刑法改定案の参考人質疑。侮辱罪の法定刑引上げだけでなく、懲役刑と禁錮刑を統合して拘禁刑を創設するのも大争点です。
龍谷大学の石塚参考人は、刑法を大きく改める議論にもかかわらず、拙速に進められようとしていることに強く警鐘を鳴らしました。
自由を奪う刑罰=自由刑は、それだけで受刑者に苦痛を与えます。そのためそれ以上の苦痛を与えるべきではないというのが国際的な潮流です。国連のマンデラ・ルールズでも、懲役刑のように作業を義務付けるのではなく自由を奪うことのみに純化するよう求めています。
ところが今度の刑法改定案は、刑務作業と改善更生の指導を受刑者に義務付けようとするもので、国際的な流れに逆行します。従わなければ懲罰の対象とするという。身体の拘束を越える刑が科されるなかで、思想改造なども行われてきた歴史があります。
改善更生や社会復帰の支援は確かに重要です。しかしそれは、強制によるべきではなく受刑者の自発的な意思によるべきです。石塚参考人にうかがうと、「多くの受刑者は刑務所で過ごすにもお金がかかるのですすんで刑務作業もする、現場の職員も丁寧に接している、法案は現場を知らない霞ヶ関の役人がつくったのだろう。法律ができれば真面目な刑務官はそれに従う。現場を苦しめないでほしい」とお話しでした。