2024年・第213通常国会
- 2024年6月11日
- 外交防衛委員会
米に汚染源調査求めよ 横田基地PFAS追及/日独物品役務相互提供協定(ACSA)反対討論
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
日・クロアチア航空協定、日・オーストリア社会保障協定、日・ブラジル刑事共助協定は賛成です。
日独ACSA、自衛隊とドイツ軍の物品役務相互提供協定は、平時の共同訓練から集団的自衛権の行使を可能とする存立危機事態まであらゆる場面で相互の兵たんを行えるよう手続を定めるものです。日独両国の軍事協力を加速させ、軍事的、ブロック的な対抗を強めるべきではありません。また、昨年十月、会計検査院が過去五年で百十件、一億三千五百万円のACSAについての未決済を指摘し、是正の処置を要求した点については既に複数の議員から指摘もありました。現状でも取決めどおり実施できていないものを広げようとしている点についても、併せて反対です。
その上で、今日は米軍横田基地のPFASの問題について伺いたいと思います。
昨年一月、基地内でPFASを含む泡消火剤の汚染水が二日間で約七百六十リットル漏出し、日本の暫定指針値の五万四千四百倍もの濃度だったと報じられ、昨年十一月の当委員会で質問いたしました。当時の報道では、防衛省の聞き取りに対して在日米軍が事実を認めたとされていましたが、国会で伺いますと、確認中だと繰り返されました。
あれから半年たちます。確認した事実をお示しいただきたいと思います。
○防衛省 地方協力局長(大和太郎君) お答え申し上げます。
今お話のありました昨年十一月の報道については、関係自治体からの要請も踏まえまして、累次米側に対して照会を行っておりますが、本件は細部に至る報道内容であったため、米側からはその事実関係や状況について引き続き調査、確認作業を進めているとの説明を受けているところであります。
防衛省としては、PFOS等をめぐる問題について、地域住民の皆様が不安や懸念を抱いていることを重く受け止めております。早期に関係自治体の皆様に御説明できるよう、引き続き関係省庁と連携しつつ、様々な場を活用して米側に対し働きかけてまいります。
○山添拓君 いやいや、漏出事故からもう一年半になるんですよ。今早期にとおっしゃいましたけれども、一年半たってまだ政府に対しては何の説明も米側からないのですか。
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
米側との間ではいろいろやり取りをしております。また、その詳細についてはお答えできないことを御理解いただければと存じます。
繰り返しになりますが、早期に関係自治体の皆様に御説明できるよう引き続き取り組んでまいります。
○山添拓君 いや、それ全然理解できないですよ。この漏出があった場所というのは民間地とは約百メートルしか隔たっていない場所だと報じられております。
加えて伺いますけれども、横田ではPFOSやPFOAを含まない泡消火剤へと代替品に置き換えを進めていたと、これはこの委員会でも御説明いただいていたと思います。ですから、その代替品からも高濃度の検出がされたということになるんでしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) 今御指摘のあったのは報道などにあった点かと思いますが、在日米軍におきましては、昨年六月までに、海軍、海兵隊、本州の陸軍の各施設・区域と三沢飛行場で原料にPFOSやPFOAを含まない泡消火薬剤に交換を完了したと承知しております。
その上で、二〇二四年九月までに、横田飛行場を含む全ての米軍施設・区域において、原料にPFASを含まない非フッ素泡消火薬剤に交換するか、水消火設備に移行する予定であると承知しております。
いずれにせよ、昨年十一月の報道につきましては、現在事実関係を米側に照会中であります。
○山添拓君 米側からの説明が遅れている理由も含めて、文書で当委員会に説明を求め、報告を求めたいと思います。
○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 この昨年一月の漏出に限らず、常に報道が先行しているんですね。そこで、防衛省は自ら米側に説明を求めたり調査しようとしたり、その姿勢が見えません。これは命に関わる水の問題だという姿勢が私は感じられないと思うんです。
資料をお配りしておりますが、東京新聞が先日新たに報道しています。
米軍は、横田基地の飲用井戸について運用の停止を検討しているというものです。米国環境保護庁、EPAは四月に、飲用水に含まれるPFOS、PFOAについて安全な摂取量は存在しないとして、目標値はゼロ、規制値としてはそれぞれ一リットル当たり四ナノグラムを採用しました。この四ナノグラムというのは検出可能な限界値に近いと。つまり、検出されたらもうアウトだと、そういう基準が決められたわけです。
この記事によりますと、米軍は、昨年三月に新規制値の案が公表された際、在日米軍への適用を想定し、飲用井戸の運用を止めて水道水で賄う案を日本政府に示したとされます。
外務大臣、事実でしょうか。
○外務大臣(上川陽子君) 御指摘の報道の事実関係につきましては、日本政府として承知をしておりません。
PFOS等につきましては、健康への影響が懸念されていることから、国内外の科学的知見に基づきましてそのリスクを評価した上でリスク管理を行っていくことが重要と考えております。
このため、我が国におきましては、内閣府食品安全委員会におきまして、PFASのうち特に人の健康への影響が懸念されるPFASとPFOAに関しまして、専門家によるワーキンググループにおきまして、健康への悪影響がないと推定される摂取量、TDIを含みますリスク評価につきまして、最新の科学知見に、科学的知見に基づきまして調査質疑、審議が行われていると承知をしております。
内閣府食品安全委員会が取りまとめます評価結果を踏まえまして、環境省の検討会等におきまして、水道水やまた水環境中のPFOS、PFOAにつきまして、現在暫定目標値の取扱いを検討していくこととなると承知をしているところであります。
○山添拓君 私は横田のことを聞いているんですよ。
もしこれ水道局の水道水で賄うということになりますと、その費用はどうなりますか、外務省。
○外務省 大臣官房参事官(宮本新吾君) お答え申し上げます。
仮定の御質問でございますので、今の御質問にお答えすることは困難であると考えます。恐縮でございます。
○山添拓君 いや、仮に日本側が水道水を提供することになれば、その費用は在日米軍駐留経費の負担、特別協定がありますから日本側が持つことになるんじゃありませんか。
○政府参考人(宮本新吾君) 仮定の御質問でございますので、お答えを差し控えます。
○山添拓君 それぐらいは答えていただくべきだと思いますけどね。
横田基地の中で飲用、井戸水が飲用できない値だということになりますと、地下水を通して周辺に漏出している分も同様に安全ではないということになるだろうと思います。
資料二枚目を御覧ください。
多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会と京都大学の原田浩二准教授が、一昨年から昨年にかけて多摩地域など百四十か所で地下水の調査を行いました。横田基地南東の立川市内では、一リットル当たり約三千百ナノグラム、国の暫定指針値の六十二倍。従前の東京都の調査を大幅に上回る値が検出されています。現在、米軍は根拠も示さずに基地の外への漏出はないと言っていますが、これ汚染源として疑われるわけです。政府として、米側に対して調査を求めるべきではありませんか。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
重要なのは、いずれにいたしましても、重要なのは在日米軍施設・区域内外の双方において環境対策が実効的なものとなることであると考えております。この観点から、日米地位協定、環境補足協定及び関連する諸合意の下、関係省庁で連携するとともに、米側に対して働きかけを行っていくと、このような考えでございます。
○山添拓君 いや、基地の内外双方で環境基準あるいは健康への影響がないようにすることが大事だとおっしゃるのであれば、横田基地については、少なくともその基地周辺での高濃度の汚染がこうして確認されているわけです。政府はまともに調査しておりませんけれども、周辺の自治体も求めているし、また、こうして民間で様々に調査がされているわけですね。横田基地が汚染源である可能性というのはいろんな事実から言えると思うんですよ。大体、米軍自身がこうして対応を取ろうとしていると言われるわけですから。先ほど大臣はこうした報道内容について承知していないという御答弁でしたが、米側に対して、では横田基地でどういう対応を取ろうとしているのか、また、それが基地の外への漏出の可能性がないのかどうか、確認を求めていきますね。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
米軍のPFOS等をめぐる問題に関しましては、米側と様々な議論を行っております。しかしながら、その内容は外交上のやり取りでございますので、米側とのやり取りの逐一を明らかにすることは差し控えたいと、このように考えております。
他方、PFOS等はこれまで様々な用途で使用されてきたものと承知しておりまして、在日米軍施設・区域周辺に限らず、様々な場所でPFOS等が検出されていることを踏まえれば、政府としては、現時点において在日米軍施設・区域の周辺におけるPFOS等の検出と米軍の活動との因果関係は明らかでないと承知しております。
○山添拓君 いや、具体的に横田のことでまず聞いているんですよね、ほかの基地もたくさん問題のあるところありますけれども。因果関係がないと一方的に否定される、確認されていない、そのことだけは言われると。しかし、既に疑わしい事態が、事実関係が幾つも出てきているわけですから調査を求めるべきだと思います。外交上の問題だと言われますけれども、これは健康の問題ですよ。それないがしろにされては困ります。
ドイツの米陸軍、アンスバッハ駐屯地では、今年四月十日、PFASを除去するためのポンプとフィルターの建設を開始しました。米国環境保護庁がPFAS基準値を策定したまさにその当日のことなんですね。汚染した地下水が基地の外に流出しないよう九つの井戸を掘り、ポンプでくみ上げ、浄化して小川に流す計画です。約二百六十万ドル、四億円を計上したといいます。
環境省においでいただきました。資料一の記事には、環境省によると、二〇一二年以降、ドイツ政府が調査でPFASの汚染源として米軍五施設を特定したと報じられていますが、これは事実でしょうか。
○環境省 大臣官房審議官(前田光哉君) お答えいたします。
環境省としましては、在独米軍におけるPFAS汚染状況とその対応については承知をしてございません。また、他国における米軍の取組につきまして、日本政府として有権的にお答えする立場にはございません。
答弁は以上です。
○山添拓君 私は承知してほしいと思うんですよ。このアンスバッハ駐屯地では、周辺住民が地下水の浄化だけでなく汚染土壌の撤去も求めており、駐屯地で検討しているというんですね。御存じないですか。
○政府参考人(前田光哉君) 環境省として、在独米軍におけるPFAS汚染状況とその対応については承知をしてございません。
○山添拓君 私は、環境省としてこうした諸外国での取組も是非調査してほしいと思いますよ。いかがですか。
○政府参考人(前田光哉君) お答えいたします。
他国における米軍の取組につきまして、日本政府として有権的にお答えする立場にはございません。
答弁は以上です。
○山添拓君 いや、調査してほしいということなんですよ、有権的に答えていただくのではなくて。環境省なんですから、日本の環境行政に生かす知見があれば、それは調査するのは当然じゃありませんか。
○政府参考人(前田光哉君) 環境省としましては、在独米軍におけるPFAS汚染状況とその対応については承知をしてございません。
以上です。
○山添拓君 後ほどまた伺いたいと思いますが、それは調査は当然行うべきだと思いますよ。
米国の新規制値というのは、もとより米国の基準です。しかし、米軍はドイツでも日本でも駐留先の基地で新規制値を踏まえた対応を開始しているようです。四月十九日にはスーパーファンド法に基づく有害物質に指定され、汚染者に対して調査や浄化費用の負担が義務付けられました。ですから、米国外の基地でも、もし何の対策も取らなければ米軍人やその家族から米国政府が訴えられかねないと、こういう問題からだろうと思います。
外務大臣に伺いますが、要するに、在日米軍基地でもこの米国の基準値、新規制値は事実上適用されていくということになるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) この米軍におけます飲料水に係るPFOS等の基準につきましては、一般的に、米国の環境保護庁の施策を受けまして国防省におきまして検討され、方針が決定されるものでございます。その在日米軍への適用につきましても、今後米側におきまして検討されていくものと認識をしておりまして、日本政府として予断を持ってお答えすることは困難でございます。
日本政府といたしましては、このPFOS等についてこれまでも様々なレベルで米側とやり取りをしてきておりまして、引き続き関係省庁で連携をして対応してまいりたいと考えております。
○山添拓君 最も厳しい規制ですから、これが事実上、在日米軍基地にも適用されていくことになると思います。
ところが、沖縄を始め全国の米軍基地の周辺で広がっている汚染について、これ米軍は我関せずなんですね。このままでよいはずがないと私は思います。基地への立入調査を求めて、汚染者の負担によって浄化、補償など周辺への対策も求めるべきだと思います。
最後に、大臣、もし答弁いただけるならお願いしたいと。
○委員長(小野田紀美君) 時間過ぎております。簡潔にお願いします。
○国務大臣(上川陽子君) 重要なことは、この在日米軍施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなることでございます。こうした観点から、日米地位協定、環境補足協定及び関連する諸合意の下におきまして、関係省庁で連携をするとともに、米側に対しまして働きかけを行っていく考えでございます。
○山添拓君 米軍基地由来の汚染が疑われる問題ですから、それに物が言えない政治でよいはずがないということを指摘して、質問を終わります。
○山添拓君 日本共産党を代表し、日本・クロアチア航空協定、日本・オーストリア社会保障協定、日本・ブラジル刑事共助協定の承認に賛成、日本・ドイツ物品役務相互提供協定、日独ACSAの承認について反対の討論を行います。
物品役務相互提供協定は、自衛隊と外国軍隊との間で食料や燃料、輸送などを相互に提供するために必要な決済手続等を定めるものであり、本協定は米国などに続く七か国目とされます。他国軍隊への物品、役務の提供は二〇一五年の安保法制により可能とされたもので、平時の共同訓練から集団的自衛権の行使を可能とする存立危機事態に至るまで、あらゆる場面で相互の兵たんを行えるようにするものです。
政府が重要影響事態や国際平和共同対処事態と認定すれば、相手国の艦船や作戦行動に発進準備中の戦闘機への給油も可能となります。まさに武力行使と一体不可分の活動であり、憲法九条に違反します。
安保三文書は、自由で開かれたインド太平洋、FOIP構想の下でACSAの整備、推進を日米同盟を基軸とした同志国等との連携強化を図るものとし、本協定も日独間の軍事協力を制度面で強化するための基盤となると位置付けています。米国が主導する対中包囲網に同盟国である日本やNATO諸国が組み込まれ、アジア太平洋地域における軍事的対抗を強めようとする一環にほかなりません。本協定は、日独両国の軍事協力を一層加速させ、地域における緊張関係を高めることになるもので、容認できません。
また、本協定が、弾薬等の物品、役務について、提供国の事前同意があれば受領国が第三国の部隊等への移転を可能としていることも重大です。防衛省は、第三国の部隊への移転が想定されるケースとして災害対処活動を挙げますが、日本で行われる災害派遣とは異なり、有事における作戦行動を含むものであり、認められません。
会計検査院は、昨年、ACSAに基づく決済が取決めどおり実施されていないとして是正を求めました。まともに守ることもできない取決めを拡大していく道理はないことを指摘し、討論とします。