2023年3月28日
自民公明が23年度予算案を強行 反対討論
自民公明が2023年度予算案を強行しました。5年で43兆円の軍事費へ、早速89%増の軍事費を計上する戦後最悪の軍拡予算です。
今日は締めくくり質疑の後、討論、採決、本会議での討論、採決と続きました。私は予算委員会での討論を担当しました。以下にご紹介します。
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日本共産党を代表し、2023年度総予算3案に反対の討論を行います。
本予算案に反対する最大の理由は、敵基地攻撃能力の保有を宣言した「安保3文書」に基づき、5年で43兆円という文字通り異次元の大軍拡に突き進む初年度予算であるからです。「防衛力強化資金」への繰り入れを合わせ10.2兆円に上る軍事費は、前年度比89%増、歳出総額の9%が軍事費という異常な突出ぶりです。
射程3000kmに及ぶという長距離ミサイルは、配備先次第で東アジア全域が射程に入ります。政府が憲法上保有できないとしてきた、他国に脅威を与える攻撃型の兵器にほかなりません。総理は、「憲法、国際法、国内法の範囲内で運用される」といいますが、憲法9条2項は戦力の保持自体を禁止したものであり、運用の問題ではありません。
その運用も、歯止めはありません。集団的自衛権の行使で要件となる「必要最小限度の武力行使」とはなんなのか、総理は「個別具体的な状況に即して客観的、合理的に判断する」としか答えませんでした。これでは定義はないに等しく、武力行使は無制限です。
日本が攻撃されていないのに、米軍とともに自衛隊が攻め込む。事実上の先制攻撃となりその報復攻撃は日本に向けられるでしょう。それを見越すように、全国で283もの自衛隊基地や施設の「強靱化」計画が進められようとしています。
いったん戦火となれば、国土は戦場になり犠牲が避けられません。絶対に戦争を起こさせないための外交努力の強化こそ必要です。ところが、「安保3文書」には、まともな外交戦略がないばかりか、軍事同盟の強化と武器輸出の拡大など軍事一辺倒です。
果てしない軍拡競争の先に、平和への展望はありません。そのために、くらしの予算を削り、増税や流用、建設国債まで宛てるのは断じて認められません。
本予算案は、エネルギー関連予算の約4分の1、4354億円が原子力関連、前年度より85億円積み増しています。一方、自然エネルギー予算は369億円も削られ915億円です。石炭火力発電の延命も続けるといいます。気候危機打開のため、2030年までのCO2削減目標を引き上げ、再エネ、省エネを強力に推進すべきです。エネルギー価格の高騰に乗じて、「脱炭素」を口実に、原発の再稼働、運転期間延長、新増設など、福島原発事故の教訓を忘れた原発回帰の大転換は、とうてい許されません。
コロナと物価高騰の影響が、くらしと営業に重くのしかかっています。ところが本予算案は、高齢化で増える社会保障費の「自然増」分を1500億円も圧縮し、75歳以上の医療費窓口負担2倍化など負担増を押しつけています。国民健康保険の都道府県化から5年、保険料値上げの圧力がかかるなか十分な財政措置もありません。
中小企業対策費1704億円に至っては、トマホークの購入費2113億円すら下回ります。
非正規雇用を含めた賃上げのためにいま必要とされるのは、最低賃金を時給1500円をめざし引き上げ、大企業の内部留保課税で中小企業支援の財源を生み出すなど抜本的な対策です。総理も財務大臣も、内部留保課税は「二重課税との指摘がある」といつまでも消極的ですが、最悪の二重課税である消費税をそのままに、その言い分は通りません。
物価高対策には、消費税減税が最も効果的です。中小事業者やフリーランスなど新たな課税負担となるインボイス制度は、一時的な緩和策ではなくきっぱり中止すべきです。
子どもの医療費無料化が「子どもにとって必ずしもプラスになるとは限らない」との答弁は、全国の自治体で進む無料化の努力を無視した暴論です。学校給食費の無償化、高等教育無償化、奨学金返済の減免など、子育て、教育の負担軽減に正面からとりくむべきです。政府が、予算成立後に「たたき台」を示そうというのは、甚だしい国会軽視です。
本委員会の審議で、放送法の「政治的公平」の解釈変更に官邸が圧力をかけていた疑惑が明らかとなりました。放送法は、戦前、大本営発表をラジオが広げ侵略戦争を押し進めた痛切な反省の下で、政府など公権力の介入を禁止するためにつくられました。その解釈変更が、安保法制で戦争する国づくりを進めた2014年から15年、秘密裏に進められた事態は看過できません。岸田政権が敵基地攻撃能力保有で安保法制の実践に踏み出そうというときに、あいまいにすることは決してできません。解釈変更を撤回するよう強く求めます。