山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2025年・第217通常国会

ローカル線廃止ストップへ 法制化を 希望が持てる地域社会の実現について参考人質疑

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参考人の皆さん、今日はありがとうございました。
藤波参考人にまず伺います。
地方の企業における雇用の創出やジェンダーギャップの解消、いずれも重要だと私も思います。一方、グローバル化という、グローバル化をうたう下で、特に東京に本社を置くような多国籍企業を応援して、地方の働く場をなくして、地方交付税やあるいは地方の公務員を削減して、地方を住み続けることができないような地域に変えてきたと、そういう現実があるかと思います。特に東京は、特区による規制緩和あるいは減税策、その下でタワマンですとか複合ビルがもう次々できて、今その再開発というのは山手線の少し外側も含めてどんどん広がっているような状況です。
この地方における対策を強めると同時に、大都市への一極集中を誘導したり加速したりするような政策、こちらも改めていくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○参考人 日本総合研究所調査部上席主任研究員(藤波匠君) それについては、私は余り賛成しかねる部分というのがあろうかと思います。
先ほども、国の成長、まあ五パー、〇・五%ですか、とかいう数字が出てきましたけれども、やっぱり国が国際競争力を持って経済成長をしていくというのは私は本来あるべき姿だというふうには思っていますので、成長できる分野は成長していくというのは私は余り否定すべきではないというふうに思っています。
そういった多く東京などでもし大きな余剰が生まれるのであれば、そういったものをしっかりと地方に回していくと、回していくということが必要なのではないかなというふうに考えています。

○山添拓君 宮崎参考人に伺います。
社会的連帯経済、大変重要な視点だと伺いました。財源として挙げられていた幾つかの例では再生可能エネルギーが注目をされて、気候危機の対策として求められると同時に、これ、火力や原子力とは違って大規模集中ではなく小規模分散にしていく、地産地消を進めていくという点でも地域に雇用や需要を生み出していきますので、地域経済にもつながるものだと私も思います。
その上で、参加型民主主義の重要性を指摘された点が今日も幾つか議論になっていますが、御著書、論文の中では、声を上げることで経済を統治する、声を上げることを可能にするのが公共空間というような記載もありました。
そうした公共空間を生かして再生の道を歩み始めたところと、うまくいっていないというか、そこまでに至っていないところとの一番の違いというのはどこにあると参考人はお考えでしょうか。つまり、この雇用を上げることを可能にするような公共空間のためには何が必要だとお考えでしょうか。

○参考人 埼玉大学教授(宮崎雅人君) 一般論といいますか、ですけれども、何といいますか、地方において、というか教科書で想定するような対等な関係の民主主義で議論する場があるようなところは恐らく余りなくて、そういった性格が危機によって弱くなっているところは、恐らく議論、もう老人も若者も関係なく議論しなければならないような状況のところは、そういった取組がもしかしたら進んでいるのではないかと思います。
他方で、階層的な関係というものが残っていて余り発言ができないようなところというのは、まだ危機の度合いというか、そういったものが進んでいないところかもしれないということで、そういった置かれている状況の違いによって議論が進むところと進まないところがあるのかなと。同じ危機に臨んで、うまくできるところとうまくできないところの違いは何かと言われると、ちょっと難しいのでお答えできないんですけど、そういった違いがあるのかなと思っております。
以上です。

○山添拓君 ありがとうございます。
そうした議論の場としての、例えばその、あるいはその担い手としての協同組合的な組織あるいは機関ですね、それらをどのように強めていくのか、そうした担い手が活動できる条件を整えていくのかといった辺りはどのようにお考えでしょうか。

○参考人(宮崎雅人君) 今日の例ではないんですけれども、岩手の方で、かつては公社でヨーグルトを生産して、今は近所のスーパーでも買えるようなところで、三セクから民間企業に転換したようなところがありまして、そこはまさに農協ですとか協同組合的な取組からスタートしたんですけれども。
まず、初発は自治体の財源なんですけれども、その後はやっぱり、社会的連帯経済は市場経済と隔絶されているわけではないので、その市場経済に対して売れる商品を提供できるようなある種のイノベーションがその組織の中で起きて、三セクから民間企業に転換していくような事例がありまして、そういうことが起こっていくことを支援するような、広い意味での社会的連帯経済の担い手をつくっていくような仕組みというものが非常に大事だろうというふうに思います。

○山添拓君 ありがとうございます。
次に、桜井参考人に伺います。
先日、一九八七年に国鉄が分割・民営化されてからの日数がそれ以前の国鉄時代の日数を超えて、JRが国鉄の歴史を上回ったということが少し話題になっていました。しかし、それ長く続いてきていても、矛盾は各地で深刻化している状況があるかと思います。
先ほども少し話題になっていましたが、全国に鉄道網を持っているJRのネットワークとしての鉄道網を維持していくには、これは私は、参考人も指摘されたように、上下分離による国有民営化、これはもう不可避ではないかと思います。私たちも政策としても掲げてきましたが、ヨーロッパでは当たり前で、むしろ完全民営の方が珍しいぐらいだと。ですから、経営努力をしなくてはいけないという、そういう、上も下も、インフラも運営、運行も含めて全体として経営努力をしなければならないという例の方が珍しいぐらいだというふうに伺います。
ただ、今、JR路線の上下分離やその国有民営化ということを現実に進めていこうとすると、JR各社が独自の道を歩んできている状況もあり、先ほどのように、うんともうかっているところとうんと赤字のところとあったりすると。そういう中で、今参考人が提案されているような国有民営化を進めていくためには、どんな課題があり、どんな工夫が可能とお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

○参考人 日本大学名誉教授・博士(商学)(桜井徹君) まず、そのJRの日数が国鉄時代を超えたということですが、これは私はそれほどびっくりするほどでもなくて、日本では、四十年周期説というのは鉄道史学会では常識になっておりまして、一八七二年に官営鉄道ができて、一九〇六年に鉄道国有化が行われまして、一九四九年に公共企業体日本国有鉄道ができます。そして、一九八七年にJRになる。それぞれ大体四十年間で、だからそろそろ時間じゃないかということであります。
で、次に、JRはやっぱり債務負担を国民に、二十四兆円ほど国民にですね、国に任して、そうしてやっているわけで、もうかるところともうからないところが出てきている、JR北海道は悲惨なものです。それを今一緒にやらないと、今、JR北海道に対する国の支援は、JR北海道、四国、貨物に対する支援は大体二兆円ほどに、一兆五千億円になっています。
他方で、年間で一兆円、一兆円じゃない、五千億円の経常利益が出ている本州三社、このアンバランスをどう考えるかということですね。
その上で、どうするかですけど、先ほど言いましたように、大臣指針というのがあります。ローカル路線を廃止してはいけないという大臣指針があります。この大臣指針を法制化することがまず一つ大事です。JRに対する規制になります。今も、単に努力義務ですから。
もう一つは、鉄道整備基金を使ってJRの株式を購入するということです。今、真庭市、岡山県の真庭市、京都府の亀岡市がそれぞれ一億円のJR西日本の株式を購入するようになっています。国も購入することは拒否できないと。邪魔されるものはないと思います。
そういうように、各自治体や国がJRの株式をだんだん持っていけば、三分の一まで来れば拒否権を発動できるように会社法では規定になっていますから、そういうようなことでだんだん、完全民営化から部分的な民営化、それで上下分離による、今議員が言われた国有民営の方を、そしてそれを一緒にして地域間格差をなくすというような、先ほど私が言いましたように、JR改革案が重要じゃないかということを考えているところであります。
以上です。

○山添拓君 ありがとうございます。
桜井参考人にもう一点だけ伺いたいんですが、災害による被災を理由にして、そのまま復旧させずに廃止になるという例がこの間相次いでいます。ほかのインフラではそういうことは余りないと思うんですね、災害を理由にそのままなくすと。これを防いでいくためには、私たち、基金をつくるなどしてあらかじめ対応しておくなど必要だと思うんですが、ちょっと災害による復旧あるいは復旧をしないことによる廃線の問題、これについての御意見を伺いたいと思います。

○参考人(桜井徹君) 今議員が言われたように、数年前に災害に対する補助金、災害に対する鉄道整備基金からの補助金を出せるように、つまり、JRはもうかっているけれども、JR東日本はもうかっているけど出せるように法律が作られたわけですけど、それをJRが拒否するような事態になっているわけですね。ですから、そういう点をもう少し法律の趣旨にのっとってJRを国交大臣が指導するようにすればいいんじゃないかと思います。
私、JICAというところで、インドや後進国の人が日本に来て鉄道研修するんですけれども、そのときに私、講演します。それで、そのときにいつも言うんですけど、あなたたちの国で災害があって鉄道が廃止、鉄道が災害を受けたときに復旧はどうですかと言ったら、ほとんどの国は自分で元どおりに整備すると言っています。日本だけですね。だけと言うと、ちょっと調査していないんであれですけど。
恐らく、災害というのは不可抗力なものですね。JRの経営努力の問題ではなくて不可抗力なものですから、元あったものにするということは非常に重要です。それは、今の能登の災害復旧でも元どおりにせよということが同じような土俵で語られるべきじゃないかなと思っております。

○山添拓君 ありがとうございました。終わります。

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