2024年・第213通常国会
- 2024年5月15日
- 国民生活経済地方調査会
人権後進国改めること不可欠 「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築」について意見表明
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
本調査会のテーマ、誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築、今国会の論点である社会経済、地方及び国民生活に必要な施策に関わって意見を述べます。
誰もが取り残されず希望が持てる社会のためには、人権後進国の現状を改めることが不可欠です。ジェンダー、若者、障害者、外国人など、個人の尊厳を基本とする人権尊重の施策としてこそ、希望につながります。
女性の低賃金を告発した竹信三恵子参考人は、女性の賃金が上がらないと全体の賃金は上がらない、説明の付かない男女の賃金格差があり、性差別を直視すべきだと述べました。女性活躍推進法に基づく男女賃金格差の公表が昨年ようやく始まりましたが、項目も内容も不十分です。格差解消の具体策として、保育士、看護師、介護士など、ニーズもスキルも高い仕事で余りにも賃金が安い、業種別の最低賃金が切り札になるとの意見は実効性ある提案です。
山口慎太郎参考人は、日本では男性の育児休業が世界トップクラスの内容である一方、取得率が低いと指摘しました。合理化、効率化で人減らしではなく、代わりの人がいて安心して育休を取れる職場となるよう、公務を含めて改めるべきです。
五月十三日、東京地裁は、一般職の女性に社宅制度の利用を認めないことは間接的な男女差別に当たるとして、AGC子会社に損害賠償を命じました。性別を要件としていなくても、結果として一方の性、多くは女性に不利益が偏る間接差別を初めて認めた画期的な判決です。間接差別の是正に政治も正面から取り組むべきです。
若者の教育支援は、教育現場の実態に即した施策が不可欠です。特別支援学校、学級に通う子供が増加する一方、学校数は増えず、過密になり、カーテンで仕切るしかないなど過酷な実態があります。二年前、ついに設置基準が一部施行されましたが、既存校に適用はなく、依然として課題です。
小国喜弘参考人は、むしろ普通学級の悲惨な現状を変えることが必要と述べました。全国学力テストの点数を上げるためテスト漬け、子供に役に立つとは思えないことで長時間労働を強いられる状況を改善する、学力テストを悉皆から抽出に変えるだけでも随分変わるとの指摘には直ちに対応すべきです。学び成長する子供の権利を阻害しています。根底にある教員の不足を解消するため、教育予算を増やし、定員を拡充すべきです。
日本が障害者権利条約を批准して十年。私たち抜きに私たちのことを決めないでという当事者を始めとする運動は、ユニバーサルデザインの広がりなど、長期的に見ると様変わりをもたらしています。
一方、障害者権利委員会が二〇二二年に行った日本審査では、条約が目指す社会と程遠い現実が厳しく批判されました。特に、日本の政策が障害者を人権の主体と捉えず、恩恵的に保護する考えに立っているという点は深刻です。
佐藤聡参考人は、日本が緊急に行うべきこととして脱施設とインクルーシブ教育が指摘されたと述べました。政治の姿勢が問われます。
伊藤芳浩参考人は、参議院に手話通訳がないことを指摘しました。議会の状況も手話通訳付きで情報保障を徹底することで、聴覚障害者も政治状況を十分把握し、参加しやすくなると提案されたことは、院としても受け止めるべきです。
民間有識者会議、人口戦略会議が公表した消滅可能性自治体リストに、人口減少は自治体の責任かと強い批判の声が上がっています。教育や社会保障を切り捨て、財政力の強い都市部に人口が集まる現状は、国に大きな責任があります。
平山洋介参考人は、頑張ったところを助けるという選択と集中で、頑張れなくて途方に暮れているところには支援が一切入らないと批判し、田口太郎参考人は、競争の手段がアピール合戦になっている、その結果、どこでも必要な普遍的なものはどんどんおろそかになっていると述べました。この掛け違いを正すべきです。
中川大参考人は、公共交通を公共サービスとみなす必要性を強調しました。事業としての収支ばかりを物差しとするのではなく、公共サービスとして利便性を高めてこそ、利用者も増え、地域も活性化するという指摘に、今日も党派を超えて賛同の声がありました。交通政策の在り方に是非とも反映すべきと考えます。
この間、自民党の裏金事件で、政治は結局金でしか動かないのかという怒りが広がっています。民意に基づき、命と暮らしを守り、希望ある政治に転換すべきであることを強調して、意見表明とします。