2024年・第213通常国会
- 2024年7月30日
- 外交防衛員会(閉会中審査)
米軍性犯罪の隠ぺい追及 政府、通報手続き無視 “問題ない”外相開き直り
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
防衛省で相次ぐ不祥事は、安保三文書に基づく大軍拡と軌を一にして生じ、また発覚をしています。その下での日米2プラス2です。米軍と自衛隊の指揮統制の一体化をいよいよ本格するものであり、看過できません。これは別途集中審議を求めたいと思います。
その上で、今日は一点のみ質問をいたします。
併せて行われた拡大抑止に関する初めての日米閣僚会合は、米軍の核の傘、核兵器を含む抑止力強化を強調し、核戦力を強化する中国などを名指しした上で、米国の核政策や核態勢について閣僚級の議論を続けることを確認しました。
外務大臣に伺います。
いざというときには核兵器を使うという発信を日米で強化するものです。これは、岸田首相が言う核のない世界とどう整合するのですか。
○外務大臣(上川陽子君) 現実に核兵器などの日本に対します安全保障上の脅威が存在する中にありまして、こうした脅威に対応するためには、米国が提供する核を含む拡大抑止が不可欠であります。
本年四月の日米首脳会談や、また二十八日の拡大抑止に関する日米閣僚会合でも、日米両国は核を含むあらゆる能力による米国の拡大抑止の強化、継続の重要性を確認したところであります。
国民の生命、財産を守り抜くため、現実を直視し、我が国の安全保障にとって不可欠である米国の拡大抑止を含め、国の安全保障を確保しつつ、同時に核兵器のない世界という目標に向かって努力していくということは決して矛盾するものではなく、共に取り組んでまいります。
○山添拓君 これは明らかな矛盾だと思います。
現実にと言いながら、核抑止にしがみついていては核廃絶、核軍縮には進まないですよ。その証拠に、共同発表には核軍縮は一言も言及がないんですね。核兵器禁止条約もNPT、核不拡散条約もありません。そして、核保有国を名指しにし、核対核の競争を公然と掲げるのは、明らかに核軍縮へは逆行するものだと言わなければなりません。広島、長崎の八月を前に、核を使う前提で日米が関係強化を約束する、これは言語道断だと指摘をしたいと思います。
この議論は追って、重ねてこの委員会も含めて議論させていただきたいと思います。
その2プラス2で、外務大臣は、沖縄での相次ぐ米兵性暴力事件について遺憾の意を伝えたと、今日も答弁があったかと思います。しかし、共同発表はこれにも触れていないんですね。なぜですか。
○国務大臣(上川陽子君) 二十八日に行われました日米2プラス2の場におきましては、今般の事案につきまして、私及び木原大臣から大変遺憾である旨述べた上で、再発防止策が確実に実行され、再発防止につながるということの重要性を指摘いたしました。そして、閣僚レベルでこの件につきましてフォローをしていくということで一致したところであります。
続く共同記者会見におきまして、オースティン国防長官から、今般の事案につきまして、遺憾であり、米側の指導者としても再発防止策を講じており、日本政府及び地元の指導者と協力して問題に確実に対処していく旨述べたところでございます。
米側が発表した措置、これが確実に実行されるよう、政府として、閣僚レベルを含めまして、しっかりとフォローをしてまいります。
○山添拓君 情報共有の在り方について資料の二ページに、配っておりますが、書かれているのは同盟の戦力態勢という項目なんですね。ですから、個人の尊厳、女性の尊厳、私、余りにも軽んじていると思いますね。同盟の戦力態勢の一部としての説明でしかない。
昨年十二月の事件について大臣は、今日の議論で、遅くとも三月十一日までには把握していながら、沖縄県には伝えず、県民に知らせませんでした。
大臣、適切でなかったという認識がありますか。
○国務大臣(上川陽子君) 捜査当局におきましては、この事件の公表の判断につきまして、公益上の必要性とともに、関係者の名誉、プライバシーへの影響、捜査、公判への影響の有無、程度等を判断した上で、個別の事案ごとに、公表するか否かや、またその方法を判断しておりまして、本事案につきましても、こうした考えに基づき判断を行ったものと承知をしております。
外務省としても、今回の事案は捜査当局から非公表の事案であるとして共有を受けたところであります。そのような捜査当局における判断を踏まえ、防衛省に対しまして情報を提供することはしなかったところでございます。
その上で、本件通報手続の趣旨、目的を引き続き確保するということを大前提としつつ、刑事事件に関しましては、社会状況の変化も踏まえた対応が必要となることもございまして、その在り方につきましては不断に検討してまいりたいと考えております。
○山添拓君 いや、まず、通報制度のとおりに通報されていなかったことの検証が必要ですよね。何勝手に見直しの話に行っているんですか。まず事実関係を確認しなくちゃいけないと思うんですよ。
そして、大臣は今日朝から、この事態、深刻に受け止め、心が痛むとおっしゃっていますよ、耐え難いことだとおっしゃっていますよ。だけど、四月に首脳会談でワシントンに行かれたときに話されましたか。されていないですね。六月二十三日、慰霊の日、沖縄に行かれたとき、話されましたか。されていないですね。なぜですか。
○国務大臣(上川陽子君) 申し上げたとおり、外務省といたしましても、この今回の事案でありますが、捜査当局から非公表の事案であるとして共有を受けたところでございまして、そうした捜査当局による判断を踏まえまして、外務省の、防衛省に対しまして情報等を共有することはしなかったということでございます。
本件通報手続の趣旨、目的を引き続き確保するという、こういう前提の中で、刑事事件に関しましては、社会状況の変化を踏まえました対応、これについて在り方を不断に検討してまいりたいと考えております。
○山添拓君 もう一度伺いますけれども、今回、地元に対して適切に通報がされなかった、防衛省に対してもそうかもしれませんが、そのことが適切でなかったよという認識は今お持ちでないんですね。
○国務大臣(上川陽子君) 繰り返しでございますが、この事件でございますが、公益上の必要性とともに、関係者の名誉、プライバシーへの影響、捜査、公判への影響の有無、程度等を判断した上で、個別の事案ごとに、公表するか否か、これを方法も含めて判断しておりまして、こうした考え方に基づきまして本事案につきましても判断を行ったものと承知をしております。
外務省といたしましても、捜査当局からのこの非公表の事案であるとして共有を受けたところでございまして、そうした判断を踏まえた上で、防衛省に対しまして、あるいは情報を提供することはしなかったというものでございます。(発言する者あり)
○委員長(小野田紀美君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(小野田紀美君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(上川陽子君) 今般の事案のように、また被害者のプライバシーに関わるような事案につきましては、慎重な対応が求められているものと考えているところでございます。外務省におきまして、日本側の捜査当局からの情報を踏まえて日米間で適切にやり取りを行い、日本側関係当局による迅速な対応が確保されていたとの実態を踏まえますと、問題があったとは考えておりません。
その上で、これ以上のことについては外交上のやり取りということで、お答えについては差し控えさせていただきたいと存じます。
○山添拓君 いや、問題があったとは考えていないというのは、これはひどい答弁だと思います。むしろ隠蔽に加担してきたというべきだと思うんですね。
警察庁に伺います。
過去十年、在日米軍人軍属による性暴力事件の検挙件数、検挙事案が発生した都道府県の数、またそれぞれの県警から自治体への情報提供の有無について御説明ください。
○警察庁 長官官房審議官(親家和仁君) 警察庁でまとめている犯罪統計で見ますと、平成二十六年から令和五年までの十年間における米軍人軍属による性犯罪の検挙件数は三十九件でありまして、その内訳は、不同意性交等、これは刑法改正前の強姦や強制性交等を含みますが、これが二十四件、不同意わいせつ、これは刑法改正前の強制わいせつを含みますが、これが十五件となっております。
これらの事件を検挙したのは十都県警察でありまして、その内訳は、青森、岩手、警視庁、埼玉、神奈川、広島、山口、福岡、長崎、沖縄となっております。
今申し上げました十都県警察において検挙した米軍関係者による性犯罪三十九件について警察から知事部局に情報共有が図られたか否かについては、網羅的には確認できなかったところでございますが、少なくとも沖縄県警察が検挙した三件については、事件検挙時に報道発表が行われておりますので、知事部局に対し情報提供がなされているものと承知しております。
○山添拓君 他の県についても、どのように情報共有がされたか、調査の上、委員会に報告を求めたいと思います。
○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 九七年三月の日米合同委員会合意に基づく通報制度では、中央ルートとして米側から外務省に、現地ルートとして米軍から地方防衛局へ通報されることになっていました。
制度に基づく通報実績を、外務省、防衛省にそれぞれ伺います。
○外務省 北米局長(有馬裕君) これまで、日米間では、在日米軍による事件、事故について、一九九七年の日米合同委員会合意に基づき、相当数について情報のやり取りを行ってきております。
例えば、昨年、二〇二三年につきましては、百件を超える事件、事故について情報のやり取りが行われ、通報制度は適切かつ意味のある形で運用されてきたと考えております。
こうした事件、事故につきましては、これまで、日本側捜査当局によって公表された事案について、確認できる全ての事案について日米間の意思疎通を通じ必要な情報のやり取りが行われ、また日本側当局の迅速な対応が確保されてきている、また地方防衛局から地元自治体に対してもしかるべく伝達してきていると考えてきております。
○防衛省 地方協力局長(田中利則君) お答え申し上げます。
米軍施設・区域内での不発弾の発見でありますとか油漏れのような事案につきましては、米側からの通報を受けまして、日本側関係当局において適切に情報提供が行われております。
また、米軍人等による犯罪につきましては、日本側捜査当局による公表がなされ、捜査当局からの情報提供を受けて現地米軍と地方防衛局との間の意思疎通を開始しており、日米間で適切な情報のやり取りがなされていると考えております。
こうした、例えば二〇二三年でございますけれども、百件以上の案件につきましてこうした情報のやり取りを行っておりまして、防衛省としましては、これらにつきまして関係自治体に対して情報提供を行っているというところでございます。
○山添拓君 ところが、今度の事件についてはなかったということでありました。
例えば、九七年五月、嘉手納基地でF15の風防ガラスが落下した事故では、その日のうちに米側から通報があり、そのことを国会でも説明されています。個々に全て説明が付くことだろうと思います。
したがって、九七年以降、米側からの毎年の通報状況について、外務省、防衛省に委員会への報告を求めます。
○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 防衛省に伺います。
犯罪というのは、刑事責任だけでなく、民事の賠償責任も生じ得ます。日米地位協定の下で、米兵の犯罪における被害者補償はどのような制度と運用になっているでしょうか。
○政府参考人(田中利則君) 例えば公務外の事案でございますけれども、この公務外の事案につきましては、賠償責任は加害者が負うということになっております。
まず、当事者間の示談により解決が図られるということが求められるところでございます。その上で、当事者間の示談が困難な場合には、日米地位協定第十八条第六項に基づきまして、被害者の請求を受けまして米国政府が慰謝料を決定し、被害者の同意を得てお支払をする制度がございます。また、慰謝料の支払に先立ちまして、慰謝料のほかに見舞金を支給することが適当と認められる場合には、防衛省から緊急見舞金を支給するということができます。
さらに、被害者側が加害米軍人などを相手に訴訟を提起した場合、この場合に訴訟により確定した損害額と米側の支払額との差額、これを防衛省におきましてSACO見舞金という形で支給をさせていただいております。
いずれにしましても、防衛省としましては、被害者や御家族の心情に配慮しながら、警察や米側と緊密に連携して適切に対応してまいりたいと考えております。
○山添拓君 防衛省が被害者に説明することとなっています。
十二月の事件では、いつ説明されましたか。
○政府参考人(田中利則君) 今般の事案につきましては、基本的に非公表というふうな形で捜査が継続されていたという形でございますので、そこの部分についての被害者の方に対しての接触というものは慎重になされるべきものであろうというふうに考えております。
私どもとしては、この案件につきまして承知をいたしましたのは、先般来答弁しておりますとおり、六月になってからということでございます。
○山添拓君 まだ説明に至っていないという意味ですか。
○政府参考人(田中利則君) 済みません、被害者の方へどのような説明をしているのかということについては、申し訳ございません、現在掌握をしておりませんので、確認をさせていただきます。
○山添拓君 少なくとも防衛省が事件を把握したのは、報道があった六月二十五日だとされています。
被害者への補償、その説明という点で政府の対応が遅れたということは、これは否定できないんじゃありませんか。
○政府参考人(田中利則君) 正確な説明の日時につきましては後刻御説明をさせていただければと考えておりますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、本件につきましては非公表という形で捜査が継続していたというものでございますので、その間におきましては、被害者の方へのその接触等については慎重に判断されるべきものであるというふうに思っております。
○山添拓君 少なくとももう起訴されていますからね。裁判に移っているわけです。
米軍が再発防止策として示しているのは、勤務時間外の行動を規制するリバティー制度です。主として、外出規制と飲酒の制限です。午前一時から午前五時の行動制限です。
十二月の事件が起きたのは午後四時半です。再発防止策にならないんじゃないでしょうか。
○政府参考人(有馬裕君) 米側は再発防止策として一連の発表を行っておりまして、これらには、米軍施設出入りの際の飲酒運転検問の強化、米憲兵隊によるパトロール強化、研修、教育の強化、リバティー制度の見直し、在日米軍、日本政府、沖縄県庁及び地元住民との協力のための新しいフォーラムの創設を含む措置でございます。
先ほどの、先日行われました2プラス2におきましても、四閣僚でこの実施が重要だというところを確認したところでございます。
○山添拓君 いや、お答えいただいていないんですけど。
大体、米軍が再発防止策を検討したと言っているのは、報道で世論が沸騰した後ですよ。何の抗議も表立ってはしてこなかったと。その姿勢が米側の態度も助長したと言うべきだと思います。
米軍の犯罪というのは、基地あるがゆえの危険ですから、本来ゼロにできるものです。これほどまで繰り返し、まともに抗議もしない。これは極めて無責任です。
被害者に、沖縄県と県民に、私は、謝罪すべきだと思うんですね。そして、米側には断固抗議すべきだと思います。再発防止も、米軍任せとせずに、実効性ある対策を日本側が積極的に示すよう強く求めたいと思います。
潜水艦の修理契約の不正をめぐって、最後に防衛大臣に一言伺いたいんですけれども、過去十年、川崎重工から幾らパーティー券を買ってもらっていましたか。
○防衛大臣(木原稔君) 私の例えば個人の政治活動に関すること、あるいは私がそういう意味で過去に所属していた政策グループでの政治団体での活動、そういったことにつきましては政府の立場としてお答えすることは差し控えますが、いずれにしましても、政治資金につきましては、関係法令に従い、適切に処理し、そして公表しております。
○山添拓君 特別防衛監察を指示したのは大臣なんですね。その大臣が対象企業と癒着があるかもしれないというようでは、公正な監察は期待できないと私は思いますよ。
稲田元防衛大臣は、在任中、パー券を川崎重工を始め軍需産業にも買ってもらっていたということが明らかになっています。
今、一層の商機を見込んで政治と接近していてもおかしくないと私は思うんです。その川重で不正が発覚しております。
徹底して明らかにするよう求めて、質問を終わります。