山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2017年5月25日

「ぼったくり」にも加担 闇ガイドを増やすな

国土交通委員会で通訳案内士法、旅行業法の改定案について質問。

通訳案内士とは外国人旅行者のガイドの国家資格。現在、資格をもたない人は、有償ガイドをすることが禁止されています。この業務独占を廃止し、試験も研修もなく誰でも有償ガイドをできるように規制緩和しようという法案です。

全国で2万人の通訳案内士がいますが、就業しているのは4分の1、専業は6%しかいないといいます。なぜそんな事態となっているか。違法な無資格ガイドを国が放置してきたからにほかなりません。

中国や韓国からの団体旅行では、無資格ガイドが9割といいます。無資格なので無報酬とする代わり、お客さんを「ぼったくり」の免税店に連れ回します。
私も先日、銀座や秋葉原の免税店に行ってみました。普通の薬局では見たこともない「納豆キナーゼ360粒」14万8000円也が「注目商品」とされていて、箱買いしている中国人旅行者を目にしました。別の店では炊飯器が13万8000円也。日本人だからか警戒され、店員があとをついて回り、パスポートを見せよという。日本人だと言うと、「免税店ですから…」などとわからないことを言う。やましいことがなければ考えられない対応です。
無資格の闇ガイドは、バスの車内で「日本人はみんなこれを飲んで長生き」など宣伝し、「他の店ではぼったくりに遭うからこの店だけで買うように」と教え込む。そして客が買った額に応じてキックバックを受け取ります。ガイドが無報酬な分、そうしなければ自身の旅費すら賄えない実態があります。
入管法違反に所得の無申告、白タクに薬事法違反とやりたい放題。ガイドをすれば「大阪城を建てたのは徳川家康」ーー。

これが日本の「おもてなし」なのか。無資格ガイドを合法化すれば、闇ガイドはますます横行するでしょう。歴史や文化を豊富な知識で正確に伝える、質の高いガイドで訪日客の満足度を高めてきた制度を、安易に捨てるべきではありません。

実は今度の改定案、所管する観光庁も乗り気ではありませんでした。1年半前に規制改革推進会議で提案された際に、観光庁は「通訳案内士を質量ともに充実させることが必要だ」として「対応不可」、業務独占廃止は応じられないとしていました。通訳案内士団体からのヒアリングでも、廃止すべきとの意見は全くありません。ところが、初回の会議から議長が「廃止すべき」とやり、わずか3回で廃止を結論づけました。
当事者団体も所管省庁も無視して、内閣府に置いた規制改革推進会議が上から方向性を決める。「改革」などという上等なものではなく、乱暴な規制破壊にほかなりません。
加計学園でも似た構図がありますが、いい加減、こうした政治の進め方はやめるべきだ。

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