山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2025年・第217通常国会

救急車攻撃は国際法違反 イスラエル非難求める/部隊間協力円滑化法実施法案 反対討論

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
三月十八日、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃を再開してから、間もなく一か月になります。この期間だけで死者は千人を超えます。十三日には、ガザ市で最後まで機能していたアル・アハリ・アラブ病院も攻撃されました。病院は完全に破壊され、患者とスタッフが移動を強いられたといいます。
資料をお配りしておりますが、三月二十三日には、南部ラファで赤色灯などを点滅させて夜道を走行していた救急車や消防車が攻撃され、パレスチナ赤新月社の救急隊員やUNRWA職員ら十五人が遺体で見付かったといいます。
外務大臣に伺います。これは国際法違反の攻撃ですね。

○外務大臣(岩屋毅君) イスラエル軍によるガザ地区への攻撃再開によって、今委員御指摘になったように、民間人を含む多くの死傷者が発生しております。危機的なこの人道状況に我が国としては深刻な懸念を有しておりますし、甚だ遺憾に思っております。
今般のイスラエルによる行動につきましては、我が方として事実関係の十分な把握が困難でありまして、我が国として確定的にこれを評価することは難しいということは御理解をいただきたいと思います。
いずれにしても、我が国は、全ての当事者が国際法に従って行動することを一貫して求めてきておりまして、イスラエルに対しても、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応を累次にわたって求めてきておりますし、また今後も求めてまいります。
私自身、まず就任直後に、カッツ外相、今は国防相でございますが、また十二月にはサアル外相と電話会談を行いましてこういう点を申し入れましたが、今般の事態を受けて、更にイスラエルへの働きかけを強めてまいりたいと考えております。

○山添拓君 いや、記事にありますけれども、イスラエル軍の側がこれはミスだったと認めているんですよね。なぜ非難できないんですか。

○国務大臣(岩屋毅君) 様々な報道等にも接しておりますけれども、我が方として事実関係を確定的に把握することが困難でございますので、評価は困難でありますけれども、我が方の考え方は先刻申し上げたとおりでございまして、甚だこの事態を遺憾に思っておりますし、働きかけを強めてまいりたいと思います。

○山添拓君 いまだに国際法違反だということを述べられようとしない。
国際赤十字・赤新月社連盟のジャガン・チャパゲイン事務総長は、最も複雑な紛争地域であってもルールは存在する、国際人道法のルールはこれ以上ないほど明確だ、民間人、人道支援、医療サービスは保護されなければならないと、こう述べています。
日本政府としても明確に非難をすべきだと思います。
大臣、先ほども、深刻な懸念を持っている、甚だ遺憾と、こうおっしゃって、昨年末から就任前後にかけて、イスラエル側にも働きかけてきたということをお話しでしたけれども、では、この攻撃の再開後はイスラエル政府やあるいはそれを支援している米国政府に対してどんな対応をされてきたんでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 攻撃当日の三月十八日には、現地に出張していた安藤中東アフリカ局長からイスラエル政府に対して、攻撃への強い懸念を表明した上で、合意の誠実かつ着実な履行、人道状況の改善について直接強く申し入れたところでございます。

○山添拓君 大臣自身が行動すべきだと思います。
ユニセフなど六つの国連機関が七日、ガザ地区で死者数が急増しているとして、早急な停戦を求める共同声明を出しています。支援物資の搬入が停止されたままで、医療体制や食料不足は危機的状況にある、世界の指導者に緊急に行動するよう訴えるとしていますよ。
大臣、例えばイスラエル大使を呼んで抗議するなど、大臣自身が行動すべきじゃありませんか。

○国務大臣(岩屋毅君) 私を含めて様々なレベルにおいて、イスラエルへの働きかけを強化してまいりたいと思います。

○山添拓君 こうした中で、七日、ネタニヤフ首相と会談した米国のトランプ大統領は、またしてもガザ所有という暴言を吐きました。ガザを信じられないほど重要な不動産と呼んで、米国のような平和勢力がガザ地区を支配し、所有することはすばらしいことだ、パレスチナ人を連れてほかの国々に移住させれば、移住できる国はたくさんあるなどと述べています。
民族自決は国連憲章の大原則です。パレスチナ和平の二国家解決も日本政府が目指している方向だと思います。トランプ氏の発言は日本政府の立場としても到底許されないものだと思いますが、これについては批判をされたでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) トランプ大統領の一連の発言については承知をしておりますが、米国内や関係国の間においても様々な議論がある現段階において、日本政府として見解を述べることは必ずしも適切でないと思っておりまして、今後も推移を注意深く見極めていきたいと思いますが、先般アラブ諸国において、ガザの再建についての提案などがまとめられておりますけれども、こういうものはしっかり尊重されていかなければならないと考えているところでございます。

○山添拓君 重ねて伺いますけれども、トランプ氏に対して、この問題での発言に批判の声は届けていないんでしょうか。
私、様々な意見がある、様々な声があるといって済まされるような発言じゃないと思いますよ。世界のいろんな国々が発信していますよ。大臣は今後も、様々な意見があるからと、トランプ氏に対して、米国政府に対して物を言わなくていいんでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 一般論として申し上げれば、国際法上、文民を占領地域から他の国に強制的に移送することは禁止されております。その上で、繰り返しになりますけれども、トランプ大統領の一連の発言については、米国の国内でも、あるいは関係国の間でも様々な議論があると承知をしておりまして、日本政府として確定的に見解を述べることは必ずしも適切ではないと、推移を見極めていきたいと思っております。

○山添拓君 いや、日米関係の黄金時代だと言ってきたわけでしょう。その米国がこういう発言をして、今大臣が言われたように、一般論からすれば到底許されないような発想を繰り返し語っているわけですよ。ですから、明確に批判し、撤回を求めるべきだと思います。この点、強く指摘しておきたいと思います。
法案についても伺います。
本法案は、従来、個別に整備してきた部隊間協力円滑化協定の国内実施法を一般化するものです。法案のタイトルは日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における云々とありますが、条文上、締約国とはどこなのかと、これ定めがありません。締約国とはどんな国であるべきか、その定めもありません。
特定の国際約束を担保する法律で、締約国を特定せず、今回の法案のように一般的な規律をしている例として、社会保障協定を参考にしたということを伺いました。ただ、社会保障協定というのは、海外で暮らす日本人や日本で暮らす外国人それぞれ、医療保険や年金制度のこの掛け捨て防止など、お互いに調整をするための協定です。ですから、相手国がどこであっても同じ仕組みになるのは当然だと思います。
しかし、円滑化協定は、それとは全く異なると思うんですね。今日お話もありましたけれども、派遣国軍隊の軍人や軍属が犯した公務中の犯罪は派遣国側に第一次裁判権を与えます。また、公務外、これもお話ありました、日本の刑法の下で死刑が科されるような重大な罪を犯した場合、死刑を廃止している国は日本に身柄引渡しの義務を負いません。つまり、こうした場合には日本が裁判権を行使できない。主権の制限、放棄ということです。主権の制限や放棄という重大な内容を含む法律を国会がその都度審議し判断していくのは当然のことだと思うんですね。
内閣法制局に来ていただいています。この法案についてどういう審査をされたんでしょうか。

○内閣法制局第二部長(栗原秀忠君) お答えをいたします。
本法律案につきましては、防衛省の方において立案されまして、私ども内閣法制局において審査をしたものでございます。
先ほど委員から御紹介もございましたが、社会保障関係の法律といたしましては、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律というものがございます。
こうした先例も踏まえまして、今回の法律案につきましては、今お話もありましたように、確かに法律に規定する内容につきましては異なるところはございますけれども、我が国と我が国以外の締約国との国際約束の実施を確保するために我が国の法律の特例等の必要な事項を定めるという点では同じでございまして、その規定する内容が異なるからといって法形式に違いがあるものではなく、今回の法案で適当であるというふうに判断したものでございます。

○山添拓君 いや、全く適当じゃないと思いますね。主権の放棄、制限に関わるような問題をどの国と約束するのかについて審査できないわけですよ。本当にそれでいいんですか。本当に適当でしょうか、法制局。

○政府参考人(栗原秀忠君) お答えいたします。
本法律案におきます締約国ということでございますけれども、この法律案の第二条第一号におきましては円滑化協定の定型的な事項が書かれておりまして、これに当てはまる国際約束が締結され、その内容がこの法律案に定める措置と合致するものであるということを確認した上で、具体のどの協定が適用対象かというのは政令で定めることにしております。
当該国際約束の相手方を締約国というふうにこの法律では扱うものでございますから、必ずしも不明確であるという御指摘は当たらないものというふうに考えております。

○山添拓君 いや、全く分かりません。
法制局における本法案の審査資料の委員会への提出を求めます。

○委員長(滝沢求君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 防衛大臣にも伺います。
主権の制限や放棄を伴う法律です。その相手国がどこであるのか、法律上明記されていません。にもかかわらず、国会にどんな審査をせよと言うんですか。

○防衛大臣(中谷元君) 累次説明を申し上げていますけど、この円滑化協定に関する国内担保措置の内容、これは定型化をしていることを踏まえまして、これまで相手国ごとに整備している円滑化協定の国内実施法を共通規定化をするということでございまして、こういう共通化の規定によって担保措置を総覧することができる、そして国内法の内容について一定の示唆を与えるというようなことでありまして、このようなことによりまして法案を審査を今いただいておりますけれども、国会議員の皆様には丁寧な御説明を通じまして、皆様方の御理解をいただくということは非常に重要であるというふうに認識しております。

○山添拓君 いや、丁寧な説明と言っても、今の段階で締約国はどこなのかと、どういう範囲なのか分からないじゃありませんか。

○国務大臣(中谷元君) この目的というのは、安全保障の防衛協力を促進するということで、インド太平洋地域の平和と安定を支えるということにつながることでございます。
この相手国を検討するに当たりましては、先ほど申し上げましたけれども、相手国との安全保障協力を進めている中で、相手国との二国間関係、また自衛隊と相手国との軍隊との協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら、外務省と連携して適切に判断をしているというふうに認識しております。

○山添拓君 どれだけ聞いても、相手国と言われるだけで、それがどこまで広がっていくのか、どのような国を念頭に置くのかということさえ御説明になりません。全て今後の政府の判断に委ねよということになります。
私は、自衛隊の海外活動や外国軍との共同の軍事活動を拡大すること自体大問題だと考えますが、本法案は少なくとも国会の審議権、立法権を侵害するものであって、到底賛成できません。
防衛大臣に伺います。
これも先ほどお話が若干出ましたが、大臣が三月末、ヘグセス国防長官との会談でワンシアター構想を伝えていたことについて、そのとおりの言葉を使われたかどうかはともかく、先ほどの御答弁ですと、日米同盟とその同盟国の軍隊が文字どおり一体となって、米軍の下にこの地域全体で軍事ブロック的に対抗していこうとするものだと思います。専守防衛どころじゃないじゃありませんか。

○国務大臣(中谷元君) 会談の内容は、詳細を明らかにすることは差し控えたいと思いますが、やはり日米で協力を進めていくということにつきましては、近年のこのインド太平洋地域の安全保障情勢、これにつきましてやはり力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対するということは共通の認識でございます。
そういう意味で、自由で開かれたインド太平洋を実現するためには、日米を中核として、豪州、韓国、フィリピンを始めとする地域パートナーとの間で情報共有、運用面を含む協力を進展させていくということで、それぞれ各国とも協議は進めているわけでありまして、豪州、インドネシア、フィリピン、私訪問しましたけれども、このほかにも日米豪比韓、この五か国の防衛大臣会議も行いました。
こういった取組を推し進めて、やはりこの地域の同志国の連携、これを深めるということで地域の平和と安定を保っていくということでございます。

○山添拓君 私は、今の御答弁の中に我が国における憲法上の制約についての発言が一切なかったということが大問題だと思います。
ヘグセス長官は大臣との共同会見で、日本は同盟国が西太平洋で直面するいかなる緊急事態でも最前線となる、こういうふうに述べていました。これ、大臣とまさに同じ発想だと思うんですが、つまり、日本の憲法などそっちのけで緊張関係を高める方向を共にしていると、共有しているということだと思うんですね。
こうした下で、円滑化協定や本法案によって円滑に実施しようとしているのが二国間、多国間の共同軍事演習です。昨年二月に実施した日米共同指揮所演習、キーンエッジで、台湾に侵攻する中国軍の艦艇に対して、自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下され、仮想攻撃したなど、演習の概要が明らかになったといいます。これ、七日付けの産経新聞の報道です。防衛省、事実でしょうか。

○防衛省 防衛政策局長(大和太郎君) お答えいたします。
防衛省・自衛隊は、各種事態における日米共同対処及び自衛隊の統合運用に係る指揮幕僚活動を演練し、日米の共同統合運用能力の維持向上を図ることを目的として、昨年二月一日から八日にかけて令和五年度日米共同統合演習、キーンエッジを実施いたしました。
この演習は、我が国防衛のための日米共同対処及び自衛隊の統合運用に係る指揮幕僚活動を演練するものであり、特定の国や地域を念頭に置いたものではございません。

○山添拓君 記事によりますと、演習では、中国軍が台湾に侵攻するとともに、米軍佐世保基地などを攻撃し、ただし、武力攻撃事態の認定は見送り、存立危機事態と認定し、集団的自衛権の行使が可能となり、米側が攻撃を要請し、日本側がこれを受け入れ、攻撃したと記されております。
随分詳しいんですけど、これ事実じゃないということでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) そのような事実を発表したことはございませんし、その演習につきましても、自衛隊の活動というのは憲法そして法律の範囲内で総理や防衛大臣の指揮の下に行われておりますので、我が国が主体的に判断するものであります。したがって、そのような憲法違反の中で共同訓練を行うというようなことはあり得ないということです。

○山添拓君 発表したことはないとおっしゃるだけで、これが事実かどうかということは否定されなかったかと思います。
資料の二ページを御覧ください。琉球新報の記事です。
仮想敵国を初めて中国と明示した演習であったことは昨年二月にも報じられておりました。二〇二三年末、台湾有事に関する日米共同作戦計画の原案が完成し、図上演習であるキーンエッジの演習結果をこれに反映させ、続く実動演習であるキーンソードで実動し、計画の有効性を検証する流れと報じています。
キーンソードは、四万五千人が参加した最大規模の日米統合演習です。初めて南西諸島から住民を避難させる想定の訓練や、前線から傷病者を沖縄本島、本州に移送する訓練も行われました。
防衛省、このキーンソードもいわゆる台湾有事を想定したものだったんでしょうか。

○政府参考人(大和太郎君) お答えいたします。
自衛隊と米軍は、我が国防衛のための日米共同対処及び自衛隊の統合運用について演練、検証し、共同統合運用能力の維持向上を図るために、昨年十月二十三日から十一月一日にかけて、日本全国において令和六年度日米共同統合演習、実動演習を実施いたしました。
これにつきましても、特定の地域あるいは国を念頭に置いたものではございません。

○山添拓君 そうしますと、これは台湾有事を想定したものではないと言いつつ、しかし、そもそも仮想敵国を初めて中国と明示した演習だったと、そのキーンエッジの演習結果を反映させたものかと、この昨年二月時点のこの報道についても事実とは異なるということでしょうか。

○政府参考人(大和太郎君) お答えします。
令和六年度日米共同統合演習、実動演習に係る具体的な内容については、我が国及び米国の具体的な対応に関わるものでありまして、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

○山添拓君 つまり、否定はされないんですね。
資料の三枚目、琉球新報の記事です。
今年二月に実施した、陸上自衛隊と米軍、オーストラリア軍による島嶼防衛を想定した共同指揮所演習ヤマサクラについて、森下幕僚長が講演しています。ここでは、シナリオを南西諸島とするなど、よりリアルな想定で実施していると発言しています。あるいは、ジョエル・ヴァウル米太平洋陸軍副司令官は開始式で、中国、北朝鮮、ロシアと名指しをして強調しています。少なくとも、米側は隠さずに述べているわけですね。
法制局に伺いたいんですが、こうして仮想敵を具体的に定めて行う軍事演習は、どれだけ抑止力だと言い繕っても、憲法九条一項が禁止する武力による威嚇に当たるのではないですか。

○政府参考人(栗原秀忠君) ただいまお尋ねのありました共同軍事演習が武力による威嚇に該当するかどうかという点でございますけれども、これ、個別の状況に応じて判断すべきものでありますところ、当局として、お尋ねの共同演習について、その詳細、事実関係を承知しておりませんため、お答えすることは困難でございます。

○山添拓君 いやいや、個別について伺うわけではなく、仮想敵を具体的に定めて行うような軍事演習が憲法上どういう問題があるかということを伺っています。
抑止力だと政府は言います。抑止力と武力による威嚇、その区別はどこにあるでしょうか。政府が主観的に抑止力だと言えば威嚇にならないのでしょうか。これは法制局にお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(栗原秀忠君) 重ねてのお尋ねではございますが、内閣法制局として、この軍事演習のその詳細につきまして承知しているわけではございませんので、なかなかお答えするのは困難であることは御理解いただければと思います。

○山添拓君 法制局が憲法上の解釈について論じられないということ自体、大変な問題だと思います。私は一般論で聞いているんですけどね。
大臣、抑止力というのは、防衛大臣、相手に攻撃が無意味だと思わせることです。軍事力を背景に、抑止が破れた際には武力を行使するという態度です。これは威嚇にほかならないと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) 我が国は憲法によって九条一項の武力による威嚇ということで禁止をされております。これはどういうことかというと、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するという意思、態度を示すということで威嚇するというものと認識をしております。
しかし、自衛隊が実施する共同訓練・演習というのは、自衛隊の戦技技量の向上及び米国及び第三国との連携強化、これを図ることを目的として実施をしておりますので、憲法により禁止されているところの武力による威嚇に当たることはありません。
加えて申し上げますが、この訓練は陸上自衛隊、米陸軍、オーストラリア軍との相互運用性の向上を図ることを目的としており、特定の国や地域を想定したものではありません。また、特定の地域における事態の発生を念頭に置いたものではございません。
記事の紹介がございましたが、一体誰がこういうことを言っているのか、そういうこともきちっと示していただかなければ、こういった間違った情報が流れているということにもつながります。
それから、陸上幕僚長の話がありましたが、これにつきましては、陸上自衛隊の幕僚長、これがこの特定の地域を念頭にしたことを言っているということではございません。

○委員長(滝沢求君) 申合せの時間が参りましたので、まとめてください。

○山添拓君 はい。
もう時間ですからもちろん終わりたいと思いますけれども、否定をされなかったから私は質問してきたわけです。仮想敵を公然と掲げて台湾有事など具体的に想定して行う共同軍事演習は、抑止力どころか軍事的緊張を高める威嚇にほかならないと思います。やめるべきだと、この点を指摘して、質問を終わります。


○山添拓君 日本共産党を代表し、RAA法案に反対の討論を行います。
本法案は、従来は個々の法律として整備してきた部隊間協力円滑化協定、RAAの国内実施法を一般法化、恒久法化するものです。
二〇二三年に国会承認された日豪及び日英間の部隊間円滑化協定も、今国会で承認を求められている日・フィリピン部隊間円滑化協定も、日米同盟を中心に自衛隊の海外活動と外国との、外国軍との共同の軍事活動の更なる強化を図ろうとするものであり、憲法九条に違反します。
また、自衛隊が米軍だけでなく第三国の軍隊への軍事支援を行うことを可能とした憲法違反の安保法制を具体化するものにほかなりません。
さらに、共同演習などの拡大は全国各地で基地負担の更なる増大を招きます。
政府は、RAAに係る法制の国民への分かりやすさなどを本法案の口実としていますが、要するに、新たな協定を締結しても、個々の国会審議を経ずに済むよう簡素化を狙うものです。
しかし、条文上の締約国がどこであるかさえ分からない法案で将来の白紙委任を取り付けようとするのは、国会の審査権、立法権の甚だしい侵害です。
政府は、社会保障協定の特例法を参考にしたと言いますが、社会保障制度の運用上の不都合を調整するための社会保障協定と国家主権の制限を伴う部隊間円滑化協定とでは全く意味合いが異なり、参考程度で同列に扱ってよいことにはなりません。国会審議を形骸化させるものであり、衆院安保委員会の附帯決議のように、新たな協定締結に際して委員会への報告が行われたとしても、立法権の侵害は何ら回復されません。このような一般法化は断じて認められません。
なお、法案は、派遣国軍隊の構成員等が公務中に起こした犯罪について、日米地位協定と同様、派遣国に第一次裁判権を与えています。派遣国軍隊の財産についての捜索、差押え、検証も派遣国軍隊の同意がない限り行えません。
また、公務外に日本の刑法下で死刑が科されるような重大な罪を犯した場合、死刑を廃止している派遣国側は身柄の引渡し義務を負わず、重大な犯罪ほど日本が裁判権を行使できなくなるおそれがあります。国の主権放棄に等しい内容であり、容認できません。
以上、討論とします。

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