2017年・第193通常国会
- 2017年4月6日
- 国土交通委員会
森友学園問題 『損害賠償請求のおそれ』根拠なし
- 要約
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- 航空局の地下3,8メートルやくい打ち箇所の9,9メートルでゴミがあるとした説明には、聞き取りだけで客観的な証拠がないことを指摘。
- 「損害賠償請求のおそれ」から国有地の値引きをしたという財務省の発言について、賃貸契約での支払いの約束は地下3メートルの範囲であり、発言の根拠がないことを明らかにした。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。 私からも森友学園をめぐって御質問いたします。 ここでは塚本幼稚園で教育勅語を幼児に暗唱させるなど、その指導も重要な問題とされてきました。そこで、ちょっと質問の順序を変えまして、政府が三月三十一日に教育勅語を教材として用いることは否定されないという答弁書を閣議決定をいたしました。菅官房長官は道徳教材として使うことも容認するような発言をされています。石井大臣は安倍内閣の閣僚の一員としてどのような認識でしょうか、これ菅さんと同じ認識なんでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 教育勅語の取扱いについては国土交通省の所管外でございますので、お答えする立場にはございません。
○山添拓君 閣議決定ですからね。石井大臣も出席の場で、これ閣議に参加して行っているわけです。菅さんと同じ認識なのかどうかということを否定をされませんでした。お国のために命を差し出せという教育勅語を、従うべき道徳だと、規範だとして教えて構わない、これあえて否定をされない、時代錯誤も甚だしいと思います。 森友学園に売却された国有地の問題、次に伺っていきますが、大阪航空局が地下構造物の状況調査を行っています。その結果が二〇一〇年一月の報告書として、今日お配りした資料の中では一ページから三ページ、抜粋をお配りしています。まず、レーダー探査で異常を認めた六十八か所について試掘を行い、確認をしています。試掘の掘り止め深度は、地山深度、地下埋設物がなくなる深度でおおむねGLマイナス三メートル、地下三メートルにしたんだ、こうあります。ばらつきはありますけれども、おおむね深さ三メートルで地山に到達した、地下埋設物がなくなる深度に到達したんだ、これは間違いないでしょうか。簡潔にお答えください。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 先日、参議院の決算委員会で辰巳孝太郎委員からの御質問に対して私ちょっと明確にお答えができなかったので、その点をちょっと補足させて説明をさせていただきます。 その平成二十二年の地下構造物状況調査におきましては、御指摘のとおり、まず地表三メートル以内を調査対象とするレーダー探査を行いまして、その後、レーダー探査で推定された異常箇所六十八か所においておおむね三メートルを深度とする試掘を行っております。 それで、今委員御指摘の当該調査報告書におきまして、試掘の掘り止め深度は地山深度でおおむね三メートルとするという記載がございますけれども、これは、レーダーが届くおおむね三メートルの範囲において異常が認識された六十八か所についておおむね三メートルの試掘を行い、一旦ごみが途切れたところを地山深度としているものでございます。そのため、三メートルよりも深い深度にごみはないということを証明するものではございません。
○山添拓君 そこまでは聞いていないんですよ。ここに書いてあるのは、おおむね三メートルで地山に、地下埋設物がなくなる深度に到達したかどうか。そして、現にこの報告書では、確かに三メートルだけじゃありません、中には三・九メートルまで掘ったというものもありますけれども、それで地下埋設物がなくなる深度に到達したんだ、こういう報告書を上げているわけです。 ところが、その後、建物建設のくい打ち部分以外の土地については深さ三・八メートルまで満遍なくごみがあったと判断するに至っています。これは、いつどのような根拠で判断したんでしょうか。改めて御説明ください。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 見積りに当たりまして、くい掘削箇所以外の部分の深さにつきましては、まず第一に、今御指摘の平成二十二年の地下構造物状況調査の結果。この調査におきまして、三メートルを超える深さのところにおいても廃材等のごみがあることが確認されていること。二つ目に、平成二十八年三月の工事関係者による試掘の結果。工事関係者による試掘におきまして、三・八メートルの深さまで廃材等が存在していることが確認され、このことをメジャーで三・八メートルを指し示している工事写真や、近畿財務局、大阪航空局職員の現地確認により確認をしたこと。三番目に、池や沼であった本件土地の地歴。本件土地が昭和四十年代初頭まで池や沼であり、地下の深い層から浅い層にかけて廃材等を含む相当量のごみが蓄積していると考えられること。 こういったこの三点を踏まえまして、くい掘削工事箇所以外の部分につきましては、地下三・八メートルの深さまで廃材等が存在すると設定をして見積りを行うことが合理的であると判断をしたものでございます。
○山添拓君 財務省に伺いますが、念のためですが、今の三・八メートルの根拠、財務省も同じ認識でしょうか。
○政府参考人(中尾睦君) 本件に関しましては、地下埋設物が発見されて以来、近畿財務局と大阪航空局で緊密に連携しておるものでございますので、同様の認識でございます。
○山添拓君 国交省に伺いますが、先ほど、メジャーで計測をした写真があるんだと。これは、いつ誰が撮影したものですか。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 この写真は、私ども、工事事業者から入手をしたものでございますけれども、工事事業者から聞いてございますのは、平成二十八年の三月二十五日又は三十日に撮影したというふうに聞いてございます。
○山添拓君 深さ三・八メートルまでごみがあるんだと分かる写真なんですか。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 この工事提供者から提供を受けた工事写真では、試掘坑におきましてごみの層の深さをメジャーで計測をし、三・八メートルを指し示している様子が確認できるということでございます。
○山添拓君 今、試掘とおっしゃいました。試掘は何か所行っているんですか。
○政府参考人(佐藤善信君) 工事関係者が試掘を行ったわけでございますが、全部で八か所行ったというふうに聞いてございます。
○山添拓君 従来、七か所という説明だったと思いますが、それぞれ何メートルまでごみが見付かったんですか。そして、三・八メートルというのは、その平均値なんですか、全部三・八なんですか。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 全八か所で、七か所というのは多分財務省さんが提出された資料の中にそのように書いてあったと思いますけれども、私どもが工事関係者から聞いてございますのは全八か所ということでございます。 この全八か所について廃材等が確認をされておりまして、今回見積りの対象としておりますのは本件としての全体のうちの約六割でございますけれども、この見積りの対象としているところにつきましても、五か所におきまして廃材等が確認されているということでございます。 それから、試掘において確認をされた廃材等の深さでございますけれども、三・八メートルでありますとか二・七メートルでありますとかでございます。三・八メートルまで廃材等が確認されたのは、この八か所のうちの一か所だというふうに聞いてございます。
○山添拓君 あとの四か所ですね、今回見積りの対象となっているところ。これは三・八より浅いということですか。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 それ以外のところでありますと、深いところで二・七メートル、浅いところでは一・二メートルとなってございます。
○山添拓君 結局、三・八ってね、それ一個あったとおっしゃいますけど、その写真も示されていないし、八か所目がどこなのかということも教えていただいておりません。 先ほどメジャーで測った写真があるとおっしゃいました。八か所の試掘のときの写真、提出いただくべきじゃないでしょうか。
○政府参考人(佐藤善信君) 先ほども申し上げましたように、この写真、工事事業者から提供を受けてございますので、その提出に当たりましては当該事業者の了解を得る必要があると考えてございますけれども……(発言する者あり)はい、ということでございます。
○山添拓君 委員会として改めて提出を求めていただきたいと思います。
○委員長(増子輝彦君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○山添拓君 工事業者は、基礎工事では一・五メートルほどしか取っていないというような報道もあります。建設工事への影響すらなかったというものです。今お話しになりましたように、結局、客観的な証拠というのは何もなくて、あると言っているものも出そうとしないと、こういうことです。さらには九・九メートルまでもごみが出たと言っているわけです。 地下埋設物がなくなる深度が三メートルだとしていた二〇一〇年の航空局の調査、これは不十分だった、誤りだったというふうな認識なんでしょうか、国交省。
○政府参考人(佐藤善信君) お答え申し上げます。 先ほどもお答えいたしましたですけれども、平成二十二年の地下構造物状況調査において地山深度の記述がございますけれども、これは、レーダーが届くおおむね三メートルの範囲において異常が認識された六十八か所についておおむね三メートルの試掘を行って、一旦ごみが途切れたところを地山深度としているものでございます。したがいまして、三メートルよりも深い深度にごみがないということを証明するものではございません。
○山添拓君 この二〇〇九年から二〇一〇年にかけての調査というのは、三か月も掛けてレーダー探査と試掘を行っているんです。一定の根拠に基づいて廃材等の埋設量を割り出しています。森友学園が二〇一四年十二月に行ったボーリング調査の結果でも、おおむね三メートルより深いところでごみは発見されていません。ですから、客観的な証拠は、いずれも三メートルまでしかごみがないことを示しています。 これに対して、八・二億円の値引きにつながる三・八メートルとか九・九メートルという数字、これはヒアリングだけで客観的な証拠は一つもありません。航空局が自ら作成したものも含めて客観的な証拠を無視してヒアリングのみを論拠にする、これどう考えても不合理だと言わなければなりません。航空局の調査というのは業者の一声でひっくり返ってしまうような信用性の低いものだったんでしょうか。本当に納得いかないものだと思います。 次に、政府は、三メートルより深い位置でのごみの発見によって学校建設が遅れる、森友学園から損害賠償を請求されるかもしれないと認識して急いで見積りを行ったんだと、こう言っています。しかし、当時の契約上、本当にそういうおそれがあったのかどうか。 資料の四ページに貸付契約を載せております。この五条一項には、森友学園が二〇一〇年の報告書等に記載された地下埋設物の存在を了承するとあります。そして六条一項では、森友学園が、この五条一項に言う地下埋設物、報告書に記載のある三メートルまでの埋設物を除去した費用を有益費とする、そしてこの分を国が森友学園に返還するとしています。一方で、三十一条があります。これは、乙は、森友学園は、本契約において甲が、つまり国が乙に対して支払うことを約するものを除き、貸付財産に関して乙が支出した必要費及び有益費等について、甲に対しその償還等の請求をすることができないとしています。 この契約で支払を約束した分というのは三メートルまでの分ですから、それ以外に新たにごみの撤去費用が掛かったとしても森友学園は有益費の請求はできないんだと、国の負担で撤去すべきではないということを記したのがこの契約書だったんではないんでしょうか。
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。 委員御指摘の平成二十七年五月二十九日に近畿財務局と森友学園で締結した国有財産有償貸付合意書第三十一条でございますが、契約時点において明らかとなっております地下埋設物につきましては隠れた瑕疵に該当しないということを明確化している趣旨でございます。 他方、同日に締結されております売買予約契約書第四条四項におきましては、価格の算定に際しては算定時における地盤の現況を価格要素として考慮することとしておりまして、売買契約時点において明らかになっている土地の瑕疵については価格形成要因として評価上考慮することを明示しておりましたところでございます。 これを受けまして、平成二十八年三月十一日に、委員御指摘のとおり、新たに深いところの地下埋設物が発見されたという連絡があったわけでございますけれども、仮に学校開設が遅れることとなれば、損害賠償の訴訟を含め国の責めを問われるおそれがありました中で、いまだ明らかとなっていない瑕疵も含め本件土地に関する一切の国の責任を免除するとの特約条項を付すことを念頭に置き、本件土地の経緯に関する知見や公共工事についての知見を生かし、一般的な工事積算基準に基づいて埋設物の撤去費用を見積もり、土地の時価に反映したものでございます。
○山添拓君 後半の方は全然聞いていないことをおっしゃったんですけどね。この契約書、貸付契約の段階では、国が撤去費用を支払う対象というのは報告書にある三メートルまでの分だけだと。それ以外見付かったとしても国は負担しないという契約だというのが自然だと思います。ですから、損害賠償を請求されることにもならないと。急いで売買に移行したり、あるいは慌てて撤去費を見積もるという必要もなかったわけです。今の財務省の説明は、三メートルより深い部分の撤去費用を支払うためにわざわざ言った後付けの理屈だと言わざると得ないと思います。 今度、森友学園が設置認可の申請を取り下げましたので、学校用地として使用されることはなくなりました。売買契約で指定された用途を達しないことになりました。今後、財務省としてはこの土地についてどのように対応する予定でしょうか。
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。 森友学園の売買契約上の義務、すなわち平成二十九年三月三十一日までに本件土地を小学校の用に供する義務は履行できないことが確定をいたしております。これを受けまして、国として土地の返還等を森友学園に求めていくこととなります。
○山添拓君 終わりますけれども、所有権国に戻すとともに、森友学園には原状回復の責任果たさせる方策を十分に取ることを求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。