日航のジャンボ機墜落事故から32年。今年も遺族による御巣鷹山への慰霊登山の様子などが報じられています。
毎年、お盆の帰省ラッシュのニュースと並んで伝えられます。32年前も、世の中が休暇に入るなかで衝撃の報せだったのだと思うと、なんとも言えない気持ちになります。
報道のなかで、風化をいかに防ぐかに重点が置かれていたのが印象的でした。520人が亡くなる航空機事故は、国内で最大、単独の事故としては世界でも最大。私は、とりわけJALの労働組合のみなさんに話をうかがうなかで、「御巣鷹を忘れるな」と空の安全をかかげたたかう姿勢を通して、強烈な印象として脳裏に刻まれています。
日航の植木社長、インタビューで「社員で当時を知る者がたった6%になってしまった」と話していました。32年前からの社員が減ってきたことは事実としても、日航が2011年末、整理解雇で意図的に排除した165人のなかに当時を知る労働者が大勢いたことを忘れてはならない。年齢基準で整理解雇の対象とした影響は明らかであり、自然と「なってしまった」のではありません。
いま、JALはベテランが減り客室乗務員では3人に1人が新人という状況。さらに勤務基準が改悪され、疲労の蓄積により続けられない辞めたいと考える人も増える。ミスやトラブル、乗務員の体調不良など、乗客に見える場面を含めて深刻な事態が広がっています。
働く環境を整えることは、運航の安全を支える前提です。しかし、そのことの自覚を欠く経営陣の姿が。
LCCが増えるなど、空の需要は年々増え続けています。増えるに任せておくのではなく、空の安全のために政治がきちんと役割を果たすべきです。そしてJAL整理解雇事件も誠実な解決に歩を進めるべきだ。