2021年・第204通常国会
- 2021年3月18日
- 予算委員会
NTTと総務大臣との会食について質問
- 要約
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- 携帯値下げを看板に掲げる菅政権の総務大臣が、NTTが料金値下げの原資捻出のために進めたドコモ子会社化の最中、渦中のNTT社長やドコモ取締役と酒席をともにする。そのこと自体が、国民の疑念を招くと追及しました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
規制委員長と東電の参考人については退席いただいて構いません。
○委員長(山本順三君) それでは、更田委員長、東電小早川社長、どうぞ御退席ください。
○山添拓君 武田大臣に伺います。
昨年十一月、NTT澤田社長と会食で同席していたことを認められました。どのぐらいの時間同席され、何を話されたんでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 一個一個の事案について本来答えは差し控えさせていただいたんですけれども、先生御指摘のこの報道については、一切私に対して事実関係の確認がなかったんです。私も大変驚いていますし。
その上で、私も事実をお話しするということで答えさせていただきたいと思いますけれども、まず、そもそも、この会合自体がNTTさんが主催したものではないんです。JR東海の葛西名誉会長さんが主催された会であって、それは、去年の一月の段階からいつか一度ということでやっていたら、延び延びになってこの時期になってきたわけですね。私は、その案内はJR東海葛西名誉会長の方からメールでいただいたわけですけれども、時と場所と地図しか記されておりません。その場にどういう方々が何人来られているかということを事前に私は伺っておりませんでした。
業務の都合上かなり遅参を余儀なくされたわけでありますけれども、その後の日程も詰まっておったために、本当に、まさに僅かの時間としか表現ができないんでしょうけれども、しか取れなかったんです。ですから、私の方は、食事はその場では取っておりません。数杯お酒をいただいたわけでありますけれども、その複数人おられる方と話す、ゆっくり話す時間もないぐらいだったんですね。
ですから、その主催者である葛西会長とずっと話しておった、挨拶程度のことしかそのほかの方とはしておりません。
○山添拓君 あのNTTによるドコモの完全子会社化を進めるTOB、株式公開買い付けの終盤の時期に当たりますけれども、進捗状況は挨拶程度の中でも話題になったんじゃないですか。
○国務大臣(武田良太君) 本当に挨拶しかしていないような状況ですので、全く個別の内容についてほかの方としゃべったことはありません。
○山添拓君 白議員も紹介されていましたが、大臣は、昨年十二月のダイヤモンド・オンラインのインタビューで、自身が料金値下げに取り組む中では、携帯事業者の人にむしろ会うべきではないと思いましたと述べています。会っていたんじゃありませんか。
○国務大臣(武田良太君) ダイヤモンド、週刊ダイヤモンドのインタビューにおいては、料金引下げの件について御挨拶に来られて以降お会いしていないという趣旨をお答えしたと記憶しております。
○山添拓君 いや、そのほかの人についても、携帯料金引下げに関することでは一切会っていませんと述べているんですよ。しかし、実は十一月に会われていたんですね。
○国務大臣(武田良太君) 値下げに関することでは会っていないと、そこ書いているでしょう。
○山添拓君 いや、だけど、相手と会っちゃいかぬのですよと、そう言われているんですよ。情も芽生えるし、そこのところはフェアにやっていますと言っているんですよ。フェアじゃないじゃないですか。
○国務大臣(武田良太君) 私がその会にNTTの澤田さんを呼んでくださいだとか、そうしたことがあるなら話は別ですけれども、私が別の目的、つまり、JRの葛西名誉会長の席にお邪魔した際に、複数人の中に現場に行ったときにおられたということです。私が会いたくて会ったとか来てもらったとか、そんなのではなくて、おられたと、複数人の中のお一人でおられたということです。
○山添拓君 いや、だから、たまたま居合わせたということなんでしょうけれども、御説明によればですね。しかし、会っていませんとおっしゃっているんですよ、ここでは。
携帯値下げを看板政策にする政権の総務大臣が、値下げと一体のTOBのさなか、渦中のNTT社長、NTTドコモ取締役と同席し会食をすると、やっぱりそれ自体が疑念を招くと思われませんか。
○国務大臣(武田良太君) 我々政治家は、様々な経済人の方々と交流を持ちながら政策を練っていかなくてはならないんですね。そうした機会の中に澤田さんがおられたということで、国民から疑われるような話なんか全くするつもりもないし、していません。
○山添拓君 あの澤田社長も、先日、この委員会で、疑念あるいは疑いと言われるような印象を与えたと述べられました。やはり、既に疑念だらけだと思うんですね。
総務省に伺いますが、NTTの役員や職員はNTT法十九条で収賄が罰せられます。間違いないですね。
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
NTTは元々電電公社でございましたので、取引先の事業者等から物をいただいたり金銭をいただいたりということについては罰則があるというふうに承知しております。今お尋ねの件については、通告はございませんでしたので、ちょっと詳細な規定は確認できてございません。
○山添拓君 御説明いただいたとおりです。
ですから、その意味では、公務員と同様に、NTTの職員、役員も含めて、職務の公正性が求められる存在です。そのNTTが公務員を接待する、これは半ば官官接待だと思うんですけれども、大臣、その認識はいかがですか。
○国務大臣(武田良太君) いや、官じゃないと思いますよ、NTTは上場企業ですから。
○山添拓君 半ばそうではないかということを言っているんですよ。
○国務大臣(武田良太君) 半ばであろうとどうであろうと、上場企業じゃないですか。
○山添拓君 いや、ちょっとそれは、単なる上場企業ではないですよ、政府が三分の一以上出資するということが法律で規定されている特殊会社ですから。その認識はちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 私は、NTTは上場企業だというふうに位置付けております。
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
NTT法第十九条におきましてNTTの職員が物をもらうということについては罰則があるというふうに申しましたけれども、ただいまのお尋ねは逆のお話をされているのではないかというふうに思います。
いずれにいたしましても、NTTは既に昭和六十年に民営化された民間企業でございます。
○山添拓君 ですから、民間企業だということは私も分かっていますよ。しかし、NTT法の中で収賄が禁止をされる、これはやっぱり、職務の公正性を大事にしなければならない企業だということだと思うんです。そこが公務員に対して、国家公務員に対して接待をすると、これはやっぱり普通の民間企業とは違って問題があるんじゃないかと、こう申し上げているんですが。
○国務大臣(武田良太君) 先生、もうどういう形であろうと何であろうと、法令に従わないということ自体が駄目だと私は思うんです。それが重要だと思いますよ。
○山添拓君 問題認識を共有されているかということを確認したかったのですが。
検証委員会の吉野座長は、接待する側には何かしら思惑があると述べています。私もそう思います。完全子会社化というのは、NTTがドコモに対して一〇〇%出資するということです。
総務省に伺いますが、NTTのドコモに対する出資比率について、政府が公に言っていることはありますか。
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
一つには、一九九二年、移動体業務分離の際の公正有効競争条件がございます。これは三十年前の状況を背景とした行政運営上の方針でございまして、法律上の拘束力はございません。
二点目が、二〇〇一年度から二〇〇九年度までの規制改革推進三か年計画がございますが、これは二〇〇九年三月の閣議決定以降については取り上げられておりません。
したがって、ドコモの完全子会社化が政府として公にしているものに反しているということはございません。
○山添拓君 私、まだそこまでは質問をしていないんですけど。出資比率の引下げを求めるような公にした文書があるかということを伺っているんです。
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど申し上げました九二年の移動体分離業務の分離の際の公正有効条件として当時の郵政省が発表した文書が一つ、それから、二〇〇一年から二〇〇九年の規制改革推進計画三か年計画、その二つの文書がございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、そのいずれもが現時点で有効なものではございません。
○山添拓君 そのいずれも出資比率の引下げを求めていたんですね。
○委員長(山本順三君) 簡潔に答弁してください。
○政府参考人(竹内芳明君) 当時そのようなことを求めておりましたが、現時点ではそのようなことは効力を持っておりません。
○山添拓君 三か年計画は閣議決定です。しかし、これを改める閣議決定はありませんね。
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど申し上げましたように、二〇〇九年三月以降は取り上げられておりませんので、そこについてはあえて取り下げるという決定はしておりませんけれども、取り上げていないということで効力を持っておりません。
○山添拓君 ですから、ないんですよ。完全子会社化というのはそれまでの出資比率引下げからすれば政策転換です。なぜ何の議論もないんですか、大臣。
○政府参考人(竹内芳明君) 元々、今回の完全子会社化以前から、NTT持ち株はNTTドコモの株を六六%程度保有しておりました連結子会社でございます。今回の再編成といいますのは、その持ち株比率を一〇〇%に変更する、持ち株比率を変更するということにとどまりますので……(発言する者あり)はい。ものでございます。
したがって、この持ち株比率を変更するということについて特段の総務省の、政府の手続、認可等を必要とするものではなく、民間企業の判断において行えるという制度であったということは御理解いただきたいと思います。
○山添拓君 大臣、閣議決定した方針を会食や密室の協議で覆してしまうんですか。
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
情報通信分野は非常に変化の激しい分野でございます。国際競争に打ち勝っていくために、あるいは利用者の満足度を上げるためにどのような計画を展開していくか、これは大変経営者として重要なポイントであります。
こういったものを経営者の判断において実施するという上で、今回こういう決定をされるに当たって、政府として特段の手続を求めているものではないという判断をいたしております。
○山添拓君 経営者の判断だけでよいものではないわけです。元は国民の財産のNTTだからです。
政策を変えるなら、十分検証し、国民に説明すべきです。行政をゆがめた疑いはますます強まっているということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。