山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第216臨時国会

オスプレイ飛行再開の容認 「米軍任せで異常」

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
法案については賛成です。
オスプレイについて伺います。
屋久島沖での墜落事故から一年がたちます。今年三月、まともな説明もなく飛行を再開した際、断固抗議を表明しましたが、その後も事故が絶えません。
まず、大臣に認識を伺いたいと思います。
前任の木原大臣は、当時、前例のないレベルで米側から説明を受け、情報提供を受け、そして事故原因は特定していると繰り返し答弁しておりました。大臣も同じ認識でしょうか。

○防衛大臣(中谷元君) 木原大臣と同様でございます。

○山添拓君 ところが、八月に米空軍が公表した事故調査報告書は、ギアボックスの故障で、歯車にひびが入り、その正確な根本原因を特定することができなかったとしているわけです。ですから、米軍も特定できなかった事故原因を木原大臣は特定できたと言っていたと、こういうことになると思うんですね。
大臣、伺いますけど、木原大臣は、形あるものは必ず壊れるんだと、こういうこともおっしゃっていたんです。これも、大臣、同じ認識でしょうか。

○防衛省 地方協力局長(田中利則君) 事故調査報告書の内容でございますので、私の方から御答弁をさせていただきます。
昨年十一月に屋久島沖で発生した米軍オスプレイの墜落事故の調査報告書によりますと、事故の原因は、左側のプロップローター・ギアボックスの不具合と操縦士の意思決定というふうにされております。
具体的に申し上げますと、左側のプロップローター・ギアボックス内のハイスピード・ピニオンギアの一つにひびが入り、破断したギアの破片が他のギアの間に挟まり、サンギアの歯車が摩耗し、エンジンからの動力を伝達することができない状況が生じたということでございます。
また、その過程におきまして、ギアの摩耗を知らせる各種の警告灯が表示されていたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった操縦士の意思決定、これについても事故原因の一つであるというふうにされております。
その上で、プロップローター・ギアボックス内のハイスピード・ピニオンギアの一つにひびが入ったことにつきましては、二次的な損傷により初期破損の痕跡が不明瞭になったことから、正確な根本原因を特定することはできなかったということでございます。
一方で、一連の事故の状況や原因につきましては、事故調査報告書の中で明らかになっておりまして、原因に対応した各種の安全対策の措置を講ずることにより……

○委員長(小野田紀美君) 簡潔に答弁をお願いします。

○政府参考人(田中利則君) はい。
同様の事故を予防、対応することが可能であるということでございます。
また、米側からは、この屋久島沖の事故における部品の不具合につきまして、機体自体の設計を変更するなどの必要性はなく、機体自体の……

○委員長(小野田紀美君) 防衛省、簡潔に答弁を。

○政府参考人(田中利則君) はい。
ということで、米側からは、その機体の構造上の問題ではないというふうなことを御説明を受けております。

○山添拓君 まあ、いろいろおっしゃったんですけれども、根本原因は分かっていないわけです。
十二月六日、米海軍航空システム司令部が全てのオスプレイの一時運用停止を勧告し、海兵隊、空軍、海軍、全て停止し、十日になって自衛隊も飛行を停止しました。
きっかけは、十一月二十日、ニューメキシコ州での事故とされます。これはどんな事故ですか。

○政府参考人(田中利則君) お答えを申し上げます。
今回、米軍のオスプレイにつきまして、本年十一月二十日に米国ニューメキシコ州で発生した米空軍CV22オスプレイの予防着陸を受けて、米海軍航空コマンドから全軍種に対し、飛行の一時的な見合せを推奨した旨の説明を米側から受けているところでございます。
米側に対しましては、今般の措置の発端となりました米国ニューメキシコ州における米空軍CV22オスプレイの予防着陸に係る事実関係、それから米側が実施している安全確保の内容等を含め、やり取りを行い、確認作業を進めております。
防衛省としましては、オスプレイの安全性につきまして必要な情報を発信することは重要と考えておりまして、引き続き、お伝えできる情報が得られ次第、速やかに情報提供をしていく考えでございます。

○山添拓君 どこに異常があったのか説明できないわけですか、今。

○政府参考人(田中利則君) 米側との間では様々なやり取りをさせていただいておりますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、米側との間でいろいろと確認している情報、そういったものについては、米側に確認をした上で公表できる情報については公表させていただくという、そういう手順を取っております。

○山添拓君 確認できていないのか、あるいは確認したけれども伝えたくないのかということだと思うんですね。つまり、詳細は御説明にならないけれども、予防着陸だと言って、何だか大きな事故ではないかのように表現されております。
AP通信は、屋久島の事故と類似点があったとし、離陸直後に屋久島のときと同様の警告があり、エンジンを失ったものの、機体を素早く着地させて生き残ることができた。墜落寸前と報じているものもあります。
陸上自衛隊のオスプレイについて、政府は、安全確保を優先する観点から飛行を見合わせているという説明です。要するに、陸上自衛隊は安全確保できていないわけですね。
一方、海兵隊は十一日に早くも飛行を再開しました。政府が安全を確保できないのにお構いなしです。
これ、大臣に伺います。衆議院で我が党の赤嶺議員が米側に飛行停止を求めるべきだと質問したのに対して、防衛省は、飛行停止を特段こちらから求めているところではございませんと答えました。なぜ米側に飛行停止を求めないんですか。

○国務大臣(中谷元君) この間でも米国の国防長官のオースティンと直接対談をしまして、オスプレイの安全性についてしっかりと確認をし、報告してくれと。そして、おととい、日曜日、沖縄に参りまして、ターナー四軍調整官と面会をいたしまして、オスプレイの安全性について話をいたしました。
現時点におきましては、その沖縄のオスプレイにつきましては、四十八時間のですね、あっ、九十六時間の運用上の飛行を一時的に見合わせた上で、機体の徹底的な点検を行って飛行を再開しているという説明を受けております。こうした説明のほか、技術情報も含めまして、米側とは引き続き詳細なやり取りを行いまして、米側が実施している飛行の安全確保の内容について確認作業を進めているところでございます。

○山添拓君 それでは納得されないと思いますよ。
徹底した点検でよしとされるのですか。徹底した点検でよしとされるなら、陸上自衛隊だって徹底した点検をすればいいんじゃないですか。それでも陸自は再開できないでいるわけですよね。ということは、自衛隊として安全性の確認は取れていないということじゃありませんか。そうであれば、米側に対しても、その内容を把握できるまで少なくとも飛行は止めるべきだと、こう求めるべきだと思うんですけれども、大臣は国防長官と会われたとおっしゃる、その際に飛行停止は求めなかったんですか。

○国務大臣(中谷元君) 安全の確認は求めました。
現状は、この十二月六日の事故において、沖縄の海兵隊が、九十六時間飛行を停止をし、徹底的な点検を行って飛行を再開しております。
したがって、沖縄の海兵隊においては、安全を確認した上で飛行可能という判断を下したということで、私もこの方法につきましては、ターナー調整官に直接聞きまして確認をしたところでございます。
そのほか、自衛隊につきましては、安全を重視しておりますので、現在確認中をしておりますが、米側が実施している飛行の安全確保の内容について、逐次情報収集した上で判断してまいりたいというふうに思います。

○山添拓君 いや、それは説明にならないと思いますね。安全性に確認を求めたと。やっぱり、しかし、飛行の停止を少なくとも継続せよと求めるべきだったと、今からでも求めるべきだと思います。
で、今のお話を伺っていても、結局は米側任せなんですよね。米軍はやりたい放題、停止も再開も米軍都合、これは沖縄の報道の見出しです。その姿勢は異常と言うほかないと思います。
資料をお配りしておりますが、右側です。AP通信は十一月十九日、オスプレイの何千ページもの事故調査報告書や情報公開請求で入手した飛行データを調査し、乗員や専門家へのインタビューなども踏まえて総合的な分析を報じています。
それによりますと、二〇一九年から二三年の五年間で、オスプレイの重大事故は四六%増加、乗員がエンジン火災や出力低下、失速を経験した事象が少なくとも三十五件、プロペラ関連が四十二件、トランスミッションやギアにストレスが掛かり金属片が剥ぎ取られる事象が七十二件あったとしています。
大臣はこの調査報道を御承知でしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 当然承知をしております。
ただし、安全性につきましては、せんだって私自身が沖縄に行きましてターナー調整官と面会をしまして、この海兵隊のMV22は九十六時間飛行を見合わせた、その後機体の徹底的な点検を行って飛行を再開しているという説明を受けました。
このほかにも、米側のワシントンの当局にも技術的な情報も含めて詳細にやり取りを行っておりまして、こういった情報を総合勘案しながら、陸上自衛隊につきましてはこういった飛行についての判断を下してまいりたいというふうに思っております。

○山添拓君 調査報道を御承知ということですから、ここには、海兵隊はクラスAと呼ばれる重大事故の発生率を根拠にオスプレイは安全だと主張していると。
しかし、AP通信は、オスプレイは、この五年、飛行時間が年間五万時間から三万七千時間へと著しく減少する中で重大事故が増加した、空軍オスプレイの十万飛行時間当たりの重大事故の発生率はほかの機種よりはるかに高いと、こういう指摘もしています。いかがですか。

○政府参考人(田中利則君) 御指摘の報道でございますけれども、様々なポイントについて御指摘がなされているというふうに承知しております。
他方、防衛省としましては、オスプレイの安全性につきましては、これまでも累次の機会に確認をさせていただいております。
加えて、一般論でございますけれども、航空機について事故の発生に関係するような部品の不具合等が判明した場合には、製造企業や、米国の政府のプログラムオフィスから不具合等について連絡が来るわけですが、現時点においてそのような連絡はないという、そういう状況でございます。

○山添拓君 様々な報道がありますと言っておいて、住民を巻き込むような重大な事故が起きたらどうするんですか。
AP通信の報道を受けて、マサチューセッツ州選出の連邦議員三人が十一月末、オスプレイの欠陥が完全に解明されるまで運用を再開されるべきではないとして、運用停止を求める書簡をオースティン国防長官宛てに提出しました。
屋久島沖の墜落事故について二つの報告書があるとここでは指摘しています。一つは、事故調査委員会、AIBによる報告書、公開されています。もう一つは、安全調査委員会、SIBの報告書で、非公開。で、こちらには将来の安全性について対処するための勧告が書かれているといいます。そして、連邦議員らは非公開の報告書を開示するように求めています。
大臣は二つの報告書があるということを御承知でしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 防衛省としては米側にいろいろ事実を確認をいたしておりますけれども、一つの、先ほどの例にいきますと、米側からは、プロップローターギアのボックスの不具合については機体自体の設計を変更するなどの必要性はなく、機体自体の安全性にも問題はなく、また、飛行の安全に関わる構造上の欠陥がないということに変わりがない旨の説明を受けておりまして、防衛省としては米側の説明は妥当なものだと考えております。

○山添拓君 報告書が二つあることについては御答弁ありませんでした。
連邦議員らの書簡は、議会と情報を共有しないことは、議会の監視能力を損ない、将来の事故や不測の事態から軍人を守るための議会の能力を損なうと警告しています。これは日本の議会にとっても同じです。
米国政府に報告書の開示を求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(田中利則君) 御指摘の米連邦議会の議員が国防長官を宛先として送った書簡でございますけれども、日本側、防衛省として見解を述べる立場にはないと考えております。
その上で、オスプレイの安全性につきましては、先ほど来申し上げているとおり、累次の機会に確認をしておりますし、また米側からその部品の不具合等に関する連絡というのもないと、そういう状況でございます。

○委員長(小野田紀美君) 山添君、時間が過ぎました。

○山添拓君 米側が非公開としている報告書について、当委員会への開示を求めたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 危険なオスプレイは自衛隊も米軍も全機撤去すべきだという点を重ねて強調しまして、質疑を終わります。

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