JR北海道が全路線の約半分、1237.2kmについて、単独では経営を維持できないと発表しました。先週のニュースで気になっていたもの。
私は、地域の公共交通をどう守り生かすかという政治の姿勢が問われる問題だと考えます。
JR北海道は、直近では台風で大きな被害を受け、それ以前にはトンネル内での列車火災や脱線事故などトラブルが相次ぎ、企業体質を含めて批判がされていました。
しかし根本的には、避けようのない赤字がある。
国鉄分割民営化の際、元々赤字を見越して経営安定基金6822億円を交付。運用益で赤字を補填する目論見でした。低金利が長期化して利回りだけでは困難になり、基金をJR北海道から鉄運機構(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に貸付け、その利息でしのいでいる状況です。
沿線人口が減り続け、空港や高速道路が整備される。しかも北海道の高速は無料区間が多い。JRの運賃収入はますます減り、400億円を超える営業赤字を抱えます。
JR北海道が鉄道事業者としての努力を怠っているのかと言えば、決してそうではないと思います。私も何度も列車で旅をしましたが、少なくとも90年代には札幌から旭川、函館、釧路方面でそれぞれ列車の高速化を図り、新たな需要を呼ぶ試みもされていました。
氷点下、積雪も多い地域で安全に運行するだけでも大変なコストを要します。函館〜釧路は東京〜岡山に匹敵する距離ですが、広大な土地を貫く路線は、維持するだけでも並大抵のことではない。
都市間を移動する人はもちろん、地域の足として利用する高齢者や学生など、鉄道を必要とする人々がいます。客が減った、赤字だから廃止だというのでは、公共交通としての役割放棄に等しい。
JR北海道は単独維持が困難な路線について沿線自治体と協議を始めるといいますが、限界があります。
分割民営化から来年で30年。こうなることは分かっていたというべきです。国民の財産だった国鉄の路線網を勝手に切り分けておきながら、一方では大儲けのJR東海にリニア建設で3兆円を超低金利で貸付け、くらしの足となる各地の路線を切り捨てるのでは、あまりに理不尽。
政治はまず姿勢を改め、抜本的な対策に出るべきだ。
URLは日経新聞の記事より。
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDZ18HX1_Y6A111C1TJC000/