2016年8月13日
働くものの立場に立った改革を!
官邸主導の「働き方改革」
厚労省の担当分野にもかかわらず、あえて特命大臣を任命し担当させる。「働き方改革実現会議」のメンバーは16人中、労働者側1名(連合会長)、使用者側2名(経団連会長、全国中小企業団体中央会会長)、あとは安倍晋三首相を含む閣僚8名と学者5名。
働き方のルールは、本来なら労使双方の代表をふくむ労働政策審議会の答申を経て決めます。労政審は公益、使用者、労働者の代表各10名で構成。ILOの三者構成原則を踏まえたものです(ILO自体が政府、使用者団体、労働組合の三者で構成され、加盟国にも労働行政についての三者協議の体制を求めている)。
この原則からすれば、本来は労働分野の新しい制度を提案する段階でも三者での議論が求められます。ところが安倍政権は、派遣法改正でも残業代ゼロ法案でも、政府直轄の諮問機関で方向性を決め、労政審に諮る頃には結論ありきに。労働側が反対意見を出してもおかまいなしの状態にしてきました。
労働法制の分野では、対等でない労使の立場関係があり、労働者は構造的に労働条件の悪化を迫られる側にあります。三者構成は、対等でない関係を是正するための理念であり、意見を聞きさえすればよいというものではなく、実質的に機能することが求められます。現在のような労政審のあり方は、あまりにも形骸化したもの。
ところが、それでも異論が出て時間がかかる労政審の議論が邪魔になり、この仕組みをいま以上に骨抜きにし、財界の要求を政府がそのまま政策となるあり方が狙われています。
国際基準をも逸脱する「働き方改革」の体制づくり。このやり方一つをとっても、その内容が働く者の立場に立つものでないことは明らか。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-13/2016081302_01_1.html