2023年4月12日
今週も憲法審査会が開かれました
今週も憲法審査会が開かれ、先週に続いて「緊急集会」(憲法54条2項)をテーマに意見交換となりました。
自民党や維新の会から、参議院でも「精力的に開催を」とあおる意見が幹事会で毎回出されます。ただし、今週は連続開催となりましたが来週は開かない見込みです。
今日は参議院法制局に質問する形での発言としました。
問い 緊急集会の規定は、日本国憲法制定に至る過程の当初はなかったもので、当時の日本政府が求めていたのは緊急時の「閣令」でした。これは、明治憲法8条の緊急勅令や70条の緊急財政処分といった、政府の専断で処理できるという仕組みか。
答え 指摘のとおり。
問い 日本国憲法は、そうした規定を排除したことに特徴がある。いかなる緊急事態であっても国会の関与を求め行政権の専断を許さず、権力分立を維持し、それにより国民の権利保障を全うしようとした、立憲主義を貫こうとするものということか。
答え 指摘のとおり。
問い 戦前、帝国議会で衆議院議員の任期が延長された事例とその理由を説明されたい。
答え 明治憲法には明文の規定はなく、衆議院議員選挙法で任期が規定されている。昭和16年「衆議院議員の任期延長に関する法律」により、昭和17年4月29日まで1年延長。帝国議会では、「今日の緊迫した時局の下において総選挙を行うことは適当でない」と説明された。
日中戦争が長期化するなか、1937(昭和12)年4月の総選挙で選ばれた議員の任期満了が目前に迫った1941年4月、第二次近衛内閣は、選挙を行うと「挙国一致防衛国家体制の整備を邁進しようとする決意について、疑いを起こさしめぬとも限らぬ」という理由で任期を延長しました。その間に真珠湾攻撃を行い、反戦の声を封じ、対アメリカ・連合軍との無謀な戦争に突入。延長後に行われた1942年の総選挙は、いわゆる「翼賛選挙」です。
この教訓からも明らかなとおり、「緊急事態」であればなおさら、民主政治を徹底し国民の審判の機会を保障することこそ必要であり、総選挙の間は憲法の規定通り参議院の緊急集会が対応すれば足ります。
緊急事態の危機をことさらあおり、憲法で定めた参議院の機能を否定するかのように、議員任期の延長、さらには緊急事態条項の創設など改憲論へ突き進もうとするのは、歴史の教訓を踏まえない暴論であり断じて認められません。