2016年・第192臨時国会
- 2016年11月10日
- 国土交通委員会
リニアに公金3兆円 政府質疑で採算とれない事業であることが明らかに
- 要約
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- JR東海の資料を示し「リニアは減益になる。償還確実性があると言えるのか」と追及。
- 大臣が「リニアと東海道新幹線の別々の収支を出すことは困難」と答弁。採算性を確認せず、工事を認可し、本法案では公金を投入することが明らかに。
- 参考人質疑でも、自然破壊、住民被害、技術的問題点、莫大なエネルギー消費の問題等、課題が山積していることが指摘された。
(政府参考人質疑)
参考人
・ 一橋大学名誉教授 杉山武彦氏
・神戸大学大学院経営学研究科教授 正司健一氏
・慶應義塾大学名誉教授 川村晃生氏
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
本日は、三名の参考人の皆さん、ありがとうございました。私からは川村参考人にまず御質問をしたいと思います。
川村参考人自身、山梨にお住まいということで、実験線の状況についてもお見知りおきだということなのですが、そしてまた残土の問題やあるいは水がれの問題など、既に起こっている点を御紹介いただきましたけれども、そうした点以外に、実験線で今実験が行われているその中で、例えば騒音やあるいは振動、日照の問題、景観の問題など、住民の皆さんの中で出されている声など、御存じのことについてお聞かせいただければと思います。
○参考人(川村晃生君) 実験線がほとんどトンネルとそれから高架を繰り返しながら現在運転しているわけですが、トンネルの場合は微気圧波という、トンネルに入るときにどんという大きな音が起こる。これはかなり、以前から見れば小さくはなっているようですけれども、まだ解消されていない問題です。
それから、騒音と日照の問題ですが、度々、居住の民家の直上に高架が通ってしまったお宅をお訪ねするんですけれども、現在は時折実験線が動くだけですから、そのときうるさいと思うことはあるようですけれども、これから営業線になって、一時間に往復十本ないし十二本、現在三両ですが、これが十両、十二両、長い車両になりますと、ほとんどひっきりなしに自分の家の上を大きな騒音を伴ってリニアが通過するということで、恐らくかなり神経的に、精神的にダメージを被ることは間違いないだろうと思います。
それから、高架の場合は同時に日照の問題がありまして、そのお宅は、大体今頃、十一月の半ば頃から一月の半ばくらいまで一切日が部屋の中に入りません。もう冬の寒いときに全く日の当たらない家で、御夫婦が二人でその家で過ごさねばならない、補償は僅かな灯油代が三十年に限って出るだけであると、これで涙をのんで、最後まで頑張ったんですけれども、了解してしまった。一時は奥様が円形脱毛症になるというふうな事態も起こっておりまして。これは山梨の場合ですと、これからの実験線から更に延伸する営業線がほとんど高架です。山梨県中央市、山梨県南アルプス市それから富士川町、全て民家が密集しているところの上を通りますので、二十メートルから三十メートルの高架が通りますので、住民の被害は想像を絶するものがこれから起こるだろうというふうに思っています。
○山添拓君 実験線はまだ四十キロ程度ですので、それが更に広がっていくということかと思います。
引き続き川村参考人に伺いますが、リニアの工事認可に対して五千名以上の方がその処分の取消しを求めて異議申立てをされると。今年五月には七百三十八名の方が取消し訴訟を裁判を提起されたということで、川村参考人も工事認可の処分取消しを求める裁判の原告だということで、今日資料も配られておりますが、なぜこの裁判に立ち上がろうと御自身はお考えになったのか、お聞かせいただけないでしょうか。
○参考人(川村晃生君) 一つは、先ほど来述べている様々な被害が発生している、その被害が発生してもなおかつこのリニアが必要なのだという合理的説明が一切ないんですね。あなた方の生活、あなた方の暮らしを犠牲にしてもこれが必要なんですよという説明が住民に一切なされていない、これが一つです。
それから、私たち直接住民ではありませんけれども、一般市民にとっても、例えば南アルプスのような極めて原自然が日本でも手付かずで残っているところになぜトンネルを掘って、水を抜かせて、生態系、自然環境を壊してまでこれが必要なのかという合理的説明がないんですね。しかも、なされたアセスは極めて不十分、ずさんなものであると。
こういう、住民と一般市民の様々な不満が重なり重なって五千四十八筆の異議申立書になり、そしてその結果七百名を超える原告団を結成しての訴訟になったのだと思います。
この間のことを振り返って申し上げますと、意見陳述書というのを皆様のお手元に配らせていただきました。これは今日の意見陳述ではありませんで、九月二十三日に東京地裁に七百余名の原告が、第一回口頭弁論に際して私が原告を代表して意見陳述したもの、その意見陳述書ですので、これをお読みいただければ分かりますけれども、こういうふうな様々な矛盾を抱えながら着工に至ってしまう、これは極めて不幸なことであります。少なくとも住民の合意、納得だけは得なければならない。それから、エコパークに指定された南アルプスがひょっとすると次のステップでは取消しになる可能性すら含んでいる。
そういうことを含めて、本来なら住民に対して丁寧に説明し、そして一般市民も納得できるように、国民的議論の中でこのリニアが必要かどうかということが議論されねばならないだろうと思っているわけですけれども、それが一切ないまま、私の言葉で言うと、非常に傲慢かつ不誠実な態度でJR東海が事業を進めてきた、そのことに対する住民の不満が爆発しているのだというふうに思っています。
恐らくこれから裁判の過程で、今日申し上げたような様々なJR東海の横暴的な仕方というものが法廷の場で暴かれていくことになると思いますが、そのことに期待して私はこの裁判に踏み切ったというふうに考えています。
○山添拓君 そうして造られようとしているリニアは、東京―大阪を一時間余りで結ぶと、そして人口七千万人のメガロポリスをつくろうと、地方創生回廊をつくるんだというふうに言われています。
これも川村参考人にお聞きしたいんですが、そこで目指されている、描かれている社会というものはどういうものになるのか。人の働き方や、あるいは物の考え方、どういうそこに問題点があるとお考えなのか、御紹介いただけないでしょうか。
○参考人(川村晃生君) 私は、地域に根差した生活がなくなるというふうに思っています。例えば、名古屋から四十分で東京に行ける、それは、現実的問題でいえば、高尾から東京駅に出勤するよりも早いわけですね。現実的には旅費の問題とかいろいろありますからそれは可能ではないかもしれませんけれども、目指されているメガロポリスの問題というのはそういう社会だろうと思います。
そうなると、名古屋が名古屋でなくなります。名古屋は東京の一部になるはずです。これは、今までの大都市の形成過程を考えていると、明治時代に武蔵野というところがあった、それが全て東京の中に包摂されていく。同じような繰り返しで拡大再生産がこれまで行われてきたわけですから、リニアができれば地域がなくなる、そういう社会ができ上がっていくだろうと思っています。
○山添拓君 最後に、杉山参考人、そして正司参考人に伺いたいと思っております。
お二人とも、今回の財政投融資の投入について、公的支援という言葉で紹介をされました。どういう意味で支援というふうにお言葉をお使いか、また、この財投の投入によってJR東海にはどのような効果があるというふうにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。
○参考人(杉山武彦君) 今回の事柄に関しましてはいろいろな議論があって、これが経営の支援ではないかとか、それから、言わば補助ということに相当するのではないかと、そういう議論がたくさんあったと思います。それは、そういうふうに呼べばそういう色合いがあることは否めないと思っております。
しかしながら、冒頭に私述べましたように、ある事柄がそのこと自体を超えて広く社会全体に外部経済をもたらすということがはっきりしているときに、その外部経済を促進させるために公的な立場から一定の支援を与えるということは認められてしかるべきだと申し上げたのが私の考え方であったわけで、まさにそういう意味での支援であって、それは相手方をただ何も根拠がないのに助けるという意味ではなくて、先ほどの一種の経済学的な理屈に基づいての促進策と、こういうふうに理解をしております。
○参考人(正司健一君) 理屈の面は杉山参考人とよく似た論理ですので、今回の場合は、あくまでJR東海が企業として判断した投資計画の一部を前倒しにするために使うという形で、企業全体としての投資の事業判断の影響を与えているわけではないわけですね、早くなるという部分だけですね。その意味では非常に限定的な形で、そしてお互いの持分をちゃんと守った形での措置であるというふうに判断しております。
以上です。
○山添拓君 三名の参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございました。
(対政府質疑)
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今回の法案は、JR東海が全額自己負担で建設するとしてきたリニア中央新幹線に対して、財政投融資という形で三兆円もの公金を投入するものです。リニアについては様々な問題が指摘されておりますけれども、融資を行うからには事業の採算性は重大な問題だと考えます。返済の確実性に直接結び付く問題であるからであります。その採算性について、二〇一三年の九月に、JR東海の当時の社長である山田佳臣氏がリニアだけでは絶対にペイしないと述べている。この委員会でも再三指摘をされておりますが。
大臣に伺いますが、事業者であるJR東海の社長がこのように述べているのはなぜだとお考えでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) JR東海がリニア中央新幹線だけでは採算が取れないと発言したことは承知をしております。JR東海からは、この発言の趣旨というのは、この中央新幹線開業に伴う増収ですね、増収だけで中央新幹線の建設資金を回収できないという意味であるというふうに聞いております。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、交通政策審議会においてJR東海の会社全体としての採算性、これは東海道新幹線また在来線、それからリニア中央新幹線、そういったJR東海の会社全体としての採算性等を確認をして、事業遂行能力が検証されたものと考えているところでございます。
○山添拓君 JR東海に確認をした上でということで、そのような趣旨で社長が発言したということを国交省としても把握しているということだと伺います。
リニア計画、おっしゃったとおり予定額で九兆三百億もの建設費、借金の返済と金利の負担があり、開業後は東海道新幹線に加えてこのリニアの維持、運営費あるいは設備更新費などを負担していくことになります。リニア単独ではこれらを賄うことができない、ペイしないということにほかならないと思います。事業者が赤字と考えている事業に財政投融資で公金を投入することになる、この問題をまず指摘したいと思います。
資料の一を御覧いただきたいと思います。
JR東海は、二〇一〇年の五月にリニア開業後の収入想定を発表しています。同社の想定では、リニアの開業によってどうなるとされているのか、またその収入予想はどのように導き出しているのか、簡潔に御説明いただけますか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
お尋ねのJR東海作成のリニア中央新幹線の収入につきましては、名古屋開業前までのJR東海全体の収入を平成十八年度から二十二年度の五年間の平均並みで推移するとの仮定を置いた上で、リニア中央新幹線と東海道新幹線による運輸収入の合計が、名古屋開業後一〇%増、大阪開業後一五%増となるものと想定されております。その結果、この二千七百二十億円という増収という結果になっております。
開業後に収入の増加を生む具体的な要因といたしましては、航空旅客からの転移、東海道新幹線から中央新幹線への転移、高速道路からの転移、誘発効果による新規需要増加などが想定をされております。
なお、交通政策審議会の議論におきまして、経済成長率ゼロ%という最も慎重な需要予測を用いて行った政府の試算との比較によりましても、この収入想定は慎重な見通しに基づくものと評価をされているというところでございます。
○山添拓君 確認しますけれども、このJR東海の試算の方法というのは、リニアが開業すればどのぐらいの需要が起きるか、リニアに何人ぐらいの人が乗るか、あるいは東海道新幹線にどれぐらいの人が乗るか、こういう想定ではなくて、まず収入を、名古屋開業で一・一倍、さらに大阪開業で一・一五倍、こういう試算をした上で行っていると、こういう収入を先に想定したものだということで伺ってよろしいでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) JR東海が行いましたこの収入想定につきましては、いわゆるモデル推計等による需要の予測値によらず、収入実績の推移でありますとか主要な競合相手であります航空機との競争の実績といったような実績を踏まえて彼らなりの見積りをしたというふうに承知をいたしております。
○山添拓君 今、彼らなりの見積りというふうに表現をされましたけれども、まさに独自の方法で、実績を踏まえて収入はこれぐらいになるだろうと、言わば収入の期待値をここに定めたと、それを基に収入額を定めたものだと。その収入ならこれぐらい乗るだろうというふうに逆算したものにすぎないと。私は極めていいかげんなものだと思いますが、ともかく、御覧いただければ分かりますとおり、二千七百二十億円、全社で増収するというふうに考えていることがお分かりいただけると思います。
次に、資料の二を御覧ください。JR東海が二〇〇九年十二月に国交省に提出をした調査結果では、リニア中央新幹線の維持運営費、これは南アルプスルート、超電導リニアの方を見ていただくんですが、維持運営費は年間三千八十億円、設備更新費は五十年間の累計を一年当たりに換算しますと年間一千二百十億円、合わせて少なくとも年間四千二百九十億円掛かるとしています。
先ほど御覧いただいたとおり、リニアを走らせることによる増収は二千七百二十億と見積もっている。リニアによって増える支出は少なくとも四千二百九十億円。リニアはJRにとっては減益となるものじゃないかと。
大臣に伺いますが、それでも償還確実性があると言えるんでしょうか。リニア単体での収支をどのように想定しているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(石井啓一君) 交通政策審議会におきましてJR東海の財務的な事業遂行能力の検証を行った際には、先ほど申し上げた会社全体としての採算性等を確認をし、事業遂行能力を検証したところでありまして、個別路線単独の収支の検証は行われておりません。
この際、JR東海の収入については、経済成長率ゼロ%の場合の需要予測を基に、リニア中央新幹線及び東海道新幹線それぞれの二〇四五年次の収入見込額を試算しており、リニア中央新幹線は八千二百億円と試算をされております。
一方、JR東海の支出については、当時、JR東海から提供されたデータにリニア中央新幹線に係る支出のみが整理されたデータはなく、JR東海に確認したところ、それぞれの路線ごとに整理することは困難と聞いております。
今委員が御紹介いただいたように、平成二十一年度の中央新幹線調査報告書においては、南アルプスルートにおける超電導リニア方式での維持運営費及び設備更新費として年間四千二百九十億円の試算が示されておりますけれども、これらの費用には間接部門等の共通経費は算入されておらず、この共通経費をリニア中央新幹線、東海道新幹線、在来線ごとに切り分けることは困難と聞いてございます。このため、国土交通省としては、リニア中央新幹線単独の収支について責任を持ってお答えすることは困難であると考えているところでございます。
○山添拓君 いろいろおっしゃいましたけれども、結局リニア単独での収支がないということなんですよね。これは私は驚くべきことだと思います。三兆円もの投資を行うのに、そしてまた、先ほどおっしゃったとおり、JR東海の社長も自らペイしないというふうに発言していることもありながら事業自体の採算性を確認していないと。もうこれは余りにもずさんだというふうに思います。
そこで次に、資料の三を御覧いただきます。
東海道新幹線の現在の輸送需要量は、この資料でいいますと①なんですが、二〇〇五年時点、四百四十二億人キロとされています。交通政策審議会の需要予測によれば、リニアの全線開業後、リニアと東海道を合わせた輸送需要量は六百六十一億人キロ、③の数字です。約一・五倍となる。過剰な予測だと思いますけれども、そのうちリニアが四百八億人キロ、東海道が二百五十四億人キロとしています。東海道新幹線のみを見れば、現在の四百四十二億人キロから二百五十四億人キロへ、五七%になると。JR東海の予測はそれよりも少なくて合計五百二十九億人キロです、④です。現状の一・二倍。
JR東海はリニアと東海道それぞれの需要予測を示しておりませんので、合算のものしかありません。仮に、先ほどの交通政策審議会の数字、四百八対二百五十四、この数字に倣ってこの比率でリニアと東海道を割り振りますと、⑤にありますとおり、リニア三百二十八対東海道二百一となります。東海道は四百四十二から二百一へ、現状の半分です。
政府はこの間、財投による三兆円の償還確実性について、収益力の高い東海道新幹線と一体経営だから経営的に安定するのだ、こう言ってきました。ところが、その東海道新幹線には現在の半分しか乗らなくなる、こういう試算が示されているわけです。東京から名古屋や大阪、あるいはその先への長距離の利用者というのはリニアに移ってしまいますので、運賃の収入は下がるわけです。しかし、東海道新幹線も維持運営費やあるいは設備更新費は引き続き掛かることになります。東海道新幹線の収益力、著しく低下することになり、リニアの赤字を補填するだけの収益力は持続しない、このことは明らかではないかと思います。
大臣に伺いますが、リニアの全線開業後の東海道新幹線の収支についてどのように試算をされているでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 先ほどリニア中央新幹線の単独の収支については責任を持ってお答えすることは困難というふうに申し上げましたが、東海道新幹線単独の収支につきましても、先ほど申し上げた理由、同じ理由から、国土交通省として責任を持って回答することは困難であると考えております。
なお、交通政策審議会での議論におきましてJR東海全体としての採算性等を確認をしておりまして、JR東海にリニア中央新幹線に関する事業遂行能力があることは検証されていると考えているところでございます。
○山添拓君 収益力の高い東海道新幹線と一体経営だから経営が安定すると言いながら、その東海道新幹線の収支について何の根拠もないということではないかと思います。
今、一体で、全体で見れば収支は大丈夫なんだということをおっしゃいました。先ほど、リニア新幹線の収入については八千二百億というふうに想定をされていると御説明あったと思います。全社的な収入額は幾らなのか、幾らと想定しているのか。そこから今御説明いただいたリニアの収入額を差し引けば東海道新幹線のおおよその収入額というのは御説明いただけるんではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) 交通政策審議会の財務的検証におきまして私どもでいたしました検証の中では、二〇四六年、大阪開業後の営業収益一兆四千六百七十億ということになっておりますので、その八千二百億を差し引きました額が御指摘の額になるということかと思います。
○山添拓君 大体六千億ぐらいを見込んでいるということになるでしょうか。
ここにJR東海の昨年度の損益計算書があります。そこでは、営業に掛かっている費用、七千九百億というふうにあります。JR東海というのは、九割が東海道新幹線によって収入を得ていますし、営業の費用も同様に掛かっておりますから、基本的にはこれぐらいの額が今後も掛かり続けると。リニアの開業後も掛かっていくということになります。
今、収入が大体六千億ぐらいになると、東海道新幹線の収入がですね。ところが、現在既に八千億近く東海道新幹線を運営するために営業費が掛かっている。東海道新幹線の方がむしろ赤字になるんじゃないですか。この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) 先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、それぞれ新幹線単体での収支は、収入は見積もれるものの費用が見積もれませんのでお答えすることはできませんが、るる申し上げておりますとおり、交通政策審議会では、リニアと東海道新幹線合わせて健全経営を保ちつつリニア事業が推進できるということにされております。
○山添拓君 ですから、一体経営だから安全なのだ、安定経営なのだということの根拠は、リニアの方についても東海道新幹線の方についても何ら示されていないんですよ。リニアは単体で収支が黒になるのか、あるいは東海道新幹線は単体でどうなのか、こういうことを分析すらしてきていないということだと。
私が今御説明したとおり、東海道新幹線の収益力が低下するというのは、これは間違いないことだと思います、人が乗らなくなるわけですから。その中で三兆円の元本と金利を返済していくということになっていきます。国交省やJR東海の需要予測は過剰なものだと私考えますけれども、仮にそれによって利用者が増えるとしても、リニアは赤字だと、これは東海の社長がそう言っていた。大臣もそれを確認された。東海道新幹線は利用者が激減する。全体で減益となるのは避けられないと言えると思います。リニアと東海道新幹線の一体的経営ゆえに経営が安定し、だから償還確実性があるという、安倍首相以下この間答弁をされてきましたが、そのことに根拠がないということははっきりしたのではないかと思います。そして、減益となる事業だからこそ、減益分を補填するために財政投融資投入するものだと言わなければならないと思います。
リニア新幹線につきましては……
○委員長(増子輝彦君) 山添拓君、時間が過ぎておりますので、質問をまとめてください。
○山添拓君 はい、まとめます。
安全面、技術面、環境影響など問題が山積しており、この間この建設についての国民的な合意はないと考えます。ましてや、全額自己負担を公言してきたJR東海に対し、ずさんな需要予測しか行わず、まともな収支予測を行うことなく安定経営だから大丈夫だと吹聴し、経営支援ともいうべき三兆円もの財政投融資を行おうとしています。JR東海による全額自己負担の前提が崩れた以上、本来は整備計画決定あるいは工事実施計画の認可も取り消すべきであり、公金の投入などもってのほかであることを指摘して、質問を終わりたいと思います。