2021年8月10日
ウィシュマさんの調査報告書を読んで
名古屋入管でスリランカ人のウィシュマさんが亡くなって5ヶ月。入管による調査報告書が公表され、早速目を通しました。
中間報告では記載されていなかった、収容中のウィシュマさんと職員とのやりとりや、支援者とのやりとりなど、新たな事実も出てきています。
体調不良でうまく摂食できない様子に看守が「鼻から牛乳」と発言した、「フレンドリーに接したいとの思いから」だった…との記載も。職員の人権感覚も問われます。
これらの発言は、おそらく映像記録から抽出したものと思われます。遺族には、入管が編集したダイジェスト版を見せるといいますが、やはり全面開示が必要です。
死因はなお特定できなかったとされます。
死に至る体調の異変を認識し、医療につなげることができなかったのはなぜなのか。
報告書は、「医療体制の制約」をはじめ、体制の問題に随所で言及しています。しかしそれは、過去にも死亡事件のたびに指摘されてきたことだったはず。
佐々木入管庁長官は、「人の命を預かる行政機関としての緊張感や、心の込め方が不十分であった」と述べていますが、心の問題というよりは組織的な問題ではないか。