2025年・第217通常国会
- 2025年4月10日
- 外交防衛委員会
ミャンマー大地震 軍政による支援妨害、空爆を批判/農産物市場開放 食料主権売り渡す 卑屈な外交姿勢批判/「緊急事態 日本は最前線」米国防長官発言是認の防衛相を批判 「憲法の制約考慮していない」
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
ミャンマー中部を震源とする大地震から二週間。犠牲者は三千六百人を超えたといいます。
先日、超党派、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟で、国軍に抵抗する民主派のNUG、挙国一致政府の方から状況を伺いました。震源に近いザガインは民主派の支配地域で、町の八〇%がダメージを受けたといいます。ところが、このザガインに入る道に国軍が検問を設け、ボランティアも厳しく検査をし、例えば重機などは民主派の抵抗に役立つからという理由で入れるのを認めないといいます。遺体の回収を軍が制限して作業ができず、四十度近い猛暑の中、悪臭を放ち始めているという話も伺いました。お配りしている記事にもそのような記載があります。
外務省はこうした状況を把握しているでしょうか。
○外務省 アジア大洋州局審議官(大河内昭博君) お答え申し上げます。
ミャンマー国軍が支援物資の搬入を妨害するケース、これが報道されているということは承知してございますし、また憂慮してございます。
日本を含む国際社会が引き続き円滑に人道支援を実施していくためには、安全で阻害されない人道アクセスの確保と全ての関係者による停戦の履行継続が重要だと考えてございますので、日本政府といたしましても、今般、ミャンマーの人々に直接裨益する人道支援を行うに先立ちまして、ミャンマー当局に改めて暴力の停止等を求めた次第でございます。
○山添拓君 UNHCRによれば、この地域は、クーデタ後、戦闘から逃れてきた国内避難民が最も多く、百五十五万人に上るといいます。今、再び避難を余儀なくされているわけです。
被災地には国軍支配下の地域も民主派の支配下の地域もあり、いずれも支援が必要であることは言うまでもありません。しかし、軍政経由だけでは支援が行き届かない、そういう可能性があります。国際機関の活動も軍政の許可が必要です。
したがって、迅速に動くことができる民間の支援団体も含めた連携が欠かせないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(大河内昭博君) 御指摘の点に関しましては、もっともかと思ってございます。
日本政府自身の支援に関しましては、どのような地域を対象に支援を行っているのか、これら一つ一つ具体的にお答えすることは差し控えてございますけれども、いずれにせよ、日本政府として、日本の良き友人であるミャンマーの方々と共にあると、こういう観点から、引き続き、被災された方々に直接裨益する人道支援、これを実施していきたいと、こういうふうに考えてございます。
○山添拓君 政府が表明した六百万ドルの緊急無償協力ですが、どこを通じて行うのかということはまだ決まっていないと伺います。直接支援を必要としている方々に届くような支援を是非迅速に進めていただきたいと思います。
私は、こうした中、地震発生後も国軍による空爆が九十回以上にわたると、これも報じられております。被災した自国民を軍が狙うというのは、これは到底許されないことです。大臣は、どのように情報を把握されているでしょうか。これは、人道支援を円滑に行う上でも、実効的な停戦、必要かと思いますが、認識を伺います。
○外務大臣(岩屋毅君) 今回の地震被害を受けて、ミャンマー国軍、それから民主派勢力の双方が時限付きの停戦を表明した、合意したというよりも、それぞれ表明したというふうに承知をしておりますが、他方で、今委員御指摘のように、停戦表明後もミャンマー国軍による空爆があったとの情報もございまして、そのような状況を極めて深刻に懸念をしているところでございます。
我々日本政府は、これまで、ミャンマー国軍に対しては、暴力の停止、被拘束者の解放、民主的な政治体制の早期回復について具体的な対応を取るように求めてまいりました。今般、ミャンマーの人々が直接裨益する人道支援を行う、これが我が方の目的ですけれども、ミャンマー当局に改めてこの空爆を含む暴力の停止を求めているところでございます。
今後とも、事態の改善に向けて、全ての関係者による真摯な対話につながるように促していきたいと考えております。
○山添拓君 国連は、四日、全ての軍事行動を停止するべきだと非難をしました。今大臣からもありましたが、日本政府としても停戦を確実にするように厳しく求めていただきたいと思います。
トランプ関税について伺います。
今日も議論がありますが、上乗せ分の九十日間停止について、対日交渉を担当するというベッセント財務長官は、私たちはトランプ大統領が実施した交渉戦略の成功を目にしたと述べています。したがって、交渉と称して、実質は揺さぶりだということを認めるような発言だと思うんですね。で、その交渉の列の先頭に日本がいると述べているわけです。
これも議論がありましたが、一方、米国通商代表部、USTRのグリア代表が上院公聴会で、日本の農産品市場への市場アクセスをもっともっと増やしたいと、こう述べたといいます。
外務大臣に伺いますが、今後日本が行っていくという交渉は、米側のこうした要求にどう応えるかという、譲歩の交渉なんでしょうか。あくまで乱暴な措置の撤回を求めていくのが筋ではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(岩屋毅君) 今般の米側の関税措置については、日本政府、私どもは一貫して、受け入れ難いと、撤回されたしということを申し上げてきたところでございます。
したがいまして、これから始まる日米間の交渉ですけれども、何か私どもが一方的な譲歩をするというようなことではなくて、私どもの考え方あるいは提案というものをしっかりさせていただいた上で、米側との間で真摯な協議を行っていきたいと考えておるところでございまして、一方的に我が方が譲歩するというようなことは考えておりません。
○山添拓君 当然だと思うんです。農産品の問題は、既に、オレンジも、牛肉も、米も、譲歩を重ねてきたわけです。米の輸入自由化というような話もありましたけれども、自民党の皆さんが一番びっくりされたぐらいに、これはやっぱりとんでもない話だと思うんですね。これは農業壊れてしまいますよ。食料主権を売り渡してしまうようなものだと思います。
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
大臣は、おとといの質疑で、私も質問させていただきまして、その際、言いたいことは山ほどあるけれども、これから交渉なので意を酌んでほしいと、こういう答弁をされたんですが、その間に米側は迷走もしつつどんどんエスカレートしていると思うんですね。ですから、必要な批判というのは遠慮せず行うべきだと思うんですよ。言いにくいかもしれませんが、いかがですか。
○国務大臣(岩屋毅君) 日本政府の考えというのは、しっかり私は届いているというふうに考えております。もちろん国内の様々なマーケットの反応だとか国民の反応だとか世界各国の反応だとか、もちろんそういうものを米側の政権も常にいろいろ総合的に勘案しながら政策を決めておられるんだろうと思います。断定的に何が理由でそういうことになったのかということを我が方から申し上げることはいたしませんけれども、私どもの考え方は常時これまでも伝えてまいりましたし、それは届いているというふうに考えております。
○山添拓君 届いていたら本当にこんなことになっていたかというのは、私は疑問です。
税率の算定方法についての批判も今日も議論になっておりますが、そもそも貿易赤字額として言われていること自体に疑問が出されております、物の貿易だけが考慮されてサービス分野は無視と。米国は、製造業で赤字でもデジタルなどサービス分野で黒字になり、トータルで見ると赤字額が縮小するわけですが、それらは無視をされています。その数字が関税率の基になっていると。現時点でこうした計算方式というのは不合理だということを政府は伝えているんでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 外交上のやり取りですから、ディテールについて申し上げることは避けたいと思いますが、ファクトとして、今委員が御指摘になったように、デジタル赤字というものは我が方はかなりのものがあると思います。GAFAMというのは、そういう意味では世界中からデジタル黒字を生み出しているということだろうと思いますが、米側は今のところ物品だけに着目して様々な政策を打ち出してきているわけでございますが、そういったことも含めて日米間の交渉の中でしっかり議論をしていかなければいけないと考えております。
○山添拓君 福山委員からも指摘がありましたように、私はこれは国際的にも協調して迫っていく必要があるだろうと思いますし、根拠のない税率を前提にして、何を差し出せば納得されるかと、そういう卑屈な態度で臨むべきではないと思うんですね。この問題、事態の進展がありますので、引き続き伺っていきたいと思います。
テーマを次へ進めます。
三月三十日、中谷大臣とヘグセス国防長官の会談で日米の司令部機能強化に向けて指揮統制枠組みの向上を改めて確認しました。在日米軍の統合軍司令部へのアップグレードを開始するとし、自衛隊の統合作戦司令部との連携を専門に扱う部署を新設する、赤坂プレスセンターを拠点とするとしました。
どのような人員が何人配置され、いかなる任務を行うのか、防衛省にお答えいただきたいと思います。
○防衛省 防衛政策局長(大和太郎君) お答え申し上げます。
去る三月三十日の日米防衛大臣会談の共同記者会見においてヘグセス長官から発表があったとおり、自衛隊の統合作戦司令部の創設とタイミングを合わせる形で在日米軍は統合軍司令部へのアップグレードを開始いたしました。
具体的には、自衛隊と米軍の運用面での協力をより一層強化するため、在日米軍に新たに自衛隊の統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う部署が設置されました。新設された当該部署の人員及び市ケ谷を直接訪問して防衛省・自衛隊と調整することが多い在日米軍の要員の一部は赤坂プレスセンターのサテライトオフィスを拠点とし、日常的に防衛省・自衛隊のカウンターパートと連絡調整を行う予定であります。
この動きに伴って大幅な人員の増が発生するわけではないという説明を米側から受けているところであります。
○山添拓君 大幅に増えるわけではないけれども、何人ぐらい増えるんですか。
○政府参考人(大和太郎君) 繰り返しになって恐縮ですが、具体的な人数についてお答えすることは差し控えたいと思います。
いずれにせよ、大幅な人員の増はないという説明を受けているところであります。
○山添拓君 全く説明になっていないと思いますね。
私は、三月二十四日の当委員会で、赤坂プレスセンターというのは港区や東京都が返還を求めている基地だと。ですから、そのことを米側に伝えるようにと求めました。
大臣、伝えなかったんでしょうか。
○防衛大臣(中谷元君) この話は、日米防衛首脳会談の席上、アップグレードを行うということで米側から話がありました。
今回は、この在日米軍の統合軍司令部のアップグレードの開始を受けまして、東京都、そして港区などの関係自治体に対して説明を行いました。その際、赤坂プレスセンターは、米軍にとって、都心へのヘリコプターによる要人等の迅速な輸送を可能とするほか、都心における広報拠点などの役割を果たしている施設であることから、現時点においては返還されることは困難であるということを累次説明をいたしております。
その上で、防衛省としては、引き続き、周辺地域における影響が最小限になるように今後とも米側に働きかけを行っていくとともに、関係自治体に対しては丁寧に説明するなど、御要望もいただいておりますので、適切に対応してまいりたいと考えております。
○山添拓君 いや、そうはならないと思いますよ、だって機能を強化するんですから。最小限どころか、より多くの影響が及ぶということははっきりしていると思うんですよ。
三月三十一日に、東京都は、基地の整理、縮小、返還に取り組むよう、大臣に口頭で要請しています。資料の二枚目には、四月三日、港区と区議会の緊急要請もお付けしました。改めて、基地の恒久化につながることを強く懸念する、基地の撤去を求める、こういう文書です。東京都や港区、地元の要求は撤去なんですよね。それに逆行する機能強化を進めるおつもりでしょうか。
先ほど大臣が述べられたのは、米軍にとって都合が良いと、使い勝手が良いところだと、必要だと。米側の都合ばかりじゃありませんか。
○政府参考人(大和太郎君) 先ほど大臣からもお話ししたとおり、赤坂プレスセンターは、米軍にとって、都心へのヘリコプターによる要人等の迅速な輸送を可能とするほか、都心における広報拠点などの役割を果たしている施設であることから、現時点において返還は困難であることを累次御説明しています。
また、その上で申しますが、防衛省としては、引き続き、周辺地域に与える影響が最小限となるよう今後とも米軍に働きかけを行っていくとともに、関係自治体に対して丁寧に説明するなど、適切に対応してまいりたいと思います。
また、在日米軍のアップグレード、それから自衛隊の統合軍司令部の発足によって、日米の連携の実はこれから、これから上がっていくということを一言申し上げておきたいと思います。
○山添拓君 地元の要求に逆行する機能強化だということについては、一言も説明がありません。都も区も丁寧な情報提供を求めています。
前回、大臣は、決まった際には丁寧に説明すると述べていました。私は、決まってからでは遅いということを指摘したんですが、決められたと。ならば、例えば住民の皆さんが求めれば、説明会を開催して、こういう状況だと、そうした説明は当然されるんですね。
○国務大臣(中谷元君) ここは現時点においても在日米軍の施設として使用しております。
なお、日米間のこういった調整、指揮機能においては、今後、自衛隊の統合作戦司令部ができますので、より密接に、やっぱり日米間の調整機能というのは必要でございますので、そのためにこのセンターなるものは必要であるということでありまして、こういった内容は、こういった地元の自治体やプレスセンターの関係の地元の方にはその後説明はいたしております。
○山添拓君 だから、住民の皆さんから更に求められていますから、やっていただきたいと思います。どうですか。求めておきたいと思います。
資料の三枚目にこの間の経過について防衛省の資料お付けしましたが、このタイトル見ますと、在日米軍の統合軍司令部へのアップグレードの開始とあるんですね。そして、ヘグセス長官は、再編成の第一段階が始まったと表明しました。これ一体今後幾つの段階があるんですか。
○政府参考人(大和太郎君) 御指摘のとおり、今般、在日米軍のアップグレードが開始されまして、今回、在日米軍に自衛隊の統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う部署が設置されました。ただ、これのみをもって在日米軍が統合軍司令部にアップグレードされたこととなるわけではなく、統合軍司令部が赤坂プレスセンターに設置するものではありません。
今後のアップグレードについては、日本とアメリカの、日本とアメリカの間の作業部会等も含めて今後の、今後更に検討されていくものでありまして、また、今後も米国内での検討を経た上で段階的に進められるということであります。
今般の自衛隊の統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う部署が設置されたことを含め、今回のアップグレードが開始されたことをフェーズ1というふうに呼称しているというふうに理解をしております。今後どのようなフェーズを通じてアップグレードが進められるかということにつきましては、引き続き米国内での検討を経た上で、日本側としても日米の作業部会で議論してまいります。
○山添拓君 要するに、米軍次第です。この赤坂をどう使っていくのかということも今後の検討次第ということになろうかと思うんですね。
ヘグセス氏は、また次のようにも述べています。日本は、同盟国が西太平洋で直面するいかなる緊急事態でも最前線に立ち、相互に支援しながら共に立ち向かう。
大臣に伺いますが、自衛隊は米国の同盟国が直面するいかなる緊急事態でも最前線に立って相互に支援するんですか。
○国務大臣(中谷元君) 在日米軍の目的というのは、この極東地域の平和と安定、これを維持するために日本に駐留しているわけでありまして、やはり日本周辺の安全保障につきましては、日頃から、自衛隊と米軍、これは協議をして、あらゆる事態を想定しながら共同訓練をしたり活動しておりますので、現状につきまして非常に厳しく複雑な安全保障環境が日々強化をされておりますので、そういう点においては、ヘグセス氏が言うように先頭に立って日米が共に協力をしていくということでございます。
○山添拓君 いや、私は今の大臣の言葉では憲法の制約など全く考慮されていないと思いますね。
こうして、米国が日本と一体に緊張関係をあおって、例えば台湾海峡有事のように不安をかき立てる中で政府が作らせたのが沖縄先島諸島の五市町村から九州、山口への避難計画です。住民、観光客など約十二万人六日間で避難させる、そしてホテルや旅館に一か月滞在などというものです。
内閣官房に伺いますが、六日間掛かるということになっています。そうしますと、有事というのは少なくとも六日前には把握できるということなんでしょうか。
○内閣官房 内閣審議官(門前浩司君) 今回の先島諸島からの離島避難の検討に当たりましては、武力攻撃予測事態において、安全が確保された中で、その最大限の活用、輸送、駐機スポットなどの最大限の活用等によりまして輸送することを想定しているものでございまして、単純計算で六日間、武力攻撃予測事態下の中で六日間で輸送するということを想定しているものでございます。
○委員長(滝沢求君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。
○山添拓君 はい。
いや、私が伺ったのは、六日前、六日間掛かるとおっしゃっているわけですから、じゃ、六日前には予測して移動させるということなのかということなんですが、私は六日前に把握できるんだったら戦争させない外交をすべきだと思いますね。今、日米同盟絶対で付き従うから経済も安全保障もおかしな道に入り込んでいると思いますよ。
ゆがんだ対米関係からの避難こそ必要なんじゃないかということを指摘しまして、質問を終わります。