山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2022年12月7日

憲法審査会での発言をご紹介します

参議院憲法審査会が開かれ、参議院のあり方と選挙制度をテーマに意見交換が行われました。参議院の憲法審査会は臨時国会で2回目です。

このテーマは、幹事会で自民党が主に主張し、議論を求めたものでした。ところが今日、冒頭に発言した山谷えり子氏は、選挙の問題は前回も発言した、後で別の議員からも発言があるといい、持ち時間のほとんどすべてを「抑止力としての反撃能力が必要」などと安保政策に費やしました。

これには野党側から大いに批判の声が上がり、自民党筆頭幹事が謝罪する事態に。

結局、憲法審査会を動かせばテーマなどどうでもよく、語りたいのは自民党改憲案――そんな姿勢がありありと見える醜態でした。

私の発言をご紹介します。

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 はじめに、自民党議員から本日のテーマから全く離れた発言がなされたことに強く抗議します。わが党は、多くの国民が改憲を政治の優先課題として求めていないなか、審査会を動かすべきではないという意見です。しかし少なくとも、議題と全く離れた発言がなされることは、幹事会の合意に反し、開催の前提を欠くことを指摘したいと思います。

 参議院議員の選挙区の一票の較差及び「合区」問題にかんして、意見を述べます。

 日本国憲法前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」という文言に始まり、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」としています。民意を正確に反映した国会で、徹底審議を通じて国の進路を決めることは、国民主権の議会制民主主義における基本的な要請です。

 選挙権は、国民の国政への参加の機会を保障する基本的人権であり、参議院議員の選挙制度において、投票価値の平等を求める憲法14条1項や、国会議員が「全国民の代表」であるとする43条1項などを満たすべきことは言うまでもありません。同時にこうした議論は、参議院改革協議会や選挙制度にかんする特別委員会などで行うべきであり、憲法審査会を動かし論じるべき問題ではありません。

 参議院議員の選挙制度を違憲状態とした2012年最高裁大法廷判決が、「参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難い」とし、都道府県を選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はなく、仕組み自体の見直しが必要と述べたことは、今日においても重く受け止めるべきです。

 最高裁は、「合区」導入後の二回の参議院選挙について合憲としていますが、いずれも投票価値の較差の更なる是正に向けた国会の姿勢、特に2015年改正法の附則7条が、次の参院選に向けて「較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」としていたことを踏まえた判示です。

 本日の審査会に先立つ幹事懇談会で、今年の参院選を受けた各高裁判決に当審査会での議論に言及するものがあることを理由に、さらに議論すべきという意見がありました。しかし、2020年の最高裁判決が、「立法府の検討過程において較差の是正を指向する姿勢が失われるに至ったと断ずることはできない」ことを理由にかろうじて合憲としたことから明らかなように、求められているのは較差是正に向けた検討です。

 較差を容認ないし度外視し、都道府県ごとの代表を選出できるようにするための「合区解消」、ましてやそのための改憲論議が求められているのではありません。国会は、選挙制度の憲法適合性をめぐる司法の要求に正面から応えるべきです。

 参議院選挙区選挙において、「合区」による較差是正に限界があることは、今年5月の当審査会で新井誠、上田健介両参考人からも指摘がありました。合区対象県の住民と他の都道府県の住民との間で法の下の平等に反する事態を生じる点も重大です。

「抜本的な見直し」が求められていたにもかかわらず、2018年改正で自民党は、「この法案は次善の策だ」「憲法改正こそが抜本的な改正だ」などと開き直り、非拘束名簿式の比例代表選挙に「優先的に当選となる特定枠」制度を持ち込みました。抜本見直しの意味も司法の求めも意図的に曲解し、牽強付会に改憲論に結びつけるなど言語道断です。

 「特定枠」の導入について自民党は、「国政上有為な人材」「政党が役割を果たす上で必要な人材」を当選しやすくすることが目的と述べました。ところがふたを開けてみると、自民党が「特定枠」に据えたのは鳥取・島根、徳島・高知の両合区で選挙区の候補者にならなかった者でした。結局、合区によって選挙区から立候補できない自民党の議員・候補者を救済するための、まさに党利党略でした。しかも現在、この特定枠で当選した議員が県知事選挙に立候補の意向を表明したとも報じられています。制度も有権者も愚弄するものと言うほかありません。

 わが党は参議院改革協議会で、投票価値の平等を実現する抜本改革とすること、多様な民意が正確に議席に反映する制度とすること、定数削減は参議院の立法・行政に対するチェック機能を弱め、民意を削るものであり行わないことという3点を表明しています。

 現在の参議院選挙区選挙は、45選挙区のうち32が一人区で、事実上ほとんどが死票の多い小選挙区です。総定数を削減することなく、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心に、全国10ブロックの非拘束名簿方式の選挙制度とすることを提案します。

 一票の較差をただし、民意の届く選挙制度への抜本改革をすすめ、憲法をいかした政治に転換すべきことを強調し、意見とします。

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