山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第216臨時国会

自民金権政治を告発「企業献金 自民党と経団連の二人三脚だからやめられないのか」 石破総理を追及

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
総理は、裏金事件の全容は明らかになったとお考えですか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 私どもとして可能な限りの努力をしております。国民の多くの方々が、これで全て明らかになったなという納得感をいまだにお持ちだとは考えておりません。

○山添拓君 明らかになっていない一つの問題が、安倍派の参院議員の問題です。選挙の年に全額キックバックされていました。この問題は未解明のままです。(資料提示)
政倫審で、世耕弘成氏は、どこからか始まって運用されていたなどと、まるで自然現象のように述べました。総理はその説明、納得できますか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは当事者である世耕議員がそう申し述べておるということであって、それが正しいか正しくないかという判断する立場に私はおりません。

○山添拓君 つまり、全然明らかになっていないということじゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) いや、先ほどお答えしたとおり、世耕議員はそのようにお答えをしておる。それは、参議院議員であり、今は衆議院議員ですが、その有権者に対する責任というものも持ちながら答弁をしておる、お答えをしておることであって、そのことが間違いだというふうに断ずるだけの知見を私は持っていないということを申し上げております。

○山添拓君 では、総理は、なぜ選挙の年に限って全額キックバックだとお考えですか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは、選挙の年というのは、特に主権者の皆様方に対して、我々が我々の考えておる政策、そういうものを広く周知をする、その大きな機会であると考えておるからでございます。

○山添拓君 ということは、選挙のために使われたということになりますね、裏金が。

○内閣総理大臣(石破茂君) 随時申し上げておるとおり、選挙のときに、我が党としてこの国家をどうしようと考えているか、我が党がどういう政党であろうとしているかということを広く認識をいただくというのは、比例区も私ども持って選挙をいたしております。それは衆議院も参議院も同じでございます。
選挙のときに、そういうことについていろいろな経費が掛かるという事実を踏まえた上でやっているのであって、じゃ、選挙の年にそういうことをやったから選挙に使われたんだねというのはかなり論理的には飛躍があるのかなと思っております。

○山添拓君 いや、選挙のときのいろいろな経費、その中身が問題なんですよ。それが何なのかということは説明されていないと思うんですね。
来年参議院選挙です。とりわけ重大だと思うんですよ。何に使ったのかも含めて、とりわけ選挙の年の全額キックバック、これは解明すべきなんじゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 問題なのは、不記載にしたということが問題なのであって、還流そのこと自体が犯罪として位置付けられるものではございません。
政治資金規正法の趣旨から申しましても、それが国民の目に触れないということ自体は政治資金規正法の趣旨に著しく反することなのであって、そのことが問題だといってそういうことの是正措置をしておるわけでございます。
あえて申し上げればというのか、なかなか御理解をいただけないのは残念なことなのでございますが、政党支部に対して我が党として支給をしたということでございまして、それが選挙に使われたということをもし御指摘になるのであるならば、かくかくしかじかこういうわけで自民党は選挙のために使ったのだというふうにおっしゃっていただきませんと、私どもとしては、選挙のために使っていないし、それを支給しますときの文書にもこれは選挙のために使うものではございませんということを明らかに申し上げているものでございます。これは、私どもの党も結構、御党よりも、昭和三十年にできた党ですので、御党よりは歴史は短いのでございますが、そこにおいていかにして選挙をやるか、比例区と選挙区をどう使い分けるかということの意識は相当に徹底をいたしておるものでございます。

○山添拓君 多分誰も納得できないと思うんですね、その御説明では。
選挙の年だけあえて全額キックバックをされていた、それは選挙に関わる様々な経費があるんだというお話でしたけれども、その使途が何なのかということは解明されていないわけですね。安倍派の幹部は真実を語っていないと思います。
一九八九年の自民党政治改革大綱は、政倫審で証人喚問できるよう法改正するとまでしていました。総理、御記憶ですか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 証人喚問というのは様々な場でございます。それは政倫審におきましては、先ほど来答弁申し上げましておりますとおり、それぞれが自発的な意思に基づいて弁明をする機会が与えられております。
そこにおいて証人喚問という御指摘でございますが、それが政倫審の運営に関わることでございますので、内閣の立場で申し上げることではございません。
八九年というのは、昭和六十四年といいますか、平成元年のことでございますね。政治改革大綱にそのような記述があった、正確な文言は記憶をいたしておりませんが、委員御指摘のような文言があったやな、あったような記憶はございます。

○山添拓君 当委員会で安倍派幹部の証人喚問を求めたいと思います。

○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。

○山添拓君 岸田総理、岸田前総理は、政治家である以上、刑事責任とは別に道義的責任、政治的責任が生じるという答弁を繰り返していました。
総理も同じお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは政治家たるもの、すべからく同じ認識を持つべきだし、私自身共有をいたしておるところであります。

○山添拓君 つまり、刑事責任が時効であったとしても、道義的、政治的責任は生じ得るということであります。
そこで、麻生派について伺います。
麻生派、旧為公会は、山東派と合流して志公会と名前を変えた二〇一八年以降の収支報告書にはキックバックの記載があります。ところが、その前は記載がありません。九月二日の毎日新聞、闇パーティー事件で略式命令となった薗浦健太郎氏の元秘書が、二〇一七年に派閥から分配された三百八十万円を事務所の裏金をためる口座に入れたと供述していた。刑事確定記録で分かったと報じております。
総理、この記事は御記憶でしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 記憶いたしております。

○山添拓君 元秘書は、収支報告書に計上しない裏金として貯蓄するために口座を開設したと述べているようなんですね。要するに、裏金口座です。これ、重大な疑惑じゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) という疑念、疑惑でも何でもいいんですが、それをお持ちの方が委員を始めおられるということはよく承知をいたしておるところでございます。
我が党といたしまして、今年の二月に全ての所属国会議員、当時所属をしておりました国会議員でございますが、これを対象に二〇二二年以前の過去五年分につきまして派閥の政治資金パーティーの還付などをめぐる収支報告書の不記載の有無というのを調査をいたしました。この期間はどういう期間かと申しますと、保存期間とか公訴時効の期間などを踏まえて決せられたというふうに承知をいたしておるところでございます。
そこから前の話ということになりますと、資料がもうない、保存期間を過ぎておる、これは実際そうなのですね。そうしますと、資料がない、保存期間を過ぎている、なくなっちゃいましたというようなものに対して本当に実効的な調査ができるか。ある事務所はきちんと残しておりました、ある事務所は保存期間が過ぎましたのでそういうものは破棄してしまいましたということになると、あるところはきちんと分かりますが、あるところは全然分からないということが起こるわけでございまして、そこにおいてはなかなか均衡が取れないという面が生ずるのも事実でございます。
冒頭述べましたように、二〇二二年以前の五年間につきましては調査は行ったものでございます。

○山添拓君 だって、先ほど総理は刑事責任以外にも責任は生じ得るとおっしゃったじゃありませんか。
ところが、二〇一七年以前は、今お話のあったように刑事責任が時効になるのだとして、麻生派の問題は不問にされてきたんですね。しかし、それでよいのかと。薗浦氏だけじゃないんですよ。石破内閣に麻生派の関係閣僚が複数おられます。
しんぶん赤旗日曜版の調べで、鈴木法務大臣、武藤経産大臣、そして一月まで麻生派だった岩屋外務大臣、いずれの政治資金団体も二〇一七年以前はキックバックの記載がありません。なぜでしょうか。順に御説明ください。

○委員長(櫻井充君) 簡潔に御答弁をお願いいたします。

○法務大臣(鈴木馨祐君) 私の政治団体の政治資金の収支につきましては、政治資金規正法に基づき適切に処理をしております。
以上です。

○外務大臣(岩屋毅君) 私は、昨年政策集団を退会をさせていただいておりますが、それまでは、政策集団の行ういわゆるパーティーについても参加し、協力をしてまいりました。その収支については、政治資金規正法に基づき適正に処理しているところであり、先生御指摘の二〇一七年以前も同様であるというふうに認識をしております。

○経済産業大臣(武藤容治君) 今リスト化していただきまして、こういうものかというのを私も見させていただきました。ほかの人の懐具合はよく分からないんであれなんですけれども、今、岩屋先生もおっしゃられましたけれども、私の政治資金団体の政治資金の収支につきましても、政治資金規正法に基づき適正に処理をしております。二〇一七年以前も同様でありまして、政治資金収支報告に記載されているとおりだと認識しております。
以上です。

○山添拓君 一七年まで記載がなく、それ以降明瞭に記載があることについてどなたも御説明がないんです。
鈴木大臣、もう一度御説明ありませんか。

○国務大臣(鈴木馨祐君) 繰り返しになって恐縮ですが、私の政治団体の政治資金の収支については、政治資金規正法に基づいて適切に、適正に処理をしておりまして、私も二〇一七年以前も同様と認識しております。

○山添拓君 赤旗の取材では、一七年まで裏金があったことは麻生派なら誰でも知っていると、そういう証言があるんですよ。確認すべきじゃありませんか。

○国務大臣(鈴木馨祐君) 今の繰り返しになってしまいますけれども、その、どういう方がどうおっしゃっているかということは存じませんし、私の政治団体についての政治資金の収支については、政治資金規正法に基づいて適切に処理をしておりますので、それ以上お答えのしようがございません。

○山添拓君 いや、皆さん、しらを切られる。副大臣、斎藤財務副大臣、瀬戸内閣府副大臣、高橋国交副大臣も同じなんですね。
高橋副大臣は、参議院選挙前の一八年、一千二百万円ものキックバックを受けていますが、一七年以前は記載がありません。これはなぜですか。

○国土交通・内閣・復興副大臣(高橋克法君) 私の政治資金の収支につきましても、政治資金規正法に基づいて適正に処理をしてまいりましたし、二〇一七年以前も同様と認識をしておりますので、なぜかと聞かれましても、適正に処理してきた結果だということでございます。

○山添拓君 この不自然さをどなたも御説明にならないと。二〇一八年から突然キックバックが始まったんですか。鈴木大臣、いかがですか。

○国務大臣(鈴木馨祐君) 先ほどから同じ繰り返しになって恐縮でございますけれども、私の政治団体での政治資金の収支、これ、法令に基づいて、政治資金規正法に基づいて適切に処理をしておりますし、二〇一七年以前も同様でございます。
私から申し上げられるのは以上です。

○山添拓君 総理、麻生派のパーティー収入は、合流した二〇一八年に突然、合流前の派閥の合計より一億円以上増えているんですよ。これ、一七年以前は書かれていない収入、つまり裏金があったということを裏付ける、うかがわせる事情ではありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは、他の政策集団の経理について私自身知る立場にございません。
先ほど来、委員がいろいろと断定的におっしゃっておられます、(発言する者あり)いや、ですから、赤旗の取材によればということでございます。そのことについて、じゃ、どなたが言っておられるんでしょうかと、お教えくださいと私どもが申し上げますと、それは、取材源については明らかにならないということでございます。
私ども、いろんな御指摘をいただきますが、それをどなたが御指摘になっておられるのかということはきちんと確認をさせていただきませんと、私どもとして、そういうことが事実であるというふうに、それを事実かどうかは断定する立場におりませんが、それを多くの方々が御認識になる。それはどなたがおっしゃいましたかというと、取材源は秘匿であるということで言われますと、これ、私どもとしてはなかなか申し上げることが厳しいなというところはあります。

○山添拓君 茶封筒で裏金を受け取っていたという証言まであるんですよ。どなたか御記憶ありませんか。

○委員長(櫻井充君) 山添君、山添君、どなたか、ちゃんと質問して。

○山添拓君 いや、どなたもお答えにならない。いや、これは、(発言する者あり)いや、指摘をしている側に対して誰が言っているんだというふうに言われるのではなく、自分たちで調査をすべきなんですよ、本来は。これだけの疑惑について誰も御説明になっていないんですよ。
いや、私は、六人の大臣、副大臣にそれぞれ調査の上で委員会に報告を求めたいと思います。一七年以前に記載がなく、一八年から急にそれぞれ書き出しているんですよ。この不自然さをどなたも説明されていないと思います。説明を求めたいと思います。

○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。

○山添拓君 私は、自民党で唯一派閥として残っている麻生派で、しかも石破内閣に複数の関係閣僚がおられるから聞いているんですよ。これ、時効と片付けていい問題ではないと思います。
腐敗の根を絶つには企業・団体献金の禁止が最も有効です。世論調査で、禁止すべきは七割近くです。今明確に禁止を拒んでいるのは自民党だけです。総理が常々持ち出されるのは、一九七〇年の八幡製鉄事件の最高裁判決です。それ以降の自民党の金権腐敗事件、総理の御記憶の限りで挙げていただけますか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは昭和四十五年、一九七〇年ということでございます。
その後に、ロッキード事件というのがあり、リクルート事件というのがあり、そしてまた佐川急便事件というのがあり、ゼネコン汚職というのがあり、それはもう幾らでもございました。そのたびに、そのたびに、私ども、幾ら、失礼、幾らでもというのは完全に取り消します、ごめんなさい、多くございました。そのたびに、それはそういうことについて責任を取るべき者が取り、そして法改正を必要に応じて行いということでございます。あるいは、リクルート事件のときには証人喚問というものも行われました。それは国会の議決によるものでございました。
幾らでもということはもう全部取り消しますが、多くの、その後に、そういうような金銭、いわゆる政治と金というような事件が起こったというのはよく承知をいたしておりますし、私自身、そういうようなときに議員に在籍をしておった期間も長うございます。

○山添拓君 余りにも率直にお答えいただいたと思うんですが。
企業・団体献金というのは、その九割以上が自民党に対するものです。この企業・団体献金の問題は、自民党の問題だと、専ら自民党の問題だという認識をお持ちでしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 企業・団体献金が自由民主党に集中をしてきた、しかしながら、それ昨日も少し言及したかもしれませんが、今のそれぞれの流れをくむ政党との牽連性は、私、あれこれ申し上げません。
かつての民主党においても、菅代表のときだったと思います。そこは常任幹事会か何かで政治資金、企業・団体献金を受け入れる、なぜならば、過度に公的助成に頼る党運営はあるべきではないと決定されたという新聞報道に接した記憶はございます。
ですから、その自民党に過度に集中しているということ自体は現象面としてございますが、それぞれの党がどのような運営をなさっておられるのかということもまた議論の対象になるのだろうなというふうに考えております。
八幡製鉄事件をおまえしょっちゅう引っ張り出すではないかというふうに言われますが、そこは、最高裁の判決においてそれが述べられたということは私は重いのだと思っております。そこにおいて、じゃ、企業、団体が悪で個人ならよい、そういう論理には全くなりません。
そしてまた、企業は参政権を有しておりません、投票権を有しておりませんが、企業が納税をし、社会的存在であり、これ午前中の答弁で申し上げましたが、会社法という物すごい縛りの中で運営をされている、経営をされております以上、それが社会の在り方について自分たちの意見を述べるというのは、憲法二十一条、表現の自由に基づくものだというふうに考えております。
そして、大切なことといいますか、政治資金規正法に書いてあるのは、それが常に国民の厳格な、(発言する者あり)いや、何度でも申し上げます、厳格な監視のものでなければならないということ、そしてまた、それによって、いやしくもそういうものに対する自由というものが制限されてはならないということが書いてあるわけで、八幡製鉄事件の判決のここが間違っているということがもしおありになるならば、どうぞおっしゃっていただければ幸いでございます。

○山添拓君 民主党政権だった二〇一〇年には、自民党への企業献金は十億円近くも減っているんですね。政権復帰後に戻っています。これは経団連が二〇一〇年に企業献金の呼びかけを停止し、一四年に再開したことが反映しています。
要するに、企業献金は自民党と経団連の二人三脚の仕組みですよ。だからやめられないんじゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) これは先ほど来申し上げているとおり、企業が社会的存在として、これが国家の利益であるということ、つまり、国家の利益と企業の利益が相反するようなことがあるとするならば、そんなものは受け取るべきだと私は思っておりませんし、私どもはそういうことを認識しながら献金を受け取ったという事実も全くございません。
ですから、私は、八幡製鉄事件の判決文も、委員も法律家でいらっしゃいますから、よくその論理構成は御存じのはずでございます。そこにおいて、ここが間違いであるということがあれば是非とも御指摘をいただきたいものだと思っております。

○山添拓君 自民党が多額の献金を受け取って、政府が公共発注で還元する。軍拡や原発やマイナ事業や不要不急の大型開発や、どれだけ不安や懸念の声があっても突き進む背景には、否定し難い金の結び付きがあると私は思いますよ。
さっき、社会的存在で国家の利益とおっしゃいましたが、これだけ企業の利益になっているんですよ。総理は、しきりと透明性を高めるということをおっしゃいますね、公開の問題だということをおっしゃいます。しかし、お金の流れが仮に完全に透明であっても、癒着は隠せないじゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) そこは、政治資金規正法が有権者の判断に委ねられるべきものだというふうに書いております。だからこそ、透明性を増すように、私どもとして全てのデータベース化ということを申し上げているわけでございます。それも信用ならないのだと、有権者の判断も信用ならないのだというふうにおっしゃいますと、それは政治資金規正法の趣旨そのものを否定しておられるということだと思っております。それは有権者の判断に委ねられるものだというふうに法律に書いてあるということを委員がどうお考えになるかという、それは価値判断の問題でございます。

○山添拓君 いや、有権者は自民党に対して審判したと思いますが。
物価高騰の下でかたくなに消費税減税を拒んでいるその背景にも、やはり財界の求めで法人税を減税し、消費税で穴埋めする、金で結び付いた政治があると私は受け止めます。
経団連の見解でも、経団連はこの間に示している見解でも、民主主義の維持には相応のコストを要するとして企業献金を正当化しています。総理もそのようにおっしゃることあるかと思います。しかし、民主主義のコストがなぜ自民党への献金でなければならないのでしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは、私ども自由民主党が全く誤りのない無謬の政党だなぞということを申し上げるつもりはございません。ただ、私どもとして、北海道から九州、沖縄まで地域地域に支部を有し、そしてまた、その支部が、国政のみならず、いろいろな都道府県議会であり、市町村議会であり、そういうところで多くの御支持をいただいてきたということも間違いない事実でございます。
私は、他党のことをあれこれ申し上げるつもりはございませんが、少なくとも我が党は、自由であり、そして民主であるということを標榜いたします以上は、その価値観の実現のために常に努力をいたしてまいりました。であらばこそ、長い間有権者の御支持をいただいてきたのだと思っております。
今回のお叱りを踏まえて、私どもはまた政治資金規正法の趣旨に戻って、その実現のために今まで十分でなかったところを正していき、各党との御議論に供したい、そしてまた実現を期したいと思っておるところでございます。

○山添拓君 私の質問は、民主主義のコストがなぜ自民党への献金なのかということなんですね。民主主義社会というのは、本来、応分の税負担によって支えられるべきです。自民党だけが求める企業献金によって民主主義だというのは、これは公正ではないと私は思います。
朝日新聞が、今年初め、献金した企業にアンケートを行っています。回答した二百五十八社のうち百六十五社が議員個人の応援を目的に寄附していると答えて、出席予定がないのにパーティー券を買う企業も多数あったといいます。
政治家個人への企業献金は禁止されています。ところが、実態は、政治家個人の応援のために企業献金が行われて、パーティー券の購入も抜け道になっています。総理はその認識はお持ちでしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) そういう抜け道としてこれを利用したという意識はございません。
で、民主主義というもののコストは何であるかということが、まさにこれから各党で議論されねばならないことなのでしょう。
一つ申し上げておきますが、過度に公的助成に依存するということは、かえって政党の権力からの独立性を阻害するものだと私は思っております。そして、資産家でなければなれないとか、あるいは名前が既に売れている者でなければなれないとか、そういう不公平はすべからく是正されるべきものだと考えております。

○山添拓君 いや、私は公的資金でやれと言っているわけじゃありません。政党助成金を受け取っていませんし、私たちは。それはできるんですよ。
昨年十二月のTBSの報道特集は、パーティー券を購入してきた企業のインタビューで、みかじめ料のようなものだったという声を紹介しています。
つまり、何かあったときスムーズにいく、何か不利益を被らないために購入しておく、こういう声が現にあるわけですね。これが自民党の言う政治活動の自由でしょうか。むしろ自由を奪っているんじゃありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは本人の顔と音声は変えてありますみたいな報道なのかもしれませんですが、ですから、公の電波を使って議論をされる以上は、みかじめ料とかそういう反社会団体と私、(発言する者あり)いや、声があるからって誰だか分からないわけで、それ、いいですよ、報道の自由です、編集権の問題ですから。だけども、私どもとして、みかじめ料とかいうような形で、反社会団体と我々責任政党自由民主党を同一視するかのごとく報道には大変な違和感を覚えるところでございます。

○山添拓君 裏金自体が組織的犯罪なんですよ。その認識なくまだおっしゃっている。
私は実際……(発言する者あり)ほら、裏金じゃないという声がここからも上がっている。全く反省ないですよ。いや、私は企業・団体献金きっぱり禁止すべきだということを改めて述べておきたいと思います。
残りの時間で軍拡増税、防衛増税について伺います。
政府・与党が、再来年度、二〇二六年度からの増税案を基に検討と報じられています。年内に増税を決めるんでしょうか、総理。

○内閣総理大臣(石破茂君) そのスケジュールについて、政府として今断言する立場にはございません。

○山添拓君 驚いたのは、昨日の毎日新聞です。
長島昭久首相補佐官がインタビューで、軍事予算のGDP比二%で固定して考える問題ではない、将来的には二%を超えて増額していかないといけないと述べています。
これは総理のお考えですか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは補佐官が補佐官の責任として述べたものでございますし、長島補佐官はその高い見識と経験から私が補佐官に任命をしたものでございます。しかし、政治家として独立の存在でもございますので、それは長島補佐官が長島補佐官の責任で申し述べたものでございます。
これ、私、当選して以来一貫しておるのですけれども、もちろん為替の変動もございますが、周りの情勢が非常に平穏であるならば、それはGDP比一%どころか〇・五%でもいいということはあるでしょう。でも、何度も申し上げているとおり、最も厳しい安全保障環境にある中で、そのGDPの何%ということが全ての判断の基準になるべきだとは思っておりません。厳しければ厳しいほど増やすということは、国家の責任を持つ者として、判断としてあるべきものだと思いますし、そうじゃないときに大軍拡をやるということが納税者の御理解を得られると考えたこともございません。

○山添拓君 これは、とにかくどんどん大軍拡を進めていって構わないということになりかねないですよ。そして、その負担は国民に求めると。
防衛大臣、来年度の概算要求で武器輸出の促進のための予算は幾らですか。

○防衛大臣(中谷元君) 防衛装備移転の推進に必要な予算について申し上げれば、令和七年度概算要求におきましては、装備品の移転円滑を行うため、移転対象となる装備品の仕立て、調整に要する資金を助成するための資金に充てる補助金として四百億円計上しております。

○山添拓君 十一月二十七日、オーストラリアへの護衛艦輸出を可能と政府は決定しました。御説明ください。

○国務大臣(中谷元君) オーストラリア政府は、本年二月に汎用次期フリゲート十一隻調達計画を発表いたしまして、日本、スペイン、ドイツ、韓国の四か国、艦名を候補に挙げておりましたが、十一月の二十五日に日本とドイツの二か国に絞り込みをしまして、最終候補の一つとして、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型の護衛艦を決定をいたしました。

○山添拓君 政府・与党は、今年三月、武器輸出の歯止め、あるいは厳格なプロセスと言って、輸出するのは次期戦闘機に限るなどと述べていました。
歯止めなくどんどん増やそうとしているじゃありませんか。

○国務大臣(中谷元君) 本件につきましては、NSCなど政府の会議を開きまして、日豪の連携を更に深めるだけでなく、共同開発・生産を通じて我が国の艦艇の能力向上にも資するものでありまして、我が国の安全保障、極めて高い意義があるものと考えまして政府で決定したものでございます。

○山添拓君 いや、つまり、どんどん輸出の拡大していくということになっちゃうんですね、そのような話であれば。
いろいろおっしゃるんですけど、大型の殺傷兵器ですよ。最大一兆円の案件とも言われています。私が今日指摘したいのは、もうかるのが誰かという問題です。「もがみ」型、三菱重工です。三菱重工といえば、ミサイルや戦闘機など大軍拡で利益がうなぎ登りの一大軍需産業です。上半期の純利益も前年比一七%増えて、同時に、自民党には年間三千三百万円も献金をしています。
総理に伺いますが、巨額の受注で大もうけした金が巨額の献金として自民党に還流しているではありませんか。

○内閣総理大臣(石破茂君) それは、お金に色は付いていないなんぞということを言うつもりはございませんが、(発言する者あり)いいですか、今、日本において、今おっしゃる会社であれ、あるいは同じように潜水艦を造っている一つのK重工であれ、その中における軍事的な部門の割合というのは相当に少ない、むしろほかの方がもうかるということがあって、これからまた必要であれば防衛大臣あるいは経済産業大臣が答弁を申し上げますが、本当に防衛産業というのはいかにあるべきかという議論は納税者のお金をいかに大事に使うかという観点からも大事なことであって、献金を受けたので政策をゆがめたなぞということは我が党においてはございません。

○山添拓君 いや、経団連は官民連携で武器の輸出推進をと求めていますよ。そのための支援もと求めていますよ。
総理は個人献金も企業献金も変わらないということを繰り返しおっしゃるんですけれども、私はそれ余りにも不見識だと思います。だって、個人献金ではこんな事態起こらないじゃないですか。違いますか。

○内閣総理大臣(石破茂君) そのようなことはございません。
私、防衛庁長官のときから答弁をしておりますけれども、これから先、かつてと違って、研究のリスクも開発のリスクもコストの高さも物すごい勢いで増しておるわけでございます。共同研究、共同開発、共同使用、共同運用ということは、安全保障の抑止力を高めますためにも、納税者の負担を減らすためにも、これは御議論に供すべきテーマだというふうに考えております。
そこにおいて、軍事大国として紛争を増長するということがないように厳に心してまいっておるところでございます。

○山添拓君 私が伺っているのは献金の話なんですね。個人献金ではこのような莫大な利益を還流するようなことは起こり得ないんですよ。にもかかわらず、企業献金と個人献金とを同列に置いてお話しされる。
最後に聞いておきたいと思います。
石破内閣には、総理を含めて、防衛大臣、防衛庁長官経験者、三人もおられます。総理、外務大臣、防衛大臣、それぞれ御自身や所属の派閥でこれまで軍需産業に幾らパーティー券を買ってもらってこられたでしょうか。

○内閣総理大臣(石破茂君) 必要なものは全て公開をいたしております。現在のところ、全て、令和五年、三年から五年の政治資金収支報告書を確認をいたしましたが、防衛装備庁が令和五年度に実施した中央調達の契約金額上位二十社から私どもはそのような収入を得ておりません。
冒頭の御指摘でございますが、それじゃ、何で企業が悪で、個人は善なんですか。(発言する者あり)それは献金がです。何でそうなるんですか。そういうふうにお決めになる根拠というものを、つまり、某大金持ちがいて、その方が自分のためになる政治をしようということで多額の献金をして、それは善で、企業がしたものは悪という、そういう定性的な判断にはならないのであって、いかにして有権者の審判に資するような体制をつくるか、仕組みをつくるかということがまず大前提としては大事だということを累次申し上げておるところでございます。

○国務大臣(中谷元君) 現在公表されております令和三年から令和五年の政治資金収支報告書を確認したところ、防衛装備庁が令和五年度に実施した中央調達の契約金上位二十社からの収入は確認されませんでした。

○国務大臣(岩屋毅君) 私もその御質問があるということで事前に調べさせましたけれども、総理、防衛大臣同様に、防衛装備庁が令和五年度に実施した中央調達の契約金額上位二十社からの収入は確認されませんでした。

○山添拓君 それは、二十万円以上の購入で、公開されている分に限っての話ですか。公開されてない分はいかがですか、総理。

○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘がございませんので、もし必要であれば調べさせます。
ただし、記録が残っているものと残っていないものとございますし、なぜ公表しなければいけないのか、二十万以上なのかということにのっとって答弁を申し上げておるところでございます。その必要性についてはまた検討させていただきますが、私どもとして、もう外務大臣も防衛大臣もそうでございますが、それによって政策をゆがめたなぞということは一度たりともございません。

○山添拓君 外務大臣と防衛大臣もお答えください。二十万円以上の分だけですか。

○国務大臣(中谷元君) 総理と同様でございます。令和三年から令和五年の政治資金収支報告を確認をいたしたところ、主要な二十社からの収入は確認されませんでした。
また、その他政治献金につきましては、当方の事務所につきましては関係法令に従いまして適切に処理をいたしております。

○山添拓君 関係法令に従っていれば、今は二十万円以下は公表しないんですよね。その分を公表されているかということを聞いているんで、ちょっとそれ、(発言する者あり)いやいや、それ聞いているんですから、質問しているんですから。

○委員長(櫻井充君) 時間が参りましたので、簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(岩屋毅君) 政治資金規正法に基づいて公表しなくてよいというものをここで公表するわけにはいかないと思います。(発言する者あり)はい。

○委員長(櫻井充君) 山添君、時間です。

○山添拓君 つまり、公開しなくていい分については全然透明じゃないんですよ、透明、透明とおっしゃるけれども。そのことを開き直って全部明らかにしているかのようにおっしゃっているけれども、そうではないということは指摘させていただきたいと思います。
質問を終わります。

ページ
トップ