2018年9月25日
カナダの行政監視機能を学ぶ
オタワでの2日目は清々しい天気に。ただし、気温は日本だともう冬。先週まで昼は30℃あったそうですが、街を行く人はすでにコートやジャンバーを羽織っていました。寒い…!
先週金曜日にオタワ近郊のガティノーを襲った竜巻は120年ぶりとのこと。約30人のけが人があり、一時は13万戸が停電しました。週明けの月曜日、連邦政府は混乱をもたらしかねないとして、職員を出勤停止(自宅勤務)に。ラッシュ時の道がガラガラでした。こういう対応を見るとカルチャーショックを感じます。
そのガティノーにあるオタワの公文書館は97年に完成。2004年に国会図書館と一体化し、来年さらに新しい建物も着工するそうです。ガラス張りの建物のなかにコンクリ製の建物が。オタワは気温の変化が大きく、レンガやコンクリでは湿度管理ができないため、ガラスで覆ったとのこと。
42万5000点の絵画、300万点の地図、2000万冊、写真など3000万点、テキストで25万キロ分を収蔵。
映像、書籍、絵画など、あらゆるもののデータ化を進めていました。昨年のカナダ150年を記念した事業では、第一次大戦の記録をデジタル化。兵士の写真や戦争日誌もすべてデジタル記録にしたそうです。日本では2年前の南スーダンPKOですら、日報の存在自体を隠してしまうというのに…!
午後は会計検査院の予定が、竜巻の影響で急きょ変更になり、議会予算局長官との面談に。
国会内につくられた20名のチームが、政府の予算案について野党の要求に応じて分析。最近では議会で大きな問題となったF35戦闘機の購入についても分析したといいます。なんと選挙前には各党の財政政策の実効性を分析し根拠を示して国民にも提示。とてもユニークな組織です。発足10年で職員も訓練され、絶大な国民的信頼があるとのこと。
総じて感じるのは、公文書管理の徹底や議会による行政監視の工夫と同時に、行政が公文書を改ざんしたり隠ぺいしたり、嘘の説明をするなど、そもそも想定されていないという点です。いや、想定する必要もないのでしょう。「行政は中立ですから」と当たり前に説明された際、この間の日本における問題の幼稚さと深刻さを改めて痛感。私たちの国の政治は、それだけ脆弱で、そして改めるがいがあるとも言えるのではないか。
写真は、ガラス張りの公文書館(の一部)。