山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

オスプレイ”安全対策”の説明拒否 アセス逃れの駐屯地工事強行を批判

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
オスプレイについて伺います。
米軍は、屋久島沖の墜落事故後、今年三月、事故原因も対策も明らかにすることなく飛行を再開し、政府もこれを容認しました。改めて抗議いたします。
当委員会で伊波委員が指摘されたように、米軍は、現在、オスプレイの運用を飛行場から三十分以内に着陸できる空域に限定しているとされます。また、横田基地の空軍オスプレイの飛行再開は未定と報じられております。
防衛省に伺いますが、現在、在日米軍基地に配備、駐機中のオスプレイにはいかなる飛行の制限があるのでしょうか。

○防衛省 地方協力局長(大和太郎君) お答え申し上げます。
昨年の米軍オスプレイの墜落事故を受けた日米間の確認作業の中で、前例のないレベルで技術情報に関するやり取りがなされ、この中で事故原因が特定され、当該原因に対応した各種安全対策を講じることにより、同種の不具合による事故を予防、対処することができると考えております。
安全対策についてでありますが、例えば、安全な飛行のため、予防的措置や緊急時の対応要領を定めたマニュアルがありますが、この同種の不具合による事故を防ぐための手順を整理し、これらをマニュアルに追加しています。また、日々の飛行の際に事前に作成する運用計画についても、これら事故を防ぐための手順を反映させることとしております。
お尋ねの飛行制限を含めてこうした安全対策の詳細については、運用保全上の理由から対外的に明らかにすることができないことを御理解賜ればと存じます。

○山添拓君 いや、それは理解できません。米軍は議会でも答えていますし、取材にも答えているんですよ。ところが、日本政府は、日本の国会で国民に対して説明しようとされない。これは理解できないですよ、当然。
米海軍航空システム司令部のカール・チェビ司令官は、六月十二日、米下院公聴会で、オスプレイの全面的な任務再開が二〇二五年半ば以降になると証言しました。大臣は、このことを十四日の会見で聞かれて、詳細は米側に確認していると述べております。確認されましたか。

○防衛大臣(木原稔君) 御指摘の米国議会におけるその下院、米海軍の航空システム司令官の発言ですが、具体的なその文言というのは、これは米国議会の求めに応じて、つまり公聴会の中のやり取りでなされるものであったため、事前に聞いておりませんでしたから、今その詳細について米側に確認をしているところであります。

○山添拓君 いや、もう確認されたでしょう。私も、だって読みましたもの。

○国務大臣(木原稔君) 現在そのやり取りについて、我々のカウンターパートは、プログラムオフィスというところが、そこが一元的に事務レベルのカウンターパートになっております。今それを確認中でございます。

○山添拓君 随分非協力的じゃないですか。
チェビ司令官は、安全に影響する可能性がある問題に十分対処するまで無制限の飛行運用には戻さないと述べています。つまり、現在は運用に制限があるんだということを認めているじゃありませんか。確認できていますよね。

○政府参考人(大和太郎君) 今大臣からもお答え申し上げましたとおり、この公聴会におけるやり取りの詳細について今米側に確認しているところであります。それから、飛行制限というお話ありましたけれども、先ほど私が申し上げたような各種の安全対策が今適用されております。これは、日本のオスプレイもアメリカのオスプレイも同様であります。
制限された飛行運用という言い方をしておりますけれども、リストリクテッド・フライト・オペレーション、これは、こういった各種対策を行った上での飛行を指したものというふうに私どもは理解しております。

○山添拓君 その中には、飛行場から三十分以内に着陸できる空域に限定、これも含まれるわけですか。

○政府参考人(大和太郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、この安全対策の詳細については、運用保全上の理由から対外的には明らかにできないということを御理解願えればと思います。

○山添拓君 いや、それは理解できないですよ、先ほども述べましたけれども。
米軍は議会では述べているんですね、様々制限があるということについて。そして今、無制限の飛行運用には戻さないと、当面ですね。そのことは国会の、日本の国会でも当然説明なさるべきだと思うんですよ。ところが、今詳細を確認中だとおっしゃった。ということは、その詳細について皆さん御承知でないということですよね、そんな発言されているのか、されている事実について、そこで説明されている中身について。承知されていないから確認しているということなんでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) 昨年の米軍オスプレイの墜落事故を受けたその日米間の確認作業の中においては、もう特定された事故原因や、また当該原因に対応した各種の安全対策、これはしっかりと共有をされています。各種の安全対策の措置を講じることによって安全に飛行を行うことが可能だというふうに判断をいたしました。そのことは、もちろん飛行の安全確保が最優先であるということは私とオースティン国防長官の間でもこれはもう合意をされておりますし、日米間のあらゆるレベルで確認をしておりますので、安全に飛行を再開できているというそういう状況でございます。

○山添拓君 しかし、改めて確認を求めるような、求める必要のある事項が出てきたということなんですよね。詳細を確認すると言って週をまたぎましたけれども、まだ確認がなされていない様子でした。
このチェビ司令官は、自衛隊を含め全てのクルーに個人的にブリーフしたということも発言されています。そうなりますと、大臣があずかり知らないところで、自衛官の、個々の自衛官には飛行制限の内容が共有されていたということになるんでしょうか。

○政府参考人(大和太郎君) 今の御指摘のあった御発言ありましたけれども、チェビ司令官のいるこのNAVAIRですね、NAVAIRからは、この飛行再開の前に非常に詳しいブリーフィングを受けたところであります、これは三月の飛行再開の措置がとられる前にですね。もうここ確認しますけれども、そのことを指してチェビさんはおっしゃっているのじゃないかなとは思いますけれども。
いずれにせよ、この特定された事故原因、それから当該原因に対応した各種の安全対策については、日米間で完全に共有されているところであります。更に申しますと、このアメリカのプログラムオフィスとは、私ども、定期的なミーティングを含めて、今も継続的にずっとやり取りをしているところであります。

○山添拓君 いや、ですから、定期的なミーティングをされているのであれば、米軍が議会で述べることができるような性質の内容は日本の国会でも当然説明されるべきだと思うんですよ。私たちは、アメリカ言いなりだということを批判していますけれども、言いなりどころか、米軍が言っていることすら日本では隠すと。これは余りにも屈従的ですよ。
さらに、チェビ司令官は、当委員会でも指摘してきましたクラッチの不具合、ハード・クラッチ・エンゲージメントに関わって、我々はそのリスクを除去できたわけではない、再設計されたクラッチを持つまではリスクを除去したことにはならないだろうと、現在は試験中などとも述べております。これは確認されましたか。

○防衛装備庁 プロジェクト管理部長(片山泰介君) お答えいたします。
御指摘の発言について、現在その詳細については米側に確認しているところであります。その上で、カリフォルニアのMV22の墜落事故の事故調査報告書においては、オスプレイのプログラムオフィスに対して、HCE、ハード・クラッチ・エンゲージメント事象の発生を緩和する新たな部品の設計及び製造が推奨策として勧告されており、これについては、将来的な措置として米側において引き続き取り組まれることを確認しております。
また、HCEは、ギアボックスの構成要素であるクラッチに関連する部品、IQAを原因として発生しているものであり、使用時間が八百時間を超えるIQAの交換により当該現象の発生を九九%以上低減していることや、その他のHCEによる事故を防止するための対策が実施されていることから、オスプレイの安全性に問題はないと考えております。

○山添拓君 いつ起きるか分からず、発生すると操縦不能に陥るのがハード・クラッチ・エンゲージメントです。その新しい部品についてはまだ試験中、これも未解決ということなんですね。
今、八百時間以上で交換すると言われました。在日米軍で、八百時間以上となってクラッチ部品を交換した機体が幾つあり、いつ交換したのか、問合せの上で、報告を求めたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 米軍ですら安全性が確保されていないと述べている中で陸自オスプレイ配備のために整備が進められているのが、当委員会で二月に視察で訪れた佐賀空港であります。六月十二日で着工から一年、来年七月を期限に、暫定配備の木更津から佐賀へ移される計画です。ノリ漁師らの地権者が、国に対して工事差止めの裁判を続けています。また、来月二十九日には、有明海沿岸四県の住民らによる駐屯地建設差止め訴訟も予定されています。
問題となってきたことの一つが、環境影響評価、アセスです。佐賀県の環境アセス条例は、三十五ヘクタール以上の用地造成事業を行う事業者に着工前のアセス実施を義務付けています。
まず、防衛省に伺います。
この建設中の駐屯地は三十四・一ヘクタールとされますが、これ以外に、排水対策施設を整備するために県有地の無償貸与を受けているかと思います。そうしますと、この工事の合計面積というのはどれだけになるんでしょうか。

○防衛省 大臣官房施設監(扇谷治君) お答え申し上げます。
佐賀空港の隣接地に駐屯地を開設するために、この佐賀空港の西側に、駐屯地、格納庫、隊庁舎、燃料タンク、これら部隊運用に必要となる施設整備を進めているところでございまして、これらの施設の造成面積は約三十四ヘクタールとなっております。
一方で、佐賀県有明海漁協からの要望を踏まえまして、防衛省と佐賀県が調整の上、駐屯地の整備とは別に、空港周辺の治水や水産資源の保護、増殖といった観点から、駐屯地からの排水のみならず、佐賀空港及びその周辺地域の排水を対象といたしまして、排水と海水を混合させる措置等の対策を実施するための施設整備を進めているところでございまして、この二つの樋門からの排水施設の面積は、工事用のヤード等も含めまして約二十二ヘクタールとなっております。

○山添拓君 いろいろ言われましたけれども、合計すると五十六ヘクタールですね。三十五ヘクタールを超えるわけです。加えて、防衛省が財政負担をすると約束をした平行誘導路の工事もあります。これも含めれば明らかに三十五ヘクタールは超えるわけです。
今日は環境省においでいただいています。
そもそも環境影響評価というのは何のために行うものなんでしょうか。

○環境省 大臣官房審議官(堀上勝君) お答えいたします。
環境影響評価法は、その第一条、第一条におきまして、土地の形状の変更等を行う事業者があらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることに鑑み、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業につきまして環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続等を定め、その事業に係る環境保全措置等をとることにより、環境保全に係る適正な配慮を確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的としております。

○山添拓君 環境保全が目的です、当然ですけれども。
この環境アセスというのは事業者が行うものです。
環境省、伺いますけど、仮に定められた規模を下回るような工事であっても、事業主体が自主的に、自発的にアセスを行うことは禁止されているわけじゃありませんね。

○政府参考人(堀上勝君) 法律あるいは条例においては対象事業の規模を定めておりますが、自主的に行うというところに関して、特に関知しているということではございません。

○山添拓君 目的は環境保全です。したがって、着工後に規模を拡大することになって、環境に及ぼす影響が大きいと判断される場合に、事業者が着工後にアセスを実施することも禁止されるわけじゃありませんね。

○政府参考人(堀上勝君) 自主的にということであれば、そのようなことがあり得るということだと思います。

○山添拓君 つまり、今からでも防衛省はアセスをやることはできるんですよ。なぜかたくなに拒まれるんですか。

○政府参考人(扇谷治君) お答え申し上げます。
駐屯地の整備は、防衛省が我が国の安全保障の観点から陸自オスプレイ等を配備するため自衛隊施設を佐賀空港の隣接地に整備する、これが目的でございます。
これに対しまして、先ほど申し上げました二つの樋門からの排水については、防衛省と佐賀県が調整の上、駐屯地の排水のみならず、佐賀空港及びその周辺の排水として、排水を対象として、海水と排水を混合させる措置の対策を実施する事業でございまして、このように、二つの事業はその目的を異にすることから、一つの事業というふうにみなしておりません。

○山添拓君 いや、別々だとおっしゃるんですけど、その排水対策施設ですけど、駐屯地がなくても造るつもりだったんですか。

○政府参考人(扇谷治君) 先ほど申し上げましたとおり、佐賀県有明漁協からの御要望を踏まえまして、防衛省と佐賀県が調整の上設置することとなった事業でございます。

○山添拓君 ですから、駐屯地の工事がなくてもその排水施設だけ造るつもりはあったんですか、元々。

○政府参考人(扇谷治君) 繰り返しになりますが、(発言する者あり)はい。

○山添拓君 つまりね、一体なんですよ、双方の事業というのは。工期も同じですよ。大体、その排水施設場を造る、そこから出た土を盛土のために使うんだということまで言われておりますから、一体なわけですね。要するに、アセス逃れだと、期限ありきで工事を進めるからだと言わなければなりません。
これは佐賀だけではありません。石垣駐屯地の建設に当たっても、全体の僅か一・七%、〇・五ヘクタールの用地造成の段階で着工を通知し、二十ヘクタール以上の工事を対象とする……

○委員長(小野田紀美君) 山添君、時間が過ぎております。おまとめください。

○山添拓君 アセス条例の適用を逃れました。私は、こうしたアセス逃れで工事を進めていくということは、少なくともやるべきじゃないと。
防衛省は、かつて、米軍の沖縄の北部訓練場三・六ヘクタールのヘリコプター着陸帯の建設時には、これ十分かどうかはともかく、自主的にアセスを実施していたんですね。
極めて恣意的です。アセスも無視して工事を強行することは許されないということを指摘して、質問を終わります。

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