2023年4月25日
日豪・日英部隊間協力円滑化協定 あまりに不合理
外交防衛委員会で質問。日豪・日英部隊間協力円滑化協定とその実施法の1回目の審議です。
自衛隊とオーストラリア軍や英国軍が相互に行き来する際の手続きや地位を定め、「円滑化」するといいますが、中身は日米地位協定の引き写し。特に、刑事裁判権をめぐる「治外法権」的な地位協定の問題点をそのまま豪英との関係でも拡大しようとしています。
日米地位協定は、米軍関係者の公務執行中の犯罪については、米側に「刑事裁判権及び懲戒の裁判権」があるとしています。
ところが、米軍の軍人や軍属が日本で事件や事故を起こした672件のうち、「裁判」=軍法会議になったものはゼロだと法務省(2014年〜2022年6月)。ほとんどは「非司法的処分」「懲戒処分」とされています。懲戒や運転免許の一時停止など行政処分だけで済ませ、交通事故などで被害者が死傷する事件や故意犯であっても刑事裁判にかけられていないことになります。
しかし、例えば自衛官の性暴力事件などでは、懲戒免職処分とされた後に強制わいせつで起訴されているように、懲戒処分と刑事裁判は両方される場合があり、されるべきケースがあります。米軍の事件でゼロはおかしいのではないか。
背景に、日米地位協定に基づき日米間で合意している「公務証明書」という仕組みがあります。米側が「公務証明書」を発行すると、日本側は公務中であることの「十分な証拠資料」とするとしています。反証は「10日以内に提出し合同委員会にかける」ともーー日本人が被害に遭う事件にもかかわらず、米側に急かされるのは異常です。
公務中であるかどうかは日本の捜査機関や裁判所が判断すべきです。
現代に残る治外法権、その解消には日米地位協定の抜本改定こそ必要です。
ところがその日米地位協定並の新たな協定をオーストラリアや英国と結ぶのは、あまりに不合理です。