2024年4月2日
UNRWAへの資金拠出再開
政府がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への資金拠出再開を決めました。
先週3月28日、上川外務大臣がUNRWAのラザリーニ事務局長と会談しており、翌29日の質問で再開を急ぐよう求めていました。「スピード感をもって検討する」と答弁していましたが、1月末に停止を決めてから2か月かかり、ようやく判断。当然ですが、遅すぎといわなければなりません。
UNRWAは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)より早く、1950年5月に活動を開始した、パレスチナ難民支援に特化した国連機関です(UNHCRは1950年12月始動)。3万人近い職員数は国連機関のなかでも最大級ですが、99%はパレスチナ人であり、難民支援そのものをパレスチナ難民が担っていることになります。その活動範囲は広く、教育、保健、福祉、救急など社会的に欠かせない存在です。
今回、UNRWA職員のうち12人(うち2人は死亡)が昨年10月7日のハマスによる攻撃に関与したとの「疑惑」がイスラエル側から提示され、これを理由に欧米各国や日本が資金拠出の停止を表明しました。
「疑惑」の段階であり調査が行われていること、3万人の職員のうち12人の関与をもってUNRWAの組織的関与とは言いがたいこと、UNRWA施設にハマスの地下トンネルがあったなどとするイスラエル側の主張に根拠がないことなど、そもそも資金拠出停止の判断自体が不当なものでした(「疑惑」で判断するなら、イスラエルによる国際人道法違反の「疑惑」こそ重大なもの)。ところが国会審議のなかでは、維新の会の一部議員などからUNRWAの意義そのものを否定するような発言があり、資金拠出の再開どころか今後のパレスチナ難民支援のあり方を変えさせようという向きまで見られたことから、今回、政府が判断を改め、資金拠出の再開を決めたこと自体は重要でした。
なにより求められているのは即時の停戦です。米国が棄権し、安保理で即時停戦決議が採択されました。したがってその後も攻撃を続けていることは安保理決議違反が問われる事態です。国際社会は停戦に向け、一層のとりくみが求められます。