今週は月曜日から3日連続の質問。一区切りとなる今日は、資源エネルギー調査会でまとめの質疑・意見表明でした。
エネルギー価格が高騰し、電気代が上がっています。そのなかで再エネを中心に小売りする「新電力」が苦境にある問題を取り上げました。電力の市場価格は普段8〜9円/kWhですが、1月は最大80円まで高騰し、4月も平均17円程度。時間帯によっては40円ぐらいに上がることもあり、その高騰分を新電力の会社がかぶっているケースが多々あります。元々市場価格が安定していることを前提とした仕組みだったのが、昨年来の高騰にウクライナ侵略が追い打ちをかけ破たんしています。新電力の廃業・倒産が相次ぐ事態をこのままにしておくのかと質問しました。
以下は最後の意見表明です。この調査会には6年間所属してきました。原発ゼロと脱炭素へ、まだまだがんばりたい。
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本年の調査テーマである「資源エネルギーの持続可能性」にかんして、意見を述べます。
昨年11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で採択された「グラスゴー気候合意」は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて「1.5℃に抑える努力を追及する」と明記し、二酸化炭素CO2を大量に排出する石炭火力発電については「段階的削減」としています。
今月発表された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会の報告書は、地球の気温はすでに1.1℃上昇しており、1.5℃目標の達成には2025年までに温室効果ガスを増加から減少に転じさせることが必要だと強調し、化石燃料依存からの脱却が不可欠としています。
浅岡美恵参考人は、1.5℃目標が確認されたことで世界がこの先排出できる温室効果ガスはどれだけか、残余のカーボンバジェット(炭素予算)が定まると指摘しました。パリ協定が温室効果ガスの排出5割減を掲げた2030年に向け、文字通り待ったなしです。
ところが日本政府の2030年に13年比46%削減という目標は、先進国に求められる水準に遠く及びません。岸田首相は、COP26を受けても排出削減目標の上積みを表明せず、石炭火力の国内での削減、廃止にも言及しませんでした。それどころか、昨年発表した第6次エネルギー基本計画は、2030年度も発電量の19%を石炭火力に依存することとし、石炭火力発電所を9か所も新増設する計画です。水素やアンモニアの活用をうたいますが、石炭火力の延命策にほかならず、実用化のめどはなく、2030年に間に合いません。さらに海外輸出の公的支援まで行うのは、途上国を含めた世界的な脱炭素化の足を引っ張ることになります。
わが党は昨年、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。
CO2を2030年度までに最大6割削減する、エネルギー消費を4割減らす省エネと、再生可能エネルギーで電力の5割をまかなうことで実現するというものです。
1990年代以降、欧米に比べて日本の省エネは立ち後れてきました。ガス火力発電の高効率化、製鉄や製造業における電力利用の効率化など大規模な省エネは可能です。しかも省エネの推進は、企業にも家計にも節約効果で負担減をもたらします。
政府の試算でも、再エネの潜在量は国内の電力需要の5倍あるとされます。現在22%の再エネ比率を、2030年50%、2050年100%にすることも十分可能です。導入が進むほど価格は下がり、新設の発電コストは太陽光発電が最も安く、次いで風力です。
社会システムの大改革が必要です。電力、産業、運輸・交通、都市・住宅、自治体の5分野で実行プログラムを示しました。電力、鉄鋼、セメント、石油精製、化学工業、製紙業がCO2排出の6割を占めます。この6業界、約200事業所に、CO2削減目標と計画、実施状況の公表など、政府との「協定」を締結することを義務化し、脱炭素を実効的に進めます。
こうして脱炭素、省エネ、再エネを推進することは、生活水準の悪化やがまんを強いるものではなく、経済の悪化や停滞をもたらすものでもありません。研究グループの試算では、年間254万人の雇用が新たに創出され、GDPを2030年までの累計で205兆円押し上げるとされます。地産地消のエネルギーで、地域も地球も持続可能な未来へ道を開くものです。
岸田首相は、ロシア産石炭の輸入禁止による電力需給のひっ迫に対応するためとして、原子力を含め「最大限活用する」と述べました。原発の安全性は保障されておらず、福島第一原発事故の被害はいまなお続いています。一部の政党から、審査中の原発であっても審査と再稼働を並行できるよう求める動きまでありますが言語道断です。
エネルギーを海外に依存する体質こそが問題であり、再エネの抜本的拡大でエネルギー自給率を高めるべきです。
飯田哲也参考人は、原子力などをベースロード電源とするのは古い独占的な電力市場の考え方であり、太陽光と風力を中心とする自然変動型電源を柔軟に受け取る、AIを使った天気予測や需要側管理、デマンドレスポンスなど様々な手法で再エネ電力を吸収する柔軟性パラダイムへシフトする必要を述べました。原料費ゼロの再エネ電力を出力抑制で排除し、原子力への依存を続けるあり方は改めるべきです。
気候危機打開の取り組みを本気で進め、資源エネルギーを含む地球の持続可能性を保つために、目先の利潤を第一にする新自由主義は転換が必要です。石炭火力利益共同体、原発利益共同体の抵抗を排除し、格差と貧困をただすことと一体に進めるため、政治の姿勢を改めることが不可欠であることを強調し、意見とします。