2024年・第213通常国会
- 2024年4月17日
- 国民生活経済地方調査会
最低限の義務基準を バリアフリー法に参考人 障がい者・ユニバーサルデザイン・地域交通への対応をテーマに参考人質疑
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参考人の皆さん、今日はありがとうございました。
まず、伊藤参考人に伺いたいと思います。
昨日から衆議院の補欠選挙が始まっています。障害者権利条約二十九条は、障害者の政治的、公的活動への完全な参加を保障するために、締約国に対して投票や立候補、意思の自由な表明のための設備や援助の充実を求めています。
ところが、日本の公選法は、この条約の批准を受けた改正というのはされていないかと思います。十分されているわけではありません。そして、公選法上、紙に書いたり、ファクスを送ったり、メールを送ったりして投票依頼をすることは禁じられていますので、障害者が選挙に参加をする権利を不当に制限していると、こういう指摘もあるかと思います。
選挙運動や政治参加に関わる聴覚障害者の情報格差、また情報保障に関して御意見を伺いたいと思います。
○参考人 特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスター理事長(伊藤芳浩君)(手話通訳) 御質問ありがとうございます。
確かに選挙のときに手話通訳を、政見放送の場合には、手話通訳付きでの政見放送というのはそれぞれの党に委ねられている状況だと思います。ですので、必ずしも手話通訳を付けなければならないということはなっていないので、それぞれの党によっては手話通訳が付いていないという例もまだまだあります。
また、聴覚障害者自身が立候補をしたという場合には、その選挙活動をする際の手話通訳を付けるとなった際にも、運動員としてというように見られるということがありますので、その辺りもちょっと曖昧なところ、微妙なところではあると思いますので、純粋な意味での情報保障、手話通訳を付けているというところはまだまだはっきりとしていない状況だと思います。なので、聴覚障害者自身が立候補をして手話通訳を自由に付けるということがなかなかできない現状です。
そのために、まだ国会議員の中に聴覚障害者はいないという現状ですので、これからの聴覚障害者当事者が立候補しやすいための情報保障ということについても整備が必要だなと考えています。
今参議院の中に手話通訳を付けるというのがまだまだないという状況もありますので、それについても、これから政治に参画していくために、議会の状況も手話通訳付きで情報保障を付けていただくと、聴覚障害者が政治の状況を十分に把握して参加しやすくなるという状況もあるので、その辺りも積極的に進めていただけたらと思います。
以上です。
○山添拓君 ありがとうございます。
是非それは参議院としても受け止めて進めたいと思います。
次に、佐藤参考人に伺います。
参考人のお話にもあったように、三十年前とは様変わりした場面が本当に多々あるかと思います。私たち抜きに私たちのことを決めないでというその合い言葉と、それに基づく運動には心から敬意を表したいと思います。
一方、障害者権利委員会が二〇二二年の九月に行った日本の進捗状況の審査では、ここでは条約が目指している社会とは程遠いそういう現実についての指摘もあったかと思います。特に大きいところでは、日本の障害者政策が障害者を人権の主体として捉えず、恩恵的に保護するという、そういう考えに立っているという指摘をしています。これは厳しいものだと思うんです。
この点について御意見を伺いたいと思います。
○参考人 DPI日本会議事務局長(佐藤聡君) ありがとうございます。
障害者権利条約を批准して、二〇二二年の八月に日本で一回目の建設的対話、権利委員による審査があったわけですけれども、その後、十月に総括所見という勧告が出されまして、これはちゃんといい取組をしているという、その肯定的側面も褒めてくれるんですね。十七の法制度、ちゃんと日本は整えたということですごく評価されています。
一方で、その勧告は九十三ぐらいあります。一条から三十三条までありまして、たくさんの改善点を指摘されるんですけれども、特に、日本の場合、緊急にやるべきことというのを二点指摘されました。それは脱施設とインクルーシブ教育です。
障害者、施設収容、施設の中で生活するんじゃなくて、地域の中で必要な支援を得て生活する、そういう方向に今世界はなってきていて、是非日本もそういう方向にもっと進めなさいということと。
教育、分離教育、私も子供のときに普通の学校に入れてもらえなかったということがありましたけれども、日本はインクルーシブ教育システムというふうに呼んでいるんですが、実際のところは権利条約の言うインクルーシブ教育ではないんですね。分離をしています。これは、もちろん、障害者がいろんな機会を得られない、共に学ぶ機会を得られないということもあるんですけれども、一方で、健常者が全く障害者に触れ合わずに育ってしまっているということが大きな問題だと思います。
私は、いろいろバリアフリーのことをやっていて思うのは、あっ、この人、やっぱり障害者に出会ったことがないから、余り考えが浮かばないんだろうなと思うことがあります。例えば、普通に学校に例えば車椅子の生徒がいて、それで、友達で車椅子の人がいる人は、もし大人になってお店をオープンするとしたらその友達入れるように造りますよね、絶対。絶対考えると思うんですよ、それは、まずね、頭よぎると思う。でも、それは、やっぱり日本は分けていることで、そうやっていろんな障害者に出会わずにいたから考えられないんだと思うんですね。
ですから、やっぱりそれが、いろんな政策がうまくいかない、進まない根本的な原因は分離教育をしていること。やっぱり一緒に、世の中はいろんな人がいるから、それは一緒にやっぱり育っていく、その中で、あっ、こういうふうにしたらこの人は同じように参加できる、あっ、ここはほっておいても大丈夫だなということをやっぱり学んでいく、そういうことが日本はこれから大事なことだと思います。
○山添拓君 ありがとうございました。
次に、中川参考人に伺います。
地方鉄道の現状について、公共サービスとしての位置付け、そして問題は赤字以前に利便性が低いことだという視点は大変重要だと受け止めました。使い勝手が良くなれば利用者も増えて地域にメリットをもたらし、また収支も改善し得るものかと思います。
私は、昨年、パリ市の公共交通を担当する助役の方にお話を伺う機会がありました。その際、パリ市の公共交通の無料化、例えば十八歳未満を無料にするというアイデアがあるということだったんですね。また、以前、私、富山でホテルに泊まった際に路面電車の割引券をもらったことがありました。大変便利で、わざわざ乗りに行きました。
ですから、鉄道に利用者を誘導していく、交通政策としても、そういう在り方つくっていく上で、運賃の無料化やその引下げ、こういうアイデアについて御意見を伺いたいと思います。
○参考人 京都大学名誉教授・富山大学特別研究教授(中川大君) 例えば、料金を無料化をしている都市というのは海外でも幾つかありまして、やはり、それもやはり公共サービスの一環として行っているということですので、それぞれの自治体の政策としてあり得る政策だというふうに思います。
日本では、幾つか、例えば、日を定めてこの日は無料にしますというようなことを幾つかの都市で実験をしたりしておられまして、そのときに、やはり初めて公共交通を利用したんだけれども、乗ってみると利用価値があるねということを再認識してもらったりということで、実験的にやっておられるようなことなどもあるというふうに思います。
いずれにしても、公共交通をその公共サービスだとみなせば、その公共サービスの水準をどの程度に決めるのかというのはその自治体なり運営者の方の、多くの場合自治体ですね、自治体の方の裁量に委ねられるものなのかなというふうに思いますので、例えば、子供の医療費を無料にしている自治体があったり、高校の授業料を無料にしている自治体があったりしますので、それと同じような発想で、うちの自治体は公共交通を優遇するという、そういうような考え方があってもいいかなというふうに思いますので、まずは公共サービスだということを考えるということなのかなというふうに思います。
富山の割引券は今もやっておりますので、是非また来られればと思います。
○山添拓君 また使いたいと思います。
ありがとうございました。終わります。