山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2025年・第217通常国会

誰もが取り残されない社会の構築に向けて 意見表明

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今期の論点である社会経済、地方及び国民生活における希望の実現に関わって意見を述べます。
希望が持てる社会を実現するには、それを妨げている社会経済の諸条件を改善することが不可欠です。そして、その多くは政治によってつくられた障害であり、政治の責任で解決することが求められます。
過重労働の背景と課題を紹介した高見具広参考人は、生活時間と健康確保の観点から時間外労働をいかに減らすかが大事だと述べた上で、更に進んで、法定労働時間の短縮や休日を増やすことで自由に使える時間が増えることの効果にも言及されました。
日本では男性の仕事時間が長く、家事時間が極めて短いという実態もあります。大幅な賃上げと一体に、労働時間の抜本的な短縮を政治の目標に据え、生活時間、自分の時間の拡大とジェンダー平等社会実現を行うべきです。
浅倉むつ子参考人が指摘した男女賃金格差の解消は喫緊、緊急の課題です。男性を一〇〇としたときの女性の賃金が七四・八、男性正規と女性非正規を比較したときの開きはより大きくなります。昨年五月、社宅制度をめぐり女性社員に対する間接差別を認めた初めての判決がありました。浅倉参考人からは、労働基準法に賃金についても間接差別禁止規定を盛り込む法改正をとの意見があり、国会として受け止めるべきです。
近藤絢子参考人が、就職氷河期世代が四十代、五十代に差しかかり、就業していても低所得にとどまる現状を踏まえ、自立支援、就労支援だけでなく、福祉的な支援を通じた再分配を唱えられたのは示唆的でした。
この間、焦点とされる所得税減税を幾ら進めても、納める税金自体が高くない人には効果が限定的です。政治的な抵抗が大きくても、払える人からうまく徴収することを考えることが必要との指摘は、大企業や富裕層に応分の負担を求め、パイを広げるべきとの提言と言えます。単なる減税や給付ではなく、格差と不公正を正す改革こそ必要です。
奥田知志参考人、谷口仁史参考人から、伴走型支援やアウトリーチに取り組む現場の実態に即したお話を伺ったことも極めて重要でした。
奥田参考人が強調したのは、課題解決型の支援だけでなく、つながることを目的とした伴走型の支援の必要性でした。サブリース方式で住宅提供と居住支援を一体に行う取組は先駆的であり、箱物の住宅政策から箱とケアを重視する居住政策への転換という視点も大いに注目されます。
同時に、現場で支援に当たる人をどう広げ、どう育てるのかは大きな課題です。奥田参考人から、専門職の養成に関わって、行政では会計年度任用職員も地域づくりや防災に関わっている現状が紹介されました。待遇を大きく見直さないといい人材は残らないという指摘を踏まえ、是正すべきです。
障害のある人の七八・六%が相対的貧困以下、半数以上が家族と同居し、家族に多くの負担が掛かっています。家族依存から脱却し、情報保障と移動保障に基づき、障害者基本法の改正、予算の拡充など改革を求めた藤井克徳参考人の指摘も大変重いものです。国連障害者権利委員会が初の日本審査で温情主義と勧告したありようは転換させなければなりません。優生保護法であらわになった優生思想、差別や偏見を払拭する基本法、理念法の検討に入るべきという意見も国会として受け止めるべきです。
地域社会での希望をどう実現するか。宮崎雅人参考人が社会的連帯経済の事例として紹介された熊本県小国町わいた会による地熱発電は、参加型の民主主義であるとともに、エネルギーの転換とも関連しています。地域の社会と経済の双方で再生の解決策となり得るものです。
桜井徹参考人は、市民的権利としての移動の重要性を強調し、鉄道事業の独立採算制やJRの分割・民営化の見直しを提案されました。現に営業する路線を適切に維持するよう求める大臣指針を法制化し、ネットワークとしての鉄道網を維持するとともに、JRの上下分離による国有民営を進める案は十分に説得力があります。
国際競争力を口実に東京に人と物と金が集まればよいという時代でないことははっきりしています。東京一極集中を誘導し、加速させてきた政治の総括と反省が必要であることも指摘しておきたいと思います。
以上述べた点を始め、各会派で認識が一致した課題や論点が少なからずありました。最終報告書に加えて、決議など適切な形で調査会としての意思を示していくことを提案したいと思います。
軍事費に湯水のようにつぎ込みながら、物価高の下で、消費税を下げず、給料も年金も追い付かない、一方で、企業献金で結び付いた大企業や富裕層には優遇を続ける、ゆがんだ政治を正してこそ希望ある未来が開けることを強調し、意見とします。

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