2023年3月9日
米軍基地周辺で広がるPFAS汚染
予算委員会で公聴会が行われる日は、並行して各常任委員会の大臣所信質疑を行うのが恒例です。そのため今日は委員会を掛け持ち。公聴会は3つの枠で行われましたが、うち2つで公述人に質問し、最後に外交防衛委員会での対政府質疑でした。
外防で取り上げたのは、米軍基地周辺で広がるPFAS(有機フッ素化合物)汚染の問題。
東京・多摩地域では住民が血中濃度調査を実施。中間結果で、米国の指標値を超える人が85%。日本には血中濃度の基準はありません。質問にあたり厚労省に答弁を求めると、「部署がない」といい、環境省とたらい回しに。今日厚労省は「知見がない」と繰り返しましたが、最後に「今後検討したい」と述べたのは一歩前進でした。
この多摩地域の汚染は、米軍横田基地との関係が指摘されてきました。防衛大臣は、基地内の地下水や土壌の汚染状況を「承知していない」と答弁。米側が公表した数値についても、どこのものかはわからないといいます。横田基地近くの立川市では都の調査で2020年に高濃度の汚染が確認されました。しかし米軍は「都の調査は米軍が立ち会っていないから検証できない」といい認めていません。日本政府も米軍の公表する数字を鵜呑みにせず、立入り調査で確認すべきです。
海軍横須賀基地では排水処理施設で高濃度を検出。12月には日米地位協定の環境補足協定に基づく「立入り」(立入り調査、ではなく「立入り」というのが正しいようです)が行われましたが、市が希望した排水処理施設内では採取できず、排出後の海水での調査にとどまりました。その結果ですら公表されていません。
環境補足協定は2015年、安倍政権下で当時の岸田外務大臣が署名。「従来の運用改善とは質的に異なる歴史的な意義がある」と自画自賛しましたが、結果はこの有様。ドイツやベルギーなど、ヨーロッパの国では駐留米軍基地へも地元自治体が立入り調査を行う権限があり、米軍側もそれを当然のこととして対応しています。この違いはなにか。外務省は「一概には言えない」と繰り返すばかりでしたが、政治の姿勢の違いにほかならない。