山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

(株)明治の学校牛乳異臭問題、高カカオチョコ脳の若返り宣伝について質問

要約
  • ギャンブル依存症の問題について、消費者行政としても適切な対応を求めました。
  • (株)明治の学校牛乳異臭問題で、消費者庁として調査するように求めました。
  • (株)明治が内閣府同席で、高カカオチョコ脳の若返り宣伝について記者会見した件について、専門家によりエビデンスが得られていないことが指摘されているにもかかわらず、効能を変えて宣伝を続けていることを指摘。同じく調査を求めました。

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

初めに、消費者行政におけるギャンブル依存症対策について伺います。

カジノ解禁のためのIR推進法の附帯決議がギャンブル依存症対策を求めたのを受けて、政府は大急ぎで関係閣僚会議を開きました。二〇一七年八月、三回目にして取りまとめも行われました。

消費者行政に関しては、ギャンブル依存症についての消費者教育、依存症を原因とする多重債務問題の相談体制や関係機関との連携、相談員の依存症についての理解や知識、いずれも十分に行えていない状況にあると指摘をされています。この指摘はそのとおりですね。また、そのことについて大臣はどのように認識されていますか。

○国務大臣(福井照君) 従前から、多重債務問題につきましては消費者問題としてその解決に向けた取組の推進を図ってきたところでございますけれども、ギャンブル等依存症そのものは精神疾患として位置付けられ、医療の専門的立場から対策を講じられるべきものとしてきたところでございます。しかしながら、今先生御指摘のように、ギャンブル等依存症は多重債務問題の要因の一つとして考えられることから、現在、消費者庁においては、昨年八月の関係閣僚会議決定に基づき取組を推進しております。

具体的には、例えば、本年三月に消費者向け注意喚起資料を公表したほか、昨年十月以降、消費生活相談員の対応力強化のため国民生活センターにおいて相談員向けの研修を開催し、また、本年三月に関係機関との連携方法などを整理した消費生活相談員向けマニュアルを作成したところでございます。

今後とも、関係省庁と連携をして、ギャンブル等依存症患者が早期に適切に相談や治療を受けられる環境を整えることができますよう取組を進めてまいりたいというところでございます。

○山添拓君 要するに、従来はギャンブル依存症の問題、消費者問題としては位置付けておりませんでした。消費者団体などから依存症対策を求める声が上がっておりましたがほとんど行ってこなかったというのが実態であろうと、医療の問題だという扱いだったかと思います。

昨年、国立病院機構久里浜医療センターによってギャンブル等依存に関する全国的な疫学調査が行われました。お手元に資料を配付しておりますが、その結果、生涯を通じて依存症が疑われる者は推計三・六%、人口にすると約三百二十万人、そしてその八割近くがパチンコ、パチスロに最もお金を使った者だったと、こう発表されています。ギャンブル依存症の多くがパチンコによるものと考えられますし、多くの国民の皆さんの感覚とも恐らく一致するのではないかと思います。

パチンコは、競馬や競輪だとかあるいはモーターボートといった公営ギャンブルとは異なり遊技扱いになっています。風営法の規制対象で警察庁の担当とされていますが、ギャンブル依存症を消費者問題として位置付け、そしてまたこれだけ広がっているということを前提に取り組んでいくのだとすれば、この分野で消費者庁が率先して消費者教育やあるいは啓発など取り組むべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(福井照君) 政府におきましては、昨年八月のギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議決定でございますギャンブル等依存症対策の強化についてに基づいて必要な取組を進めているところでございますけれども、その対象には今委員御指摘のパチンコ、パチスロへののめり込みも含まれているところでございます。

ギャンブル等依存症を放置しますと、症状が悪化するばかりか借金の問題なども深刻になっていくことが懸念されるため、本年三月、消費者庁を始め警察庁を含む九省庁が連名で注意喚起を行ったところでございます。

消費者庁としては、今後とも機会を捉えて繰り返し周知するなど必要な取組を進めてまいりたいということでございます。

○山添拓君 今ありましたけれども、ギャンブル依存症を放置しておけば症状は悪化する、あるいは借金も増えてかさんでいくのだと、そういうことで対策が必要だということを消費者行政としても認識をしたわけです。そしてまた、消費者庁の行政以外もギャンブル依存症対策というのは始まったばかりだというのが実態ではないかと思います。

ですから、十分な対策を進めてその効果をきちんと検証することが不可欠であります。こういうときにIR推進法、実施法でカジノにまで進めば、更にギャンブル依存症を蔓延させることになります。依存症対策の必要性を認めるのであれば、新たに依存症になる人を増やさないことが最も重要であります。カジノ解禁などはやめるべきだということをこの場でも訴えておきたいと思います。

さて、今日は次のテーマに進みます。資料の二枚目を御覧ください。

日経新聞の記事ですが、昨年九月二十五日、明治戸田工場製造の学校給食用瓶牛乳を飲んだ新宿区、板橋区、埼玉県和光市、ふじみ野市の約千九百名の児童、教師等が、異味異臭、塩素臭や石けん臭、ガソリン臭などを訴えて、吐き気や腹痛、下痢で病院に行った者もおりました。こうしたことがマスコミでも報じられました。埼玉県の川口保健所が翌日二十六日に工場の立入検査を行い、また返却された未開封の牛乳についても検査をされて、その結果が関東信越厚生局に報告をされています。

厚労省に伺いますが、異味異臭の原因は特定されたんでしょうか。

○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。

まず、報告の経緯からお話しさせていただきたいと思いますが、御指摘の事例につきまして、関東信越厚生局によりますと、埼玉県から、今申し上げるような経緯で報告を受けたということでございます。

まず、昨年の九月二十五日に東京都内で学校給食用牛乳の異臭事案が発生した旨の報告を受けた、翌九月二十六日、埼玉県が実施した工場の立入検査においては衛生上の問題は確認されなかったという報告を受けた、九月二十九日、埼玉県が実施した牛乳の収去検査の結果でも問題はなかった旨の報告を受けたということでございます。関東信越厚生局によりますと、これらの埼玉県の調査においては異臭の原因は特定されなかったということでございます。

○山添拓君 ですから、立入検査を行ったり未開封の牛乳については検査したわけですが、少なくともその段階では原因は特定されていないわけですね。

ところが、明治がどう発表しているかということですが、資料の四ページを御覧ください。

関係行政機関による調査結果として、商品の安全性に問題はなかったとの見解をいただいたと書いておりまして、そして、発生原因は、お子様は風味に敏感と言われており、特定の地域で生産された生乳の風味を通常と異なると感じられたものと考えておりますと、こう分析しております。

原因が特定されていないのに、商品に問題はなく、むしろ子供の味覚の問題だと、これは不正確じゃありませんか。厚労省、いかがですか。

○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。

事案の発生状況を踏まえまして、埼玉県は、当該工場の立入り時には、異味、異なる変な味ということですね、それから異臭の問題となり得る工程につきまして、製造等記録の確認により、問題の有無の確認を実施したと伺っているところでございます。

具体的には、腐敗や細菌の増殖の原因となる乳の温度管理に問題がなかったか、殺菌後の冷却記録、製品保管庫の温度記録、発送時の製品温度記録、貯乳時の温度記録の確認、それから、製品の原料となった受入れ生乳の状態に問題がなかったか、生乳の風味や温度の状態が記載されている生乳受入れ時の検査記録の確認、そして最終製品の状態に問題がなかったか、製品の風味や温度の状態が記載されている製品の検査記録、そして製造工程が正常に稼働していることを確認する静菌温度の記録や充填工程の異常の記録を確認したと伺っているところでございます。

また、立入り時には、食品衛生監視員が同ロットの未開封品について官能検査を実施しまして、異味異臭の問題は確認されなかったと。さらに、同ロットの未開封品について、酸度、比重、大腸菌群、細菌数について検査したところ、食品衛生法に基づく規格基準に適合したことを確認したと伺っているところでございまして、きちんと確認ができたということではないかと思ってございます。

○山添拓君 先ほど原因は特定されなかったとおっしゃったじゃありませんか。異味異臭はなぜ起こったのかという原因は特定されていない、こういうことでしたよね。そこだけ確認させていただけますか。

○政府参考人(宇都宮啓君) 最終的には確認できなかったということでございます。

○山添拓君 いや、そうなんです、ですから、確認されていないんですよ。

ところが、さらに明治は、資料の五ページ御覧いただきますが、原因が特定されていないにもかかわらず、再発防止策としては、「今後、生産者団体に対して原料供給元における風味の管理強化を要請し、生乳の品質向上につなげてまいります。」と記しています。塩素臭やガソリン臭といった異味異臭を子供の味覚の問題だといって、再発防止は酪農家の責任だ、こうしているわけです。

これには関係者から怒りの声が上がりました。新宿の区議会でも取り上げられまして、教育委員会は明治に対し、学校給食の安全性、信頼を脅かす事態。その時点で、二週間たっても現在も牛乳が飲めない児童がいるなど、保護者及び児童生徒の不安は到底解消できる内容ではありません。こうして三回にわたって事実確認や要請を繰り返す、そういう事態にもなりました。

酪農家からは、どんな牛の飼い方をすればガソリンや塩素の臭いがする牛乳になるのかと、原乳が問題ならミルクタンクの全生乳の消費者から苦情があるべきなのに、千九百人だけが異臭を訴えるなどということはあり得ないと、こういう声が出されています。

厚労省、確認ですが、明治は、この原乳の生産地や当日どのクーラーステーションを経由して明治戸田工場以外のどこへ出荷したのか、明らかにしておりますか。

○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。

埼玉県によりますと、埼玉県に提出されました明治の報告書におきましては、異臭があった牛乳の産地や経由したクーラーステーション、それから当該クーラーステーションから原乳が戸田工場以外の乳処理工場に出荷されたかどうか等につきましては、いずれにしても記載されていないということでございました。

○山添拓君 つまり、再発防止を原乳に求めながら生産地は特定しない、そして、原乳が原因であれば広範囲の出荷先に影響が及ぶと考えられるのに可能性のある範囲も明らかにしていないわけです。

今回は紙パックの牛乳ではなく瓶牛乳で発生をいたしました。瓶の消毒には塩素系の洗浄剤を使います。かつて明治乳業で勤務していた方によれば、製造ラインではパイプ洗浄などに塩素を使用すると、工場での製造工程上のトラブルなのは明白ではないか、こういう声も上げられております。戸田工場は衛生管理の国際基準であるHACCPの認証も受けています。

大臣は、消費者大臣であるとともに食品安全担当の特命大臣でもあります。消費者庁としても、適切な調査を行うとともに、正確でない発表というのは行わないようにこれ言うべきじゃありませんか。

○国務大臣(福井照君) 当該案件につきましては、埼玉県の検査結果では異臭の原因は特定されなかったものの、衛生上の問題は確認されておらず、消費者庁としては特段の対応を取ることは考えておりません。

しかし、いずれにしても、消費者担当大臣としては、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができるよう、食品の安全、安心、特に今回の場合は安心だと思います、先生御指摘のとおり、不安がないようにということで、安心の確保に向けて関係省庁と連携しながら、司令塔としての役割を果たしてまいりたいということでございます。

○山添拓君 何もしない人を司令塔とは呼べません。

これだけ問題だと言われているのに、そして明治の対応、今御覧になったように、特定されていない原因をあたかも特定されたかのように消費者やあるいは生産者の責任に押し付ける、こういう問題を放置しておいて、消費者行政を全うすることはできないと思います。

明治に関してもう一件伺います。

内閣府は、安倍政権発足後の二〇一三年度、革新的研究開発推進プログラム、ImPACTを創設し、公募で選ばれた十六名のプログラムマネジャー、PMにハイリスク・ハイインパクトな研究開発を行わせ、資金提供もしております。

資料の六ページを御覧ください。

その一つで、昨年一月、「日本初の試み!高カカオチョコレートの継続摂取による脳の若返り効果の可能性に道筋」という記者発表が行われました。PMの一人である山川義徳氏と株式会社明治の共同研究で、高カカオチョコレートの摂取が大脳皮質の量を増加させ、学習機能を高める、脳の若返り、可能性があることを確認しましたと書きました。この研究は、成人男女三十人にカカオ含有量が高いチョコレートを四週間摂取してもらい、摂取前と比較したものです。ところが、チョコを食べない被験者との比較がない。そういうことで、発表直後から問題視する指摘が相次いでおりました。

内閣府はこの件を再検証せざるを得なくなり、今年三月、外部専門家によるヒアリングの取りまとめを発表しました。そこでは研究の実験方法について、どのような意見、助言がされておりますか。

○政府参考人(生川浩史君) 御指摘の革新的研究開発推進プログラム、ImPACTでございますが、この山川プログラムと明治との共同記者発表等に係る問題につきましては、昨年七月から外部専門家による検証作業を進めてきたところでありまして、本年三月八日に報告書を公表をしたところでございます。

この報告書では、御質問の実験方法に関しまして、今後本格的な共同研究に移行する予備的な実験であっても比較対照区を置く必要があり、今後追加試験を行うべき、あるいは探索的なデータ解析という意味では理解できるので、次のステップとして比較対照区の設定も含めた本格的な研究に移行するのがよいといった意見が出されたところでございます。

これら指摘を踏まえ、山川プログラムマネジャーにおいては、今後改めて比較対照区を設け、実験の規模もより大きなものに見直した追加試験を行い、その結果を論文化する形で公表するというふうに聞いております。

内閣府としては、改めて科学的にもしっかりとした追加実験を実施することにより、エビデンスに基づく客観的な情報の提供に努めてまいりたいというふうに考えております。

○山添拓君 要するに、ずさんな実験でエビデンスが不十分だと、論文発表すらないのに結論を得たかのような発表になったことが問題視されているわけです。

今お話の中では山川PMに今後新たな研究をやらせるというお話がありまして、何かこう山川氏が悪かったというような扱いになっているんですが、これ記者発表には内閣府の参事官も出席しています。内閣府は資料も事前に確認をしておりました。

さきの外部専門家のヒアリングでは、研究者やPMや内閣府の責任と役割が曖昧だとしつつ、第一義的にはプログラムを主導するPMに責任があるが、PMをサポートする内閣府においてもしっかりとしたチェック体制が必要であったと、推進する研究開発がハイリスクなものであるほどその成果発表には正確さや慎重さが必要であり、内閣府のガバナンスの在り方が問われる、こう指摘をされています。

研究開始の段階で結論に至ったかのような記者発表を行わせて、内閣府も同席してお墨付きを与えて、正確でない情報を国民的に発信をしたと。内閣府はその責任をどうお考えですか。

○副大臣(あかま二郎君) 今般の問題でございますけれども、株式会社明治との共同記者発表において、今後本格的な共同研究に移行することを伝えることが目的であったにもかかわらず、予備的な実験結果を基にチョコレートによる脳の若返り効果を示唆したと受け止められる結果になってしまったことであったというふうに認識をしております。

その要因といたしまして、まず第一点目として、山川プログラムマネジャーによる発表資料の確認が十分でなかったこと、また、事前に照会を受けていた内閣府革新的研究開発推進プログラム室及び科学技術振興機構においても適切な指摘を行わなかったことであるというふうに考えております。

今後についてでございますけれども、記者発表を行う際には、まず内閣府、それからJST、プログラムマネジャー及び受託研究機関がそれぞれどのような視点から公表資料をチェックするか等の役割分担や、責任、これを明確化して、チェック体制、これを強化をする。あわせて、特に社会的に注目を集める可能性が高い案件については、必要に応じて外部の専門家の点検、これらを受ける等の再発防止策、これを講じてまいりたい、そう考えております。

このような形でエビデンスに基づく客観的な情報発信を徹底すること。このことによって、革新的な研究成果の創出を目指す革新的研究開発推進プログラムの取組が皆様から評価いただけるように取り組んでまいりたい、そう思っております。

○山添拓君 ちょっと、ちゃんと反省しているんですか。こういうことで誤った情報を国民に与えたということについて、そこはいかがですか。

○副大臣(あかま二郎君) 内閣府といたしまして、今し方御答弁申し上げており、今後においてしっかりとチェック体制又は責任の明確化、これを図ることによって、しっかりと皆様が理解いただける、評価いただける革新的研究開発推進プログラムにしてまいりたい、そう思っております。

○山添拓君 何か余りはっきりしませんけれども、記者発表が行われたのは昨年の一月十八日でありました。バレンタイン商戦が始まるタイミングなんですね。

資料の八ページに、御覧いただきますが、こうして全面広告を打っております。この二十一日ですが、山川PMと明治の社長が並んだ全面広告で、これで明治は大幅に売上げを伸ばしました。

資料の九ページを御覧ください。ザ・チョコレートあるいはチョコレート効果、皆さん方も国会のコンビニでお買い求めになったこともあるかと思いますが、高カカオとして売り出している商品を増産するために埼玉県と大阪府の二つの工場に二百七十億円を投じるとも発表しております。

明治との共同研究は、その後、契約が解除されたと言いますが、明治自身は会社として一度も公式に謝罪や訂正あるいは撤回をしておりません。現在もホームページのプレスリリースに昨年一月の記者発表を掲載し、一方で、内閣府が不適切だったと、こう先ほどおっしゃったように、したことは発表していないわけです。

資料の十ページを御覧ください。分が悪いとお考えになったのか、昨年十二月には、今度は脳の若返りではなくて、高めな血圧を下げると言われている、こういう効果で高カカオチョコレートを売り出すに至っています。これではやり得です。消費者はいつまでも誤った情報を植え付けられたままという状況です。

内閣府として、明治に対して昨年一月の発表が適切でなかったということを消費者に伝えるように指導するべきじゃありませんか。少なくとも、ホームページについては訂正するように伝えるべきじゃありませんか。

○副大臣(あかま二郎君) 外部専門家による検証では、脳の認知機能等との関連を示すエビデンスが不十分な予備的な調査の結果を公表することには慎重であるべきであった等の御意見をいただいたところでございます。そのことから、内閣府では、本検証報告書を本年三月八日に公表いたしますとともに、山川プログラムマネジャーを通じて既に株式会社明治にもその旨をお伝えしておるところでございます。

今御指摘のあったホームページの件でございますけれども、まず事実関係を確認の上、どのような対応が可能か、検討をしてまいりたいと思っております。

○山添拓君 大臣、大臣は四月三日の衆議院の消費者問題特別委員会で我が党の畑野君枝議員からこの問題指摘をされて、そしてホームページについても、実物を示して、適切に対応するべきだということを求められました。そしてその際には、早急に対応させていただきたいと答弁されています。十日たちましたけれども、今のあかま副大臣のお話ですと、これから検討するような話じゃありませんか。早急に対応するという言葉はどこへ行ってしまったんですか。

○国務大臣(福井照君) ちょっと整理をさせていただきますので、問い二つ、同時に御答弁させていただきます。

まず、事業者、一般論ですけれども、事業者は、消費者、顧客の満足と信頼を獲得することなくしては事業活動はできません。事業者の取組によって消費者、顧客の満足や信頼が高まれば安心して消費活動が行われ、それにより消費者と事業者による健全な市場の実現が期待できると考えております。

御指摘のございました明治の各問題につきましては、必要に応じて関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと存じている次第でございます。

その上で、明治の親会社である明治ホールディングス……(発言する者あり)じゃ、次で。

○山添拓君 共同研究を発表する際には、山川PMも内閣府も最大限に利用して、問題が指摘されれば契約を解消して終わりにすると。チョコが売れて一番得をしたのは明治ですけれども、何の責任も取っていない、また、それに対して内閣府も何ら指摘をしていないという状況が続いております。これでは納得いかないと言わなければなりません。

国民生活センターは、二〇〇八年に高カカオチョコレートについて消費者への情報提供を行っています。消費者へのアドバイスあるいは業界や行政への要望としてどのようなことを当時記しておりましたか。

○参考人(宗林さおり君) お答えいたします。

二〇〇八年当時、高カカオのチョコレートがダイエットに効くというようなことでメディアで紹介されたこともあり、各社から発売されて、種類が急激に増え、売上げを伸ばしている状況でありました。

私ども国民生活センターでは、高カカオをうたったカカオ分七〇%以上のチョコレート十二銘柄を商品テストをいたしまして、その結果から、普通のチョコレートよりも脂質量が多く、そして利尿作用や興奮作用があるテオブロミンやカフェイン等も多く含まれていることが分かりましたので、取り過ぎには注意が必要であるというようなことの内容で公表をいたしました。また、業界には、引き続き製品の適切な品質管理と、生理作用があるテオブロミンとカフェイン量を表示するように要望したところでございます。

○山添拓君 ですから、確証が得られていない脳の若返りどころか、注意すべき事項もあるような商品だということであります。

そこで、大臣に改めて伺いますが、高カカオチョコレートでは、内閣府のお墨付きを得て、仮説段階にすぎない脳の若返り効果を最大限宣伝をし、問題が指摘されても自らは謝罪や訂正を行わない。学校牛乳では、原因が特定されたわけでもないのに子供たちの味覚と酪農家に責任を転嫁し、原因究明に背を向けている状況です。明治のこういう対応は、消費者、食の安全、安心にとって決して望ましいものではないと考えます。明治ホールディングス、先ほど少し述べられましたが、消費者庁の消費者志向自主宣言企業にも名を連ねて、株式会社明治は、東京オリンピック・パラリンピックで組織委員会とスポンサー契約を結んでいる企業でもあります。

改めてきちんと実態を把握して、適切に指導するべきではないでしょうか。

○国務大臣(福井照君) 先ほどは失礼いたしました。

消費者志向自主宣言を作成、公表して、消費者志向経営推進組織に通知をしていただいた事業者について推進組織のウエブページに掲載を行っているところでございます。推進組織における議論に基づいて、仮に自主宣言事業者が消費者関係法令に関して不利益処分等を受けた場合や公序良俗に反する行為を行った場合等については、推進組織のウエブページへの掲載を取りやめることとしており、この旨公表をされているところでございます。御指摘の件につきましては、この考え方に照らしまして、推進組織において検討され、判断されるものと考えているところでございます。

なお、先生御指摘のように、畑野先生からの御指摘を踏まえまして、四月十日付けで推進組織構成団体に意見照会を開始したところでございます。そして、意見集約を行った上で最終的な結論を推進組織において決定する予定でございます。

○山添拓君 実は、明治においてはこのほかにも、ある実験で、ヨーグルトのR―1がインフルエンザに効くと、こう「あさイチ」で大宣伝をしまして、ヒット商品にしたことがありました。この実験は、佐賀県有田町の井上医師と明治が共同で行ったものでしたが、これも実験の有効性が疑問視されるもので、後にその井上医師自身が所詮はヨーグルトと、こう東洋経済の取材に答えている状況でした。消費者庁も、その東洋経済の記事によればですが、商品に直接インフルエンザへの効能を書いていないのでメーカーを注意することはできないが、冷静な判断をしてほしいと、こう話したということが記事でも紹介されておりました。

似たようなことを繰り返しているわけですね。ですから、是非、消費者行政として適切に対応していただきたいと思います。そのことを改めて、重ねて申し上げまして、質問を終わります。

ありがとうございました。

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