2024年・第213通常国会
- 2024年3月28日
- 予算委員会
2024年度予算案 予算委員会反対討論
○山添拓君 日本共産党を代表し、2024年度総予算3案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、米軍再編経費を含め過去最大、8兆円に迫る軍事費です。安保三文書以前と比べて1.5倍、2.5兆円も積み増す空前の軍拡予算です。兵器購入のローン払い、後年度負担額は14兆円を超え、まさに異次元です。
その中身も重大で危険です。敵基地攻撃能力となる憲法違反の長射程ミサイルの開発、量産、取得に7340億円を計上し、米国から納入を前倒ししたトマホークの発射機能整備も行おうとしています。敵基地攻撃とミサイル防衛を組み合わせた「統合防空ミサイル防衛能力」の強化に、1兆2477億円も投じようとしています。自衛隊を一元化する「統合作戦司令部」の創設は、自衛隊を米軍指揮下に組み込み日米の一体化、融合をいっそう進めるものです。
沖縄の民意を踏みつけに進める米軍辺野古新基地建設に1614億円、馬毛島の空母艦載機滑走路建設に302億円、さらに全国の自衛隊基地強靱化を掲げています。沖縄・うるま市の陸上自衛隊訓練場計画は、地元への説明もなく進められたもので、党派を超えて反対の声が広がっています。計画を断念し、予算は削除すべきです。
政府が英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機の輸出を閣議決定しました。戦闘機は、殺傷兵器の最たるものであり際限ない武器輸出に道をひらくものです。閣議決定は撤回し、国際紛争を助長する武器輸出は行わない、憲法に基づく平和国家を貫くべきです。
軍事的抑止力ばかりに依存し、大軍拡に突き進むのではなく、絶対に戦争を起こさせない対話と協力の東アジアにするための外交努力こそ、政治の役割です。
反対理由の第二は、物価高騰に苦しむ国民のくらしを支え、実効ある賃上げを進める上で全く不十分であることです。
社会保障費は、高齢化などで増える自然増5200億円のうち1400億円を削減しようとしています。年金改定率2.7%は昨年の物価上昇率3.2%を下回り、実質所得が低下します。在宅介護を崩壊させる訪問介護の基本報酬引き下げに、怒りが広がっています。加算措置でカバーできる保証はなく、やめるべきです。
1回限りの所得税・住民税の定額減税では、くらしを立て直すことはできません。
労働者の7割が働く中小企業の賃上げがカギです。ところが本予算案は、与党税調が中小企業では有効でないとした賃上げ減税の拡大に頼っています。大企業の内部留保課税で財源をつくり中小企業を支援し、最低賃金を速やかに1500円に引き上げるべきです。
政府の中小企業対策費は1693億円、史上最低を更新しています。農林水産分野では、コメの輸入自由化を放置し、生産費を下回る米価の現状を打破する改善策がありません。
くらしに冷たい一方、大企業への減税や補助金は大盤振る舞いです。「次世代革新炉」の開発・建設予算を計上し原発推進もあらわにしています。まるで自民党への巨額の企業・団体献金の見返りのようです。
政府は「異次元の少子化対策」について、「実質的な負担は生じない」としてきました。しかし、新設する子育て支援金は紛れもなく国民負担となります。「歳出改革」の名で進める1.1兆円もの医療・介護の公費負担削減は、利用者にとっては負担増とサービス削減にほかなりません。
本予算案は、能登半島地震を受け予備費5000億円を増額しました。国会審議を回避する予備費の積み増しではなく、補正予算で対応してこそ財政民主主義にかなうものです。
自民党の派閥ぐるみの裏金事件に、国民の怒りが渦巻いています。いつ、誰が、どのような経過ではじめ、ためこんだ裏金を何に使ってきたのか、いまだに誰一人明らかにしようとしないのは国民に対する二重三重の裏切りです。
自民党調査と政倫審の弁明では疑念が残ったと総理も認めました。ならば証人喚問がいよいよ必要です。金権腐敗の根を絶つために、企業・団体献金を全面禁止にするべきです。
裏金にまみれ、真相解明に背を向ける自民党にこれ以上政治を委ねることはできません。ましてやくらしも平和も踏みにじる予算を押し通す資格は全くないことを強調し、討論とします。