も同様でございます。
○山添拓君 要するに、何にも説明いただいていない、全体像が見えないという地元の声はそのとおりだと思うんですよ。
祝園弾薬庫は、一九三九年に建設され、戦前、東洋一と呼ばれました。戦後、米軍が接収し、朝鮮戦争でも使われ、核兵器の貯蔵能力まであったとされます。住民、町、議会が一体となり、撤去と土地の返還を求める大運動が繰り広げられた末、一九六〇年に自衛隊に移管されています。
資料の二を御覧ください。
これは、当時の精華町町長と防衛庁大阪建設部長、陸上自衛隊中部方面幕僚長との間で交わされた二十三項目に及ぶ確認書です。二の一から始まりますが、第一項、要望、核兵器は将来にわたり絶対に貯蔵しないことを確認されたい。回答、了承する、核兵器の貯蔵は考えられない。第二項、要望、現在以上施設の拡張しないことを確約されたい。回答、現在以上用地買収及び貯蔵施設の拡張はしないなどとあります。
大臣に伺います。
この確認書は防衛省としても存在を認めるものですね。また、これ以降、変更されたり破棄されたりしたことはあったでしょうか。
○防衛大臣(木原稔君) 御指摘のこの確認書は、一九六〇年に作られ、昭和三十五年の二月二十六日に京都府の精華町と防衛庁が取り交わした確認書でございます。
当時、在日米軍から返還された旧祝園の弾薬庫を防衛庁が所管替えを受けまして使用するに当たって、その精華町からの要望とそれに対する回答というものを、これ確認という形で、確認書という形で記録したものというふうに認識しております。
この確認書ですけれども、防衛省の行政文書として保存をしておりまして、一九六〇年二月二十六日以降にその内容の変更や破棄を行った事実はございません。
○山添拓君 要するに、書面で残された確認書ですから、防衛庁、当時の防衛庁と町との間の正式な合意文書ということですね。
○防衛省 地方協力局長(大和太郎君) 今大臣からお話ししたとおり、この確認書につきましては、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し記録したものであり、いわゆる契約的な意味合いを持つものではないと認識しております。この点については精華町とも一致しているところでございます。
○山添拓君 いや、要望が出され、回答をして、合意したもの、回答の内容について双方が確認したもの、だから押印もあるということではないのですか。合意文書としての性格も否定されますか。それはそうはならないだろうと思うんですよ。
四枚目、二の四という資料を御覧ください。
二十二項という項目があります。要望、取決め事項はできるだけ細分化した書類を作成し、各一通を両者側に保管し、前任者は後任者に責任を持って引き継ぎ、申し送り、確実なる履行の確約をされたい。回答、御要望に添うごとく実施するとあります。
こういう合意をしたからこそ、六十年以上にわたって分屯地でも引き継がれて、今こうして文書が残っているということではないんですか。
○政府参考人(大和太郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、この確認書については、精華町と防衛庁が精華町からの要望とそれに対する回答を確認し記録したものでありまして、いわゆる契約的な意味合いを持つものではないと認識しております。この点においては精華町とも一致しているところであります。
その上で申しますが、陸上自衛隊祝園分屯地における施設整備等については、これまでも必要に応じて防衛省から精華町に対し適切に情報提供をし、御説明をさせていただいているところであります。
○山添拓君 契約かどうかということを、例えば甲と乙が結んだ文書のようになっていないと、それはそうかもしれませんけれども、文書に残して押印までして意思を合致させていると、要望、回答を確認。これは、普通は合意文書と呼ぶべきものだと思うんですね。
大体、この地方自治体と合意の上で確認した文書について、いや、あれは契約的な内容じゃありませんでした、拘束されません、こういうふうに簡単にその効力を否定するんですか。防衛省が自治体と行う合意というのはいつもそういうものなんですか。
○政府参考人(大和太郎君) また繰り返しになって恐縮なんですが、この確認書につきましては、いわゆる契約的な意味合いを持つものではないというふうに認識しておりまして、この点については精華町とも共有しているところであります。
○山添拓君 精華町の議会でも大きな問題になっておりますけれども、これはやっぱり効力を簡単に否定できるようなものではないと思うんですね。
資料の二の二に戻っていただきたいと思います。
確認書の第四項は、要望、弾薬の貯蔵量の基準を定め増加する場合は事前に町側と協議の上決定することを確約されたい。回答、現施設による貯蔵能力以上は貯蔵しない、増加する場合は事前に町側と協議するという条項です。
大臣に伺います。
確認書に基づいて精華町と事前協議をするべきではありませんか。
○国務大臣(木原稔君) まず、この委員が配られた資料の二の四でこの確認書の当事者が三名記載されてあると思いますが、一人は当時の精華町長、そして当時の防衛庁の大阪建設部長、そして陸上自衛隊の中部方面幕僚長と、この三人の確認文書であります。
そして、現在について精華町と一致していると今参考人は言っておりますが、現在の精華町そして私どもとの間で今は一致しているということで、そういう立て付けという、それで今言ったように一致しているということを申し上げたところでございまして、確認書については、もう精華町と当時の防衛庁が、精華町からの要望とそれに対する回答書を確認し、それを当時のものを記録したと。いわゆる、もう何度も言いますが、契約的な意味合いを持つではないというものでございますから、弾薬の貯蔵量の変更等に際して必ずしも本確認書に基づく事前協議が必要なものではないと、そのように認識をしております。
○山添拓君 いや、当時確認したものだといって、いや、今は何の拘束もされないんですと、それは文書の性格上、通らないと思いますよ。将来も見据えてこの文書、この文書は作られているわけです。
資料の最後のページを御覧ください。
今の第四項についての付随文書も防衛省から提出をいただきました。ここには貯蔵能力、黒塗りにしていますが、ここには約七千トンと書いてあるんではありませんか。
○政府参考人(大和太郎君) 私たちの方からお出しした文書については黒塗りをしてあったと思いますので、その黒塗りをした状態で読んでいただければと思います。
○山添拓君 当時は貯蔵能力を示しているんですよ、ですから今隠す理由はないと思うんですが。
私は、当時、町の側と確認した文書がほかにもあるんではないかと思います。委員会に全て提出いただきたいと思います。
○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 私は、そもそも住民への説明が乏し過ぎると思います。祝園分屯地は町の面積の六分の一を占めて広大ですが、正規の出入口は一か所だけです。全体が木々で覆われて、周囲から見ても弾薬庫があるとは気付きません。敷地の隣には京都府立大学の精華キャンパスがありますが、弾薬庫を知らない学生も多いです。弾薬庫の存在を知っている人でも、大きく増強されることは余り知られていません。
しかし、この弾薬庫が万一攻撃対象となれば、いや、そうでなくても、事故やトラブルで暴発をするようなことがあれば大変な事態になりかねないわけです。少なくとも、防衛省として住民に対して説明する機会、防衛省として設けるべきだと思いますが、これは大臣、いかがですか。
○国務大臣(木原稔君) もう、確認書でございますけれども、これは、あくまでもその当時の精華町と防衛庁がですね、精華町からの当時の要望、それに対する回答というものを確認するために記したものであり、確認する当事者の、もうしっかりと明記されております。
現在、現在の状況でいうと、現在の精華町と私ども防衛省が、これ確認書という形ではないですが、その認識というのは一致しているという状況の中で、これは契約的な意味合いを持つものではないということが、もうこれは当事者同士では、今の当事者同士ではそこがもうお互いに合意はできているということからすると、これから私どもが説明を尽くしていくとすれば、精華町に対しては様々な形でこれ適切に情報提供を行っていくと、それに尽きるというふうに思っております。
○山添拓君 そうはいっても、六〇年ですから日米安保改定のときですよ。この当時大運動があって、こうした合意文書が結ばれた、それ自体は重いことですよね。大臣、その点は認識示していただけませんか。
○委員長(小野田紀美君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○国務大臣(木原稔君) 一九六〇年、昭和三十五年に一旦はこれは確認書という形で、これは確認が取れたものでありますから、それは、今時代が変わったとはいえ、その当時のことは、そこはしっかりと、もう今も私どもも行政文書として保存させていただきながら、当時のことは当時のこととしてしっかりと認識をしていかなきゃいけないと思っております。
○山添拓君 町と議会と住民が必死に行動して作り上げた確認書ですから、これを簡単にほごにして、まともな説明もなく、危険な弾薬庫の新増設に走るというのは私は許されないと思います。
そのことを指摘して、質問を終わります。