2019年・第200臨時国会
- 2019年12月3日
羽田空港の新飛行ルートに関する質問主意書及び答弁書
- 要約
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- 11月21日に提出した質問主意書に対する答弁書が12月3日に届きました。航空機の部品落下件数が増えていること、羽田新ルートの広告に5年で10億円以上かけていることなどが明らかになりました。
質問第六八号
羽田空港の新飛行ルートに関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
令和元年十一月二十一日
山添 拓
参議院議長 山東 昭子 殿
羽田空港の新飛行ルートに関する質問主意書
政府は、首都圏の空港の機能強化策の一環として、羽田空港の国際線を増便するために離着陸ルートを変更し、二〇二〇年三月二十九日以降、都心を含む人口密集地の上空を超低空かつ多頻度で航空機を飛行させようとしている(以下「新飛行ルート」という。)。
しかし、新飛行ルートの直下やその近辺の住民からは、騒音、落下物、墜落の危険、あるいは資産価値の低下など、様々な不安と懸念が表明され、複数の区議会で新飛行ルートの見直し等を求める決議や意見書が採択されている。
住民の理解を得られない中で新飛行ルートの運用開始を強行することは許されず、直ちに撤回すべきであると考える。
そこで、以下質問する。
一 本年三月以降、複数の区議会(以下「前記各区議会」という。)において、新飛行ルートの計画について「容認することはできない」(品川区議会)、「見直し等を強く求める」(渋谷区議会)など、懸念を表明する決議や意見書が採択されている。
1 総理や国土交通大臣は国会において、新飛行ルートは「地元の理解」を得て進める旨、繰り返し答弁しているが、前記各区議会において、新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議や意見書がその後撤回ないし変更され、「地元の理解」を示す新たな決議や意見書が採択された事実はあるか明らかにされたい。
2 国土交通省は、前記各区議会の新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議ないし意見書の採択以降、前記各区議会に対し、いかなる対応を行ったか示されたい。
二 国土交通省は、新飛行ルートの追加の対策として、南風好天時の新到着経路の降下角を三度から三・五度に出来る限り引き上げることによって、飛行高度の引き上げ、騒音影響の低減を図るとしている。
1 羽田空港において「南風好天時」が想定される年間の日数、時間帯、全到着便に占める「南風好天時」に到着する便の割合について、過去の実績に基づき具体的に示されたい。
2 降下角を三・五度に引き上げることにより、新飛行ルートにおける騒音はどの程度低減されるのか、根拠とともに示されたい。
三 国土交通省は、本年十月十八日、「直近二十年程度の間に、世界の国際空港で新たにルートの拡張や新空港の開港、既存空港の拡張などにより、羽田空港の新飛行ルートのように都心部を低空で飛行する離着陸ルートを新たに設定した例があるか」という私の問いに対し、「承知していない」と回答した。この回答に相違はないか。国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港における私の前記問いに該当する例の有無について、国土交通省の把握するところを明らかにされたい。
四 国土交通省は、二〇一七年十一月以降、全国七空港(成田、関西、羽田、中部、福岡、那覇、新千歳)について、航空機の部品欠落情報の報告制度を設けている。二〇一八年十一月から二〇一九年十月までの報告件数及び二〇一七年十一月から二〇一九年十月までの累積報告件数を明らかにされたい。
五 国土交通省航空局は、新飛行ルートの周知のための広告・広報費用(以下「広告・広報費用」という。)について、私の事務所の問い合わせに対し、「過去五年間の予算額は約十億五千万円程度」と回答している。
1 広告・広報費用の過去五年間の執行額を年度別に明らかにされたい。
2 二〇二〇年度予算の概算要求における広告・広報費用の計上額を明らかにされたい。
右質問する。
答弁書
内閣参質二〇〇第六八号
令和元年十二月三日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山東 昭子 殿
参議院議員山添拓君提出羽田空港の新飛行ルートに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員山添拓君提出羽田空港の新飛行ルートに関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「「地元の理解」を示す新たな決議や意見書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、品川区議会において平成三十一年三月二十六日に「新飛行ルート案を容認することはでき」ず、「品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める」旨の決議が可決され、その後、同区からの意見及び当該意見に対する国土交通省の回答を踏まえ、同区議会において令和元年九月二十日に「区民の不安払しょくにつながる効果的な対策の実施と、早急かつ具体的にルートの再考および固定化を避ける取り組みを示し、実行に移すことを強く求める」旨の新たな決議が可決されたことは認識している。また、渋谷区議会において平成三十一年三月二十六日に「計画の見直し等を強く求める」旨の意見書が、港区議会において令和元年十月十日に「港区の上空を低空飛行する経路を固定化することなく、空港の管制方法の見直しや地方空港への分散など、別の選択肢を検討することを強く求める」旨の意見書がそれぞれ可決され、これらの意見書が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十九条の規定に基づき、同省へ提出されたことは認識している。これらの決議及び意見書が可決されて以降、品川区議会、渋谷区議会又は港区議会において、東京国際空港(以下「羽田空港」という。)における新たな飛行経路(以下「新経路」という。)に関する決議又は意見書は可決されていないものと認識している。
一の2について
御指摘の「懸念を表明する決議ないし意見書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、羽田空港における新経路の運用に向けて、騒音対策、航空機からの落下物対策等を推進しており、これらの内容について、国土交通省から品川区議会、渋谷区議会交通・公有地問題特別委員会及び港区議会に所属する議員に対して説明を行ったところであり、今後も丁寧な情報提供に努めてまいりたい。
二の1について
羽田空港における平成二十八年から平成三十年までの飛行経路の運用実績について申し上げれば、南風時に新経路を運用することとしている十五時から十九時までの間における南風運用の割合は約四割であるが、現在の飛行経路と新経路とはその運用に係る好天時又は悪天時の判断基準が異なるため、新経路の運用開始前である現段階においては、お尋ねについてお答えすることは困難である。
二の2について
航空機の騒音は、飛行経路から側方にどの程度離れているかや地形等により軽減される程度が異なるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、一般に、飛行高度が高くなれば地上から航空機までの距離が遠くなり騒音影響が軽減されることから、御指摘の「南風好天時の新到着経路」については、降下角の引上げによる飛行高度の引上げを行うこととしている。
三について
お尋ねの「世界の国際空港」又は「国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港」における「直近二十年程度の間に」「新たにルートの拡張や新空港の開港、既存空港の拡張などにより、羽田空港の新飛行ルートのように都心部を低空で飛行する離着陸ルートを新たに設定した例」の有無については、国土交通省において網羅的に把握しているものではないため、お答えすることは困難である。なお、御指摘の「本年十月十八日」においては、「国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港」のうち平成三十年における年間の離着陸回数が多い上位三十空港(羽田空港を除く。)については、同省においてはお尋ねのような例は承知していないという趣旨でお答えしたものである。
四について
御指摘の「航空機の部品欠落情報の報告制度」に基づく平成三十年十一月一日から令和元年九月三十日までの期間に発生した部品欠落の報告件数は五百十八件であり、当該制度の運用を開始した平成二十九年十一月九日から令和元年九月三十日までの期間に発生した部品欠落の報告件数は九百十七件である。なお、同年十月一日から同月三十一日までの期間に発生した部品欠落の報告件数については、現在、集計作業を行っているところであり、お答えすることは困難である。
五の1について
国土交通省航空局においては、羽田空港の機能強化に関する情報提供のための経費(以下「情報提供経費」という。)として、平成二十六年度においては三千三百二十六万七千九百円(税込み)、平成二十七年度においては二億六千百三十二万六千八百四十円(税込み)、平成二十八年度においては一億九千二百六十七万円(税込み)、平成二十九年度においては二億九千八百六十一万円(税込み)、平成三十年度においては二億五千八百三十六万九千六百九十六円(税込み)を執行したところである。
五の2について
令和二年度における情報提供経費は、同年度の予算概算要求において羽田空港に関する予算要求額六百十六億円の内数として計上しているところである。