山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2022年・第210臨時国会

「攻撃型兵器保有せず」の政府見解 防衛相「維持」明言せず/オスプレイのクラッチ問題 防衛省が答弁訂正 「不具合把握 説明なし」

○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。町田防衛省人事教育局長。

○防衛省 人事教育局長(町田一仁君) 十一月八日の本委員会における山添拓委員に対する、私、人事教育局長町田一仁の答弁の誤りにつきまして謝罪申し上げます。
当日の本委員会におきまして、山添委員から、米空軍が地上待機措置をとったのに対して、海兵隊のオスプレイは飛行を続け、自衛隊もオスプレイを止めませんでした。飛行に関わる構造はいずれもほとんど同じであるにもかかわらずです。その理由について海兵隊は、二〇一〇年にクラッチ不具合を確認していたからだとし、防衛省も、米軍から二〇一〇年以降クラッチを原因とする特有の現象がまれに発生することを把握していると説明しています。防衛省に伺います。米軍から、このクラッチの不具合について知らされたのはいつですかという御質問をいただきました。
これに対し、私は、政府参考人として、お答えいたします。ただいま委員御指摘のとおり、防衛省におきましては、米国防省から、オスプレイにおいてクラッチを原因とする特有の現象がまれに発生することを二〇一〇年の段階で把握し、この現象による深刻なトラブルを起こすことなく運用できる手順を確立し、教育訓練に通じて安全に運用できる体制を整えております。防衛省・自衛隊においては、二〇一六年の米国における操縦士の教育プログラムにおいて、この当該現象を踏まえた教育を受けております。操縦士においてオスプレイを安全に運用するための手順を含めた教育訓練を積み重ねてきているところでございますと答弁しました。
しかし、二〇一〇年の段階で、オスプレイに関し、防衛省がクラッチを原因とする特有の現象を把握していたという事実はなく、防衛省・自衛隊は、二〇一六年の米国における陸上自衛隊操縦士への教育プログラムにおいて情報共有を受けました。先日の答弁は答弁資料の読み間違えによる誤りであることから、以下のとおり修正いたします。
お答えいたします。ただいま委員御指摘のとおり、米国防省は、オスプレイにおいてクラッチを原因とする特有の現象がまれに発生することを二〇一〇年の段階で把握し、この現象による深刻なトラブルを起こすことなく運用できる手順を確立し、教育訓練を通じて安全に運用できる体制を整えております。防衛省・自衛隊においては、二〇一六年の米国における操縦士の教育プログラムにおいて、この当該現象を踏まえた教育を受けております。操縦士においてオスプレイを安全に運用するための手順を含めた教育訓練を積み重ねてきているところでございます。
以上でございます。
本件は、私の答弁の読み間違えにより発生したものであり、今後、国会に対する、より丁寧、確実な説明に努めつつ、再度このようなことが生じないよう、細心の注意を払ってまいります。
改めておわびいたします。申し訳ございませんでした。
─────────────
○委員長(阿達雅志君) これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今説明をいただきました八日の当委員会における答弁の修正は、単なる原稿の読み間違えにとどまる問題ではないと考えます。
オスプレイのクラッチの不具合を米軍から知らされたのはいつかという私の問いに対して、二〇一〇年の段階で把握したと答弁がありました。その事実は、二〇一二年、普天間配備に当たって作成されたパンフには一言もない、隠して配備を強行したのかと尋ね、さらに、二〇一四年、自衛隊のオスプレイ導入を決めるに当たっても説明はなかったと質問しました。三回の質問で、二〇一〇年に把握していたにもかかわらず、その説明がなかったことの問題を指摘いたしましたが、どの問いに対しても把握した時期を訂正する答弁はありませんでした。それだけではなく、防衛省は委員会の後、記者から取材で指摘されて初めて間違いに気付いたと伺っております。
これは大臣に伺いますが、答弁の誤りと、それを看過したことは、国会審議に臨む防衛省の姿勢そのものに疑念を抱かせるものだと言えます。どう認識されているでしょうか。

○防衛大臣(浜田靖一君) 今般、国会における答弁の修正を要する事態が起こりましたことは、答弁者であった人事教育局長による読み間違えが原因ではございますが、そもそも国会の運営において誤った答弁をすることがあってはならないことは改めて申し上げるまでもございません。今般の事態を受け、私から、人事教育局長を厳しく注意し、指導いたしました。
防衛省としては、国会に対する、より丁寧な説明に努めつつ、再度このようなことが生じないよう細心の注意を払ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
大変申し訳ございませんでした。

○山添拓君 人事教育局長だけの問題ではなく、これは国会軽視と言われても仕方のない事態だと指摘させていただきたいと思います。
改めて確認させていただきますが、オスプレイのクラッチの不具合について防衛省が米軍から知らされたのは二〇一六年が初めてだということですね。

○防衛省 防衛政策局次長(安藤敦史君) お答え申し上げます。
防衛省・自衛隊においては、二〇一六年の米国における陸上自衛隊操縦士への教育プログラムにおいて当該現象に関する情報共有を受けたところでございます。

○山添拓君 それは、二〇一二年の普天間配備、二〇一四年の自衛隊導入決定の時点では知らされていなかったということでしょうから、制御不能で墜落に至る可能性もある不具合を防衛省は知らなかったということになります。ところが、おとといの会見で防衛省は、普天間への配備時点で米側から説明されていなかったことについて問題があるとは考えていないと、半ば開き直りの説明をいたしております。
当時、防衛省が安全性を主張するために作成したパンフには、米国政府は、全ての信頼性及び安全性基準を満たすものと判断し、二〇〇五年九月にMV22の量産を承認しましたなどと書かれており、安全性ばかりを喧伝しています。クラッチの不具合については何ら言及がありません。
こうした説明は正確ではなかったわけですね。

○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。
オスプレイにつきましては、米国政府自身が開発段階で安全性、信頼性を確認しているところでございます。加えまして、我が国政府といたしましても、二〇一二年、米海兵隊MV22の日本配備に先立ちまして、パイロットや航空安全の専門家等から成る分析評価チームを立ち上げまして、部外有識者の協力も得て独自に安全性を確認したところでございます。こうした当時の対応は適切であったと考えております。
その上で、本現象の根本的な原因は米側において引き続き調査中と承知しておりますが、全ての種類のオスプレイの設計や技術に係る安全性について責任を有する米軍専門部局より機体自体の安全性に問題がないことを改めて確認しており、飛行の安全に係る構造上の欠陥はございません。
また、米海兵隊は、MV22が普天間飛行場に配備される前に既に安全に運用するための手順を確立し、全乗組員に対し適切な教育訓練を実施していたことを米側から確認しているところでございます。

○山添拓君 私は事実関係を伺っているのですが、先ほど答弁されたように、防衛省としても普天間配備に先立って政府として独自に安全性を確認していると、こうおっしゃいました。しかし、その防衛省の独自の確認の中ではこの不具合については少なくとも見抜けていなかったわけですね。

○政府参考人(安藤敦史君) 本現象につきましては、今回、先ほど申し上げましたように、米軍専門部局より機体自体の安全性に問題がないことを改めて確認をしておりまして、飛行の安全に係る構造上の欠陥はございません。

○山添拓君 当時どうだったかということを伺っているんですよ。見抜けてなかったのは事実じゃないんですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 当時の判断といたしましては、先ほど申し上げましたように、防衛省としてその時点で得られる情報を基にしっかり安全性に関する確認を実施したと考えているところでございます。

○山添拓君 いや、これは、先ほど丁寧に答弁していくということ、町田局長からありましたけれども、丁寧とは言えないと思うんですよね。当時、見抜けてなかったわけですよ。そのことについて伺ったのですが。
大臣に伺います。
原因不明の不具合が起き、根本的な原因はいまだに米側で調査中だと、そういう答弁です。そして、この原因不明の不具合は、乗員次第によっては制御不能で墜落に至り得ると、こういうことが指摘されています。この事実は、本来なら、普天間への配備の時点で防衛省としても把握しておくべき中身だったのではありませんか。

○国務大臣(浜田靖一君) その点につきましては、今お話を伺いながらも、我々もその時点時点において適切な判断をしたということだというふうに思っておりますが、その点について、御指摘のあるところが、疑念があるところは我々とすればしっかりと応えていかなければならないと考えております。

○山添拓君 米側から、当時米軍は把握していたにもかかわらず、情報提供を受けなかった。そのことについて抗議すらせずに、今、原因が判明していないにもかかわらず、米軍が安全と言うから安全だと言い張る。これは極めて無責任です。
二〇一六年、防衛省としても不具合を把握した時点で、沖縄県や宜野湾市など地元自治体に対しては説明されたんですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 防衛省・自衛隊におきましては、本現象につきまして、二〇一六年の米国における陸上自衛隊操縦士への教育プログラムにおいて情報共有を受けたところですが、機体自体の安全性に問題がないことに何ら変わりはございませんでした。
このため、本現象についてオスプレイの関係自治体にお知らせはしていなかったところでございます。

○山添拓君 二〇二〇年、自衛隊のオスプレイ配備を決定した木更津市に対してはどうですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 本現象については、お知らせはしていなかったところでございます。

○山添拓君 欠陥機であることが指摘されてきたオスプレイの配備は、米軍であれ自衛隊であれ、地元の理解に努めると、こう説明をされてきたはずです。ところが、地元の自治体が受入れを判断するに当たって重要な判断要素となる原因不明の不具合、制御不能となり得る事象について説明すらしてこなかったというのは、これは不誠実と言うほかないと思います。
大臣、今からでも説明すべきじゃありませんか。

○国務大臣(浜田靖一君) その件につきましても、我々今、ずっとこの間いろいろな、アメリカ側からの、米国側からのいろいろその不具合についての、それを超えるだけの安全性に結び付けるだけの技術というものをしっかりと確立をしているということでございますので、そういった点も含めて、今回木更津市にオスプレイを今置いてあるわけでありますが、その中においても、そういった訓練を今まで積み重ねてきた自衛隊、自衛隊員でありますので、今のところそういったものに対しての不具合というのは起きていないというのはこれまた事実でありますので、我々とすれば、これを改めて説明するということは今までしてこなかったわけでありますので、我々とすれば、その今までの訓練の成果等々を説明しながら、その安全性を説明してきているところだというふうに考えております。

○政府参考人(安藤敦史君) ちょっと今の答弁について補足を、大臣の答弁について少し補足を申し上げます。
今回、地上待機措置を受けまして、この地上待機措置が横田飛行場に配備されているCV22も対象となっていたこと、また、MV22や陸自オスプレイはクラッチを含め機体構造及び基本性能がCV22と同一であることを踏まえまして、当該措置について米側に状況を確認の上、米軍及び陸自オスプレイの関係自治体にお知らせしたところでございます。

○山添拓君 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、根拠もなく安全と振りまくのではなく、説明は少なくとも行う、そして、私たちはこれ配備は撤回するべきだということを改めて求めて、質問を終わります。

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○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
給与法改正案については賛成です。
その自衛隊の在り方を大きく変えることになりかねない国家安全保障戦略など、安保三文書の改定に関して伺います。
最大の焦点である反撃能力、敵基地攻撃能力の保有に関わって、政府は米国製の長距離巡航ミサイル、トマホークの購入を米国政府に打診していることが分かったと報じられています。十月二十九日付けの読売新聞は、八月に就任した浜田防衛相がトマホークの導入を決断し、米側との交渉を本格的に進めた、米国防省はおおむね了承し、米政府内での最終調整が行われている段階だという、としています。
大臣に伺いますが、これは事実ですか。

○防衛大臣(浜田靖一君) 反撃能力の保有を念頭にトマホークの購入を検討しているとの報道があることは承知しておりますが、いわゆる反撃能力については現在検討中であり、具体的な内容等は何ら決まっておりません。
また、個別具体的な装備品の一つ一つについて、その検討の有無を含め、お答えできないことについて御理解を願います。

○山添拓君 何か人ごとのように言われているんですけれども、大臣自身の行動についてのかなり具体的な報道だと思うんですね。誤報であれば打ち消す必要もあるかと思うんですけれども、これは事実じゃないわけですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 報道については承知をしておりますが、私がこれに一つ一つお答えするようなことができないということを御理解願いたいと思います。

○山添拓君 そんな検討していないということなら否定されればよいと思うんですね。それは否定されなかったということが、私は重大だと思います。
防衛省に伺いますが、トマホークとはどんな兵器ですか。

○防衛省 防衛政策局次長(安藤敦史君) お答え申し上げます。
米海軍の資料によれば、トマホークは、射程千六百キロメートルで、水上艦及び潜水艦から発射される対地攻撃用巡航ミサイルでありまして、現在、対艦攻撃用についても開発中であると承知しております。

○山添拓君 一九九一年、湾岸戦争で初めて実戦で使われ、二〇〇一年のアフガニスタン報復戦争、二〇〇三年のイラク侵略戦争、二〇一七年のシリア攻撃など、米軍の先制攻撃で使用されました。文字どおり、戦争の火蓋を切る兵器として使われてきたものです。しかも精密誘導といいながら、実際には誤爆によって軍事施設だけでなく民間地にも着弾しています。イラク戦争で米軍が使用した八百発以上のトマホークミサイルや二万三千発以上に上る精密誘導弾は、バグダッドの市場や住宅街も攻撃、破壊し、何の罪もない子供や女性など、数多くの一般市民を殺害してきました。
岸田政権が米国からトマホークを購入しようとしているのは、敵基地攻撃能力として開発を進める陸上自衛隊の一二式地対艦誘導弾の量産配備が二〇二六年度となる見通しであり、その間のつなぎのためとされています。トマホークの射程距離は今紹介あったように約千六百キロ、海上自衛隊イージス艦の垂直発射装置を改修すれば運用可能になるといい、そうしますと北朝鮮全土や中国の主要都市が射程圏内に入ってきます。
防衛省に伺います。トマホークのような長射程のミサイルは、これはいわゆる攻撃型の兵器に当たるということでよいですね。

○政府参考人(安藤敦史君) 政府といたしましては、従来から憲法九条の下で我が国が保持することが禁じられている戦力とは、自衛のための必要最小限度の実力を超えるものを指すと解されており、これに当たるか否かは我が国が保持する全体の実力についての問題である一方で、個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるため、いかなる場合にも許されないと考えているところです。この一貫した見解を変更すること、考えはございません。

○山添拓君 それで、トマホークはそういう攻撃型の兵器に当たるのですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げたように、反撃能力の保有を念頭に、トマホークの購入を検討しているとの報道があることは承知しております、承知していますが、いわゆる反撃能力については現在検討中でありまして、具体的内容等は何ら決まっておりません。
また、個別具体的な装備品の一つ一つについて、その検討の有無を含め、お答えできないことについて御理解をお願いいたします。

○山添拓君 購入の検討の是非あるいは当否という話ではなく、トマホークという兵器そのものの性質に関わって、これが攻撃型のものかどうか、そのように考えているかどうかと伺っているんです。(発言する者あり)

○委員長(阿達雅志君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(阿達雅志君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、憲法九条の下で我が国が保持することが禁じられている戦力とは、自衛のための必要最小限度の実力を超えるものを指すと解されており、これに当たるか否かは我が国が保持する全体の実力についての問題であると。
一方で、個別の兵器のうちでも、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器、例えばICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母、これらを保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるため、いかなる場合にも許されないと考えているところでございます。

○山添拓君 いや、ですから、そこにトマホークは当たると考えておられるのかと、長距離の巡航ミサイルですね、射程千六百キロ。これ防衛目的のためというよりは、専ら攻撃的に使う、そういう兵器ではないのですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、これに当たるか否かは我が国が保持する全体の実力についての問題であるということと、あと、現在まだ我が国が保有するということについて何ら決まっているものでもございませんので、それについてお答えすることは難しいということについて御理解いただければと思います。

○山添拓君 いや、そこすら答えられないというのは、これ現在の法解釈、憲法解釈にも関わる問題だと思うのですが、これは専ら攻撃のための兵器としか言えない性質のものだと思います。
こうした攻撃型の兵器について、歴代政権がどう説明してきたか。一九五七年、国防の基本方針で専守防衛を確立し、五九年に国会で次のように答弁しています。
すなわち、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能としつつ、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない。その後の一九八八年には、当時の防衛庁長官が、いわゆる攻撃的兵器を保有することは自衛のための最小限度の範囲を超えることとなるから、いかなる場合にも許されないと述べています。
大臣に伺います。
敵基地攻撃能力の保有は、専守防衛との関係で否定されてきました。ですから、トマホークについても今日に至るまで我が国は保有していない、こういう理解でよろしいですか。

○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。
いわゆる敵基地攻撃と憲法の関係についてでございますが、先ほど先生御指摘のとおり、政府は従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきております。
このような見解と、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう専守防衛の考え方は整合するものと考えております。
いずれにいたしましても、専守防衛は憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後ともこれを堅持してまいります。

○山添拓君 で、その専守防衛との関係でトマホークを保有してきていないと、そういうことでよろしいですか。

○政府参考人(安藤敦史君) 個々の装備品については、先ほど申し上げましたように、全体の戦力の中で検討していくべきものだというふうに考えております。

○山添拓君 先ほどおっしゃった自衛の範囲に含まれ、可能だということと、その保有とは別ですね。
先ほど私が紹介した過去の国会答弁の中で前段の方だけを紹介されました。自衛の範囲に含まれ可能、しかし攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではない、ここまで一体の答弁なんですね。
大臣、この答弁は今後も維持されるんですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 今お話しずっとしておりますように、我々とすれば、憲法の範囲内でということは、これは絶対条件であります。
ただ、今我々は抜本的なこの防衛力の見直しをしているさなかでありまして、三文書に向けていろいろな議論がされておるわけであります。その中においては、当然、あらゆる議論をしていくということは、これは当然のことでありますので、しかしながら、我々が常に意識しておるのは、憲法の範囲内であり、そして、その中で、我々が先制攻撃をするような、いうようなことを戒めるということは、これは当たり前の話であって、これがあくまでも前提でありますので、よろしくお願いいたします。

○山添拓君 質問に答えていただいていません。(発言する者あり)何でっておっしゃるけど、答えていただいてないですよ。
過去の国会答弁として紹介したのは、こうした攻撃型の兵器を、自衛の範囲に含まれ可能だということと、その保有とは別々に答弁しているんですね。保有は憲法の趣旨に、趣旨とするところではない、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではないと、ここまでが一体の答弁としてされているんです。これを維持されるのかされないのかということを伺っています。

○国務大臣(浜田靖一君) 今お話にあったのは、そのことに初めから、このトマホークについて初めからこれを導入するということを前提としてお話になっておりますが、我々はあくまでもこれを検討すると言っている段階で、今我々、予断はできない、予断の判断、予断に、いろいろ判断してはならないというふうに思っているところでありますし、その意味では、我々、必ず、先ほども申し上げたように、当然、憲法の範囲内で定められたものをしっかりと守っていくということが、これは絶対条件でありますので、我々とすれば、過去の答弁と我々の今これからトライしようとしていることとは、当然そこに差異があるのはこれは仕方のない話でありますんで、我々がそれを破ってまでというところまで判断するかどうかは今検討している最中でありますので、今この時点でお答えをすることができないということであります。

○山添拓君 これはですね、憲法の範囲内でと言いながら、憲法解釈あるいは憲法の趣旨との関係で答弁されてきたことについて維持するかどうかを今明言されないと、これは重大だと思うんですね。(発言する者あり)いやいや、当然かのようにおっしゃいますけれども、過去の答弁維持されるのかされないのかということで、それは今検討しているから維持するとは言わないということですよね。(発言する者あり)あっ、そうじゃないんですか。

○国務大臣(浜田靖一君) これはもう憲法の範囲内ということがこれは絶対決まっているわけでありますんで、当然、その今までそれを、この点に関してだけおっしゃるというのであるならば、今までの答弁に対して、当然これは憲法の範囲内で答弁をされているわけですから、このことは間違いのないことでありますし、我々は、今後、今後の防衛力を抜本的に検討、強化するということを指示を受けているわけですから、その指示の中で、我々とすれば、あらゆるものを排除して議論しているというのが現状であって、私とすれば、新聞等に載っていることに対して一々私がコメントすることでありませんし、その点についても併せてこれから我々の思いというのは説明していかなきゃならぬわけでありますけれども、しかし、あくまでもこの憲法を遵守し、そしてそれを、そこから出ないということだけは、これは明快なことでありますので、それはここで言わせていただきたいと思います。

○山添拓君 大臣は二言目には憲法の範囲内でとおっしゃいます。
そこで伺いますが、今年一月から十七回にわたって行ったとする有識者との意見交換、また現在行われている有識者会議のメンバーに憲法学者が含まれていますか。

○内閣官房 内閣審議官(加野幸司君) お尋ねがございました有識者との意見交換でございますけれども、こちらは、国家安全保障局、外務省、それから防衛省等の関係者が、御案内ございましたとおり、一月から七月まで十七回にわたって行った有識者からの意見交換ということでございます。
で、こちらの議論につきましては、例えば外交、防衛、経済安全保障、技術、宇宙、サイバー、気候変動等、多岐にわたる分野の方をお招きして、五十二名の方からお話を伺っているということでございますけれども、憲法について、特にそれを御専門とされている方ということで申し上げると、そういう方はいらっしゃらないということでございます。
以上です。

○山添拓君 いないんですよね。
そして、むしろ憲法解釈の変更や憲法改正の必要性についての言及までされております。
我が党は安保三文書の改定そのものに反対ですが、改定前から敵基地攻撃能力の保有を前提とした兵器の導入を進める安保政策の転換を既成事実化しようとする、これは大問題だと思いますし、専守防衛を始め、憲法の範囲の逸脱ありき、しかも一片の閣議決定で従来の憲法解釈を大転換するなど、言語道断だということを申し上げて、質問を終わります。

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