山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2023年12月6日

憲法審査会で「憲法に対する考え方」をテーマに意見表明

憲法審査会で「憲法に対する考え方」をテーマに意見表明しました。

自由討議とはいえ、今回は特に自民党の姿勢が鮮明でした。筆頭幹事の山本氏が、改憲項目として最初に挙げた「合区解消」について、「参議院改革協議会で議論されている。まずはその議論の進展を見てはどうか」と言い、同調する意見が続きました。事実上、この問題を審査会で扱うことをやめる宣言です。ではなにを議論するか。9条への自衛隊明記と緊急事態条項だといいます。そのために小委員会をつくり条文案の具体化をという意見も複数出されました。議論を他へシフトしようというねらいのようです。

一方で、他の改憲勢力である公明、維新、国民民主がこれに呼応したかといえばそうではなく、それぞれが持論を述べるにとどまりました。

来週は閉会日の手続きのみとなるため、この国会での憲法審査会は今日が実質最後となりそうです。

国民が改憲を求めないなか、審査会は動かすべきでない。この声は絶えず上げていきたいと思います。

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岸田首相は今国会の所信表明演説で、改憲を「先送りできない重要な課題」と強調し、改憲発議に向けた手続きを進めるための「条文案の具体化」にまで言及し議論の加速を求めました。「国会でお決めいただくこと」と断りながら繰り返し改憲論議をあおるのは、憲法尊重擁護義務を踏みにじるものでそもそも許されません。

月刊誌のインタビューで岸田首相は「自衛隊明記は安倍元総理が提起された重要な論点です」と語り、9条への自衛隊明記を焦点に据えています。昨年12月に閣議決定した安保三文書に基づき空前の大軍拡を進める自衛隊を憲法に位置づけようとするものです。

敵基地攻撃能力の名で導入がねらわれるのは、射程3000キロ、マッハ5で飛ぶ極超音速ミサイルなど他国領土の奥深くに攻め込む長射程ミサイルです。「専守防衛」と相容れず、他国に脅威を与える軍事大国となることは明瞭です。日米一体化の下、自衛隊が米軍の先制攻撃に集団的自衛権で参戦することになりかねず、その結果は日本への報復攻撃による国土の焦土化です。歴代政府の見解を説明もなく180度転換し、敵基地攻撃能力保有に突き進むのは、立憲主義を破壊する暴挙というほかありません。

戦闘機など殺傷兵器の輸出解禁の議論が秘密裏に進められています。国際紛争を助長する武器輸出は行わないとしてきた日本国憲法の下での平和主義を投げ捨て、「死の商人国家」へ堕落することは断じて許されません。

パレスチナ・ガザ地区でイスラエル軍が戦闘を再開し、学校や難民キャンプを攻撃しています。北部から南部へ、南部からさらに南へ、住民に退避勧告を出し移動を強制しています。病院は人であふれ、国連のグテーレス事務総長は、「ガザに安全なところはどこにもない」と訴えています。ジェノサイド(集団殺害)を絶対に許してはなりません。

ハマスが人質を解放すべきことは言うまでもありません。同時に日本政府が、イスラエル軍の国際人道法違反を批判せず、即時停戦をいまだに求めようともしないのは、人道危機の回避よりアメリカへの追随を優先する異常な姿です。戦闘の一時的休止では深刻な人道状況を打開できません。攻撃の中止とともに、即時停戦のための協議を直ちに求めるべきです。

「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と掲げる憲法をもつ日本こそ、積極的な役割を果たすべきです。

国際社会の現実は、武力では平和を築けないことを示しています。安全保障といえば軍事的抑止力という呪縛から抜け出すべきです。

日本共産党は、ASEANと協力して東アジアを戦争の心配のない地域にする「外交ビジョン」を掲げてきました。排他的なブロック政治ではなく、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みで対話と協力の地域をつくる、東南アジアでは現にその努力が重ねられています。憲法9条をいかした外交で平和への展望をひらくべきです。

政治はいま、物価高騰にあえぐくらしと経済を支え、世界でも日本でも戦争を起こさせないために力を尽くすべきです。

戸籍上の性別変更にあたり、生殖不能とする手術要件を課す現行法を違憲とする最高裁判決が出されました。生活保護費の基準引き下げをめぐり、決定の取消しと国家賠償を認める初の高裁判決が出されています。憲法が保障する自由と権利を充実したものとするために、政治は自らの姿勢を改めるべきです。

ましてや憲法破壊を重ね、平和もくらしも脅かす大軍拡を進め、憲法が求める外交に背を向ける政治に、改憲を語る資格などありません。

10月のNHK世論調査で、岸田内閣が最優先でとりくむべきこととして憲法改正を挙げた人は4%に過ぎません。国民の多くが改憲を政治の優先課題として求めていません。先ほどの自民党議員の発言では、最初に挙げられた「合区解消」すら、「まずは改革協での議論の進展をみてはどうか」というものでした。憲法審査会を動かすべきではないことを改めて強調し、意見とします。

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