2018年9月28日
米国議会で行政監視を学ぶ
27日はアメリカの連邦議会へ。議会調査局、共和党と民主党の下院議員各1名、保健福祉省の監察総監室と相次いで意見交換という日程でした。
いくつか示唆的な話がありましたが、興味を持ったのは監察総監室(OIG)。各省に設置され、全体では1700名の組織。1兆ドルを超える予算で各省の施策が不正なく行われているかをチェックしている機関です。
保健福祉省の場合、医療保険制度のメディケア、メディケイドにより医療機関などに支払われる診療報酬のチェックなどが主で、調査によって年間30億〜50億ドルを基金に戻させているといいます。
省内の組織が監察する際の独立性はどのように担保されるのかと聞いてみました。
この総監室は各省の長官直属で、報告は長官を経由して議会へなされます。各省にリポートするのでないため省の承認は不要で、顧問弁護士事務所を中心に省内の施策遂行側とは独立して監察するとのこと。「我々の調査に影響力を行使できる者はいない。ボスは議会であり市民だ」とお話しでした。
ただし、総監室が行う調査はほとんどが対外的なもので、内部調査は告発者などがいないと難しく中程度の成功率であるとも。このあたりの事情はどの国も同じかも知れません。
そもそも年間3000億円以上の不正があること、その発生した問題への対処のために莫大な人員と予算を投じているのが果たして効率的かという疑問もありつつ、行政内部での仕組みも様々な工夫があり得るということは勉強になりました。
写真は、国会議事堂を背景に今回同行した議員、事務局のみなさんと。
あっという間に帰国の日となりました。日本でまた報告もさせていただきます。