山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

米指揮下で武力行使に 統合作戦司令部創設案/防衛省設置法改定案 反対討論

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今朝の報道によるものですので通告をしておりませんが、外務大臣に伺いたいと思います。
今日、この委員会でも話題に何度か出ております、オースティン米国防長官が、八日、上院歳出委員会の小委員会で証言し、広島、長崎への原爆投下は第二次世界大戦を終わらせるために必要だったという見解を示したとのことです。ブラウン統合参謀本部議長の答弁に同意した証言という報道です。
大臣、この事実については御存じでしょうか。

○外務大臣(上川陽子君) その情報に接しておりません。

○山添拓君 既に文字起こしも出ておりますので直ちに確認をいただきたいと思いますが、二〇〇七年七月、当時の久間防衛大臣が、原爆投下はしようがなかった、そう思っていると発言し、被爆者を始め国民の強い抗議を受けて辞任に追い込まれたということがありました。唯一の戦争被爆国として絶対に許してはならない発言だと思います。
事実確認の上で抗議をされるべきだと思います。いかがですか。

○外務大臣(上川陽子君) 情報につきましては早速、すぐに、直ちに接し、そのための、その後のことにつきましてもしっかりと検討してまいりたいと思います。

○山添拓君 総理は日米首脳会談でアメリカと共にあるとまで述べたのですが、核兵器がこの世の地獄をもたらして、それによる被爆者が、多くの被爆者が今なお苦しみを抱えておられるわけですが、その被爆の実相は全く共有されていないということだと思うんですね。
大臣、今、確認をこれからということでしたので、この点については次の質疑に譲りたいと思いますが、これはやはり我が国として放置してはならない問題だと思います。
それでは、今日は、法案について、自衛隊の統合作戦司令部創設について伺います。
安保三文書の一つである国家防衛戦略、統合運用の実効性を強化するため、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設するとしています。これも質疑で出ておりますが、常設ではなく臨時の統合任務部隊を置くことは現行法でも可能なわけです。
大臣に伺いますが、統合作戦司令部、常設の統合作戦司令部がなければ行うことができないような作戦というのは何なんでしょうか。

○防衛省 防衛政策局長(加野幸司君) お答え申し上げます。
今委員御案内のとおり、現行の下におきましても、常設ではない、事態に応じての統合司令部の設置というものは可能でございます。
ただ、その場合におきましては、現在、大変厳しい安全保障環境の下で、平時と事態の境目、あるいは軍事と非軍事の境目といったものが曖昧になってきているという中、平素から事態対処に至るまでのシームレスな対応といったものを考えました場合には、やはり常設のものが平素からあって、で、また部隊の錬成等についてもきちんと平素から取り組んでいく、そうしたものが望ましいということが一つあろうかと存じます。

○山添拓君 先ほど大臣は、能登半島地震のことにも触れて、そうしたものが必要だということを認識されたという話されましたけれども、災害対応のために必要だという話ではないわけですね。今の防衛省の答弁の中でもそういう話は出てきていないわけです。平時から有事までシームレスに対応だと、こういう話でしたが、それは具体的にどういうことかと。
元防衛省の職員でアジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員の小木洋人さんという方が次のように述べています。
陸海空自衛隊がそれぞれの指揮官の下で、他の自衛隊と時間的、空間的にすみ分けられた形で任務を遂行する場合、常設の統合司令部が指揮する必要性は高くないと。例えば、海自イージス艦がミッドコース段階の迎撃を、空自ペトリオット部隊がターミナル段階の迎撃をそれぞれ分担しており、必ずしも統合司令部がなければ運用できないわけではないと。
しかし、スタンドオフ防衛能力は違うというんですね。時間的、空間的にこれを使う主体が陸海空自衛隊にまたがる。例えば今度導入するという長射程の一二式地対艦誘導弾は、陸自が保有する地上発射型だけでなく、海自や空自の海上発射型、空中発射型があります。対地攻撃用の島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾は陸自が保持する計画ですが、トマホークは海自が、F35に搭載するJSM、F15に搭載するJASSMは空自がそれぞれ保持することになります。攻撃目標が重複する可能性も高く、タイムリーで無駄なく運用するには陸海空のアセットの統合が必要になる。あるいはまた、遠くからスタンドオフ防衛能力を使えば、前方に展開した友軍部隊の相打ちを避けることも必要だなどとされております。
要するに、専守防衛の自衛隊では必要なかった統合運用が、敵基地攻撃能力の運用のために必要になるということではないかと考えますが、大臣、いかがですか。

○防衛大臣(木原稔君) 反撃能力に係る日米間での協力内容については、その能力というものをより効果的に発揮する協力体制を構築することとしております。この点は日米間で今後議論していくものであります。
また、自衛隊の運用について委員が何点か今御指摘ありましたけれども、これはまさに運用に関わる事項でありまして、詳細をお答えすることは御理解いただきたいと思いますが、その上で、我が国の統合作戦司令部の新設の決定も踏まえつつ、指揮統制に係る調整要領や連携の強化も含めて、日米の相互運用性及び即応性を強化するため同盟としていかに効果的に連携して対応していくか、この点、議論を進めてまいります。

○山添拓君 いや、私が伺っているのは、日米関係というのをこれから伺いますので、それも大事な焦点ですが、それ以前に、いや、自衛隊は自衛隊で、米軍は米軍でというのが政府の御説明ですから、その際、なぜ統合司令部が必要なのかと。これは、敵基地攻撃能力を陸海空それぞれで保有していく、運用していく、だから一体的に運用が必要になると、そのために統合司令部が必要になるということではないのかと。
これ、運用についてとおっしゃるんですけど、法案審議ですので、これから創設していこうというわけですから、御説明いただくべきだと思います。

○国務大臣(木原稔君) 統合司令部新設の目的及び趣旨ということ、具体的に申し上げるならば、多少繰り返しになりますが、平時と有事の境目が今最近曖昧になってきている中で、そういう中でも、あらゆる段階において活動をシームレスに実施できるようにする必要性、そして従来の陸海空の、その従来の伝統的な領域に加えて、昨今、宇宙、サイバー、電磁波の領域、あるいは無人アセットを用いた非対称的な攻撃、ハイブリッド戦などの新しい戦い方、そういったものにも対応するために、事態生起時に統合任務部隊を臨時に組織するのではなくて、事態の状況や推移に応じてより柔軟な防衛体制を迅速に構築し、また平素から領域横断作戦に必要な体制を整えることというのが急務になってきている、そういう情勢認識です。
この観点から、国家防衛戦略、防衛整備計画を踏まえて、統合運用の実効性を強化するために今年度中に統合作戦司令部を新設することとしております。これが趣旨、目的でございます。

○山添拓君 今の御答弁の中には、あえて反撃能力、敵基地攻撃能力に触れられていないようなんですが、関係ないんですか、敵基地攻撃能力を保有していくことと統合司令部の創設は。

○国務大臣(木原稔君) まさに、この今回の国家安全保障戦略等三文書の目的、その大きな目的の一つが自衛隊、我が国のまず防衛力の対処力を強化すると、そして抑止力を強化していくということでございますので、その目的を実現するための統合作戦司令部、その一つの具体的策と、そういう認識でございます。

○山添拓君 敵基地攻撃能力の運用のためにも必要だということですよね。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
統合作戦司令部の設置の趣旨につきましては、ただいま方、私どもの大臣から御答弁を申し上げましたところでございまして、どの作戦に特化してということではございませんで、現在、私どもが直面しております非常に厳しい安全保障環境の中で、どういう形できちんとした対応をするのか、どういう司令部の在り方が最も効率的であるのか、そういう観点から今回設立を企図しているということでございます。

○山添拓君 これ、お答えいただかないのは極めて不合理だと思うんですよ。
スタンドオフ防衛能力、反撃能力、敵基地攻撃能力と統合作戦司令部の設置との関係については委員会に御報告いただきたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 この統合司令部創設を必要とするもう一つの立法事実が、米インド太平洋軍司令官との調整の問題です。
大臣は、昨日の本会議で、インド太平洋軍の責任区域は米国西海岸沖から日付変更線を越えてインド西部までと述べました。私の質問は、自衛隊は、自衛隊の統合作戦司令部はその全域にわたって共同で作戦を作り対処できるようにするのかというものだったのですが、御答弁がありませんでしたので、改めて伺います。

○国務大臣(木原稔君) 昨日答弁したとおり、インド太平洋軍の責任地域は今おっしゃるとおりであります。
その上で、自衛隊による全ての活動は主権国家たるその我が国の主体的判断の下で行われているということも昨日も申し上げたところでございます。
したがって、自衛隊の運用に係る意思決定はあくまでも我が国が行うことから、お尋ねの質問の趣旨でありますそのインド太平洋軍の責任地域と自衛隊の行動範囲についてはそもそも直接関連するものではない、この点は統合作戦司令部の新設後も変わらないということになります。

○山添拓君 全域には及ばないという意味ですか。

○国務大臣(木原稔君) インド太平洋軍の責任地域と自衛隊の行動範囲は直接関連するものではございません。

○山添拓君 あの日米首脳会談ではグローバルパートナーなどと称しているわけです。ですから、インド太平洋軍の行動範囲の責任区域の全域にわたって日米で共同作戦を作り対処するということも十分あり得ると思うんですね。で、明確にされない。
この点についても委員会に御説明いただきたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 米国は、格子状の同盟と言い、軍事的な同盟関係をネットワーク化して対中包囲網を強めています。その下で、インド太平洋と称する広大な地域で軍事ブロック的な対抗を強める動きが既に進んでいます。
これは防衛省に伺いますが、航空自衛隊とオーストラリア空軍は、二〇二一年六月、空中給油に関する覚書に署名し、翌年、試験的な運用を経て、昨年四月末には日本海と太平洋で空中給油を行ったと報じられています。
この空中給油を伴う共同訓練は何回実施したのでしょうか。また、その目的は何ですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
御指摘の覚書でございますけれども、日豪の相互運用性の向上等を目的といたしまして、航空自衛隊とオーストラリア空軍の間で空中給油を実施するための手順等の基本原則を規定するために合意されたものでございます。
これに基づきます空中給油を伴う共同訓練として、御案内いただきましたけれども、令和四年八月から九月にかけまして航空自衛隊が豪州において参加いたしました豪空軍の演習、ピッチ・ブラック二二という演習の中におきまして、空自のF2戦闘機が豪空軍KC30Aから空中給油を受ける訓練を実施したということでございます。

○山添拓君 相互運用性の向上ということでしたが、覚書の規定によりますと、日豪間の空中給油はNATOが定めるNATO同盟国戦術手順書に従って実施されるということでした。
これ、日本はいつからオーストラリアと同盟関係になったんですか。

○政府参考人(加野幸司君) 日本がオーストラリアと同盟関係になったことはございません。
その上で、この覚書につきましては、その第三章の運用要領というものがございまして、空中給油を行うためには当然ながら手順が必要である、その際に、NATOの手順書という一つの確立された手順がございますので、それを使って両国でやっていこうという技術的なことでございます。

○山添拓君 これは軍事同盟の既成事実化と言われてもやむを得ないと思うんですよ。
米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は、三月二十日の米下院公聴会で、同軍が進める部隊体制の焦点を複数挙げて、そのうち統合及び連合作戦について次のように証言しています。
統合及び連合の作戦とは、様々な演習や実験プログラムを組み合わせて全領域的な軍事作戦の遂行を可能とするもので、全ての領域にわたる統合軍の全域で、かつ、同盟国及びパートナー国との間で同期化され、空間と時間を超えて連結を図った持続的な諸作戦が含まれると述べています。同期化されたと、シンクロナイズドと表現しています。
米軍の統合軍内における同期化にとどまらず、同盟国との間で、つまり、日本とアメリカとの間でも同期化が図られるという意味だと考えますが、そのとおりですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
本年の三月二日に開かれました米下院軍事委員会の公聴会でございますけれども、委員御案内のとおり、米、アメリカ・インド太平洋軍のアキリーノ司令官、当時でございますが、が統合及び連合作戦の取組につきまして、我々の活動は現在、全ての領域で統合軍と同盟国やパートナーとが同期され、空間的にも時間的にも連結された持続的な作戦を組んでいるといった発言をされたということについては承知をしているところでございます。
その上で、本件につきましては、他国軍の高官の議会での発言でございますので、そうしたものの意味について、私ども政府として確たることをお答えするということは困難であるということについて御理解を賜りたいと存じます。
いずれにいたしましても、我が国といたしましては、日米同盟の抑止力、そして対処力の強化のために様々な取組を進めてまいる考えでございます。

○山添拓君 いや、他国軍の高官が言ったことだからって、随分よそよそしいと思うんですよね。連携していくとおっしゃっているじゃないですか。
そして、しかも、これは米軍だけのことじゃないんですよ。空間と時間を超えて日米でシンクロさせると言っているわけですよ、攻撃態勢をですね。これは答弁いただく必要あると思うんですよね。
アキリーノ司令官は、続けて、各国との演習プログラムに触れています。
日米の共同指揮所演習、キーンエッジを挙げています。今年二月のキーンエッジにはオーストラリア軍が初めて参加し、コンピューターシミュレーションで危機ないし事態対処の訓練を行いました。米宇宙軍やサイバー軍との間で過去の演習よりも大規模な行動の同期化、シンクロナイズドを行ったとされます。
日米、日米豪で同期化が行われているんですね。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
委員御案内のとおり、防衛省・自衛隊では、本年の二月一日から八日まででございますけれども、日米及び日米豪間の指揮統制を含みます相互運用性の向上を図ることを目的といたしまして、日米共同統合演習、キーンエッジ24、こちらを実施いたしまして、米軍、豪軍と共に各種事態における共同対処及び自衛隊の統合運用に係る指揮幕僚活動を演練したところでございます。
なおということでございますけれども、自衛隊の全ての活動につきましては、主権国家たる我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われておりまして、また、自衛隊及び米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動するということでございまして、自衛隊の運用に係る意思決定についてはあくまで我が国が行う、そちらは当然でございまして、本演習におきましてもこうした前提で実施をしたところでございます。

○山添拓君 それぞれとおっしゃるんですが、同期化と米国側は表現をしております。
インド太平洋軍司令官、その後のですね、サミュエル・パパロ氏は二月に、米上院の指名公聴会の証言でこの共同指揮所演習に言及しています。
司令官に指名が承認されれば、二国間、多国間、関係の一層の強化を追求するつもりだと述べておりました。
この法案によって統合作戦司令部を創設すれば、米国や関係国との同期化を進めるような複雑な演習を今後増やしていくということになるんでしょうか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
我が国を取り巻きます安全保障関係が厳しさを増します中、このような演習を通じまして、各種の事態における自衛隊の切れ目のない対応を可能とするとともに、日米あるいは日米豪間の連携の強化を図ってまいるというのが私どもの考えでございます。
そう申し上げました上で、本件の新しい司令部ができました際には、更なる日米間の連携、これが進むと、これをさらに効率的に行うことができるということにつながろうかと存じますが、その具体的なやり方につきましては、現在、日本、アメリカ、それぞれの在り方、あるいはその統制、調整の在り方についてまさに今議論を行っているところということでございます。

○山添拓君 否定をされないわけです。
これは、同期化を可能とする装備が既に導入されています。資料をお配りしました。
「まや」型イージス艦に装備されているデータリンクシステム、共同交戦能力、CECについて御説明ください。

○防衛装備庁 プロジェクト管理部長(片山泰介君) お答え申し上げます。
共同交戦能力、CEC、コオペレーティブ・エンゲージメント・ケーパビリティーの略でございますが、とは、複数のイージス艦の間で捕捉した目標情報をリアルタイムで共有することにより、遠距離の目標を早期に探知し、対処するためのシステムであり、我が国では海上自衛隊のイージス護衛艦「まや」及び「はぐろ」のみが装備しております。
なお、航空自衛隊はCECを搭載したアセットを現在保有しておらず、E2Dの搭載、早期警戒機でございますが、の搭載については現在検討中でございます。
実運用における自衛隊と米軍などとの共同交戦能力、CECの共同利用の実態につきましては、自衛隊の運用に関わることから、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。

○山添拓君 米軍との関係はこれから聞こうと思っていたんですが、E2Dに搭載が検討されているかと思います。それは、つまり、水平線の先、低い高度を飛ぶ航空機や巡航ミサイルというのは、船にとっては見えない死角となるわけですね。そこで、E2Dで探知し、敵の位置情報をイージス艦に中継し、迎撃するという構想と伺います。
このデータリンクは、米軍のイージス艦やE2Dとも共同利用することは仕組みとしては可能ですね。

○政府参考人(片山泰介君) 可能でございます。

○山添拓君 つまり、自衛隊が把握していない場合であっても、米軍のE2Dやイージス艦と共有する情報に基づいて自衛隊が攻撃すると、これは可能だということですね。

○政府参考人(片山泰介君) 繰り返しになりますけれども、共同交戦能力については、このシステムを装備している米軍イージス艦と自衛隊のイージス艦との間での情報共有は可能でございます。

○山添拓君 ですから、情報共有したその情報に基づいて、自衛隊自身は把握していないけれども、得られた情報で火力発揮をすると、これは可能なんですよね。

○政府参考人(片山泰介君) 具体的な実際、実態の内容につきましては、ちょっとお答えすることを控えさせていただきます。

○山添拓君 いや、先ほど否定はされていなかったと思うんですよ。可能ですよね。

○政府参考人(片山泰介君) 能力としては可能でございます。

○山添拓君 逆に、米軍が把握していない場合であっても、自衛隊がキャッチした情報を米軍と共有し、米軍が攻撃に及ぶと、これも可能ですね。

○政府参考人(片山泰介君) 情報共有は可能でございます。

○山添拓君 自衛隊が米軍の目となり、米軍が自衛隊の目となる、これは文字どおり日米一体化、統合です。
別の点で伺います。
昨日、本会議で、トマホークを運用するために不可欠となる情報を自衛隊は持っているのかとお尋ねしましたが、運用に係る具体的な要領等は現在検討中というお答えでした。
使えるかどうか分からないのにトマホークを購入したということなんでしょうか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
海自が導入するトマホークの運用における米軍との連携ということでございますけれども、まず、自衛隊の全ての活動と申しますのは、米軍との共同対処を含めまして、主権国家たる我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われ、また、米軍、自衛隊はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動するということでございまして、運用に係る意思決定というのはあくまでも自衛隊が行うということは当然でございます。
お尋ねのトマホークを含めまして、スタンドオフミサイルの運用に係る具体的な要領については現在検討中であるということでございまして、まだ具体的にお答えできる段階ではございませんけれども、いずれにいたしましても、自衛隊の運用については、米国の情報だけではなく、我が国自身で収集した情報を始めといたしまして、全ての情報を総合して行われるものでございます。
その上で、情報収集を含めまして、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築するということにしているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動するという点については何ら変更はないということでございます。

○山添拓君 それぞれ独立は難しいだろうと私は何度も指摘してきたわけです。
酒井海上幕僚長は、三月六日の会見で、トマホークの目標設定から誘導、海自独自で可能なのかと問われて、次のように述べています。ターゲティングに関わる分野では詳細な情報が必要になる、意思決定から攻撃まで間断のない統制が必要になってくる、必要な日米連携は今後とも深く追求していく。
間断のない統制が必要とはどういう意味ですか。日米連携といいますけれども、米側の情報を日本側で精査しているような、そんないとまはないということじゃないでしょうか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
重ねてのお答えでございますけれども、まず、トマホークを含めまして、スタンドオフミサイルの運用に係る具体的な要領については現在省内において検討中であるということでございまして、今の段階では具体的にお答えできる段階にはないということでございます。
その上で、日米間におきましては、情報収集、分析を始めといたしまして様々な協力を行っているということでございます。日米間で状況に応じた双方向の調整を行って緊密に連携をしていくということになるわけでございますけれども、この際、自衛隊の運用というのは、米国の情報だけではなくて、我が国自身で収集した情報を始めとして、全ての情報を総合して行われるものであるということでございます。

○山添拓君 我が国自身で収集する情報って何ですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
情報の具体的なやり方については詳しく申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、例えばということで申し上げますれば、スタンドオフ防衛能力の運用に必要となる目標情報等を一層効果的に収集するというものといたしまして、衛星コンステレーションを活用した画像情報、あるいは無人機等の、等の整備を行うことによって更に情報収集・分析機能を強化する、そういったものを活用していくということがあり得ようかと存じます。

○山添拓君 それだけではトマホークの運用は無理だと思いますよ。
そして、検討中だと言ってお答えにならないで、四百発で二千五百四十億円ですよ。中小企業予算の一・五倍ですからね。これ、検討中で答えられないような代物に巨額を投じていこうと、これは言語道断だと思うんですね。
先ほど、米軍の将来の指揮統制の概念としてJADC2という点が出てきました。統合全領域指揮統制。これは、従来は各軍種が独自にネットワークを開発、運用していて相互運用性がなかったのを接続していくと、そして、得られた情報を統合し、攻撃すべき目標と最適な攻撃手段を迅速に決定していく、そういう指揮統制のシステムだと伺います。
JADC2について、近年、米軍は従来の略称の頭にCを加えてCJADC2と呼称を改めています。Cとはコンバインド、連合という意味だそうですが、他国の軍隊の参加を前提としたワーディングです。国防総省の高官がその理由を、同盟国及びパートナー国とともに作戦を立てて戦うシグナルを送ることにあるんだと明らかにしています。
CJADC2、これ、日本も含めた計画ということではないんですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
米国防省におきましては、二〇二二年に公表いたしましたJADC2戦略の下で指揮統制機能の向上に努めているところでございまして、この取組におきましては、全領域の情報を統合した上でAI等を用いて情報を抽出、統合し、意思決定速度の向上を図るといったことを発表しているというふうに承知をしてございます。
委員御案内のとおり、これまでJADC2戦略自体に変更があったものとは承知をしておりませんけれども、近年、米側がこの取組について述べる際に、連合を意味いたしますコンバインと、その頭文字でございますCを付して、CJADC2と呼称する事例があるということについては承知をいたしているところでございます。
引き続き、防衛省といたしましては、米軍の指揮統制機能に係る動向につきまして必要な情報の収集、分析を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○山添拓君 情報収集されている割にはお答えいただいていないと思うんですが、今述べたCECやトマホークの運用、CJADC2、ハード、ソフトの両面で日米一体の武力行使を可能にしようとするものです。
では、その限界はどこにあるのかと。従来、政府は、自衛隊が他国の軍隊の指揮下で武力を行使することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるもので憲法上許されないと答弁してきました。大臣も昨日、その答弁に変わりはないとお答えでした。ところが、米軍と武力行使が一体化した下で、自衛隊の武力行使は必要最小限度の範囲を超えないその保障はどこにあるのかという問いに対しては答弁がありませんでした。
大臣にもう一度伺います。
連携強化といって日米の武力行使の一体化が進んでいます。米軍の情報に基づいて攻撃したところ、結果として日本にとっての必要最小限度を超えていたという事態は起こり得ると思うんですね。必要最小限度の範囲かどうか、それを超えないという保障どこにあるんでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) 日米間では、同盟国であります、もう日頃より様々な能力発揮のために緊密な連携を図るということは当然のことであろうと思います。
その上で、繰り返しになりますが、自衛隊の全ての活動というものは、主権国家である我が国の主体的判断の下で行うことであり、日本国憲法、昨日も申し上げました、国内法令等に従って行われること、そして、自衛隊、米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動すること、このことには何ら変更はございません。そして、日米ガイドラインにも、各々の指揮系統を通じて行動することというのが、日米間の共通の認識となっているところではございます。
憲法の範囲内、で、その担保というような御趣旨の質問であろうかと思いますけれども、反撃能力は、憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではそもそもなく、武力の行使、武力の行使の三要件を満たした、満たして初めて行使され、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されないということは言うまでもないという意味で、そういう意味でこれまでも申し上げているものでありまして、反撃能力の保有の決定、そして、これからその準備をしていく上で憲法の解釈を変更するというものではないということでございます。
改めて、自衛隊及び米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動すること、このことに何ら変更はないことから、自衛隊が事実上米軍の指揮の下で行動するというような御指摘には当たらないと考えます。

○山添拓君 質問に対して答えていただきたいのですが、実態がこれだけ進んでいるということを幾つかの事例を挙げて説明いたしました。その下で日米一体に軍事力を行使していくと。米軍の情報に基づいて自衛隊が攻撃をすることがあり得ると。日本にとって必要最小限度かどうかということは米軍には関係ないわけですよね。
ですから、憲法の範囲内だと幾ら大臣がおっしゃっても、米側の情報に基づいて火力発揮をすれば、それが結果として必要最小限度を超えるということは起こり得るではないかと、そのことについての認識を伺っているんです。

○国務大臣(木原稔君) トマホークを含めて、スタンドオフミサイルの運用に係るその具体的な要領等については、まさに今省内において検討中でありますから、具体的にお答えできる段階ではございません。そのことは御理解をいただいた上で、日米間においては、情報収集、分析を始めとして様々な協力を日頃から行っております。日米間で状況に応じた双方向の調整を行い、緊密に連携していくことになります。
自衛隊の運用というものは、自衛隊の情報はもちろんのこと、そして米国の情報だけでもございません、まさに我が国自身で収集した情報というのを、これを主として、全ての情報を総合して行われるものでありますから、今般の日米の首脳会談においても、米国は、日本がトマホークの運用能力を獲得するための訓練計画及び艦艇の改修を開始するという、そういうコミットメントも表明をしているところでありますから、引き続き、その運用要領の議論も含めて、具体的にこの米側と緊密に連携すると、そういう必要がございます。

○山添拓君 今の大臣の答弁には憲法論は何もないですね。憲法九条の範囲内、憲法の範囲内でと、国内法の範囲内でとおっしゃるけれども、しかし、その制約はないと言っているに等しいと私は思います。その下で、理解いただきたい、これから検討する、それは到底理解できないですよ。
米国主導の歯止めなき大軍拡がアジア全域で進められています。資料の三枚目、四枚目を御覧ください。米太平洋陸軍が中距離ミサイルを太平洋地域に配備すると表明し、四月十五日には中距離ミサイルを発射できる新型の発射装置をフィリピン・ルソン島に展開したと発表しています。これは共同軍事演習の一環とされますが、日本にもこういう動きを広げてくるということはあり得るわけですね。
昨日の本会議でも指摘しましたが、一九八七年の米ロINF全廃条約によって、米国は地上配備型の中距離ミサイルの保有、開発が禁止されてきました。トランプ前政権が離脱し、条約が失効し、今日のミサイル配備に至っています。
外務大臣に伺いますが、米国や中国によるミサイルの開発配備の加速がアジア全域における緊張関係を高めている、こういう認識をお持ちでしょうか。米中は本来、ミサイルの配備競争ではなく、軍縮交渉こそ、軍縮のための交渉こそ行うべきだと思うのですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) 国際秩序が次々に重大な挑戦にさらされておりまして、国際関係は分断と協調が複雑に絡み合う新たな時代に入っており、まさに歴史の転換点にあると考えております。
御指摘のアジア地域におきましては、核・ミサイル戦力を含む軍事力の十分な透明性を欠いた急速な増強や、また力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になっておりまして、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると認識をしているところであります。
我が国といたしましては、従来から、米国、ロシア及び中国を含みます関係国をしっかり巻き込んだ軍備管理、軍縮の取組、これが重要であると考えております。加えて、中国が国際的な軍備管理、軍縮等の努力に建設的な協力を行うよう、同盟国、同志国などと連携をし、強く働きかけてきているところであります。
こうした考えも基に、昨年十一月の米中間の軍備管理、不拡散に関する議論、また今年四月には米中の国防大臣間の電話会談、またさらに米中の外相会談、こうした意思疎通を通じまして米中間で対話が行われることは大変有意義であると考えているところでございます。

○山添拓君 米国に対しても、緊張関係を高めることのないようにミサイル配備の競争に陥らないように求めていくべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、従来から、米国、ロシア及び中国を含めます関係国をしっかり巻き込んだ軍事、軍備管理、軍縮の取組が重要であると考えております。こうした方向に沿って、しっかりと外交の場面におきましても対話が極めて重要であると認識をしております。

○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、ミサイルギャップを埋めるといってミサイル配備を強めていくのでは、より緊張関係が高まるわけです。核戦争のリスクを高めるようなミサイル軍拡競争ではなく、お互いに相手にとっての脅威を取り除く、その軍縮協議こそ必要だということを述べて、質問を終わります。


○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛省設置法等改定案に反対の討論を行います。
本法案で設置する統合作戦司令部は、陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の組織です。日米共同声明で米国が歓迎を表明したことにも表れているように、米国の要求に即して米インド太平洋軍司令官に対応する自衛隊の司令部組織を創設するものです。
自衛隊は、既に米軍とデータリンクするCEC、共同交戦能力を導入した装備を有し、今後導入するというトマホークの運用も米軍の情報に依存することは明らかです。さらに、米軍は現在、CJADC2、連合統合全領域指揮統制という概念の下に、自国軍の統合だけでなく、同盟国及びパートナー国との一体化を公然と進めています。
政府は、自衛隊と米軍はそれぞれ独立した指揮系統で行動すると繰り返しますが、日米が指揮系統で、指揮統制で緊密に連携し、作戦及び能力のシームレスな統合で共同対処に及べば、自衛隊は情報、装備とも圧倒的に優位に立つ米軍に事実上従うほかありません。他国軍の指揮下での武力行使に道を開くことになり、憲法違反と言わなければなりません。
政府間機関、GIGOへの防衛省職員の派遣は、英国、イタリアと進める次期戦闘機の共同開発、生産、輸出を管理するための措置です。審議を通じて、次期戦闘機を受注する三菱重工、IHI、三菱電機が自民党に巨額の献金を行い、多くの天下りを受け入れる一方で、防衛調達の受注額は三社の合計だけで過去十年に計六兆円にも上ることが明らかになりました。一方、本法案には、GIGOに派遣される職員による受注企業への利益誘導を防ぐ条文はありません。利権と癒着の闇を一層深刻なものとするもので、認められません。
日独ACSAの関連規定は、平時から有事まであらゆる段階でACSAを通じた物品役務提供など、日独間の軍事協力を可能とするものです。米国の対中軍事戦略に基づき、NATO諸国がアジア地域への関与を強化する一環として、日独二国間、多国間の共同訓練を拡大し、軍事ブロック的対抗を強めることは、分断と対立をあおるもので許されません。
自衛隊海上輸送軍の新編に伴い、海上保安庁法の準用で海上自衛官に付与されている立入検査や船舶停止、武器使用などの権限を同軍の陸海空自衛官にも付与しようとしています。大臣の答弁から、海上輸送軍は米軍の輸送をも担う可能性が否定されず、民間港湾を平時から自衛隊が利用する仕組みである特定利用港湾の利用も排除されないことが明らかになりました。南西地域への輸送力強化といい、沖縄が戦場になることを想定して日米一体の迅速な軍事展開を可能にするなど、断じて容認できません。
危機をあおり、有事に備えよと、軍事的抑止力一辺倒で突き進むのではなく、緊張緩和のための外交にこそ政治が役割を果たすべきことを強調し、討論とします。

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