2022年・第208通常国会
- 2022年4月18日
- 決算委員会
決算委員会で米軍横田基地のCV22オスプレーのボバリングで周辺住民に甚大な被害が出ており、中止を求めました。
- 要約
-
- 決算委員会で米軍横田基地のCV22オスプレーのボバリングで周辺住民に甚大な被害が出ており、中止を求めました。また、同基地の周辺で検出されている有害な有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が、横田基地で使われている泡消化剤の疑いがある問題で「調査するべきだ」と政府に迫りました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
東京の米軍横田基地について伺います。
二〇一八年十月、アメリカ空軍の特殊作戦機CV22オスプレイが横田基地に配備されました。当時の菅官房長官は、日米同盟の抑止力、対処力を向上させると歓迎までして配備を受け入れたものです。しかし、基地周辺では、懸念された以上の大きな被害をもたらしています。特にホバリング、空中停止訓練が民家の間近で行われ、騒音も振動もすさまじいものとなっています。私もあの付近を訪れたことがありますが、住宅とフェンスを隔てた目と鼻の先、百メートルも離れていないところで行われていると伺います。
北関東防衛局は、今年二月十六日、住民から繰り返し被害の申出がなされるのを受けて、横田基地の副司令官宛てに要請書を発出しています。その仮訳を資料でお配りしています。
通常十八時頃から開始され、二十二時過ぎまで続くことがある、騒音や振動のせいで家族との会話ができず、ヘッドホンなしにテレビを見ることはできない、ホバリングの振動が原因で家屋の壁にひびが入った、風圧で小石が飛んでくるなど、寄せられている実態を挙げ、他の航空機の離発着に伴い一時的に生じる騒音に対する苦情に比べるとより深刻であり、何らかの措置をとる必要がある、原則としてCV22のホバリングを北側ヘリパッドでは行わないといった抜本的な措置を講じるよう要請するなどとあります。
大臣に伺います。
個別の被害状況に即して文書で要請を行うのは異例の事態だと思います。それだけ深刻な被害だと認識しているのですね。
○国務大臣(岸信夫君) 委員御指摘の文書は、横田基地における横田飛行場における航空機による騒音、特にオスプレイのホバリング訓練に関し、その騒音が周辺住民の方々にとって深刻な問題であるとの認識の下で、米側に対して何らかの措置を講ずるように求めたものであると承知をしております。
私自身も飛行場周辺の騒音を経験し、周辺住民の皆様に与える影響を最小限にとどめることは重要な課題であると考えております。
○山添拓君 要請文には最後に、返信いただけますようお願いしますとあります。
防衛省に伺います。返信はあったんでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
この個別の、何といいますか、この要請文書に対する回答といったような形では得られていないところでございます。
○山添拓君 二か月たちますけれども、音沙汰なしですか。
○政府参考人(岡真臣君) これに、ピンポイントでこれに対する答えがあるわけではございませんが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、引き続き、米側に対して、訓練に当たっては地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう求めてまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 いや、いずれにいたしましてもじゃないんですよ。
三枚目、四枚目、御覧ください。この住民の方が日々記録しているメモを見せていただきました。防衛省の要請などまるでなかったかのように、二月の十六日、その要請の後も連日のようにホバリング訓練が続いています。夕方五時台から夜にかけて、騒音だけでなく、体に伝わる振動、吐き気がする、精神的におかしくなるなど、これは想像を絶する被害だと思います。四月十一日には、運用時間外とされる夜十時以降にもホバリングが行われています。昨年より激しい、連日の轟音疲れる、助けてほしい、そういう記載があります。悲痛な声だと思うんですね。
大臣、深刻な被害を認識しているとおっしゃるのであれば、大臣自身が少なくともこの北側ヘリパッドでのホバリングをやめるように改めて米軍に直接申し入れるべきではありませんか。
○国務大臣(岸信夫君) 現時点において米側より回答は得られておりませんが、防衛省として、引き続き、米側に対しまして、訓練に当たって地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう求めてまいります。
○山添拓君 最小限どころじゃないんですよね。それで、もうたまらず、ここには住み続けられないと移転も検討されているようなんですが、しかし、家を売ろうにも騒音がひどくて売れないわけです。移転費用も捻出できないと、そういうお話です。近隣住民が住み続けられないような被害をもたらしているその責任は、米軍はもとよりですが、配備を認めてきた政府にもあると言えます。防衛大臣が国民を守らなくてどうするのかと私は指摘せざるを得ないと思います。
次に、基地周辺の有機フッ素化合物、PFOSやPFOAによる汚染について伺います。
人工的に作られた化学物質で、水も油もはじき、熱にも強い、テフロン加工のフライパンやハンバーガーの包装紙、泡消火剤などに使われてきました。環境中で分解されることがほとんどないため永遠の化学物質とも呼ばれ、世界中で問題になっています。胎児や子供の低成長、出生率の低下、免疫システムへの影響、一部のがんのリスクの増加など健康への影響も指摘されています。
航空機事故など大規模火災で使われる泡消火剤にPFOSやPFOAが含まれ、この横田基地でも訓練を含めて日常的に使われてきました。環境省は、二〇一九年と二〇二〇年、全国で汚染調査を行っています。横田基地に近い多摩地域でも日本の暫定基準値を超える汚染が確認されていると思いますが、御説明ください。
○政府参考人(森光敬子君) お答えさせていただきます。
環境省では、令和元年度及び令和二年度に、有機フッ素化合物につきまして、水環境における全国的な存在状況を把握するため、水環境中のPFOS及びPFOAの全国調査を実施いたしました。
議員御指摘いただきました地域、多摩地域として、私ども、立川市、国立市、府中市、調布市における結果につきましてでございますけれども、令和元年度は、立川市では二地点の地下水を対象に調査をしておりまして、それぞれ三百三十七・二ナノグラム・パー・リットル、もう一つ、また、六十七・七ナノグラム・パー・リットルの値を得ております。また、国立市では一地点の地下水を対象に調査を行っておりまして、八十四・四ナノグラム・パー・リットル、府中市では一地点の地下水を対象に調査を行っておりまして、三百一・八ナノグラム・パー・リットル、調布市では一地点の地下水を対象に調査を行っておりまして、五百五十六・〇ナノグラム・パー・リットルでございます。暫定目標値は五十ナノグラム・パー・リットルでございまして、それを超過する値となっております。
令和二年度につきましては、これらの市での調査は行っておりません。
以上でございます。
○山添拓君 私も調布の市民でして、暫定値が五十で五百五十ということですから、相当高い値で出ているわけですが。
二〇一九年一月に、東京都は横田基地周辺四か所の井戸で臨時の調査を行っています。このうち、立川市では千三百四十ナノグラム・パー・リットル、基準値の約二十七倍、武蔵村山市では百四十三ナノグラム・パー・リットル、三倍近い値が検出されています。
環境省、承知していますか。
○政府参考人(森光敬子君) 東京都の調査といたしまして、東京都から調査結果をいただいております。
○山添拓君 今紹介をしました立川市や武蔵村山市の調査は、東京都が横田基地モニタリング井戸と位置付けている井戸です。十年以上にわたって高濃度のPFOS、PFOAなど検出をされているところでもあります。そうした事態を受けて、一九年六月以降は一部の浄水場で取水の取りやめも行われています。
地下水脈というのは非常に複雑なもので、どちらからどちらにどのように流れているのかということは極めて分かりにくい、把握が難しいとされていますが、しかし、汚染の原因が横田基地である可能性は否定できないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(森光敬子君) 汚染源につきましては、この私どもの調査等につきましても汚染源を推定することを目的とするものではございませんけれども、一般的に排出源となり得る施設といたしましては、議員が御紹介されました泡消火剤を保有する又は使用していた施設、それから有機フッ素化合物の製造、使用の実績がある施設、それから廃棄物処理施設、下水道処理施設等が考えられまして、これらの施設には既に廃止や撤去をしている施設もございまして、過去に遡って管理状況を確認することはできないという状況でございます。
環境省といたしましては、重要なことは人の健康影響の未然の防止というふうに考えてございまして、環境省、厚生労働省が策定しました手引を参考に、地方自治体において継続的な監視調査、飲用による暴露防止の働きかけを行うことが重要であると考えております。
東京都におきましては、このように高い、超過しました地域において、継続的に調査、また汚染の広がりといったような調査を実施されているというふうに承知しております。
○山添拓君 汚染源の特定のために行ったものではないというお話だったんですが、東京二十三区とは異なって、多摩地域では地下水を飲用水にも用いています。そういうところが多くあります。ですから、これは住民にとっては健康にも影響する問題だと思います。
防衛省に伺いますが、横田基地でPFOS、PFOAを今どのぐらい保管しているのか、把握していますか。
○政府参考人(岡真臣君) 御指摘の点については、ちょっと現在、具体的に把握しているものとしてお答えできるものがあるわけではございません。
○山添拓君 米軍に対してどのぐらい保管しているのか確認を求めたことはありますか。
○政府参考人(岡真臣君) 米軍との間では様々な形でこの環境をめぐる問題についても意見交換をしているところでございますけれども、先方との関係もございますので、その詳細についてはお答えは控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 国民の健康に関わることであるのに、米軍との関係を優先されると。
二〇一六年以降は米軍の基地では使用しないことになっていると、そういうふうに報じられております。しかし、格納庫の消火システムには、そのためにはPFOSを保有してもよいということになっていると。これは、防衛省、承知していますか。
○政府参考人(岡真臣君) 現在、ちょっと個別に具体的に申し上げるだけの材料を今手元に持っておりませんけれども、一般論として申し上げれば、米軍はこの消火システムに持っている、消火システムに使われている消火剤につきまして、PFOS、PFOAといったものが入っていないものに交換を進めつつあるという状況であるというふうに認識をしております。
○山添拓君 進めつつあるということは、まだ残っているところもあるわけですね。
○政府参考人(岡真臣君) 今の時点で全てについて交換が終わったというふうには聞いておりません。
○山添拓君 二〇一八年、アメリカ国防総省は、PFOSとPFOAの排出が疑われる米軍関係施設が国内で四百一か所以上に、四百一か所に上るという報告書を公表し、タスクフォースも設けて対応しています。実態調査を進め、汚染した川や地下水の原状回復を進め、その費用も負担するとしています。
環境省に伺いますが、こうした環境汚染というのは汚染者負担が原則だと思うんですね。今後も使われる可能性があると、米軍基地でPFOS、PFOA使われる可能性があるといいます。ですから、汚染源を特定するための調査は少なくとも行うべきではないでしょうか。
○政府参考人(森光敬子君) 汚染源の特定ということでございますけれども、まず、PFOA、PFOS、この化学物質につきましては、委員が御指摘ありましたとおり、過去から広く様々な工場や施設で使われてきたものでございます。ですので、今私ども、全国その存在状況調査というのをさせていただきましたけれども、各地で一部基準値を超過したところがあるという状況でございます。
環境省といたしましては、その排出源というところを調査するということにつきましては、先ほど議員が御指摘ありましたとおり、地下水の流れを把握するといったようなことも非常に難しく、また、多くの様々な排出源があり得るような状況においては多数の私有地に井戸を掘削するといったような調査も必要が出てくるというようなことがありまして、非常に難しいというふうに考えております。
ただ、環境省といたしましては、まず一番大事なことは人の健康影響を未然に防止していくということでございまして、先ほど御紹介いたしました手引を参考に、それぞれの自治体において継続的な監視、それから飲用による暴露の防止の働きかけを行うことが重要であると認識をしております。
○山添拓君 環境影響、健康影響の防止というのはもちろんなんですけれども、しかし、その際に汚染源がどこであるのかということを特定する、発生者に責任を問い得る形にしておく、調査を進めるということは、これは不可欠だと思うんですよ。環境省は、防衛省や米軍、そして東京都とも協力をして調査するべきだと指摘をさせていただきたいと思います。
こうして政府が米軍基地における保有状況を確認しない下で大問題となっているのが沖縄であります。
昨年八月、米軍は、普天間飛行場で保管していたPFOSを含む汚染水六・四万リットル、ドラム缶三百二十本分を下水道に放出しました。日本政府や沖縄県が基地内の汚染水を調査し、その処理について日米で協議しているさなかに、放出の三十分前にメールを送り付けただけで放出しました。米側は、日本の暫定基準値を下回る一リットル当たり二・七ナノグラムに薄まっている、極めて低い値だから大丈夫だと主張していました。ところが、その同じ日に宜野湾市が下水道から採取した水を検査したところ、暫定基準値の十三倍、一リットル当たり六百七十ナノグラムが検出されたといいます。ひどい話だと思うんですね。
それだけではありません。この普天間には未処理の汚染水がまだ三十六万リットル残っていました。防衛省はこれを引き取り、本土に移して焼却処分したと伺います。費用九千二百万円は日本側が負担したといいます。
大臣、なぜ日本が負担しなければならないんですか。
○国務大臣(岸信夫君) 普天間飛行場に残っていたPFOS等を含む水に係る措置は、地域住民の皆様の御懸念を払拭するために、防衛省が緊急的な暫定措置として水を引き取り処分することが必要であると考えて、日米間で一致したことから実施したものであります。不適切であるとは考えておりません。
○山添拓君 米軍は、自分の国では調査して対策費用も負担するんですね。ベルギーや韓国の米軍基地でも汚染のデータを公表しています。ところが、日本では汚染物質を拡散した上に処理費用まで負担させていると。これは理不尽ではありませんか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸信夫君) これは、水を処分するということが何より必要であったと考えております。このため、日米間で協議の上、一致したので防衛省側が費用を負担して行ったものでありますから、不適切であったとは考えておりません。
○山添拓君 処理するのは当然ですけどね、費用負担まですることはないと思うんですよ。
防衛省に伺いますけれども、普天間飛行場では二〇二〇年四月、泡消火剤二十二万七千百リットルが漏出する事故も起きていました。その原因は何でしたか。
○政府参考人(岡真臣君) この事案につきましては、格納庫近傍等におけるバーベキューの使用等、火気の使用に伴って誤作動が発生して、PFOS消火剤、PFOS等を含む泡消火剤が流出をしたものであったというふうに理解しております。
○山添拓君 米兵のバーベキューなんですね。とんでもない話だと思うんですよ。こういう傍若無人な態度を許している日本政府の姿勢も問われると言わなければならないと思います。
日米地位協定の下で、基地の管理権は米側にあります。国内法は原則として適用されません。しかし、だからといって、基地外への放出を簡単、勝手にすることは許されないはずです。
環境補足協定で立入調査は一部可能になりましたが、米側が応じないとできないという課題も残されています。改めて、周辺住民の健康に影響を及ぼすおそれが懸念される問題ですから、日常的に立入調査ができる仕組みをつくるために日米地位協定の見直しを行うべきだということも申し上げて、質問といたします。
ありがとうございました。