山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2017年2月27日

JR只見線復旧へ 町と住民の決断

JR只見線の調査で会津へ行ってきました。春らしい日差しがあるもののさすがに雪深く、只見ではまだ数メートルの積雪が。

只見線は2011年7月の豪雨災害で一部不通となり、現在も福島県の会津川口(金山町)と只見(只見町)間27.6kmが不通です。この区間の4つの橋梁が流失や損傷し、復旧に81億円かかるといってJR東日本は手をつけず、そのままバスへの転換を主張してきました。水害前には、廃止の話はなかったにもかかわらず、です。

沿線をはじめ会津の17自治体と福島県、新潟県とが復興推進会議を設置し、国とJRもオブザーバーとして参加。今年2月に上下分離での復旧を決定し、3月下旬にもJR側へ正式に復旧を要請する予定です。

全国で赤字ローカル線が廃線の危機にあるなか、只見線がなぜ鉄道での復旧へと歩みを始めたか。これが今回の訪問のテーマでした。
意外にも、金山町でも只見町でも、鉄道での復旧は大前提という印象でした。災害で予期せず不通になったという背景がありますが、それ以上に、鉄道を残したいという住民、自治体の強い意志が感じられます。

只見町の総合政策課長が、ある住民から「(鉄道かバスかという話ではなく)まちづくりをやっていく覚悟があるのかということでないのか」と言われたと話されました。地域で存続に向け支援する方は、過疎化が進み10年後には人口は半減する、そうしたなかで地域をどうつくっていくか、その鍵としての只見線だとおっしゃります。

金山町の長谷川盛雄町長は、これまで「只見線は空気のような存在だった。あって当たり前」、しかしなくなってみて初めて、ほかにはないものがあると気付かされたといいます。そして存続させることで只見線だけでなく、全国の赤字ローカル線の希望となりたいと。

金山町は年間1300万円、只見町は2000万円近い維持管理経費を負担していく計画。その住民負担については賛否激しい意見があります。ただ、「これ以上放置すると経年劣化で復旧経費がさらに増える、ぎりぎりのところでの妥協だ」という金山町長の話からは、沿線自治体としても苦渋の決断であることがわかります。
本来、4200億円もの経常利益をあげるJR東日本は、きちんと復旧し路線を維持すべきであり、国も安易な廃線を認めるべきではありません。国や鉄道事業者の姿勢をただしつつ、現在の沿線自治体が置かれた状況には寄り添うことが求められていると思います。

帰路、只見から新潟県側の小出まで、只見線に乗車しました。1両ほとんど貸切状態で出発。雪で覆われた峠を、ゆっくりゆっくり越えていく。
途中、下校の高校生や地元の方の利用もありました。地域の鉄道を最も必要とする方が、困らない未来でありたい。

写真は、寸断された鉄橋と、只見町での懇談の様子、只見駅で発車を待つ列車。

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