2023年・第211通常国会
- 2023年3月15日
- 予算委員会
解釈変更 礒崎氏の発案 放送法 総務省追及
- 要約
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- 放送の政治的公平性を「番組全体」ではなく「一つの番組」で判断できるとする2016年の政府統一見解は、首相官邸の発案で行われたと告発し、「総務省として検証すべきだ」と迫った。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
放送法四条、政治的公平について総務省に伺います。
政府は、解釈変更を認めず補充的な説明と言いますが、その補充的説明という言い方、また一つの番組でも政治的公平に反する場合があるとする二つの事例、これらは、公表された資料を見る限り、いずれも最初に言い出したのは礒崎補佐官ですね。
〔理事片山さつき君退席、委員長着席〕
○総務省 情報流通行政局長(小笠原陽一君) お答えいたします。
今の委員のちょっと御質問、補充的説明、あるいは後の政府統一見解で言っていますその二つの事例といったところのお問合せでありましたら、それにつきましては、平成二十七年五月十二日、参議院総務委員会のその答弁において、藤川委員のそのお尋ねに対して、当時の高市総務大臣から、放送法四条のその補充的解釈と、補充的説明ということでお答えを申し上げているところでございます。さらに、その後、政府統一見解ということで、当時の国会のお求めに応じて出させていただいたものでございます。
○山添拓君 公表資料ではどこに出てきているかと伺っているんです。
○政府参考人(小笠原陽一君) お答え申し上げます。
公表資料という意味では、今、言うまでもないところでありますが、今のこういった委員会のその議事録というのは当然公表資料ですし、それから、今の、一つのその番組のみ、あるいはその全体での判断ということでいえば、今発売されております放送法の逐条解説ということについても述べられているところでございます。
○山添拓君 総務省が今回公表した七十八ページの資料のことです。
○政府参考人(小笠原陽一君) 大変失礼いたしました。
三月七日の公表した行政文書において、御指摘のその用語が最初に出てきますのは、選挙関連の事例ということでいいますと九ページ、それから選挙の事例というところでいいますと十ページに出てまいります。それから、国論を二分するような事例ということでは十ページ、それから補充的な説明という意味では、この補充的説明という用語で十九ページ、そういったところに言及されているところでございます。
○山添拓君 それは、いずれも礒崎氏が発案した言葉として紹介されています。
一連のやり取りの二日前、二〇一四年十一月二十四日には、特定の番組を念頭に、放送法上許されるはずがありません、黙って見過ごすわけにはいきませんとツイートし、言葉どおりにその後動いています。
総理は、先日、総務省が自らの判断でこの解釈変更を行ったという趣旨で述べましたが、大臣に伺います。総務省ではなく、礒崎氏の政治的な見解による変更ではないのですか。
○総務大臣(松本剛明君) まず、私どもとして解釈変更を行ったとは考えていないことは、これまでも答弁で申し上げているとおりでございます。
その上で、五月の、平成二十七年五月の二十七日の参議院の総務委員会、平成二十八年二月だったかと思いますが、政府統一見解、国会での御質問、国会からのお求めに応じて提出をさせていただいたものでございますけれども、礒崎氏と面談があったことは関係者等の証言であったというふうに私ども考えておりますが、礒崎元総理補佐官の法令に関するお問合せにお答えをさせていただいたもので、国会での答弁、政府統一見解につきましては、総務省として、当時の大臣の下、責任を持って対応させていただいたもので、適切に対応させていただいたものだというふうに考えております。
○山添拓君 大臣、今聞いていただいていたと思うんですが、礒崎氏が発案した言葉のとおりに大臣が国会で見解を述べているんですよ。礒崎氏の言いなりに総務省が動いたんじゃないんですか。
○国務大臣(松本剛明君) 御引用になられた文書の内容については、私どもとしては確認が取れていないと理解をしていますので、その引用に基づいて御答弁を申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、国会での答弁、政府の統一見解につきましては、放送法の解釈として適切に御答弁、統一見解を示させていただいたというふうに理解しております。
○山添拓君 総理は、先日、補佐官は政策を決定したり行政各部を指揮監督したりする立場にはないと述べました。総務省が、権限がない礒崎氏の言いなりに対応したと見られますが、それはなぜなんでしょうか、大臣。
○国務大臣(松本剛明君) 内容が確認をされていない文書に基づいての経緯の御説明について私どもがコメントを申し上げられる立場にありませんが、私どもとして、放送行政を適切に行うことが私たちの責務であると考えており、これまでも申し上げているように、放送法にのっとって適切かつ慎重に放送行政を行ってきており、従来と特に変更をさせていただくこともなく、また、放送の表現の自由や知る権利を大切にこれからも行政を進めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 礒崎氏は、俺の顔を潰すようなことになればただじゃ済まないぞ、首が飛ぶぞなどと、ほとんど脅しているようなんですね。こういう下でされた解釈変更が適切な放送行政なんですか。
○国務大臣(松本剛明君) 繰り返しになりますが、私どもとして内容を確認していない文書に基づく御質問には御答弁を申し上げかねますが、関係者に聞く限り、強要されて解釈を変えたということではないと私は認識をしております。
○山添拓君 政府は解釈を変えていないと繰り返し述べます。
そこで聞くんですが、一九六四年以来解釈を変えていないと言うのですが、その年に出された郵政省の答申書は放送番組編集上の遵守すべき事項についてどう述べていますか。
○政府参考人(小笠原陽一君) 御答弁申し上げます。
今御質問のあった報告書ということですと、そのとき郵政省、当時の郵政省から出しました臨放調答申書の資料編というところの内容のところを指しておられるかと思います。
御指摘の箇所は、今申し上げをした資料のうち、放送番組の在り方ということについて述べております。そこではまず、放送法は放送番組の編集に当たって、政治的公平等、いわゆる番組準則を守ることを定めているとの説明がなされていきます。次に、個々の放送内容について、これが守られていないこと、これを挙証することは極めて困難で、最終的に訴訟によらなければどうにもならない問題であろうというふうにしております。その上で、番組準則は、現実問題としては、一つの目標であって、法の実際的効果としては多分に精神的規定の域を出ないものと考えるという説明がなされております。
ただ、その後、平成二十八年でございますが、放送法四条に関する質問書に対して、政府として、放送法四条は文理上も法規範性を有することは明らかというふうに答弁をさせていただいているところでございます。
○山添拓君 今の答弁は、この昭和三十九年、六四年当時のものから変わったという趣旨ですか。
○政府参考人(小笠原陽一君) 大臣から先ほども御答弁申し上げているところでございます。放送法四条に関する解釈について、私どものこの解釈については変更されているということはございません。
○山添拓君 変わっていないのであれば、政治の介入を否定したのがこの六四年の文言ですね。
○政府参考人(小笠原陽一君) 御答弁申し上げます。
先ほど引用させていただいたところについては、個々の放送内容について、守られていないことを挙証することが極めて困難で、最終的には訴訟によらなければどうにもならない問題であろうと、その上での、現実問題としては、一つの目標であり、法の実際的効果としては多分に精神的規定の域を出ないものと考えるというふうに記述されているものでございます。
○山添拓君 変えたかどうかおっしゃらない。
九六年、多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会の報告書は、政治的公平の意味と客観的基準についてどう論じていますか。
○政府参考人(小笠原陽一君) 御指摘の報告書、一九九六年十二月九日の多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会ということでございます。
これについて、御指摘の報告書についての取りまとめでございますが、番組、政治的公平の意味はなお抽象的であり、また主観的要素も大きいことから、特定の番組の編集について明白に違反していると判断できる場合は少なく、より客観的な判断基準を設けるべきだというふうにする考えを紹介し、さらに、政治的公平がそもそも政治的主義主張という主義的な内容を対象としているため、どのような基準を設けたとしても、おのずと一定の限界があるとも考えられるという説明がなされております。
再三で申し訳ございませんが、この後、平成二十八年の三月、先ほど申し上げました政府答弁といたしまして、二十八年三月、あの質問主意書に対しまして、放送法第四条は文理上も法規範性を有することは明らかというふうに答弁しているところでございます。
○山添拓君 それでもなお変わっていないとおっしゃっているんですよ。限界があるという今指摘でした。
大臣に伺います。
一つの番組について行政が政治的公平かどうか判断するなら、一つの番組内でバランスを意識せざるを得なくなります。それは、編集、放送の自由、報道の自由、表現の自由を脅かすことになります。その意識がおありですか。
○国務大臣(松本剛明君) 表現の自由は大変大切だというふうに私ども考えております。
先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、一九六四年、昭和三十九年、一九九六年、平成八年もこの政治的公平性の判断についての議論がなされておりますが、法規範性を認めた上での議論だというふうに理解をいたしております。
その上で、私どものこの平成二十八年の見解、全部お読みを申し上げる時間はないかというふうに思いますが、番組全体を見ても判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるということで、総務大臣の見解として例示をさせていただいて、そのような極端な場合においても、場合においては、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないとの考えを示したものというふうに書いておりまして、これは番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明したものというふうに、より明確にしたものというふうに申し上げているところで、是非、これまでもこれからも、慎重かつ適切に法にのっとって放送行政を展開をしてまいりますし、放送行政が変わっていないという、表現の自由を大切にした放送行政は変わっていないということを是非皆様にも御理解いただきたいと思います。
○山添拓君 全然答えて、なっていません。憲法上の権利侵害の認識、余りにも乏しいです。解釈変更は撤回すべきです。
官邸の発案で表現の自由に介入する解釈変更が行われた重大な問題です。大臣、総務省として検証すべきではありませんか。
○国務大臣(松本剛明君) 私が報告を受けている限りでは、御質問、そして国会の求めに応じて答弁、見解を示したもので、これには、先ほど申し上げたこれまでの放送行政の姿勢を、また解釈を堅持してお答えをしたものと考えておりますので、表現の自由を、国民の知る権利を守るという私どもの責務も果たしていると理解をいたしております。
○山添拓君 変わったことを変えていないとおっしゃり続けるのは、これ詭弁ですよ。
礒崎氏は自身のツイッターで、国会で議論されるべきなどと述べています。
証人喚問を求めて、私の質問を終わります。
委員長、お取り計らいください。
○委員長(末松信介君) 既に案件として出ておりますんですけれども、後刻理事会で協議をいたします。