山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

資金力の多寡が結果左右 改憲手続き法 批判

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
二〇二一年改定の改憲手続法附則四条は、広告放送やインターネット有料広告の制限を検討事項としています。
まず、公選法の規定について法制局に伺います。
インターネット選挙を解禁した際、選挙運動としての有料広告は罰則付きで禁止されました。東京江東区長選をめぐる公選法違反事件で発端となったのもインターネット有料広告でした
公選法は、なぜネット有料広告を禁止しているのでしょうか。

○参議院法制局長(川崎政司君) お答えいたします。
御指摘のとおり、平成二十五年の公職選挙法の改正により、インターネット等を利用する選挙運動が解禁されたところですが、他方で、インターネット等において選挙運動に関連する有料広告まで認めることとした場合には、有料広告の利用が過熱し、金の掛かる選挙につながるおそれがあるとされ、このようなことから、ネット選挙運動の解禁に合わせてネット有料広告については禁止されたものと承知しております。

○山添拓君 ネット広告は選挙区内のユーザーに絞って配信するターゲティング広告も可能です。資金が豊富な候補者や陣営が多くの広告を出せば公平性を保てない。そこで、政治活動としての政策広告ではなく、選挙運動としてのネット有料広告を禁止するのは必要な措置と言えると思います。
そこで次に、審査会事務局に伺います。
改憲手続法では、先ほど来ありますように、国民投票の期日前十四日以降のCM放送を禁止していますが、それまでの間は有料広告の総量規制などはなく、資金力のある者が大量の広告を発することも可能です。その理由について議論の中ではどのように説明されてきたでしょうか。

○憲法審査会事務局長(加賀谷ちひろ君) お答えいたします。
お尋ねのあった有料広告の総量規制につきましては、法制定当時から表現の自由、公平性の確保等の観点から御議論はありましたが、有料広告の総量規制を置いていない理由につきましては、会議録で確認いたしました限りでは、発議者からの統一的、直接的な説明はございませんでした。
その上で、有料広告放送の禁止期間を投票日前二週間としたことについて、発議者からは、財力の多寡による不平等が生じるおそれがあることも勘案した旨の説明がされております。なお、発議者の一人からは、この投票日前二週間の有料広告放送禁止規制が量的制限の一助となるのではないかとの発言もされております。
以上でございます。

○山添拓君 国民投票運動の主体として、企業や団体は排除されていないかと思います。事務局に念のため伺いますが、少なくとも十四日前以前のCM放送が可能とされる期間中に企業や団体が有料広告放送を大量に行うことも現行法では可能ということになるでしょうか。(発言する者あり)

○会長(中曽根弘文君) 加賀谷事務局長。

○憲法審査会事務局長(加賀谷ちひろ君) 恐れ入ります。
承知している限りでは、特段禁止はされていないと承知しております。
以上でございます。

○山添拓君 国民投票運動におけるネット広告については、先ほども発言がありましたが、規制がありませんので、組織力、資金力次第で何でもやれることとなります。
一方で、改憲手続法が厳しく制限しているのが公務員や教員の国民投票運動です。意見表明を可能としながら、地位利用を禁止し、しかもどういう行為が地位利用に当たるのかは示されていません。制定時の議論では、特別の地位を利用して運動を行う可能性もあるので影響は特段に高いなどと説明されました。ただ、社会的影響という意味では、大企業の幹部など広く影響を及ぼし得る立場というのは多々あります。
この法律では、公務員と教員を特出しにして制限しています。公務員や教員は、合計すれば約五百万人近くに上ります。これほどの規模の主権者、国民投票の有権者について自由な意見表明が最も尊重されるべき国民投票で個々人の運動を萎縮させるような規定を設けておきながら、投票権を持たない企業などが資金力を動員して大量の広告を発信することは可能とされています。SNSを含むネット、AIの利用、さらにフェイク情報も含めれば一層巨大な影響を及ぼし得ます。
主権者一人一人の意思より資金力の多寡が結果を左右しかねないのは、現行法が抱える根本的な欠陥の一つです。なぜこんなことになるのか。ここでいや応なく想起されるのが、自民党の裏金事件に象徴される、民意ではなく金が物を言う政治の在り方です。政策も予算も献金で売り買いする政治が改憲まで金で買おうとするなど言語道断であることを指摘し、意見といたします。

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