山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2017年・第193通常国会

原発事故、津波の高さについて、国は予見可能であり、対策すべきであったことを追及

要約
  • 福島原発事故をもたらした津波について、地震調査研究推進本部が発表した「長期評価」に基づき試算していれば、国は予想可能だったとして、その責任をただしました。

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

二〇一六年の六月に原子力規制委員会が、「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」、こういう文書を発表しています。

まず伺いたいんですが、どういう人に読まれることを念頭に置いて作成されたものなのか、また、こうした文書を原子力規制行政として作成するのは初めてのことかどうか、お答えください。

○政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。

御指摘の「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」、これは昨年作成したものでございますけれども、これまで新規制基準の内容やその根拠になる考え方については体系的に整理をしたものがなかったということでございまして、特に規制基準に関心のある方も含めまして、広く様々な方の参考となるようにということで作成をしたものでございます。

作成に関し留意した点につきましては、特に専門家に対しましても正確に伝わるということを念頭に置いて作成を行ったというものでございます。

それから、最近、原子力規制委員会を当事者とする訴訟等もございまして、この規制基準の考え方が問われるというケースもございますので、そういうような場合においても使えることを念頭に置いて作成をしたということでございます。

それから、このようなものが初めて作られたのかという御質問でございますけれども、これにつきましては、以前から記者会見とかパブリックコメント等を始めまして、様々な機会で資料を作り説明をしてきたわけでございますけれども、こういう根拠となるような考え方につきましては、先ほど申しましたように、体系的に整理した資料がなかったということで、今回初めて作成をしたところでございます。

○山添拓君 初めて作成されたということなんですが、例えば、委員の皆さんには資料一でお配りしておりますが、ここの文章は一九九二年の伊方原発訴訟の最高裁判決をおおむねなぞったものかと思います。そういう意味では、旧規制基準の下での法解釈とほとんど同じだと。ただし、表現が微妙に変えられているところもございます。資料一の下に五ページと打ってあるところのマーカーの部分ですが、判決でも、原発の安全性が確保されなければ住民の生命、身体に重大な危害を及ぼし、周辺環境を放射能で汚染するなど深刻な災害を引き起こすと。だから、深刻な災害が万が一にも起こらないようにするため、規制行政による十分な審査が必要だと、こう言っています。

この深刻な災害が万が一にも起こらないようにするためという判決の文言が、今回の考え方では、「このような災害が発生する可能性を極めて低くするため、」となっていまして、表現としては若干後退した印象を受けます。これは、規制委員長にできればお答えいただきたいんですが、規制委員会として、深刻な災害が万が一にも起こらないようにする、こういう姿勢は取らないという姿勢なんでしょうか。端的にお答えいただきたいんですが。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 当然、私どもの規制は福島のような事故を二度と起こしてはいけないと。ああいう事故が起きる可能性があるなら、原子力の利用はやめた方がいいということを私は国会で何度か申し上げています。

ですから、新しい規制基準は、深刻な災害、重大な事故をできるだけ、私どもとしてはいろいろ知恵を絞ってそれを起こらないようにするというための規制基準になっているということを御理解いただきたいと思います。

ただし、事故もいろんなことがありますが、科学技術ですので、私どもとして考えの及ばないこともあるかということで、それはある種の科学技術に対する考え方というか哲学みたいなものとして、全く事故が起こりませんということを申し上げることはしないと。もしそれを申し上げたら、いわゆる昔の安全神話に戻ってしまうということも含めて、そういうことを申し上げてきております。

○山添拓君 それは、新規制基準をクリアしても絶対安全だと言えないということでしょうから、それではどうして世界最高水準だと言えるのかという疑問がございます。

また、その点はおくとして、深刻な災害が万が一にも起こらないようにする、これは原発が放射能という異質の危険を扱うものだからにほかなりません。そのために、審査基準の策定やあるいは基準への適合性の審査において最新の科学的、専門技術的知見に基づく総合的な判断が必要なんだと、これは最高裁判決や今回のこの考え方でも言っています。

国は、福島第一原発事故の以前には、最新の知見に基づいて判断してきたと言えるのかどうかと、今日はこの点を問いたいと思っています。福島第一原発の事故は、敷地の高さを超える津波が全交流電源喪失を決定的なものにしたものです。これが想定外だと言っている国や東京電力、その説明が正しいのかどうかが問われています。

この点で、二〇〇二年の七月に地震調査研究推進本部が発表しました「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」、この調査報告は重要な意味を持つと思います。

資料の二を御覧ください。この推進本部というのは、阪神大震災の教訓を踏まえまして地震防災対策特措法が議員立法で制定をされ、地震の調査研究を政府として一元的に推進するために政府の特別の機関として設けたものです。この推進本部が作ったのが長期評価です。

文科省に伺いますが、地震の長期予測について政府の初めての公的見解だ、こういうものだと理解してよいでしょうか。また、どういう方が参加して作ったものか、意見が分かれた場合にはどのような経過を経て公表することに至ったのか、この点を御説明ください。

○政府参考人(板倉周一郎君) お答え申し上げます。

地震調査研究推進本部は、平成七年に発生しました阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震に関する調査研究の責任体制を明らかにし、関係行政機関、大学等の連携の下、政府として一元的に地震調査研究を推進するために当時の総理府に特別の機関として設立され、現在は文部科学省に置かれているものでございます。その地震調査研究推進本部に設置している地震調査委員会は、大学等における地震研究者や調査観測を行う機関の者で構成されております。

地震に関する評価としましては、過去に発生した地震のデータを用いて、同じような規模の地震がほぼ同じ場所や間隔で繰り返し発生するという考え方に基づき、将来発生すると想定される地震の場所、規模、確率について評価し、これを長期評価として公表しております。

なお、長期評価に当たっては、委員会としての合意に基づき取りまとめているところでございます。

○山添拓君 ですから、参加された学者や研究者、この意見が一致する、言わば最大公約数として公にされているものだと思います。

二〇〇二年の長期評価では、歴史地震の記録やあるいは観測の成果に記された津波の記録、震度分布などに基づいて調査結果を吟味して、そして次の地震はどういうものか、これを予測しています。「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)」と書かれています。

どのような地震を予測したものであったか、これも文科省に御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(板倉周一郎君) お答え申し上げます。

地震調査委員会は、平成十四年に公表した三陸沖から房総沖の海溝型地震の長期評価におきまして七つの領域に分けて評価しており、その中の三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域に関しましては、震源域は具体的な地域は特定できないが、日本海溝に沿って長さ二百キロメートル程度の長さ、幅五十キロメートル程度の幅で、地震の規模につきましてはマグニチュード八程度、さらに、今後三十年以内の発生確率は二〇%程度などと評価しているところでございます。

○山添拓君 委員の皆さんは資料の三の一も御覧ください。マーカーを引いた下のところには、特定の海域、つまりここでは福島県沖なども含まれるんですが、ここでも今後三十年以内の発生確率は六%程度、五十年以内は九%と推定されるとしています。

二〇〇二年の長期評価は、この領域について政府の機関である推進本部が初めて策定したものです。防災対策のために信頼に足りる長期的な予測として公表されたものだと思いますが、この点は規制委員会としても特に異論はないでしょうか。規制委員長にお答えいただけますか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 地震調査研究推進本部は専門家の方々が検討されていることですので、私の方から何か申し上げることは特にはございません。

○山添拓君 特段その信頼性について否定するつもりもないということで伺ってよろしいでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 私から信頼できるとか信頼できないとかということを申し上げる立場にはありません。

○山添拓君 それは、地震や津波に対する対策を原子力規制行政として扱う立場として非常に無責任だと私は思います。今も長期評価というのは繰り返し更新され、発表されています。これに対して、信頼できるともできないとも言えないというのは、これは私はおかしいと思います。

次に参りますが、二〇〇二年の長期評価に沿って、その六年後、東京電力が津波のシミュレーションを行いました。結果、福島第一原発の敷地の南側で基準面から十五・七メートル、第一原発の敷地高さは基準面から大体十メートルですので、一号機から四号機で一メートル又は二メートル浸水するんだと、こういう結果が出ました。ところが、これはすぐには公にされなかったわけです。

重要なことは、この二〇〇八年の試算ですが、二〇〇二年の段階にも実施できたんではないかということです。長期評価が発表されて、これを受けて推計を行えば、程なくして福島第一原発で敷地高さを超える津波の可能性を認識することができたはずだと。

伺いますが、国は当時、長期評価に沿って津波のシミュレーションを行ったでしょうか。また、東電にその試算を指示したということはあったでしょうか。そして、なかったならばそれはなぜなのか、お答えいただきたい。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 私どもの調べた限りにおいては、規制機関でも東京電力でも、推本のその推定に基づいた評価はやっていない、津波評価はやっていないというふうに理解しております。なぜ評価をしなかったかということについては、私は詳細には存じ上げておりません。

○山添拓君 なぜ詳細に分からないんですか。これはレクの中でも通告しておりますし、調べてくるようにとお願いしているところです。なぜこの長期評価を踏まえてシミュレーションを行わなかったか、行うよう指示をしなかったか、もう一度お答えください。

○政府参考人(山田知穂君) 私どもで承知をしております範囲でございますけれども、土木学会の津波評価技術手法による津波評価については、手法策定後の二〇〇二年に、事業者が自主的に津波評価を行って原子力安全・保安委員会へ報告していたことについては承知をしておりますが、当時の長期評価の取扱いについては承知をしていないところでございます。

なお、それ以降の津波評価につきましては、二〇〇六年に耐震指針が改訂をされてございますけれども、その後の耐震バックチェックの中で行われるという予定となってございました。

○山添拓君 津波評価技術ということを今御紹介になりました。

土木学会の津波評価技術、これは民間機関のものです。しかも、土木学会というのは、これはこれまでにも何度かいろんなところで問題になっておりますが、委員や幹事三十名のうち十三名が電力会社の出身です。事務局も電力事業者です、原子力事業者です。研究費の全額を電力会社が負担してきたものです。

その津波評価技術というのは、原発の安全性を担保するための設計上の水位を求める、この津波の推計の方法を定めたものであって、津波評価技術というのは、この考え方は、津波を引き起こす地震がどういうものかについては明らかにしたものではありません。かつ、津波評価技術は、どういう地震を想定すべきかというときに、既往最大のもので構わないと、これまでに起こった最大のものを考慮すればよいというものでした。

これに対して長期評価というのは、先ほども御紹介いただきましたが、各地域における地震の発生可能性あるいは規模を予測するもので、想定し得る最大規模の地震、津波を考慮すると、こういうものです。過去に起こったものだけでは不十分だ、これから起こるかもしれないものを考慮すべきだと、そして、これこそが当時の地震予測の観点で最新の知見だったわけです。

資料の四を御覧ください。

東電は、二〇〇二年に、おっしゃったとおり、津波評価技術に沿って、一九三八年の塩屋崎沖地震、マグニチュード八・〇です、これを参考にシミュレーションを行っています。この地域での既往最大地震で試算をしたと、福島第一での津波水位は五・四から五・七メートルと予測をされたと。一方で、東電が二〇〇八年に行った推計では、長期評価の考えに沿って、一八九六年の明治三陸地震、これマグニチュード八・三、八・六とも言われていますが、これが福島沖でも起こり得るんだと、長期評価に沿って、この考え方を前提として予測をしました。マグニチュード、〇・三違うとエネルギーは約二・八倍になります。

長期評価に沿って推計を行えば、東電の試算を、当時の試算をはるかに超える津波高さ、福島第一で敷地高さを超えるような津波となるということは容易に想定できたはずなんです。なぜ国は長期評価に基づいて推計を行わせなかったんでしょうか。

○政府参考人(山田知穂君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、二〇〇六年に耐震指針が改訂されてございまして、その耐震バックチェックの中で評価をするということで予定をされてございましたので、その中でやるということでございました。

○山添拓君 それでは、耐震バックチェックの中で、この長期評価に沿って試算をするように、そういう指示をされたんですか。

○政府参考人(山田知穂君) 耐震バックチェックというのは、地震動についてのバックチェックと、それから津波についてのバックチェック、両方するようにということは指示はしてございました。

ただ、この耐震バックチェックの中では、中越沖地震がございましたので、まず地震動の方を先に評価をするということで順番に評価を進めていたということで、この二〇〇六年、それから地震が起きた時点ではまだ津波地震については評価をしていなかったというのがそのときの状況でございます。

○山添拓君 私はそれはおかしいと思いますね。二〇〇二年に長期評価という形で想定し得る最大の地震を想定すべきだと、こういう知見が新たに示されたわけです。そして当時、国も原子力発電所の津波対策が必要だと、このこと自体は十分認識されていたはずです。長期評価を津波想定に反映させなかったというのは、これは意図的に無視したとしか私は考えられないと思います。これまで起きた最大、既往最大だけでは足りないんだ、このことも既に指摘をされていたんです。

北海道南西沖津波を契機に九七年から九八年にかけて策定された太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査、あるいは幾つかの省庁にまたがって作られた手引というものがございますが、この中でも、一般的な防災対策としても想定し得る最大規模の地震津波を考慮すべきだとされていました。しかも、こういう中ですから、国がもはや既往最大、これまで経験した最大を考慮するだけでは足りない、想定し得る最大規模を考慮すべきだということを知っていたというべきだと思います。

こうして考えてみますと、結局、最新の科学的、専門的、技術的知見を判断に反映させるんだという姿勢を欠いていたと言わざるを得ないと思います。長期評価に基づく推計を二〇〇二年の段階で行わせていれば、敷地高さを超える津波の襲来を予見し得たと、敷地の高さを超える津波への対策をそこから取ることができたはずだと考えます。

ところが、従来の津波対策というのは敷地高さを超えないんだということに終始していた。敷地高さを超える津波の可能性を示唆するような知見はあえて排除して、起こることはないと決め付けてきたわけです。結果として、非常用電源も水没し、全交流電源が喪失する、炉心の冷却不能だと、こういう事態に陥りました。最新の知見を基準策定や適合性審査に反映させるという、その姿勢がなかったということではないでしょうか。

田中委員長に伺いたいんですが、現時点で振り返って、この二〇〇二年の長期評価の知見、規制行政に反映させなかったこと、結果として敷地高さを超える津波対策を行わなかったということについて反省すべきだとお考えでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 先生御指摘のように、1Fの事故がその結果として起こっているわけですから、それは深刻に反省すべきことだと思います。

そういった反省も踏まえて、私どもは今、規制基準も含めて審査においては、推進本部のいろんな診断、震源断層とか、加えて、津波の場合は土砂崩れとか、いろんな自然現象を全部考慮して、その上で最大津波の高さを評価し、それに耐えるような対策を求めているわけです。

ですから、おっしゃるとおり、過去のそういった規制は不十分だったということについては、それを私は否定するつもりはありません。

○山添拓君 私は、二〇〇二年の長期評価を、その知見を無視したことについて伺いました。

そして、今委員長は現在の新規制基準に基づく審査の中で推本の知見についても考慮に入れていると、こういうお話だったかと思います。すなわち、長期評価、推本による長期評価についても一定の信頼を置いている、こういうことではないんですか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) もちろん置いております。

ただ、私どもは置いておりますけれども、先ほどの御質問はちょっと意味が違ったというふうに私は理解しました。

○山添拓君 どう違うのか、にわかには分かりませんが、委員長にもう一度また改めて伺いますけれども、現在全国で福島第一原発の事故による被害賠償を求める裁判が取り組まれています。例えば、福島地裁で全国の四千人の方が原告になっている「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟、この中で被告の国は、二〇〇二年の長期評価について、これは座長だった学者の意向に沿うようまとめただけだ、あるいは、信頼性が低い、科学的根拠に基づかないものだと、こういう主張をしています。その上で、土木学会がまとめた津波評価技術が津波の波源設定から敷地に到達する津波高さの算定まで津波評価を体系した唯一のものだと、ここまで持ち上げているんです。国の機関である推進本部が作った長期評価については信頼性がないと言いながら、土木学会が作ったものについてはここまで持ち上げる。

委員長は、国がこうした主張をしている事実を御存じでしょうか。また、こうした主張についてどのようにお考えか、お聞かせください。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 国が裁判でどういった主張をしているかという、つぶさには存じ上げていませんけれども、先生が今おっしゃっているのは、推進本部が作っているのは震源、要するに、地震の断層の長さとかそういう震源、少し専門的に言えば、地震、地震力の大きさとか、そういうものを評価、それを、そこの場所をですね。ところが、土木学会は、それをベースにして津波が、それによって津波がどういうふうな大きさになるかというレシピなんですね。地震推進本部は、津波を、実際に地震から津波起こるまでのそういう評価式を出したのは今年の一月ですよ、初めて。

ですから、そこについては、違うものを比較しても、これはちょっと議論にならないというふうに私は思います。

○山添拓君 二〇〇二年の時点で長期評価が出されている、こういう地震を想定すべきだということが示されています。この地震の想定に基づいて、東京電力が二〇〇八年には実際に津波のシミュレーションをやっているんですよ。これ、二〇〇二年にできなかったものかといえば、当時もできたものなんですよ。それはもうはっきりしています。だったら、なぜ長期評価という知見が現れたときに国が率先してこれに沿ってシミュレーションをしろということをしなかったのかと、指導しなかったのか、このことを問題にしています。

今年、各地で国家賠償訴訟が判決やあるいは結審を迎えます。国の責任が判断されていく上で、今日の答弁は極めて重要なものだと私は思っています。

最後に、時間の許す限りで次の質問に参ります。

二〇一六年の九月に北陸電力の志賀原発二号機で雨水が流入して漏電したという事故が起こりました。どのような事態だったか、御説明いただけますでしょうか。端的にお願いします。

○政府参考人(山田知穂君) 御指摘の事象につきましては、志賀原子力発電所内の道路が雨水により冠水し、その雨水が道路脇の縦穴などを通じて原子炉建屋のケーブル貫通部などから原子炉建屋内に流入したというものでございます。原子炉建屋内に雨水が流入したことによりまして、当該建屋、地上一階にある照明分電盤、ここに水が掛かりまして、この分電盤に漏電、地絡、電気事故が発生をしたというものでございます。

なお、被水した分電盤については、地絡、漏電しても電気が送られる設計となっていたということで、要求される安全機能は喪失していなかったということで、結果論ではございますけれども、安全上の問題はなかったというものでございます。

○山添拓君 資料の六に記事を付けておりますが、田中委員長のコメントとして、これほどの雨が流入するのは想定外だったと、安全上重要な機能を失うおそれもあったと紹介をされています。ただし、当時の雨量は最大で一時間二十六ミリだと。この志賀町でいえば、大雨注意報が出るレベルより低いぐらいです。自然現象としては当然想定しておくべきものかと思います。新規制基準はもちろんですが、旧基準の下でも、想定される自然現象によりその安全性を損なうおそれがある場合には適切な措置を講じるべきことが義務付けられていました。

委員長は、今回の事態をどのように受け止めておられるか、お願いします。

○政府特別補佐人(田中俊一君) これは、そういうことを想定できていなかったということについては十分反省しなきゃいけないし、そういう反省に立って、早急に雨水等の貫通孔を塞ぐとかそういう対策を、全ての原子力発電所に調査し、今それを求めています。

○会長(金子原二郎君) 山添拓君、時間が来ています。

○山添拓君 最後に、東日本大震災のように、津波が敷地高さを超えると、それは想定外だと言い、今度また開口部から雨水が流入すれば、また想定外だと言うと。これ、常に行き当たりばったりじゃないですか。深刻な災害を万が一にも起こさないという姿勢とは程遠いと私は思います。原子力の異質の危険を踏まえた対応とは言い難いものです。

こうした下で全国の原発を再稼働するなどもってのほかだということを申し上げて、質問を終わります。

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