2025年・第217通常国会
- 2025年4月17日
- 外交防衛委員会
民間人の犠牲いとわず 自衛隊の敵基地攻撃を追及
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
トランプ関税については私も後日伺いたいと思いますが、既に日本は思いやり予算で二千二百億、再編経費や辺野古新基地建設などを含めると四千五百億、そして米軍への基地提供に伴う経費などを合わせますと八千六百億負担をしておりますので、その一方的な負担増となるようなことを交渉材料にするということは、これはあってはならないだろうと、大臣もかすかにうなずかれましたので、これは後日の質問にしたいと思います。
陸上自衛隊は、先週、地上から艦艇を攻撃する地対艦ミサイルの発射訓練を国内で初めて六月に北海道内の射撃場で実施すると発表しました。防衛大臣は会見で、これまではアメリカ本土で行ってきた訓練だと説明しています。
今度、なぜ国内で行うのでしょうか。
○防衛大臣(中谷元君) 本年の六月頃に陸上自衛隊が国内において、地対艦誘導弾の射撃訓練、これ実施する予定でありますが、その実施場所については現在調整中でございます。
この陸上自衛隊の対艦誘導弾につきましては、これまで米国の射場で長射程の射撃を実施をしておりましたけれども、最近、厳しい安全保障環境を踏まえまして、より国内の多くの部隊に各種の装備を用いた訓練の機会を確保するために、射程などに制限があるものの国内における射撃訓練の実施について現在調整しているところでございます。
○山添拓君 敵基地攻撃能力となる長射程ミサイルの本格的な配備を見据えた対応ということかと思います。
今大臣も少し述べられましたが、射程百数十キロのミサイルを今度使おうということで報じられております。国内では安全な海域や空域を確保できないので海外で行っていたのを、関係機関の了解を得たので国内でも実施すると報じられております。
これは防衛省に伺いますが、関係機関というのはどこのことなんでしょうか。
○防衛省 地方協力局次長(森田治男君) お答えを申し上げます。
ただいまのお話にありました本年六月頃に陸上自衛隊が国内において地対艦誘導弾の射撃訓練を実施する予定、その実施場所については現在調整中でございますけれども、地元との間では日頃から様々なやり取りを行っております。そのやり取りの詳細につきましては、相手との関係もあり、お答えできないことを御理解いただきたいと思いますが、一般的には地元の自治体、それから水上の訓練であれば漁協とか、そういったところとなると考えております。
○山添拓君 太平洋に面した北海道の新ひだか町静内対空射撃場で行う計画だとされます。
森下陸幕長は会見で、地元の理解を得ながら進めていくと述べています。ところが、新ひだか町によりますと、計画は聞いていたが新ひだか町でやるとは聞いていないと。昨日の夕方時点でも、北海道防衛局から何の連絡もないということでありました。
北海道庁の危機対策課は、お配りしております毎日新聞の取材に、全く知らない話でびっくりしていると答えています。
これ、どういうことでしょうか。
○防衛省 防衛政策局長(大和太郎君) こういった訓練の実施につきましては、地元との間で常日頃から様々なやり取りを行っております。ただ、そのやり取りの詳細については、相手との関係もあり、お答えできないことを御理解ください。
いずれにいたしましても、国内における射撃訓練の実施場所が決まった際には、安全性の確保や、地元漁協を含め関係自治体の皆様への丁寧な御説明に努めてまいります。
○山添拓君 様々なやり取りとお話しだったんですが、道庁は、正式決定ではないと承知していると、事前説明の前に報道されるのは困ると話しているそうです。
ですから、地元の理解どころではないと思うんですね。これ、一層緊張関係を高める訓練でもありますので、やめるべきだということを申し上げておきたいと思います。もう六月だと言っていますので、この時点で何の情報もない中で、強行することのないように求めたいと思います。
この敵基地攻撃能力については、これを実際に使っていくための教育も進められております。
資料の二枚目を御覧ください。しんぶん赤旗日曜版が情報開示請求で入手した資料です。
防衛省が二四年度予算の概算要求で財務省に提出した説明資料で、タイトルは統合ターゲティングに関する米国委託教育への参加とあります。
趣旨、自衛隊における統合ターゲティング能力を強化させるため、米国統合ターゲティングスクールにおいて統合司令部レベルのターゲティングに関する教育を受講させ、今後の統合運用体制の確立のもととするとあります。
統合ターゲティングとは何ですか。
○政府参考人(大和太郎君) お答えいたします。
統合ターゲティングとは、一般的に、統合のレベルにおいて、目標、まあターゲットでございますけれども、この選定や優先順位付けを行い、それに応じた適切な対応を行うプロセスとされていると承知しております。この理解の下、防衛省・自衛隊においても一定の共通認識があると考えております。
なお、米軍におきましては、ターゲティングとは、作戦上の要求や能力を考慮して目標の選定や優先順位付けを行い、それに応じた適切な対応を行うプロセスである、ターゲティングには、指揮官の目的を達成するため、目標を特定し、目標を設定し、目標に効果を与えるための継続的な分析プロセスが必要である、指定された部門による特定の目標と特定の望ましい効果を結び付ける分析に基づく根拠を基礎として、計画立案者は統合ターゲティングにより目標に関する詳細な情報へのアクセスを得る、ターゲティングは、火力をほかの統合機能、指揮統制、情報、移動、機動、防護、維持などと統合、同調させるのに役立つというふうに説明されているものと承知しております。
○山添拓君 要するに、スタンドオフ防衛能力、敵基地攻撃能力なども含めて、そうしたものを配備し運用していくことにしたためにこうした教育訓練も受けることになると、こういうことですね。
○政府参考人(大和太郎君) 御指摘のスタンドオフ火力であるとかあるいはこれらの反撃能力の更新に関して、こういった統合ターゲティングの役割というのがあるというのはそのとおりであります。
○山添拓君 二三年度からこの訓練に参加している、受講しているようです。二三年度以降、各年度の予算と派遣人数、実績を御紹介ください。
○防衛省 人事教育局長(青木健至君) お答え申し上げます。
統合ターゲティングに関する米国委託教育への参加は、今後の統合運用体制の確立の資とすることを目的とし、自衛隊における統合ターゲティング能力を強化させるため、米国統合ターゲティングスクールにおいて統合司令部レベルのターゲティングに関する教育を受講させるものです。
このための経費といたしまして、令和五年度に約二百万円を、令和六年度に約九百万円を、令和七年度に約九百万円を計上しております。あと、人数につきましては、令和五年度に三名を、令和六年度に五名を派遣し、令和七年度につきましては八名の派遣を予定しております。
○山添拓君 私が配付しました資料は二四年度概算要求のときのものです。二五年度も同様の資料があるかと思いますので、委員会に提出を求めたいと思います。
○委員長(滝沢求君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 既に参加した分については成果報告書も作成しているかと思います。これも提出を求めたいと思います。
○委員長(滝沢求君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 同じ資料を御覧いただきたいのですが、米国統合ターゲティングスクールの主要教育内容の一つに、右下の方に赤で記しておりますが、付随的損害見積とあります。付随的損害とは軍事用語で、軍事目標への攻撃の巻き添えで生じる民間人の死傷や民用物の損傷のこととされます。その見積り、これはどういうことでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 防衛省・自衛隊におきましては、この付随的損害という言葉について確立した定義は行っておりませんけれども、ジュネーブの諸条約の第一追加議定書において、軍事行動を行うに際して、巻き添えによる文民の死亡、文民の傷害、民用物の損傷を防止し並びに少なくとも最小限にとどめるために、全ての実行可能な予防措置をとることなどが規定をされておりまして、自衛隊がこれらの規定を踏まえて行動するということは当然でもありますし、自衛隊の全ての活動というのは関連する国内法、国際法に沿って行われるものでございます。
○山添拓君 今のは付随的損害についての御説明かと思います。その見積りとはどういう意味でしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) 付随的損害の見積りというのは、この統合ターゲティングのプロセスの中で、今お話のあった付随的損害、例えば巻き添えによる文民の死亡、民用物の損傷等、こういったものがどのくらい生じるかということに関する予測ないしは見積りというものと理解しております。
○山添拓君 そのとおりであろうと思います。
日曜版の調査によりますと、米軍制服組トップ、統合参謀本部議長が出した指示文書に攻撃、付随的損害算定法があり、米軍内で教えているということでした。攻撃前の段階で巻き添え被害が避けられないように見える場合、被害を与えかねない住宅や学校、図書館、商店、レストランなど、人口を昼夜それぞれ百平米ごとに特定し、それらを基に想定される民間人の犠牲者数を算定するといいます。
自衛隊が受けている教育はこうした巻き添え被害の算定を含んでいるということなのですね。
○国務大臣(中谷元君) 自衛隊の行う活動につきましては、先ほどお話ししたとおり、ジュネーブの条約の第一追加議定書に書いている内容でありまして、これは、この国際法、そして関連する国際法、それに従って行っているということでございます。
○山添拓君 私が伺いましたのは、こう書いていますのでね、財務省の出した文書に。こういう見積りについても自衛隊員として教育を受けているということですよね。
○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
アメリカの、米国の統合ターゲティングスクールで教育内容として学んでいるこの付随的損害でございますけれども、この教育は、あくまで一般論として、陸海空の組織を超えた統合運用や、新領域を含めた領域横断作戦の観点を踏まえた統合司令部レベルのターゲティングを学ぶものでございまして、この中に戦争法や付随的損害見積り等の教育が入っているということでございます。
○山添拓君 要するに入っているわけです。
米軍では、算出した人数が事前に設定した上限値以下であれば、大統領や国防長官の許可なしに攻撃目標などを決定する段階に入ります。この上限値はNCVといって、事実上の殺害許可証とも言われ、その値は秘密扱いですが、イラク、シリアの過激組織ISを攻撃する場合は十人だとアメリカメディアが報じたことがあります。さらに、イラク戦争では、サダム・フセインを攻撃する際には三十人だったという証言も報じられました。
自衛隊も今後こうした上限値を定めていくのですか。
○政府参考人(大和太郎君) 我が自衛隊がアメリカのターゲティングスクールで習っているのは、学習しているのはアメリカの方法論に関するものでありまして、先ほどから御説明をしていますが、自衛隊の全ての活動は、関連する国内法、国際法にのっとって行われるもの、この国際法の中にはジュネーブ諸条約第一追加議定書に書いてあることも含まれるということであります。
今は米国の方法論を学んでいるということであります。
○山添拓君 つまり、その米国の方法論は、今述べたような上限値を定めて、それ以下であれば攻撃目標の決定段階に入るというものなんですよね。
この統合ターゲティングスクールでは、修了者に対して付随的損害算定法の分析官の資格が付与されるといいます。自衛隊では何人付与されているんでしょう。
○国務大臣(中谷元君) 今学んでいる状態でございますが、実際の運用等につきましては、文民たる住民の保護、そして攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった国際法に従って基準を定めてまいりたいと思います。
○山添拓君 いや、大臣、軍事目標に限定するというのはジュネーブ条約上求められるんですが、しかし、それに伴って付随的に、民間人の犠牲者、民用物の損傷、必然的に生じ得ると。だから、そのためにこうした算定方法、見積りを学んでいるということだと思うんですね。
各年度の修了者数を委員会に報告いただきたいと思います。
○委員長(滝沢求君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 日曜版の取材に複数の元自衛隊幹部が、敵基地攻撃能力保有を打ち出すまで自衛隊の攻撃の巻き添えで民間人が殺傷される事態を想定したことはなかったと述べています。過去、無法な戦争で数多くの犠牲をもたらしてきたその米軍に学んで、民間人の犠牲をいとわない自衛隊に成り代わろうとするものです。
これは憲法上到底認められないと、この点を指摘して、質問を終わります。