2021年・第207臨時国会
- 2021年12月20日
- 本会議
本会議で、2021年度補正予算案に反対の討論を行いました。
- 要約
-
- 本会議で、2021年度補正予算案に反対の討論を行いました。 国交省の統計データ改ざん、森友公文書改ざんなど、くらしに冷たく、憲法を壊し民主主義を踏みにじり、腐敗にまみれた政権に、黙って従うことはできません。事実と道理に基づき批判し、批判と一体に提案し、希望ある政治へと転換する決意です
○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二一年度補正予算案に反対の討論を行います。
コロナ禍が暮らしとなりわいに広く深刻な影響を及ぼす中、オミクロン株の国内での感染確認が相次ぎ、第六波の懸念が現実となりかねない事態です。
ところが、本案は、緊急に求められる個人や事業者への給付金が不十分で、困っている人に届かない一方、大軍拡と特定の企業への支援には大盤振る舞いのゆがんだ内容です。
財政法上、補正予算による支出は、特に緊要となった経費に限られます。一年にわたり停止中のGoToトラベル事業に二千六百八十五億円も追加する緊急性はありません。台湾の半導体メーカーによる工場建設支援の四千億円、スパイ衛星の推進、デジタルインフラ整備事業など大企業支援が露骨です。マイナポイント事業への一・八兆円は、最大二万円分の支援に絡めて個人情報を差し出せというものであり、容認できません。
本案には七千七百三十八億円もの軍事費が計上され、本予算を合わせた総額は初めて六兆円を超えます。中でも四千二百八十七億円を占める兵器購入のローン払い、その前倒しには何らの緊急性もありません。自民党が軍事費GDP比二%以上への増額を主張する中、来年度予算と一体に、米軍兵器の爆買いと大軍拡で軍事費を膨張させるものです。
米軍辺野古新基地建設に、かつてない八百一億円を計上しています。沖縄県玉城知事が政府による設計変更申請を不承認とし、軟弱地盤で完成の見込みはありません。にもかかわらず、政府は、普天間の一日も早い返還につながるとかたくなに述べ、工事を強行しています。戦没者の遺骨が混ざる土砂を用いる計画の下、民意を何重にも踏みにじり、工事を加速することは断じて認められません。
不要不急で不当な項目は撤回し、命と暮らしを支える予算へ抜本的に改めるべきです。
医療体制の確立、強化が待ったなしです。コロナ患者の受入れのために確保された四万六千床の三分の一が国立、公立、公的病院であり、その役割の大きさは明らかです。地域医療構想の名の下に、四百三十もの病院を名指しし統廃合計画を進めるのは矛盾と言うほかありません。総理は統廃合ありきではないと言います。ならば、リストを撤回し、急性期病床二十万床の削減目標も撤回すべきではありませんか。
医療費を削り、医師を増やさず、ベッドも看護師もぎりぎりの状態では、予期せぬパンデミックに耐えられない。コロナ禍の教訓を踏まえるなら、医療提供体制には十分な余裕を確保するべきです。病床削減計画の撤回を重ねて求めるものです。
新宿や池袋で行われる食料支援の利用者が過去最多の水準で高止まりしています。私が現場に伺った際も、子連れの女性や若い世代の姿が目立ちました。非正規雇用など元々苦しい立場にあった人がコロナで困窮に陥り、今も仕事が戻らず、支援で何とか一食を確保するという状況が決して珍しくありません。だからこそ、暮らし応援の給付が切実に求められています。
総理は総裁選で、非正規、女性、子育て世帯、学生を始めコロナでお困りの方に給付金を届けると述べていました。しかし、本案には、現に困っている非正規、女性を直接対象とする給付はありません。
子育て世帯への十万円給付は国民と自治体の猛烈な批判を受け、現金一括給付など三つの選択肢を認めるに至りました。迅速な支援と言うなら、クーポンへの固執はいいかげんにやめるべきです。
コロナ関連の経営破綻が三か月連続で過去最多を更新し、今年の累計は昨年の二倍に迫ろうとしています。ところが、四百二十四万件の利用があった持続化給付金に対し、月次支援金は多くても月四十万件程度にとどまります。申請しても不備だといって何度も戻される不備ループや、制度そのものの周知不足などを背景に、現場に支援が届いていません。
本案の事業復活支援金の予算は持続化給付金の半分にすぎません。しかも、対象は今年十一月から来年三月までの減収分です。東京は、今年九月まで緊急事態宣言とまん延防止措置が延べ二百四十五日間にわたりました。最も打撃を受けた期間を対象から外しておきながら、復活支援とは名ばかりではありませんか。
事業復活支援金は予算を倍にし、家賃支援給付金を再支給すべきです。融資の返済、税や社会保険料の支払は、猶予にとどめず減免措置を講じるべきです。
総理は、新しい資本主義を掲げます。しかし、小泉改革以降の新自由主義的政策を転換すると言いながら、転換すべき政策が何であるかさえ答えませんでした。弱肉強食、自己責任押し付けを本気で変えるつもりなどないのではありませんか。
所得の高い人ほど負担が軽い金融所得課税の引上げを先送りし、所得の低い人ほど負担が重くなる消費税の引下げも拒む。これでは、不公正は温存され増幅するばかりです。
質疑を通じて、総理の言う賃上げが、現場の求めからいかに遠い水準であるかが浮き彫りになりました。
看護職員で当面月四千円、介護や保育で月九千円。期間も対象も限られ、賃上げとは呼べない代物だと厳しい批判が広がっています。しかも、賃上げ原資は国の配置基準分しか配分されず、パートやほかの職種で分け合えば、四千円や九千円さえも保障されないといいます。一桁違うという切実な声に正面から向き合うべきです。
格差と貧困を正すために、最低賃金の抜本的な引上げが必要です。ところが、総理は、全国で千円以上の早期実現に踏み出そうとせず、全国一律最賃は問題があると切り捨て、中小企業の社会保険料の負担軽減にも耳を貸しませんでした。全然新しくありません。
男女の賃金格差は生涯で一億円に上り、正規、非正規を問わず女性は男性より二割も少なくなっています。EUでは、一四%の男女間格差を解消するために賃金透明化の指令案を発表しました。日本でも、格差の把握と公表、是正のための計画策定と実行を求める実効性ある措置で賃金格差を解消するべきです。
敵基地攻撃能力とはどういうものか。総理は、一つの例としながらも、他国の領域でミサイル基地を攻撃し、制空権を確保し、地下施設も破壊し、その効果を把握して更に攻撃を行うという一連のオペレーションであることを認めました。全面戦争に発展し得る危険な構想です。防衛大臣は、そのための装備体系は一概には言えない、状況は刻々と変わると繰り返しました。歯止めなき軍拡競争へと突き進むつもりですか。
軍事対軍事で対抗すれば、事態はエスカレートするばかりです。国連憲章と国際法に基づく平和的手段による問題解決を貫くべきです。中国や北朝鮮を含む平和の地域協力の枠組みをアジア太平洋、インド洋で構築する、憲法九条を生かした外交にこそ知恵と力を注ぐべきです。
国交省の建設工事受注実績統計で、八年以上に及ぶデータの改ざんが明らかになりました。公文書や統計の改ざん、隠蔽、虚偽答弁。民主主義を根底から揺るがす事態を重ねる異常な体質が今も政権に染み付いているのではありませんか。
森友問題、決裁文書の改ざん強要で、赤木俊夫さんが自死に追い込まれた原因と経緯を明らかにしたい。妻の雅子さんの裁判を、政府は突如、請求認諾で強制終了させました。説明もせず再調査も拒む。夫は国にまた殺されたという雅子さんの怒りの声が総理には聞こえないのですか。
暮らしに冷たく、憲法を壊し民主主義を踏みにじり、腐敗にまみれた政権に黙って従うことはできません。事実と道理に基づき批判し、批判と一体に建設的に提案し……
○議長(山東昭子君) 山添さん、ゼロになりました。
○山添拓君(続) 希望を託せる政治へと転換する決意を述べ、反対討論といたします。(拍手)