2018年・第196通常国会
- 2018年3月29日
- 国土交通委員会
道路法改正案の審議 東京外環道路のトンネル工事、談合疑惑を追及
- 要約
-
- 一部道路で全長40フィート(約12メートル)の国際海上コンテナの輸送車の通行許可を不要とする道路法改定案の審議で、山添議員は、改定案は道路の構造保全や交通の安全を後退させ、公共の道路を特定の企業の利益のために整備・利用するものと批判し、法案に反対しました。
- 東京外かく環状道路のトンネル工事でのスーパーゼネコン4社による談合疑惑を追求。捜査結果が明らかになるまでは入札手続きを再開すべきではなく、また談合の温床となるような発注方式を見直すべきと東日本高速道路株式会社に求めました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
まず、法案について伺います。新たに重要物流道路という仕組みを設ける内容です。
平常時のことについてですが、今、竹内委員からもありましたが、一定の重量や寸法を超える特殊車両は道路の通行に許可を必要としています。中でも、四十フィート背高国際海上コンテナの台数が増えているといい、重要物流道路のうち、道路構造を強化した区間では通行許可を不要とするものです。許可に時間が掛かるので規制緩和してほしいという業界団体の要請に応えようというものです。
資料をお配りしておりますが、一方で国交省は、二〇一三年の道路法改正で、道路の老朽化対策を主な目的として大型車の通行の適正化を図っています。国交大臣が大型車誘導区間を指定し、この区間のみを通行する大型車両は国交省が一元的に審査をするので許可までの期間を短縮する、こういう狙いの下で作られました。高速道路や直轄国道のほか、物流拠点を結ぶような全国約三万五千キロが既に指定をされて追加や見直しも行われています。
国交省はこの制度をつくった際に、平均二十日程度の審査期間を三日程度に短縮するとしていました。現状どうなったのかといいますと、資料の二枚目めくっていただきますと、ちょっと調べていただきまして、大きな港湾が近い横浜、名古屋、兵庫の国道事務所の数字を挙げていただいたんですが、まだいろいろばらつきがありますけれども、特に件数の多い名古屋でいいますと、許可件数二百四十八件、平均審査日数三・四日ということで、割と目標どおりの数字になっているところもあります。もちろん長いところもあります。
今、全体の平均審査日数が約四十五日ぐらいだと伺いました。ですから、これ挙げているのは、件数は多いとは言えないんですけれども、大型車誘導区間で完結する場合には、これは大幅に縮減をしているわけです。ですから、許可制度を維持した上で審査を迅速化するということは可能ですし、またその方向で今まで制度を進めてきた、政策進めてきたわけです。恐らくこちらにいらっしゃる委員の皆さんの中にも、五年前ですから審議に関わったという方もいらっしゃるかと思います。
大臣に伺いますが、この大型車誘導区間というのは国際海上コンテナ車も利用できます。ほんの五年前にスタートした制度で、当時、特殊車両の通行の約八割をカバー可能だとうたっていましたが、ここにありますように、必ずしも広がっておりません。先日、国交省に尋ねましたら、効果についての検証もまだ余りなされていないということでした。こういう中で、なぜあえて許可を不要とする仕組みをつくるんですか。
○国務大臣(石井啓一君) 大型車誘導区間は、全ての特殊車両を対象といたしまして、特車通行許可手続を行うことを前提といたしまして、審査の国の一元化によりまして審査日数の短縮を図るものであります。
一方、重要物流道路は世界的にも増加をしており、車両の諸元が一定である四十フィート背高国際海上コンテナ車等に対応した道路構造の強化を図る措置を講じた上で、特車許可手続を不要とするものであります。
大型車誘導区間では特車許可手続そのものは必要であるため、特車許可申請に係る準備やコストが掛かり、また通行経路が限定をされておりましたが、更なる機動的な輸送を可能とするため、重要物流道路では特車許可手続そのものを不要とすることとしたところであります。
また、イギリスやフランスなど諸外国におきましても、四十フィート背高国際海上コンテナ車の特車許可が不要となっていることを踏まえますと、国際競争力の観点から、当該車両の特車許可を不要とすることが必要と考えております。
○山添拓君 大型車誘導区間についても範囲を追加する中で、国際競争力強化のためと言っていますので、同じ政策目的なんですよ。その中で新たに許可を不要とする仕組みをつくるのは、今大臣もおっしゃったように、結局、運送事業者の、許可を取るのは面倒だと、こういう要望に応えただけで、そうなりますと、今後、同様の要望が新たに出されればどんどん広がりかねないということになります。
今回、許可を不要とするのは、法案によるものではなく、車両制限令という政令によるものですが、法案を解説しましたポンチ絵見ますと、国際海上コンテナ車等の通行に係る許可を不要とするとあるんですね。ですから、これ、政令を改正すれば国際海上コンテナ車以外についても許可を不要にすることは可能だと、こういうことですね。
○政府参考人(石川雄一君) お答えいたします。
今回、対象としている四十フィート背高国際海上コンテナ車については、四十フィート背高国際コンテナが世界の海上コンテナの半数以上を占め、我が国における利用についても十五年間で約九倍に増加するなど、国際競争力の強化の観点から機動的な輸送を確保する必要があることや、コンテナの規格が標準化されており、海上人命安全条約、SOLAS条約の改正により事前の総重量の確認が義務付けされるなど、車両の諸元が一定であり、道路構造の観点から対応がしやすい車両、車種であるということを踏まえて、特殊車両通行許可を不要とするとしたところでございます。(発言する者あり)はい。政令において対応することが可能ということになっております。
○山添拓君 つまり、法改正要らないということなんですよ。
わざわざこのポンチ絵でも「等」と書いているのは、将来拡大することを想定したものなんですよ。これでは許可制度が骨抜きにされかねません。
現在、通行許可は国交省が行っています。許可制度の適用除外を認めれば、許可申請するかどうかは事業者側の判断ということになります。今でも違反車両はあるんですよ。にもかかわらず、申請するかどうかを事業者任せにするということになれば、本来許可が必要な道路まで許可なしに通行する車両が増える可能性が高まります。チェックする体制もありません。交通政策審議会でも、許可なく通行を可能とすること自体の是非についてはほとんど議論されていません。これは極めて無責任だと思います。
道路の保全や交通の安全のためにも、この許可不要という仕組みは今からでもやめるべきだということを指摘したいと思います。
次の話題に行きます。
この重要物流道路は、東京外環道の東名―湾岸間のような計画路線も含めて指定が可能です。既に建設中の外環道の関越―東名間では、大深度地下を利用するからということで、地権者に断りなく、補償もなく工事が進められています。昨年十二月には、大深度地下の使用認可の無効確認を求めて十三名が東京地裁に提訴するという裁判にもなっています。住民に意見を聞かない事業に国が更にお墨付きを与えて後押しするのはもってのほかだと指摘しなければなりません。
この外環道をめぐって重大な談合疑惑が生じて、工事の契約手続が停止をしています。中央道とのジャンクションで本線とランプが分岐、合流する地中拡幅部と呼ばれる部分です。世界でも類を見ない規模の、技術的困難さを伴う工事と言われていますが、資料の三ページ、NEXCO東日本と中日本が発注するこの工事で、大成建設、清水建設、鹿島建設、大林組の四社が幹事社となったJVが四つの工事を分け合い、受注していることになっているのではないか、こういう談合情報が寄せられまして、昨年二月二十六日のしんぶん赤旗日曜版が報じ、三月三十日には我が党の宮本徹衆院議員が国会でも取り上げまして、その後、両者は契約手続を中止をいたしました。
今日は、NEXCO東日本に参考人として御出席をいただいております。昨年の九月一日に、談合等の不正行為の疑義を払拭できず、契約手続の公正性を確保できないおそれがあることから、契約手続を取りやめることとしたと、こう発表されております。
現在もこの契約手続は再開されておりませんね。その事実だけ確認させてください。
○参考人(荒川真君) お答えいたします。
現在もその手続は再開されておりません。
○山添拓君 今後、NEXCOが地中拡幅部の工事契約の入札を再開する場合、談合の疑義が払拭されない会社について契約相手から排除をするんでしょうか。新たな談合は許されないと考えますけれども、何をどのように検討しているか御説明いただけますか。
○参考人(荒川真君) お答えいたします。
東京外郭環状道路の中央ジャンクション地中拡幅工事につきましては、市街化された地下部の地下水を有する地盤内において非開削で大規模な構造物を構築するものでございます。
したがいまして、本工事につきましては、複雑な工程を伴う非常に高度な技術を要するものでございます。しかしながら、本線トンネルとランプトンネルをつなぐ本事業に不可欠な工事であることから、現在、新たな発注に向け、透明性、競争性等の確保に留意しつつ検討を行っているところでございます。本工事の発注に係る情報につきましては、決定いたしましたら速やかに公表をさせていただく予定でございます。
当然のことながら、新たな工事の契約手続につきましても、引き続き適切に対応してまいる所存でございます。
○山添拓君 高度な技術であるから談合が許されるということにはもちろんなりません。
談合疑惑を受けて、NEXCOにおいて調査委員会を設置をされて、そしてその結果を公正取引委員会と警察庁にも通報したと伺っております。調査や捜査の結果が明らかになるまで工事契約を再開すべきではありませんし、ましてや、先ほど挙げた四社が中心となったJVなどが入札に加わることなど許すべきではないと考えます。
外環道では、本線のトンネル工事も四つの事業区間に分けられて、同じくスーパーゼネコン四社が筆頭を務めるJVが工事を分け合って受注しています。しかも、一抜け方式と呼ばれまして、四件を順に開札して総合評価方式で落札するんですが、一件落札をしたJVはそれ以後の入札では無効になります。四つのJVで四つの工事、確実に一つずつ取れると、こういう方式になっているわけですね。二〇一四年五月の当委員会で、我が党の辰巳孝太郎議員がこういう発注方法自体の問題も指摘をしています。
地中拡幅部の工事では、技術提案・交渉方式というやり方を採用されました。技術提案で選んだ優先交渉権者と発注者が価格交渉を行って契約をすると。前回やりましたリニアで、JR東海が発注をしたその方式と近いんですけれども、そしてこちらも、外環道においては一つの工事で優先交渉権を得ると別の工事は受注できないという一抜け方式を取っています。
NEXCOに改めて伺いますが、こういう発注方法自体を見直すことも含めて検討されているということでしょうか。
○参考人(荒川真君) 現在、NEXCOにおきましては、この発注に向けまして、先ほども申し上げましたように、新たな発注に向けて、透明性、競争性等の確保に留意しつつ検討を行っているところでございます。
○山添拓君 確認ですが、発注方法も含めてということですね。
○参考人(荒川真君) 新たな発注に向けて、競争性、透明性を確保すべく検討をしているということでございます。
○山添拓君 はっきりおっしゃらないんですけれども、発注方法も含めて見直さないとまた同じことが起こるということを指摘したいと思います。
事業費の七五%が国費です。NEXCOも一〇〇%国が出資をする特殊法人です。疑惑の対象となりました四社というのは、言うまでもなく、先般告発し、起訴をされたリニア談合と同じメンバーです。二〇一四年の四月から二〇一五年八月頃にかけて談合が、あのリニアの件では起訴をされています。
外環道の本線トンネル、こちらは二〇一四年四月に落札をしています。時期も顔ぶれも同じなんですよ。談合があった可能性は十分にあり得ます。
大臣に伺いますけれども、大臣は、NEXCOが、つまり発注者が適切に対応するんだと答弁されてきましたが、今お聞きになったように、NEXCOにおいては検討中だとおっしゃいますが、発注方法を含めて見直すと明言をされません。国交省として、調査の徹底やあるいは発注方法を改めるように指導するべきではありませんか。
○国務大臣(石井啓一君) 国土交通省はこれまで、高速道路会社に対しまして談合情報対応マニュアルに基づき対応するよう指導してきたところでありますが、高速道路会社は、公正入札調査委員会による調査審議や公正取引委員会等への通報など、このマニュアルに基づき適切に対応してきました。
地中拡幅工事に係る入札手続は、発注者である高速道路会社において適切に決定されるものでありまして、高速道路会社においては、地中拡幅工事の再発注手続も含め、今後、東京外環の工事発注において透明性、競争性等が確保されるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
○山添拓君 時間ですから終わりますけれども、今回の件は、地中拡幅工事については、談合マニュアルの先なんですよ。その後、工事の契約を再開する場面での問題ですので、是非徹底した解明と調査が必要だと思いますし、談合の疑いが拭えないというのであれば本線工事についても中断をし徹底解明するべきだ、国もそのための指導をするべきだということを強調して申し上げたいと思います。
ありがとうございました。