山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

森友学園 国有地売却 値引きの根拠ただす

要約
  • 山添議員は、学校法人「森友学園」への国有地売却における8億2千万円値引きの根拠をただしました。
  • 財務省と同学園の交渉記録が残っていたと報道されている問題で「佐川宣寿前理財局長が『確認したがなかった』と答弁した交渉記録のことか」と確認したところ、 財務省の富山一成理財局次長は「昨年の調査の状況も含め確認している」と答え、佐川氏の答弁が虚偽だった可能性を否定しませんでした。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

森友問題について伺います。

国有地売却をめぐって財務省と学園側との間で行われた面談や交渉に関する記録が存在していることが分かったと報じられています。近畿財務局のメールなどが数百ページ分、五百ページ残っていたという報道もあります。

先ほど増子委員からも質問ありましたが、太田理財局長は十一日の衆議院の審議で、きちんと調べ、あるならばできるだけ速やかに提出したい、こう答えています。ここで言っているのは、佐川前理財局長が昨年二月二十四日の衆議院の予算委員会で我が党の宮本岳志委員の質問に答えて、確認したが、なかった、こう述べている交渉記録のことでしょうか。財務省、お答えください。

○政府参考人(富山一成君) お答えを申し上げます。

今御指摘の点でございますが、昨年の通常国会におきましては、交渉記録という単語であったりあるいは応接録といったような、そういった単語を使用されながら質疑が行われていたというふうに認識をしております。

その上で、まず、そういった交渉記録等については、まず、文書管理のルールというもので申しますと、一年未満の保存であって、また事案の終了時点において廃棄をしていると。したがって、そういったものは存在しないと言っていたものが対象ということでございまして、今委員の御指摘のまさに交渉記録というのは、昨年の通常国会で議論の対象になっていたものというふうに認識をしてございます。

○山添拓君 佐川氏は、今もお話あったように、証人喚問では、記録がないと当時言っていたのは文書管理規程上のことだと述べていました。

財務省は、昨年の国会答弁に当たって、交渉記録の有無、今問題になっているようなものの有無を確認していなかったということなんですか。

○政府参考人(富山一成君) お答えを申し上げます。

今御指摘の点でございますが、まさに我々財務省といたしまして、今、まず決裁文書の書換えについての調査を進めております。(発言する者あり)はい。その上で、この交渉記録というものについてでございますが、これが、記録が残っているんではないかという御指摘あるいは報道が出ているという状況でございますので、この書換えについての調査を優先しつつ、交渉記録についても現在調査をしております。できるだけ速やかに調べて、その取りまとめを御報告ができるようにしていきたいと考えております。

○山添拓君 今のは質問に答えていません。去年の段階で我が党の宮本岳志委員、ほかの委員も含めてですが、交渉記録はあるのかということを尋ねていたのに、その際確認していなかったのかどうか、このことを聞いているんです。

○委員長(長浜博行君) 富山次長、的確に。

○政府参考人(富山一成君) お答えを申し上げます。

今まさに御指摘の点の昨年の調査の状況ということも、現在行っておりますこの交渉記録の調査の一環として、財務省として今その確認をしているところでございます。

○山添拓君 確認したかどうかを確認している、こんなばかな答弁がありますか。確認は一年前に既に終わっていたはずのものです。直ちに示すべきだと言わなければなりません。

次に、ごみ増量依頼について伺います。近畿財務局が当初から八億円の値引きを前提として大阪航空局にごみの積算量を増やすよう依頼していたのではないかという問題です。

報道から一か月がたちます。財務省は依頼があったかどうかすらまだ確認できていないということでありましたけれども、国交省は依頼された事実の有無の確認をまだできていないということなんでしょうか。そして、大臣に伺いますが、これ大臣が指示をして調査をさせているものです。大臣の下には調査の進捗は報告されているんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 報道されております近畿財務局が見積りを八億円ほどとするように持ちかけた等の点につきましては、私からの指示に基づきまして調査を進めているところであります。

現在、大臣官房の立会いの下、本省航空局によりまして、当時、本件見積作業に関わったと考えられる大阪航空局の職員を中心に聞き取りなどを行っているところでありますが、本件見積りにつきましては二年以上前の事案であり、既に本件担当を離れ別の部局で業務に当たっている者もいる中で、当時の大阪航空局の職員一人一人の記憶を繰り返し丁寧にたどっていかなければならないことから、現時点では何らかの調査結果をお示しするには至っていないところであります。

いずれにいたしましても、可能な限り調査結果をお示しできるよう作業を進めてまいりたいと考えております。

○山添拓君 質問に答えていただいていないんですけど、大臣の下には今どこまで分かっているのかということを報告されているんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 今どこまでといいますか、繰り返し一人一人の記憶を丁寧にたどっているという状況でございますので、まだその全体像がきちんと確定をしているという状況ではありません。ただ、その捜査が、捜査といいますか、調査をどういう形でやっているかというような中間報告は受けておりますけれども、まだ結果についてはまとまっていないというところであります。

○山添拓君 依頼があったかなかったか、それぐらいは直ちに分かることだと思うんですね。これ重要な事実ですから、見積り変えたということなので、そんなに何度も何度も確認しなければ分からないような話ではありません。

調査は進捗に応じて報告すべきだと、四月十七日の当委員会でも私は指摘をいたしました。ところが、四週間近くたっても全く調査の状況を明らかにしようとしない。異常と言わざるを得ません。

大臣は昨年以来一貫して、ごみの見積りは適正だと断言をして、再調査も再検証も一切否定をしてこられました。その答弁が覆る事態となれば、大臣自身の責任となるということを私考えますけれども、大臣はその自覚をお持ちですか。

○国務大臣(石井啓一君) 仮定の御質問にはお答えは控えさせていただきます。

○山添拓君 仮定の質問じゃございません。だって、その仮定を否定できない状況にいるというわけですから、今依頼があったかどうかすら確認を進めている状況で、それはずっと確認中だと言い切るつもりなんでしょうか。

野党六党はこの間、国会審議の前提が崩れていると申し上げてきました。その一端はここまでの答弁でも私は明らかだと思います。新たな疑惑が発覚すると、確認中だ、調査中だといって逃げ続けようとしています。私は、本来与党の皆さんにもこの問題を明らかにする責任があると思います。ところが、今日の委員会では質問にすら立とうとされない。これでは、私は、疑惑の解明には程遠い、背を向ける姿勢だと言わざるを得ません。

今の話でいえば、たかだか二年前の、それも、三月十一日に新たなごみがあったと伝えられてから、四月十四日に八億二千万円値引きを前提とした不動産鑑定依頼書を提出するまでの僅か一か月余りのことなんです。確認にこんなに時間が掛かるはずがありません。直ちに明らかにされたい、そのことを改めて申し上げます。

工事業者がごみの再調査に全面的に協力すると述べている点についても伺います。

大臣は、四月十七日の当委員会で私の質問に対し、報道の事実関係も含めて本件土地を今後どのようにしていくのかについて、管財人や工事事業者とよく相談すると述べました。事実関係は確認できたんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 本件土地の調査につきましては、大阪航空局が行った見積りの大部分を占める校舎部分の調査は困難であり、この調査によって見積り全体が適正だったかを結論付けるわけではないと考えてはおりますけれども、本件土地の再調査を含めて、本件土地を今後どのようにしていくかについて管財人や工事事業者と相談をしているところでございます。

○山添拓君 工事事業者は何とお答えになったんですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 交渉中の内容でございますので詳細は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、相手方の御見解を確認をしたところ、相手方としては、あくまで調査には協力をするのみでありますけれども、建物の収去や占有を解除するつもりはないということでございます。

国は現在、森友学園の管財人及びその請け負った工事事業者に対しまして、本件土地の建物収去、土地の明渡し及び不法占拠に基づく損害賠償を請求しているという状況でございますので、直ちに今調査を行うことは困難だと考えておりますけれども、本件土地の再調査を含めましてどのような対応が可能かにつきまして、現在、工事事業者、管財人と相談をしているという状況でございます。

○山添拓君 建物が建っていない部分については調査に応じると工事業者は述べているんですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 調査には協力をするということを言っておりますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、現在、建物の収去とか土地の明渡し及び不法占拠に基づく損害賠償を請求しているという状況でございます。相手方の申出に応じて調査を行うことは本件土地が留置権を根拠として占有されているという現状を追認することにもなりかねませんので、慎重な対応が必要だということでございます。

○山添拓君 委員の皆さんもこの時間稼ぎの状況、御覧になっているかと思います。聞かれたことには答えないし、聞かれていないことを長々と答弁する。

管財人には聞かれたんですか。管財人は何と答えていましたか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 管財人には、事業者に連絡をしますということで御了解を取った上で事業者に連絡をしているということでございます。

○山添拓君 つまり、管財人に確認しないと何もできないとこれまで言ってきたんですけれども、そうじゃなかったと、管財人は任せると言っているということです。直ちに、グラウンド部分、再調査をするべきだと申し上げたいと思います。

航空局による八億二千万円もの値引きの積算が本当に適切なのか、改めて問いたいと思います。

地下三メートル程度までごみがあることは従前から判明しておりましたので、森友も工事で一部を除いています。したがって、値引きの根拠となり得る新たなごみは、地下三メートルより深いところ、くい打ち部分九・九メートル、その他の部分三・八メートルとされたものとなります。新たに地下埋設物があったという報告を受けて工事業者が試掘した五か所のうち、大阪航空局が三・八メートルの深度で埋設物を確認したというのは一か所だけなんですね。

会計検査院に伺います。

資料の一枚目、三・八メートルの写真がありまして、その二枚目には会計検査院報告書六十八ページの図表を載せております。その左側に深度三・八メートルで廃棄物混合土を確認したとされる箇所と注釈が記されております。同じ場所が黒い四角で塗り潰されておりますが、どういう意味ですか。

○説明員(戸田直行君) お答え申し上げます。

報告書六十八ページの図表二の十九におきまして、深度三・八メーターで廃棄物混合土を確認したとされる箇所と小学校の建設に先立ちましてボーリング調査を行った二か所のうち一か所が重なっている点でございますけれども、これは、それぞれ工事業者から提出された資料、それから仮称M学園小学校新築工事地盤調査報告書によりまして国土交通省が位置を転写した資料を基にしまして会計検査院におきまして当該図表を作成したものでございます。

○山添拓君 続けて伺いますが、ボーリング調査によれば、この箇所では地下三・八メートルまでごみがあったとされているんですか。

○説明員(戸田直行君) お答え申し上げます。

お尋ねの仮称M学園小学校新築工事地盤調査報告書によれば、当該箇所においてボーリング調査を行っておりまして、廃棄物混合土が確認された最大深度は三・一メーターとなっております。

○山添拓君 ボーリング調査では、地下一メートルより深いところにビニール片や木片など多く混入とあり、三・一メートルより下は粘土や粘土質の砂だとされています。ごみの混入は記録をされておりません。四メートルや八・五メートルという辺りでは貝殻片が少しあるという記述があります。その先、地下二十一メートルまでごみは出てきていません。

大臣に伺いますが、ボーリング調査でごみが出てきていない、発見されていない三・八メートル、掘ってみるとごみが大量に出てきたというのはどういうことなんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 平成二十六年に森友学園が実施したボーリング調査では、二か所のうち一か所で深さ三・一メートルまでの地層に廃材等のごみが確認をされております。工事事業者が行った試掘において深さ三・八メートルまでごみが確認された試掘の位置と、この平成二十六年に森友学園が実施したボーリング調査の箇所はおおむね一致をしております。

しかしながら、このボーリング調査は地盤の強度等を確認することを目的に、直径六・六センチ及び十一・六センチのみの掘削調査を実施したものでありまして、工事事業者が行った試掘とは掘削量が大きく異なると考えられます。また、ごみは必ずしも全て層状に広がっているわけではないと考えられますので、ボーリング調査の結果をもって、ごみが存在する深さが直ちに判明するものではないというふうに考えております。

○山添拓君 これ重大な答弁だと思うんですね。満遍なくあるわけじゃないんだということをお認めになっているわけです。航空局が三・八メートルでごみが出てきたと主張している唯一の場所で、ボーリング調査によれば確認されていないごみがあったというわけです。しかも、お示ししているように、写真では三・八メートルなどとは到底読み取れないものです。ボーリングで出てきていないのであれば、そして、そこから本当にごみが出てきたんだというならば、やっぱり、そういう場合にこそ慎重に客観的な記録を取って、本当に三・八メートルと言えるのかどうか、そうした調査を行い、記録を残しておくというのが当たり前じゃありませんか。なぜそういうことをしなかったんですか。

改めて、三・八メートルの根拠は何ですか。

○国務大臣(石井啓一君) ちょっと先ほどの答弁、追加で、補足で申し上げたいと思いますが。

まず、試掘の穴の大きさなんですけれども、これ正確な大きさは分からないんですが、写真等から判断をして、一辺が大体二メートルから三メートルぐらいの穴であろうと。重機で掘ったということですから、まあそれぐらいの穴の大きさであります。

その大きさの、三・八メートルのところに全面的にごみがあるというわけではございません。あくまでも混入率という概念を用いているということから、掘削した土量のどれぐらいの割合、まあ四七・一%という混入率でありますから、三・八のところに全部ごみがあるというわけではないんですね。

一方で、ボーリングというのはたかだか十センチ前後の直径でありますから、その穴のところにボーリングをやったからといって、その結果とこの試掘の結果が違うということは決して矛盾はしないということであります。

○山添拓君 聞かれていることに答えていないと思うんですよ。

ボーリングでは出てこなかったと、ところが、出てきたと言っている。そうであれば、その三・八メートルの根拠を、明確な根拠を残しておく、記録として、それが当たり前の調査じゃないですか。そういうことをされていない。

そして、三・八メートル、根拠は何かといえば、工事業者にヒアリングをして聞き取った内容だというのがこれまで答弁されている内容であります。その業者は近畿財務局や学園に求められて実際より深く報告していた、ごみの深さは虚偽だと証言していると報道されているわけです。結局、裏付けは一つもないわけです。根拠のない三・八メートルという数字に基づいてごみの撤去費用の積算を行っています。

航空局は、二〇一六年四月十四日、近畿財務局に不動産鑑定評価を依頼した際、資料の三ページにありますが、「地下埋設物撤去数量及び処理費用算出根拠について」という文書を添えて、三つの理由を挙げて、三メートル以下でもビニール片等を含む生活ごみが存在していると推測されると書いています。第一に、二〇一〇年の航空局の調査、しかし、これは三メートルまでですから根拠にはならないものです。第二に、試掘箇所から三・八メートルの場所でごみの地層を確認したと。そして第三に、地盤改良工事、くい打ち箇所で埋設物が発生していると、こういうことを書いています。

航空局に伺いますが、この文書以外にごみの数量の算定についての航空局における決裁文書はありますか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お示しいただいているこの資料は決裁文書に添付されているものだと思いますけれども、これの後ろの部分にもその積算の考え方を示す図面等が付けられていたり、それから二十二年調査の時点での資料なども添付をされているということでございまして、そういったものもその積算に当たっての根拠になっているということでございます。

○山添拓君 ほかに文書があるのかどうかということを聞いているんですが、ないというお答えだと思います。

ところが、この文書では、なぜ三・八メートルで出てきたと言えるのか、なぜ三・八メートルが一か所出てきただけなのに全面的にそれを適用するのか、なぜくい打ち部分九・九メートルからごみが出てきたと言えるのか、根拠が示されていないんです。そう判断した根拠ですね。

文書の作成名義は大阪航空局の補償課長である永尾和也氏です。この方に聞くしか分かりませんけれども、航空局長に伺います。この方、今も同じ課にいるんですか。おられるのかどうかだけお答えください。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 補償課長の永尾課長は異動をしております。

○山添拓君 ひどい話なんですよ。勝手に異動させて、話を聞きたいということは前から申し上げているのに、話を聞けない状況にしてしまう。

航空局は、本件土地の地下埋設物の数量を算出する際、会計検査院の言葉で言う混入率法という手法を用いました。面積と深さと混入率を掛け合わせる方法です。航空局には、こうした地下埋設物の数量の算出方法について、これどのようなケースで用いるものなのか、その場合にはどのような調査をどのように行うものか、それが必要かといったマニュアルですとか参照すべき基準がありますか。あるかないか、お答えください。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 会計検査院の報告書におきまして、混入率法を用いているというふうに書いてあります。航空局においても、地下埋設物の数量を算定する際に混入率法を用いることを定めたマニュアル等というのはございませんけれども、個別の状況に応じて適切な方法が採用されているところでございます。

今般の見積りにおきましては、平成二十二年に大阪航空局が発注をいたしました見積りの根拠資料の一つとしております地下構造物状況調査におきまして、六十八か所の試掘結果を基に、本件土地全体の地下埋設物量を推定するために混入率を算定する方法が用いられているということも参考にしながら、混入率を用いた方法により地下埋設物の処分量を算定をしているということでございます。

○山添拓君 時間が来ましたので終わりますが、混入率法と今おっしゃったんですけど、マニュアルや参照とすべき基準はないということでありました。

この間、国交省は、自らの専門的知見に基づいてごみの撤去費用を算出したと言っていますが、それはあくまで工事費用の部分であって、ごみの量をどう見積もるかについては専門的な知見があるわけではありません。通常は外注するものです。今回、自ら行ったということ自体が異例であります。そこで客観的な証拠も残さなかった、通常行われるような調査も行っていない。なぜかといえば、ないごみをあるかのように偽る、そのために残せなかったからにほかなりません。核心部分でますます疑惑が深まっているということを申し上げて、私の質問を終わります。

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