2019年・第198通常国会
- 2019年4月25日
- 国土交通委員会
下関北九州道路計画の復活経過について追及
- 要約
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- 国交委員会で、今年度、国直轄事業に引き上げられ、4千万円の調査費が付いた下関北九州道路について質問。2008年に凍結された同計画を、他の5つの海峡横断プロジェクトとは違うと復活させた石井国交大臣に対し、凍結に至った経過も過去の国会答弁も無視して建設ありきで進むことは許されないと追及。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
下関北九州道路について伺います。
今年度、国直轄事業に引き上げ、調査費が四千万円付けられました。そこに恣意的な判断が入り込み、利益誘導あるいはそんたくがあったのではないかが問題となってきました。
下関北九州道路のように、地域高規格道路の調査を国の直轄事業に引き上げ、調査費を付ける際の判断基準は何ですか。
○政府参考人(池田豊人君) 今御指摘のありました地域高規格道路に限らず、直轄調査を採択する場合におきましては、データに基づく渋滞や交通事故などの道路交通の課題の状況及び周辺道路の整備状況などを総合的に勘案した上で、個別の路線の調査着手を判断しているところであります。
また、なお、地域ごとに地形や気候や産業構造などが違いまして、多様な実情がございます。また、物流の効率化、地域の活性化、観光振興、医療、防災など、それぞれの地域が求める政策ニーズも多様でありますから、こうした地域の実情を踏まえながら、路線ごとの個別に調査の実施を判断しているところでございます。
○山添拓君 いろいろおっしゃるんですけれども、結局、最終的には総合的な判断、個別判断ということで、客観的な基準はないわけですね。
確認ですけれども、国直轄で調査を行った事業は、結果として全て国直轄で整備を行って、調査だけで終わったという事業はありませんね。
○政府参考人(池田豊人君) 直轄の調査に入った事業につきましても、長期間事業に着手できていない、現在においても事業に着手できていない事業がございます。
○山添拓君 中止した、やめたというものはあるんですか。
○政府参考人(池田豊人君) 将来にわたってやらないというふうにはっきりしているものはございませんが、長期間やっていないものはございます。
○山添拓君 まあ、要するに計画としては残っているわけですよ。
これ、整備段階になると、BバイCなどを見るのでちゃんと見るんですよと、客観的に見るんですよと言うわけですけれども、BバイCの段階に行きますと、これはもう一を上回るように数字を操作するというのが常でして、東京湾アクアラインのように計画交通量と実態とが、実績とが大きく乖離するという例はもう幾らでもあります。だからこそ、調査費を付ける段階での透明性が問題なわけです。ところが、その基準は総合判断、客観的なものはない、恣意性が排除されないということであります。
海峡横断プロジェクトとして二〇〇八年に凍結された計画を国土強靱化をうたう安倍政権の下で復活させたのは石井大臣であります。大臣は二〇一六年の夏頃、下関北九州道路はほかの五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあるのではないかという問題提起をしたとおっしゃいます。
大臣、なぜそのような問題提起をしようという気になられたんですか。
○国務大臣(石井啓一君) 私は、二〇一五年、平成二十七年の十月に国土交通大臣に就任をいたしまして、その後、福岡県知事さんや山口県知事さん、また地元の市長さん等から、この下関北九州道路について御要望等を承ってまいりました。
当初は、事務方からの説明によりまして、平成二十年三月にこの下関北九州道路を含みます六つの海峡プロジェクト、これは東京湾口道路、伊勢湾口道路、紀淡海峡道路、それから豊予海峡、それから関門海峡、そして島原・天草道路ということであります、海峡ということでありますけれども、この六つの海峡プロジェクトについては今後直轄の調査は行わないという決定をしているという説明を聞きまして、当初はそういうものかなということで、いろいろ御要請伺いましたけれども、恐らく相当そっけない対応をしていたのではないかというふうに思いますが、その後、翌年二十八年の四月に熊本地震が発生をいたしまして、救援物資等の輸送でこの関門海峡、関門道路、関門海峡大橋が非常に重要な役割を果たしたということを再認識をいたしまして、やっぱり災害時の代替路の重要性ということも改めて認識をいたしましたし、また、度々地元の御事情等を伺っていく中で、現在、関門道路、関門トンネル、関門海峡大橋あるわけですけれども、渋滞が激しい、あるいは頻繁に通行止め等があると、そういった現状の道路についての課題もある。そういうこともるる聞くことになっておりまして、私の中で徐々にこの関門海峡、下関北九州道路についてはほかの五つの海峡プロジェクトとはやっぱり違いがあるんではないかという思いが強くなってまいりまして、平成二十八年の夏頃にそういう問題意識を事務方に伝えたところでございます。
○山添拓君 地元の要望があってということなんですけれども、その中には、二〇一六年の三月三十一日、関門会、安倍首相も入った関門会の要望、この中で下関北九州道路の早期建設促進が話題となって要望することに至ったと。
この関門会の要望も、その地元からのいろんな要望の中に入るわけですね。
○国務大臣(石井啓一君) 関門会の要望も平成二十八年三月に受けたことは確かでありますけれども、先ほど言いました私の問題意識の直接のきっかけになったものではございません。
○山添拓君 いろいろ要望があると言いながら、なぜかこの三月の関門会の要望は違うんだとおっしゃるんですね。
ほかの五つの海峡横断プロジェクトとは違うと、こういう位置付けをされたのも、これも地元の要望から出た発想なんですか。
○国務大臣(石井啓一君) 位置付けをしたといいますか、地元の実情を聞くと、私なりにこの六つのプロジェクトを整理をしてみると、やはり違いがあるんではないかという認識をしたということであります。
○山添拓君 二〇一六年の八月一日、下関北九州道路整備促進大会が下関市で開催されています。小川洋福岡県知事は、海峡横断プロジェクト凍結という呪縛を国に解いてもらい、早期に調査に入っていただきたい、こう述べたといい、経済界でつくる関門連携委員会の吉村猛委員長は、第二関門は既存のルートを補完、強化するもので、ほかの海峡プロジェクトとは違うと訴えたのだそうであります。
ですから、大臣が言うほかの五つの海峡横断プロジェクトとは違うというアイデア、これも、こういう地元の要望から出てきたものじゃないんですか。
○国務大臣(石井啓一君) シンポジウムですか、その件について私はよく知りませんけれども、地元の実情等々を聞くに及びまして、ほかのプロジェクトとの違いがあると。やはり関門海峡というのは本州と九州を結ぶ日本の大動脈でありますし、また、現在ある関門トンネルあるいは関門海峡大橋につきましても慢性的な渋滞や頻繁に通行止めが起こっていると、また災害時にやっぱり代替路の重要性もあるといったことで、ほかの海峡プロジェクトとは違いがあるというふうに認識するに至ったということでございます。
○山添拓君 否定はされませんでした。
海峡横断プロジェクトのままであれば凍結されていて動かせないのでこれとは別の位置付けをすることで動かすようにと要望されて、大臣がそれにそのまま従う形で省内で問題提起を行ったということであります。
資料をお配りしておりますが、大臣の問題提起を受けて国交省が作成をして大臣に説明した際の資料が、二〇一六年十月七日付けとされる二ページ以下の八枚であります。その後、大臣は、十一月十六日の衆議院国交委員会で公明党議員の質問に答えて、下関北九州道路は他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあると認識しておりますと、こう答弁されるに至ります。ところが、この間に、夏頃から十月、十一月までの間に下関北九州道路に関して国交省内の資料というのはこの八枚しかないということなんですね。二枚目から見ていただくとパンチの跡が見えますけれども、ファイルされていたもののようなんですね。
これ、何のファイルでしたか。前後には何がとじられていたんですか。
○政府参考人(池田豊人君) 当時の資料の確認をいたしましたが、下関北九州道路の必要性を再整理するに至った資料としては、この提出した資料及び十一月十六日の国交委の答弁書を大臣に説明した資料、ほかにはございませんでした。
○山添拓君 何にもお答えになっていないんですけど、私、今日ファイル持ってきてくださいと言ったんですけど、お持ちですか。
○政府参考人(池田豊人君) ファイルを提出するようにとのことですけれども、先ほど申し上げましたように、下関北九州道路の必要性を再整理をするに至った資料はほかにはありませんでしたので、ファイルの提出については差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 経済調査室の担当者のファイルであって、これ雑多なもの、いろんな資料の中に紛れていたものだというふうに昨日伺いました。ということは、ほかの資料、ほかのファイルの中にもどこかに埋もれている可能性あるということなんですか。
○政府参考人(池田豊人君) この当時の担当者の聞き取りを含め、資料の確認をいたしましたけれども、下関北九州道路の必要性を再整理するに至った資料としては、先ほどの提出いただいている資料と、十一月十六日国交委の答弁書、答弁書を作る際に大臣に説明した以外にございませんでした。
○山添拓君 三年前の話ですので、データやメモやメールの類いもあるかと思います。
確認いただくように理事会でも協議いただきたいと思います。
○委員長(羽田雄一郎君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 大臣に伺いますけれども、ほかの五つの海峡横断プロジェクトとは違うというのは、これはどういう意味なんでしょうか。下関北九州道路は海峡横断プロジェクトの一つなのか、それともそうではないということなんですか。
○国務大臣(石井啓一君) 下関北九州道路は、海峡横断プロジェクトの一つではありますけれども、一方で、ほかの五つの海峡横断プロジェクトというのは、これは現状、トンネルも橋もございません。造るとすると全くの新設の道路ということでありますけれども、この関門海峡については既に関門トンネル、関門海峡大橋という現在二つの道路がある、なおかつ、その二つの道路に様々な渋滞ですとか通行止めといった課題を抱えている、既につながっている幹線道路の課題の解消といった性格も下関北九州道路は持っているということでございます。
○山添拓君 しかし、この八枚の資料のどこにも、ほかの五つの海峡横断プロジェクトとの違いというのは明記されていないんですね。大臣の十一月十六日の答弁では、ほかの五つのプロジェクトとは違いがあると認識していると明言されているんですね。これは、いつ、誰が整理されたんですか。
○国務大臣(石井啓一君) それは、もう地図見ていただければ分かるとおり、ほかの五つの海峡プロジェクトはトンネルも橋もない、それに対して関門海峡は既にトンネル、橋があるということで明確に違いがある。なおかつ、その現在のトンネル、橋が様々な交通渋滞や通行止め等の課題を抱えているということでありますから、それは明々白々たる事実ではないかと、こういうふうに思います。
○山添拓君 それは十一年前も同じなんですよ、二〇〇八年時点でも。国交省が凍結をした際、プレスの資料では、海峡横断プロジェクトの調査については、個別のプロジェクトに関する調査は今後行わないとしていたんですね。下北道路も海峡横断プロジェクトの一つでありながら、調査を再開していくというのであれば、これに反するじゃありませんか。その大事な判断を、大臣の問題提起と、この八枚の説明資料のみで行ったとおっしゃるんですか。
しかも、この八枚というのは、私が確認しただけでは、うち四枚は整備促進期成同盟会の資料をそのまま引用したものですよ。それだけで判断された、明々白々だと言って判断されたと、こうおっしゃるんですか。
○国務大臣(石井啓一君) ほかの五つの海峡横断プロジェクトと比べて、現在既に道路があるということと、既につながっている既存の幹線道路がある、そこにまた課題があるといったことを整理した資料だと思います。
あと、御質問は何ですか。
○山添拓君 ですから、決定過程が極めて曖昧なんですよね。透明性を確保するために、冬柴大臣の時代に、国会に諮ると約束した答弁がありました。それを曖昧にして呪縛を解くと。地元の要望によって、ほかの海峡横断プロジェクトと違いがあると、こういう言い方で復活を可能にしていく。私は、それ自体が恣意的な判断であると思います。
この地域高規格道路というのは、調査段階の候補路線と整備に進む計画路線の二段階で指定をされます。九四年に第一回の指定がされ、九八年の第二回の指定で、候補路線百十路線、計画路線百三十八路線となりました。
現在の候補路線は百八路線だといいます。これまでに候補路線から計画路線に格上げになった路線は幾つありますか。
○政府参考人(池田豊人君) 地域高規格道路の候補路線が平成二十年の時点で百十路線ありましたけれども、その後に二十八年四月と二十九年四月に一路線ずつ計画路線に指定されまして、現在は百八路線になっているところでございます。
○山添拓君 最後に質問しますけれども、計画路線は大臣が指定するとされています。候補路線から計画路線に格上げする場合の手続、その判断基準について御説明ください。
○政府参考人(池田豊人君) 地域高規格の候補路線は、地域高規格道路として整備を進める妥当性や緊急性について基礎的な調査をする路線ということであります。地域高規格の計画路線は、地域高規格道路として整備する路線ということで決めております。
その指定について、都道府県からの要望を受けた上で、候補路線については道路局長が、計画路線については大臣が決定するという、こういう仕組みになっております。
○委員長(羽田雄一郎君) 時間が来ておりますのでおまとめください。
○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、かつて凍結に至った経過も過去の国会答弁も事実上無視をして、恣意的な判断を可能にして道路建設ありきで進むことは許されない、このことを強調して、質問を終わりたいと思います。