外務省が国連特別報告者カナタチ氏の書簡に対して回答書を送付。
8月21日のことだったようですが、記者発表などは行われず。カナタチ氏が公開書簡で懸念を表明してから3か月以上が経過しています。HPには掲載されたものの、非常に分かりにくいところにリンクがあります。8月26日付読売新聞で言及されていましたが、ごく小さい記事でした。
その「回答」について、外務省の担当者から説明を受けました。
注釈と参照条文を併せ計13ページの「回答」は、「これまでも…特別報告者制度に全面的に協力してきた」と誇示する文章に始まり、「本回答を熟読していただければ、その懸念や疑問は解消されるものと思われる」などと結んでいます。
共謀罪法は明確性を欠くとのカナタチ氏の指摘に対しては「批判は、全くあたらない」と、どこかで聞いたようなフレーズ。「組織的犯罪集団」の明確性については、条文を引用した上で「明確に規定している」「国会でも繰り返し確認されているところであり、これらの意義は明確である」という。これでは、「明確だと言っているのだから明確だ」と言わんばかりです。
また、監視捜査など捜査のあり方についての懸念や捜査機関に対する監督機関の必要性に関しても、「他の犯罪の捜査と同様、刑事訴訟法等の法令に従い、適正に行われる」と自信たっぷり。これまで、いかにプライバシーを侵害する違法、不当な捜査が繰り返されてきたか。裁判や国会で指摘されたことも含めて、言及はありません。
さらに、「本法律に関する国民の関心は極めて高く、…メディア各社による世論調査も頻繁に行われた」、だから「市民社会の積極的な関与を得ていた」というのですが、肝心の世論調査の結果が紹介されていません。反対世論が広がり、拙速な審議はやめよという声が圧倒的、そしてその声を無視して、中間報告という名で押し通したにもかかわらず、その事実は意図的に省かれています。
質・量ともに、作成に3ヶ月もかかる文章とは思えません。政府の国会答弁の域を一歩も出ない。なぜ、法案審議中に直ちに回答しなかったのか。HPの目立たないところにこっそり公開し、外務大臣は記者会見もしない。批判必至と考えたのでしょうか。
しかしそれでは、人権理事会の理事国としてもあまりにもお粗末ではないか。
こんな回答しかできない違憲の法律、やはり廃止するしかない。
外務省HP「国連人権理事会『プライバシーの権利』特別報告者の指摘に対する回答」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/is_sc/page24_000896.html
※「ケナタッチ」氏は誤りだとの指摘をいただきましたので、「カナタチ」氏に改めました。