2019年・第198通常国会
- 2019年5月23日
- 文教科学委員会
白須賀政務官の問題、法科大学院に関する法案について
- 要約
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- 法案の質問で出席した文教科学委員会で、在京当番日に東京を離れた上に、同乗車の当て逃げ事件が報道された白須賀文科政務官に対し、説明責任を果たし国民は納得したとお考えか、と質すと、説明しろと言われるならする、との答弁。到底納得などできず、事実経過含めきちんと説明すべきと迫りました。
- 文教科学委員会で法科大学院に関する法案について質問。芝山文科大臣が、今回の改正を、時間的経済的負担を軽減するための学生本位の改革であると答弁したことに対し、時間的経済的負担の軽減は学生アンケートにおいて主たる原因ではないことを示し、立法事実として見直すべきと追及しました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
文教科学委員会で初めて質問させていただきます。私自身も法科大学院の出身の一人ということで、この法案については是非とも質疑に立たせていただきたい、こういう思いでやってまいりました。
ただ、今朝、白須賀議員の秘書の当て逃げの報道がありましたので、限られた時間ですので一点、白須賀政務官に質問させていただきたいと思いますが、在京当番に東京を離れていたという問題や、またその離れていた日の一日において同乗されていた車が当て逃げを起こした。この委員会でも答弁をされておりますけれども、これで政務官として説明責任を果たしたのだ、これ以上述べることはない、こういうおつもりでしょうか。
○大臣政務官(白須賀貴樹君) 今回の事故を起こした件の一月十二日も在京当番でございましたし、その行っていた場所もおおむね一時間以内の場所ではございます。これはもう文部科学省のルールでございますが、今回の件も含めて、文部科学省のルールとは別に、私自身でしっかりともっと厳しく在京当番をやっていきたいと思っております。
○山添拓君 いや、これでもう国民の皆さんは納得をした、だから説明をこれ以上する必要はない、こういうお考えですか。
○大臣政務官(白須賀貴樹君) それは在京の話ですか、それとも今回の事故の話ですか。
○山添拓君 いずれもです。
○大臣政務官(白須賀貴樹君) 在京当番の件も私はルールどおりやっていたということでちゃんと御説明をさせていただきましたし、委員からの御指摘をいただきましたから、それに関しては真摯にこれからは行動していきたいと思っております。
そしてまた、事故の件も、私は全く隠す気もございませんし、ちゃんと全部真実を述べているつもりでございます。
○山添拓君 それでもう説明はしないということなんですか。
○大臣政務官(白須賀貴樹君) 説明をしてくれと言われたら、説明をします。
○山添拓君 事実経過も含めて、まだまだ多くの方が納得をされていないと思います。説明責任をきちんと果たすべきだということを改めて重ねて強く申し上げまして、その意味では、今日の御説明だけでは到底納得が得られるものじゃないということを重ねて指摘をさせていただきたいと思います。
さて、その上で法案について伺います。
時間を要しましたので一問目は飛ばさせていただきますが、二〇〇一年の司法制度改革審議会が、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度を整備すべきだ、こう述べたのは、法曹が社会で期待される役割を果たすための人的基盤を確立するためだと、事実と法に基づいて基本的人権の擁護と社会正義の実現を担う、その役割を期待される法曹を多様に豊富に生み出すために法科大学院を中核としたプロセスが重要だとされたものだと理解をしております。それ自体に当時から様々な意見がありました。しかし、今日、法科大学院志願者が激減をし、今年の司法試験出願者数は昨年の五千八百十一人から八百八十一人減少し四千九百三十人だと。プロセス全体の見直しが求められてきたと言うべきだと考えます。それは先ほど来指摘のあるとおりです。
プロセスとしての法曹養成は、法科大学院だけではなく、司法試験、司法修習を含めた一連のものであるはずです。ところが、本法案を受けての司法試験や、また予備試験や、司法修習の時期や内容、位置付けの変化については、その多くが今後の会議体での議論に委ねられております。
大臣と、そして法務省に伺いますが、プロセスの全体が定まらないのに、一部分を取り出した法案を今回提出したのはなぜですか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 法曹養成制度は、まさしく法科大学院、司法試験、司法修習、これらの有機的連携の下にしっかりと検討をされるものであります。
しかし、過大な定員規模や法科大学院修了者の合格率の低迷、時間的、経済的負担など、法科大学院に関連する当初の想定と異なる諸課題を要因として法曹志望者の大幅な減少を招く状況はまさしく喫緊の改革の対象とされました。そこで、法曹養成制度改革推進会議の決定において平成二十七年度から平成三十年度を法科大学院の集中改革期間として位置付け、この改革を大きな柱の一つとして具体的な改正案を提出したところであります。
一方で、今回の改正案における法科大学院教育の充実や在学中受験の導入に伴って、今後、当然のことながら、司法試験の時期などについてもしっかりと検討する必要があります。法案が成立した際には、法務省において、司法試験の時期などを含め、法科大学院教育と連携した司法試験の在り方について会議体を設置して、我々文部科学省のほか、大学関係者、法曹実務家を構成員として必要な検討が行われると承知をしておりまして、文部科学省もしっかりとその議論に参画してまいります。
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
法務省では、昨年の七月以降、文部科学省の進める法科大学院改革を前提としつつ、法科大学院在学中受験資格の導入を含む司法試験制度の見直しにつきまして、関係機関との意見交換等を経ながらその当否や制度設計に関する検討を進めて、今回の法案提出に至ったものでございます。
この在学中受験資格を導入するとなりますと、この在学中受験資格の導入自体のほかにも、司法試験の受験可能期間の起算点をどうするか、あるいは試験科目をどうするか、また司法修習生の採用要件がどうなるかといった、その司法試験法あるいは裁判所法の改正に関わる検討事項が生じます。そこで、法務省といたしましては、今回の司法試験制度の見直しに当たりまして、関連する法律の内容を精査した上で、法律改正の要否が問題となる事項につきましては、新しい制度内容のパッケージといたしまして検討を進めて、その結果、法律改正を要する事項について今回の法案に盛り込むとしたところでございます。
他方、委員御指摘の司法試験の実施時期や試験の出題内容等につきましては、これは司法試験委員会において、また司法修習の時期や内容につきましては最高裁判所において、それぞれ司法試験及び司法修習の実施や運用に関する事項として決定される事項でございまして、法律で規定する事項ではございません。
そして、これらの新たな実施運用に関する見直しにつきましては、今回の法律改正、これがお認めいただくことが前提となりますし、また、今後文科省の方で具体的に検討される法科大学院のカリキュラムにも密接に関わるものでございます。したがいまして、今回の法案による制度改正が実現する前の段階で、これらの新しい制度の実施、運用に関する事項が定められていないということは、全体の制度枠組み、検討の順序として不合理ではないものというふうに考えております。
もっとも、先ほど大臣からもお話ございましたが、今回の法案が実現した折には、この改正を前提とした司法試験等の円滑な実施や運用に向けた連携協議が不可欠と考えております。
したがいまして、本法案成立後に、法務省といたしましては、司法試験実施時期を含め、法科大学院教育と連携した司法試験の在り方について、司法試験委員会とも連携したしかるべき会議体を設置して、国会での御議論も踏まえまして、文部科学省を始めとする関係省庁のほか、教育関係者や法曹実務家などを構成員としてしっかりと検討を進めていくことを予定しているところでございます。
○山添拓君 全然答えになっていないと思いますね。結局、終わってから、法案が通ってから会議体で決めるのだと。プロセスとしての法曹養成制度といいながら、プロセス全体を議論せずに、しかも中教審で議論もされていない在学中受験まで入れ込みました。これは、法案提出のプロセス自体が不透明で不十分な検討によるものだと言わざるを得ないと思います。
司法試験や司法修習、ひいてはいかなる法曹を育てようとするのか。これを国会で議論するには、少なくとも法務委員会との連合審査が必要だと思います。委員長、御協議いただきたい。
○委員長(上野通子君) 後刻理事会で協議します。
○山添拓君 法科大学院志願者の激減が法案提出の背景とされます。二〇一九年度、今年度の志願者、入学者数、そして一八年度からの変化について御説明ください。
○政府参考人(伯井美徳君) 本年度法科大学院入学者選抜の合格者数は三千六百二十七人、志願者数は九千百十七人となっています。昨年度と比較いたしますと、合格者数は百六人、志願者数は千五十九人、それぞれ増加しているところでございます。
○山添拓君 増えているんですね。定員充足率も改善したと伺っております。これは一つには、ロースクールがPRを行ったことや、適性試験と呼ばれる事前の試験が任意化をしたものだと伺っております。ですから、現在の制度の下でも志願者が増える余地はあるということです。
大臣が先ほど御紹介された二〇一五年六月の法曹養成制度改革推進会議決定は、法科大学院改革に関する基本的な考え方として、一五年度から一八年度までを集中改革期間とし、この間に法科大学院の教育の質の向上や経済的支援の更なる充実、そして優秀な学生を対象とした在学期間の短縮によって経済的、時間的負担の縮減を図るとしておりました。集中改革期間は、二〇一八年度、すなわち今年の三月までです。そして、その期間経過後速やかに法科大学院生の司法試験の累積合格率その他教育活動の成果に関する客観的状況を踏まえて分析、検討し、必要な改革を進めるとされておりました。
この分析、検討は終わったんですか。
○政府参考人(伯井美徳君) 平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定では、教育の質の向上、あるいは時間的、経済的負担の軽減などのために必要な方策を講じることとされ、御指摘ありました本年三月までの期間が法科大学院集中改革期間と位置付けられておりました。今回の改正案も、当該推進会議決定を踏まえた取組の一環として、集中改革期間内に提出させていただいたところでございます。
御指摘をいただきました本年三月までの集中改革期間の成果の分析、検討につきましては、推進会議決定において期間経過後速やかに行うこととされております。今後、速やかに実施し、中教審の法科大学院等特別委員会における報告、審議を経て、推進会議決定の進捗状況等を把握するために設けられております法務省、最高裁、あるいは文科省などを構成員とする連絡協議会等の場において報告することを考えておりますし、法改正を含めた全体の改革状況については、法科大学院への入学者数等、数値目標を設定して継続的に把握、検証を行っていきたいというふうに考えております。
○山添拓君 要するに、三年間の検証はこれからなんですよね。これはおかしいと思います。推進会議の決定の中で既に教育の充実も時間的、経済的負担の軽減も言われておりました。その効果はこれから分析、検討しなければならないことだと思います。
私は、この推進会議決定に言う法科大学院の認証評価の在り方や、あるいは所得連動型の返還型奨学金制度の導入など、これ全てよしとするわけではありませんが、しかし、少なくともこれ、集中改革期間と称した三年間の取組の結果を踏まえることもなく制度の大改変を加えると。
大臣、伺いたいんですけれども、これ、制度が変わるたびに翻弄され見通しが遮られるのは学生や法曹志望者であります。その立場に立つべきじゃないですか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今回の改革についても、集中改革期間に検討すべきまさに学生の費用及び期間的な負担の軽減ということに立ってしっかりと制度設計をさせていただいた、まさしく今おっしゃった学生本位の改革であるというように考えております。
○山添拓君 果たしてそうだと言えるのかと。
法案は、時間的、経済的負担の軽減を骨子としております。その根拠として、文科省は、法学部生に取ったアンケートを示しております。資料でお配りしておりますが、一枚目は最新の二〇一八年のアンケートです。現在、法曹を志望している学生の不安や迷い、その中で最も多いのは、司法試験に合格できるのかという不安、六二%、次いで、法曹としての適性があるか分からない、四四%、ほかの進路にも魅力を感じている、四〇%、法科大学院修了までの経済的負担は二六%、同じく修了までの時間的負担は二三%です。
主たる原因は、つまり法曹を志望しない主たる原因というのはほかにあるんじゃないですか。
○政府参考人(伯井美徳君) アンケートにつきましては、御指摘いただいたとおりでございますが、まあ自分の能力に自信がないとか司法試験に合格できるか不安というのも大きな原因でございますが、これらの解消にはその法科大学院教育の充実を行うということと、それから時間的、経済的負担の軽減をセットで行うということが必要と考え、私どもといたしましては、この三十年のデータの前に二十九年度でも同様のデータを取っておりまして、この傾向に変化はなかったわけですが、中教審でもそういうデータをお示ししながら議論していただいた結果、時間的、経済的負担の軽減が必要であるという今回の案を提出したというものでございます。
○委員長(上野通子君) 山添拓さん、お時間です、おまとめください。
○山添拓君 時間がありませんので、この続きをしなければなりませんけれども、法曹志望者が減っているということを理由にするのであれば、現在法曹を志望している学生ではなく、法曹を志望したことのない学生の不安や迷いを重視するべきです。
それは資料の二ページ目にお付けしました。二〇一七年に実施された分では、ほかの進路に魅力があるとか、適性の問題だとか能力の問題だとか、法曹に魅力を感じない。法曹を志望したことのない学生のその理由は、理由として経済的負担を挙げたのは一六%、時間的負担を挙げたのは一三%にすぎません。ですから、これを理由としてこの法案を出すということは、これ理由にならない、立法事実として見直す必要があるんじゃないか、このことを指摘をいたしまして、続きは次回に譲りたいと思います。
ありがとうございました。