2016年6月28日
司法修習生の給費制復活を!
先日、ある街頭演説の後、チラシ配りをしていただいていた方からこんな声を聞きました。
「司法修習生が通りかかって、修習でも借金を背負うことをなんとかしてほしい。」と言っていたと。ぜひご本人とお話したかった。
法律家になるためには、司法試験に合格後、約1年の研修があります。この司法修習は、裁判所、検察庁、法律事務所で法曹三者の役割を学び、三者三様のマインドを知ります。それぞれが人権擁護にとって不可欠な役割を負っていることを実地で体得する機会となります。法律で義務付けられ兼業は禁止。
私が司法修習を受けた64期修習生から、それまで国家公務員に準ずる給与が支給されていたのが、貸与制に移行することになっていました。
これに対して、当時、日弁連会長だった宇都宮健児さんらが中心となり、給費制廃止に反対する運動が起こされました。若手弁護士や修習生、ロースクール生など当事者レベルでの団体をつくることになり、受験を終えた私も早速メンバーに加わりました。
私自身、当時は高校、大学、ロースクールと奨学金を借り、その上さらに司法修習でも借金かと、まさに当事者としてかかわりました。運動の論点は、当の修習生の経済的問題が中心となったものの、司法の担い手をいかに育てるかというテーマとかかわる問題です。
デモや集会、議員要請を重ねるなかで、1年間だけ給費制を延長する法律が成立。私を含む64期は、修習開始直前に給費制が復活することになり、その時の感動は忘れられません。
もっとも、その後は貸与制が導入され、現在も抜本的な改善はされていません。当事者団体をはじめ給費制復活をめざす運動が続けられ、貸与制の下で修習した若手弁護士による裁判も行われています。
1947年の司法修習開始当時から導入されてきた給費制は、日本国憲法の下で、国の責任で法曹を養成するべきだという理念に基づくもの。「法律家になるための実務経験は自己責任で」というのは、司法制度の利用者に対して責任ある態度とは言えないと思います。給費制復活のために、私も力を尽くしたい。
写真は、デモなどで使う横断幕を作っている当時の私。
手書きで作っているのが時代を感じさせる?いやいや、そんなに昔の話ではないのですが…