山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

自衛隊の民間空港・港湾利用 「なし崩しの優先利用になりかねない」

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日話に出ております次期戦闘機輸出の閣議決定については断固抗議したいと思います。大臣、先ほど、筋の通った立場ということをお話しだったんですが、筋を通すというなら、国際紛争を助長しない、武器輸出は行わないと、こういう立場でこそ貫くべきだと思いますが、今日は、この問題は後日に譲りまして、別のテーマで質問いたします。
安保三文書に基づき、空港、港湾の軍事利用が進められようとしています。自衛隊や海上保安庁が平時から民間の空港、港湾を利用しやすくするため、特定利用空港・港湾を指定し、優先的に整備費用を付ける枠組みです。
国交省に伺います。
昨年十二月の関係閣僚会議で、予算額は年度末に示すとしていました。幾らになったでしょうか。

○国土交通省 大臣官房公文書監理官(英浩道君) お答え申し上げます。
総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備に係る特定利用空港・港湾の来年度の予算額につきましては、今御指摘もありましたように、昨年末の関係閣僚会議において、円滑な利用に資する枠組みをインフラ管理者と確認する必要があること、また、他の公共事業と同様に、実施計画の取りまとめ、いわゆる箇所付けを行う必要があることから、他の公共事業と併せて示すこととされております。
現在もインフラ管理者との調整が続いており、また、公共事業につきましては、予算の成立後、財政法の規定に従い、国土交通大臣が実施計画を策定した後、財務大臣がこれを承認した上で、個別の事業箇所ごとの配分額、いわゆる箇所付けが決定されることになっております。したがって、現時点では予算額をお示しできないということを御理解いただきたいと思います。

○山添拓君 いや、年度末に示すと政府が書かれていたんですよ。で、もう、今、年度末ですから、予算審議にならないじゃありませんか。いつ示すんですか。

○政府参考人(英浩道君) 公共事業においては、予算成立後に、財政法の規定に従いまして、実施計画を策定して財務大臣の承認と、それで個別の箇所の配分を決めるということになっておりますので、そのルールでやりたいというふうに考えております。

○山添拓君 いや、年度末に示すというのは政府の文書で書いているんですよ、関係閣僚会議で確認しているんですよ。じゃ、そうしたら初めから、年度を越えないと箇所付け決まらないけれども、これ、じゃ、うそついていたってことですか。

○政府参考人(英浩道君) 年度末という意味でございますが、これはその令和六年度の予算成立後に財政法の規定にのっとってやるという意味で認識をしております。

○山添拓君 それならそう書くべきだと今お隣からも声が上がりました。そのとおりだと思います。
資料をお配りしています。
例えば高知県では、高知港、須崎港、宿毛湾港を対象に、昨年十月以降、国からの申入れで協議が行われ、円滑な利用に関する確認事項と題する文書が交わされています。その第二項は、国民の生命、財産を守る上で緊急性が高い場合又は艦船の航行の安全を確保する上で緊急性が高い場合、括弧、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く、であって、当該港湾施設を利用する合理的な理由があると認められるとき、自衛隊、海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努めるとあります。
緊急性が高い場合とはいかなる場合のことでしょうか。

○防衛省 大臣官房審議官(米山栄一君) お答えいたします。
今般の取組におきましては、関係省庁とインフラ管理者との間で、自衛隊や海上保安庁が平素から訓練などで円滑に利用できるよう、円滑な利用に関する枠組みを設けることとしております。
当該枠組みでは、緊急性が高い場合といたしまして、国民の生命、財産を守るため、例えば、弾道ミサイル対処や災害時における救援部隊の派遣が必要な場合でありますとか、船舶、航空機に不測事態が発生し安全を確保する必要がある場合を想定してございます。こうした場合に、自衛隊、海上保安庁とインフラ管理者は、民生利用に配慮しつつ、緊密に連携しながら、自衛隊、海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努めることを確認することとしております。
その上で、緊急性が高い場合に該当するかの判断につきましては、関係省庁とインフラ管理者が緊密に連携した上で行うべきものと認識してございます。

○山添拓君 今、緊密に連携してとおっしゃるんですけれども、今挙げられていたような緊急性が高い場合に当たるかどうか、あるいはそのために合理的な理由があるかどうかというのは、港湾管理者にとっては判断が付かないと思うんですね。結局、自衛隊や海上保安庁が必要だと言いさえすれば使わせろと、こういうことになりかねないんじゃありませんか。

○政府参考人(米山栄一君) 緊急性が高い場合に該当するかの判断につきましては、個別具体的な状況に即して関係者が緊密に連携した上で判断するということでございます。
そして、この円滑な利用に関する枠組みでございますけれども、これは、何かその自衛隊、海上保安庁の優先利用を前提としたものではございません。既存の法令に基づき、あくまで関係者間で連携し、柔軟かつ迅速な施設の利用に関して調整するための枠組みでございます。

○山添拓君 それでも緊急性があると言われれば認めざるを得ないのではないかということは懸念されると思います。
資料の二を御覧ください。
内閣官房が発表しているQアンドAですが、まず、下の方、十三、こんな問答があります。民間の空港、港湾で、様々な団体の反対があり、なかなか自衛隊がアクセスできない状況があるといった報道もありますが、実際にどのような事例があるのですか。これへの答え。空港については、これまで災害派遣や防災訓練等でしか利用できていないものや、利用を断られた事例があるほか、港湾についても、入港に必要な調整を円滑に行うことができず、入港を断念した事例がありますと。
大臣に伺いますが、施設管理者が管理権に基づいて空港の利用や入港を断る、そのこと自体に何か問題があるんですか。

○防衛大臣(木原稔君) これまで、自衛隊が民間空港、港湾の利用を断られた事例は、それぞれ空港においても港湾についてもあるということはこのQアンドAに書いてあるとおりですが、自治体との関係もあって、それぞれが、具体的な事例、その原因というのをお示しすることはできませんけれども、実際に断られた事例というのはこのようにあるということだけ申し上げておきます。

○山添拓君 いや、私が伺っているのは、それは管理権に基づいていますから、断ること自体に何か法的に問題があるわけではないかと思うんです。いかがですか。

○国務大臣(木原稔君) 基本的には、その御指摘の点で問題があるとは思っておりませんが、我々としては、利用させていただきたいと、災害派遣等含めて、ここはもう緊急性を要するもので使いたいということは常々申し上げているところです。

○山添拓君 いや、災害派遣とかなら全然別の場合だと思うんですよ。
QアンドAでこのように書かれているということは、つまり、今度の特定利用空港・港湾の仕組みは、これまでなら管理者が断っていたような事例でも自衛隊や海上保安庁が使えるようにすると、こういう狙いのものなんでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) 緊急性が高い場合に該当するかの判断によると思うんですが、それはまさしく個別具体的な状況に即するということになります。関係省庁とインフラ管理者が連携した上で行うべきというふうに認識しております。

○山添拓君 やはり、これは、なし崩しに自衛隊や海上保安庁が優先的に使えるようなことになりかねないと思います。
今大臣からもあったように、実際に断られた事例というのを集積されているようですから、是非委員会にも提出いただきたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 資料二のQの八の方を御覧ください。
これは、どんな訓練を行うのかについて、自衛隊の輸送機による迅速な国民保護のための訓練、自衛隊の輸送艦などによる国民保護のための避難のための訓練を挙げています。自衛隊法上の国民保護派遣の訓練という趣旨かと思います。
一方、今月十二日に参議院予算委員会の公聴会で公述をした元陸上総隊司令官の高田克樹氏はこういうふうに述べています。
自衛隊の護衛艦なんかに住民を乗せて移動し、国民保護をやりますと、これは、国際法規上は軍艦ですから攻撃の対象になります、これは住民乗っけているから撃たないでくれと言っても、それは通りません、総務省が出しております国民保護のマーク、丸地に三角のマークがありますけれども、あれは万能かというと、実は護衛艦に付けるとこれまた国際法違反になるんですね、戦艦に国民保護のマークを付けること自体、これはジュネーブ条約違反になりますと述べています。
防衛省、事実でしょうか。

○政府参考人(米山栄一君) お答え申し上げます。
防衛省・自衛隊が活動するに当たっては、国際法を遵守すること、これは当然でございます。
これまでも政府として答弁させてきていただいてございますけれども、軍事組織が住民の避難誘導等に当たるとしても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護することを目的としたものであることを踏まえますると、このような活動が直ちに国際人道法に反しているとは言えないというふうに考えてございます。
その上で、武力攻撃より十分先立って住民の迅速な避難を実施することが何より重要であると我々考えてございますので、政府全体として官民の輸送手段の確保などに取り組んでまいります。

○山添拓君 ちょっと理解ができないですね。
仮に有事となったら住民の避難に自衛隊の輸送機や輸送艦は利用できないと元自衛官が国会の公述人として述べられたんですね。これは国際法上当然の指摘だと思いますし、防衛省・自衛隊も十分認識されているかと思います。しかし、今違うことをおっしゃった。
にもかかわらず、自治体や住民に対しては、有事における避難を自衛隊が行うんだと、そのための訓練が必要だといって、平時からこうした軍事利用というのを本当に進めていくのでしょうか。実際に有事になったら使えないと元陸上自衛隊にいた方が国会で述べていることなんですけどね。
大臣、進めるんですか。

○国務大臣(木原稔君) 軍事組織が住民の避難誘導等に当たるとしましても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護することを目的としたものであることを踏まえると、これは直ちには、いわゆるそのジュネーブ諸条約等国際条約に違反する、あるいは国際人道法に違反しているとは言えないというふうに考えます。
ですので、武力攻撃は、当然、武力攻撃、いわゆる武力攻撃を受けた場合には武力攻撃事態を認定するわけですが、それに先立って、十分先立って住民の迅速な避難を実施する、これが何よりもやっぱり重要であるところでありまして、政府全体として官民の輸送手段の確保などはこれ事前に取り組んでおく必要があるというふうに考えます。

○山添拓君 じゃ、もう一度戻りますと、住民乗っけているから撃たないでくれと言っても、それは通りませんというのが公述人の発言だったわけです。
私は、有事を見据えて平時から訓練を行うということは、いざ有事となれば標的になり得るリスクを高めることになりかねないということも考えます。大臣、この点はいかがですか。

○政府参考人(米山栄一君) 国民保護のために使用される自衛隊の輸送力、これでございますが、こちらが、そのジュネーブ諸条約追加議定書五十二条二に軍事目標の規定がございますけれども、この軍事目標に当たるのかという点についてでございますが、実際に武力紛争が生じた場合におきまして、その時点における状況等で判断する必要があるものと考えてございますので、一概に軍事目標に当たるかどうかにつきましてはお答えできないものだというふうに認識してございます。

○山添拓君 つまり、一概に言えないということは、目標に当たり得るということですよ。そうしたリスクが果たして語られているのかというと、そうではないと思います。高知県を含めて、来年度から整備を進めるために年度内に合意をと、こう迫る動きがあります。結論ありきで進めるべきではありません。
自治体はもちろんですが、住民に対しても適切な説明の場を設けるよう求めまして、質問を終わります。

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